Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
501JFW基地に潜伏しているストーム・ワンからの報告が来ました。
EDFのサングラスディスプレイ、もしくはヘルメットディスプレイに備わる機能で録画した動画のようです。
本部と情報部が共同で観閲します。
この世界とのコネクションの意味でも、得られるものは得なければなりません。
備考:
動画なのは、文面にするより楽なのと、時間短縮、技術格差の都合で周りから怪しまれない様にする為と思われる。
敵を騙すには味方から。
装備:
ポップコーンとコーラ類。
説明:
代替品可。
映画鑑賞じゃないけど、許されるなら。
目に見えるモノを鵜呑みにしては、ならない。
どうも皆さん、オペ子です。
501JFWに潜伏しているストーム・ワンから、早速報告が来ましたよ!
データを読み込んだら、何故か動画だったのですが。
つい流れで再生したくなりましたが、そこは成長した私。
私は抜け駆けせずに、少佐と本部に直ぐに報告。 みんなで視聴する事になりました。
ふふん? エラいでしょう?
どんな情報であれ、貴重な事に変わりはありません。
それにあの伝説の兵士であるストーム・ワンからのデータです!
絶対面白い……じゃなかった、良い情報だと願います!
「揃いましたね。 早速、見てみましょう!」
「うむ。 再生してくれ」
「ええ。 どのような情報か、共有しましょう」
そう言うは本部のおじさまと、お姉さんな少佐です。
別々の部が、こうして一緒に並んで座るのは、不思議な感覚がありますね。
今まで、通信越しに話をしていたので。
それに、なにより。
「なんで手にポップコーンとコーラがあるんですかー!?」
2人が手に持つ映画鑑賞セットがいっちばん不思議ッ!!
なんで!?
報告動画は、エンタメの様な感覚なの!?
「希望溢れる報告は、希望を持って聞かねばならないからな」
「情報の受け取り方は、受取手にも左右されるの」
「なんですかその理屈!? 私が変なんですか!? そうなんですか!?」
絶望の中で、おかしくなかったんですかね!?
人の事、言えませんけど!
「ポップコーン如きに狼狽えてどうする。 そんなメンタルだから歪んだ心になるんだ」
「強い心を持ちなさい」
そう言って、またポリポリするお二方。
おいコラ、良い感じにポップコーンポリポリしてんじゃねーですよ!?
私も食べたくなるんですけど!
「良いから再生してくれ。 時間は有限だ」
「うぅ……分かりましたよぉ」
納得出来ないながらも、大きなモニターを起動。
横一列になって、私達は視聴を開始したのでした……。
『……こちらストーム・ワン。 501JFW基地に潜伏する手筈は整った。 肩書きは予定通り整備士だ』
おお。 一人称視点です。
動画には海に浮かぶ、出島に作られた大きなお城が映ります。
滑走路らしきものが映っているので、基地に改造して使ってる感じですかね。
『見えている城のような建物が、501統合戦闘航空団の基地だ。 これから潜入するのだが、周りにバレるのを防止する為に私語が多分に含まれるのは許してくれ』
それは仕方ないですね。
でも、どうやって整備士として潜り込んだのでしょうか。
『技術提供というエサに釣られて、入れさせてくれた連合に感謝だな!』
「また提供詐欺ですか!? それに何度も引っ掛かる連合は何なんですかー!?」
思わず叫びました。
見えなくても分かる、笑顔で語るストーム・ワンと動画にツッコミを入れます。
連合チョロ過ぎです!
こんなんでは、仮にEDFの技術を得てもロクな事にならなそうです!
「騒がしいぞ。 映……資料観閲は静かにしろ」
「落ち着いて映……情報を分析しなさい」
「映画って言いかけてません!?」
2人にもツッコミしてる間も、動画は進んでいきました。
場所が変わり、今度は薄暗い空間に。
周りは機械的で、ウィッチが履くストライカーユニットが何脚も見えますね。
そして、それらを整備している整備士の皆さんがコチラを向いて声を荒げています。
『そんな腕で良くユニットの整備班に入れたな!』
『連合の偉いさんの命令だかなんだか知らねえが、半端な仕事はさせられねえぞ、あぁ!?』
『ウィッチの命は整備に掛かっているんだぞ、分かっているのか!?』
『出来ねぇなら帰れや』
『『『『かーえれ! かーえれ!』』』』
うわぁ……。
これ、まるでイジメの現場みたいですね。
でも仕方ない部分もあるかもです。
EDFもユニットを回収、分析中ですが、分からない事も多いですし。
ストーム・ワンも元整備士、当時からEDFから信用されて軍の無線使用を許可させていた程の腕とはいえ、未知の技術は無理という事でしょう……。
『すまない。 これで勘弁してくれ』
『なんだこりゃ』
『丸い機械?』
『スピードスターだ』
「なんか持ち込んでるぅ!? 大丈夫なんですかこれ!? というか詫びの品に、なんでそれをチョイスしたのおおおお!?」
ストーム・ワンはあろう事か、凄まじい速度で走行する丸いお掃除ロボット的な機械、スピードスターを提供しました!
この時代でも、私達の世界でもオーバースペックなオモチャなんですけど。
非殺傷とは疑わしい、ピカピカ光りながら時速200kmくらい出るヤバいヤツです。
なんでそれを出した、言え!?
『うおおおおお!? 格納庫中を動き回ってやがる!?』
『捕まえろ!?』
『装備品が荒れる!』
『ミーナ中佐に怒られちまうぜ!?』
『ヤベェよヤベェよ!』
『よしっ、今の内にユニットを勉強するか』
薄暗い格納庫を、明るいピカピカライトで照らしながら縦横無尽に動き回るスピードスターとストーム・ワン。
混乱を生んでるんですけど!
詫びの品じゃなかったんかい!?
それに、新顔が こんな事したら普通叩き出されるでしょーよ!?
『はぁはぁ……新入り、お前、明日までにこれ全部覚えとけよ』
『ついでに掃除していけ』
『じゃ、俺らはコレ貰って帰るから』
「結局スピードスター貰うんかい!? でも許しては貰えた方なのかな!?」
捕まえたスピードスターを抱えて、去っていく整備士達。
そして残るはストーム・ワン。
『ふっ。 整備の勉強に後掃除。 民間人時代の頃を思い出すな』
微笑んでるかのような、優しい口調をしながらモップで床を掃除します。
うう、伝説の兵士がこんな事を。
でも、民間人時代は そんな経験をしていたんですね。
ちょっと親近感が湧きましたよ。
一旦動画が途切れ、次には朝日が眩しく映りました。
翌日のようです。
目の前には整備士の皆さん。
でも、なんか顔色が悪いですね。
コチラをチラチラ見るだけで、顔を合わせようとしません。
昨日とは真逆の態度。
大丈夫でしょうか。
『おい、お前達…………散々俺に調子の良い事を言っていたが、アレもコレも整備するのに余地が有りまくりだったぞ! それをチンタラチンタラ何時間も掛けやがって! 説教垂れるのは1人前で、整備は三流? それでも整備士かぁ!!』
まさかのストーム・ワン、魂の叫び。
コレには整備士の皆さんも悲鳴を上げます。
『『『『はひぃいいぃ!? すみませんでしたあぁ!?』』』』
「立場が逆転してるうううう!? どんだけ向上が早いの!? 伝説の兵士は整備も伝説級なのおおおお!?」
しかも、ジャパニーズDOGEZAを強要されてますよ整備士の皆さん!?
コチラでいうと扶桑式になるんですかね、これ!?
『すまなかった……! アンタを見くびっていた……ッ!』
『これからはアンタが班長だ!』
『宜しい! 以後、俺の班はストワンと呼称する! 俺の言った通りに行動しろ!』
『『りょ、了解ッ!!』』
「乗っ取りやがりましたよ!? しかも現地でチーム ストーム・ワンならぬストワンを勝手に新生しましたよぉ!? 誰もソコはツッコミ入れないの!?」
動画内で、整備士達がこちらに敬礼。
すぐさま、ストーム・ワンは指示を出します。
『やる事リストは、このボードに書いておいた! 俺が戻るまですべて終わらせろ!』
『ぜ、全部!?』
『理に適った整備や修理方法だ。 何か問題があるか?』
『ヒィッ!? なんでもありません!』
『なら、すぐさま取り掛かれッ!』
『了解ッ!』
慌てて作業に取り掛かる面々。
対してストーム・ワンは一瞥すると、何処かへと移動します。
皆、忙しくてコチラに気付かないようです。
おお……こうして皆の目を欺き、基地を調査ですか!
良いよ良いよストーム・ワン!
なんか潜入任務ぽい!
『あら、何処へ行くのかしら……整備士さん。 ここは男子禁制よ』
と、思ったのもつかの間!
すぐに見つかりました!
目の前には赤毛の女の子。
少し大人びていて、やっぱりズボン履いてません。
ああいえ……この世界ではズボンらしいですが、やっぱパンツにしか見えない……。
縦に長い軍服で、中途半端にパンツが隠れてますが、それが更なる"えっち"を生み出してしまっています……。
この世界は痴女だらけなんですかね……?
いやいや、それよりもこの状況!
大ピンチですよ! 追放されちゃいます!
『501司令官のミーナ中佐だな? 俺はストーム・ワンだ。 ストームでもストワンでもワンちゃんでも良いぞ』
「この状況でナニ言ってるんですかー!? てかイキナリ司令官にエンカウントォ!? ラスボス的な、負けイベントじゃないですかこれ!?」
『ではストワンさん。 何か申し開き、あるかしら。 なければ直ぐに持ち場に戻りなさい。 そうすれば今回だけ不問にします』
「普通にストワンとか言ったー!? そして不問にするとか優しいなおい!」
笑顔が怖いですけどね!
しかし、そこは伝説の兵士。
ミーナ中佐の命令を無視、怯む事なく進んでいきます。
「って、おいいいい!? 許してくれるのに進むヤツがいるかああ!?」
戦時も思いましたが、怖いもの知らず過ぎる!?
して、それをされたミーナ中佐。 今度は怒気を含んだ声で止めにかかりました。
『聞こえなかったかしら。 上官命令よ、直ぐに戻りなさい』
『俺は"大将"だ』
「整備士がヤベェ事を名乗りましたー!? 潜入任務どこいった!? ストーム・ワンは死にたいの!?」
これ営倉入り、いや死罪じゃないですか!?
ヤベェよヤベェよ!?
『…………そこまでして進みたい理由を聞いても?』
振り返るストーム・ワン。
そこには、こめかみを抑えて、ぷるぷるしているミーナ中佐が。
ナニを言うんです?
この状況を打開する言葉ですか!?
『君は意図的に男性……整備士に、冷酷に接しているな。 昔、何かあったのだろうが、その理由探りの為に、俺は前に進むんだ』
「格好良く意味不明な事を口走った!? そりゃ冷酷に接するだろうよ、こんな事をされるんだもん!?」
するとミーナ中佐。
キッと睨みつけてから、
『貴方には関係ないわ。 これが最後です、直ぐに持ち場に戻りなさい! 聞けないなら501から追放します!』
『関係あるぞ』
『なんですって?』
お、おお?
流れが変わりましたよ。
ストーム・ワン、真っ直ぐミーナ中佐を見つめて語り始めます。
『整備士と兵士は別々のようで、同じ家族なんだ。 だが男と女としての齟齬はある。 戦場に身を置く以上、余計に感情移入は甘美な猛毒になるのも分かる。 だから別々に棲み分けるのは分かるが……だがな、謂れもなく差別されるのだけは許せないな』
『…………別に、私は……ッ!』
『誤魔化すな、俺には分かる。 伊達に隊長を務めていない。 君のような、若く美しい女性が司令官を務めているんだ、並ならぬ努力や修羅場を潜り抜け、そして数多の犠牲があった筈だ』
『…………何を、知った気に……』
『話したくなったら、話してくれ。 聞く事くらいなら、俺にも出来る。 話せば、楽になる事もある。 嫌なら話さなくても良い』
『…………』
『美人を虐めて、悲しませる趣味は無いのでな。 今日は下がらせて貰う……すまなかったな』
ぷつん。
動画が、切れました。
ミーナ中佐のキレる音じゃないですよ、ハイ。
キレて良いと思いますが。
これ、ストーム・ワン無事ですよね?
動画が送られてきた以上、無事ですよね!?
「ふむ……ストーム・ワンは上手くやっているようだな」
「そのようです。 引き続き、潜入して貰いましょう」
「今のをどう見たら上手くいっているんですかー!?」
またもツッコミを入れる私。
今日だけで、すんごく疲れたんですけど……。
ストーム・ワン……どうか、ご無事で!
にわかで駄文……。
本部と情報部は、わざとふざけてます。 オペ子の前なので。
ストワンは真面目です。 たぶん。