Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
連合軍は砲撃中止要請を受諾しましたが、各砲兵隊との無線交信が困難。
未だに砲撃を続けている部隊がいます。
EDFは被害を受ける懸念から歩兵隊を前進させるのを諦め、ビークルによる攻撃を敢行。
レールガンが到着次第、巣に突入。 籠る残存戦力を一掃。
パリを、ガリアを解放します!
備考:
ストーム・ワン指揮下の兵士は、彼に従え。
遮蔽物の無い場所でこそ、レールガンは真価を発揮する。
我々の勝ちだ。
「当たった! 当たったぞぉ!」
ブラッカーSPCによる長距離砲撃。
俺はロクな訓練ナシで、初弾含めた全弾を命中させた!
「イヤッホーッ!」
思わずガッツポーズ!
笑顔も溢れるというもの!
やべぇ。 この距離での戦車砲を当てたのは、何気に初めて。
いや、本当はもっと寄りたかったよ。
命中率を高めるために。
でもストーム・ワン隊長がピンチだったからさ。
もう間に合わないと思って砲撃。
そしたら群れを吹き飛ばせた。 連続で。
俺スゲェ。 誰か褒めて。
「だけど、まだまだ いやがるな!」
カメラ越しに外を見れば、まぁウジャウジャいやがる。 ネウロイが。
パリ中心はネウロイの基地みたいなモンらしいからな。
まさか移動しないよな?
しないと言え。
「前進はダメだ。 ブラッカー1台に群れを相手に出来る兵装は無い」
ひとりでブツブツ言いながら、戦術を練る。
となれば、スナイパーの真似事だ。
俺はブラッカーを移動。
位置を特定される前にセカンドトレンチに移動する。
トレンチっていても、塹壕は無いが。
EDFと連合の砲撃で建物のことごとくは破壊され、だだっ広いからな。
少しでも近寄られたら場所がバレる。
しかし、距離を開ければ当て辛い。
そこのさじ加減が難しい。
「でも逃げ隠れは得意だろ、俺」
自虐気味に自分を鼓舞しながら、別の場所から砲撃開始。
ドォンッ、と心地良い砲撃音。
弾着。 遠くで爆煙。
弾着位置がさっきよりズレた。
射撃支援システムの弾道予測線とは異なる弾道だったぞ。
「素直じゃない」
温まった砲身に、制御が追いついていない。
いや。 単にEDFのシステムがポンコツか。
だが、沢山いるネウロイだ。
榴弾なのもあり、狙っていない何体ものネウロイを吹き飛ばせた。
「よし、このまま……なんだと!?」
ちょっ。
ネウロイがワラワラとコッチに向かってきたんだけど。
「バレたか!?」
慌てて操縦桿を手前に倒し、後退。
侵略性生物の群れと対峙していた頃を思い出す。
懐かしめない、嫌な記憶が蘇ってくる。
逃げながら撃つか。
残弾は多くない。
全てを相手には出来ない。
だけど後続の歩兵隊が来てくれる。
そうすれば、少しはマシだ。
そう考えていると。
無線からストーム隊長の声が。
「そこのブラッカー。 真っ直ぐ俺の所まで来い」
すげぇ。 無線妨害の発信源にいる筈なのに、この短時間で繋ぎ直したのかよ。
流石、隊長。 すげぇ。
でも言っていることは不安になって、つい意見してしまう。
「それだと隊長が危険です!」
「その声、只野か? 大丈夫だ。 俺を信じろ」
そうは言うけど!
あのネウロイの大群は戦車1両、歩兵ひとりが何とかなる数じゃない。
いくらEDFの兵器が強くてもだ。
いや……落ち着け俺。
やり方次第で、何とかなる。
ストーム隊長は、いつも兵力差をひっくり返して来たじゃないか。
何か考えがあるのだ。
それに欧州救援隊の時、逃げた俺なんかを信じてくれていたという。
ならば。 俺も信じなくてどうするんだ!
「了解ッ!」
逡巡のちに返答。
俺はブラッカーを隊長の方向へ走らせた。
走りながらも、砲塔旋回。
背後に砲身を向け、群れに砲撃。
何発かは群れの手前に落ちたり、頭上を通り越してしまう。
「勿体ないが、どうせオマケだ。 全弾命中させたって殲滅出来る数じゃないからな」
地面がデコボコしているし。
ブラッカーの命中精度、良くないし。
言い訳。 でも、心に余裕を持たせる為だ。
大丈夫、大丈夫だ俺。
ストーム隊長が何とかしてくれる。
後続も来る……!
行進間射撃を続行。
群れの前列を吹き飛ばす。
ビームなんて撃たせない。
「死ぬとしても、あの世に弾は持っていけない。 全部くれてやる」
トリガーを引く。
砲撃音と振動が車体を震わせ、続く爆発と後退故の揺れが続いていく。
一方向に進みながらなのでジグザグ走行しながらのスラローム射撃とは違うかもだが。
それでもガタガタと車体は揺れる。
焦土化したパリの地とはいえ、砲撃で瓦礫の山やクレーターだらけ。
安定しない。 乗り心地は最悪。
だけど履帯と馬力のチカラがある。
走る分には大丈夫だ。
「あと5秒以内に来い」
「ファッ!?」
隊長から突然の命令が。
いきなり難題じゃね?
センサーの距離から考えて言う。
「ギリギリですよ!」
「それで良い……2」
意味わからん!
「いーち」
あー、くそっ!
間に合え!
操縦桿を限界まで下げ続けながら、後方に砲撃、反動のまま加速。
ネウロイの群れを引き連れたまま、隊長の方へ向かい続けて。
「へ?」
視界に、赤いスモークが見えた。
「だんちゃーく、いま」
隊長が言った刹那。
───ドゴォンッ!!
「ぬおおおおッ!?」
目の前で激しい爆煙。
ブラッカーは危うく転がされそうになる程に、デカい衝撃。
だが爆発じゃない。 威力ある砲弾による土柱だ!
それも無数に立ち上がっていく。
その位置に来ていた、俺を追い掛けていたネウロイの群れは木っ端微塵。
「良くやった只野」
隊長が褒めてきた。
へ、ナニ。
ナニしたん?
それに答えてくれる様に、続けて語ってくれる。
「砲兵隊にカノン砲を要請した。 爆発する榴弾じゃないからな、砲撃位置への正確な誘導が必要だった」
ああ……カノン砲の砲撃か!
赤いスモークは弾着地点の指示だ。
砲兵隊も、良くこの位置が分かるな。
濃霧の中でも撃ってくれるみたいだし。
連合軍も見習って欲しい。
技術格差で無理か?
ここでいうEDFのカノン砲は、貫通力に優れた砲弾を使う。
その為、目標に高いダメージを与えられる。
しかし、このブラッカーの榴弾と異なり爆発するものではない。
その為、砲撃位置に、もっといえば弾着位置に敵を誘導する必要があったのだ。
「さすがです、隊長!」
「ネウロイには、堅牢なヤツもいる。 ここはネウロイの巣だ、確実に殲滅させる為に要請したが……只野、立派な誘導兵だったぞ」
「そんな。 俺は逃げていただけです」
「それで良い。 立派な戦術のひとつだよ」
そうこう話をしている間にも。
生き残ったネウロイが、土柱を突き破って やってきた。
まだまだいそうだな。
なんか奥には山みたいな、デカいヤツが見えるし。
クイーン的なヤツかな?
歩兵が何とか出来ない戦力。
だけど今の砲撃で、改めて思う。
誘導兵が、ストーム隊長がいれば勝てると。
「まだ戦えるか?」
「はい。 後続も来ますし……あっ!」
噂をすれば。
武装装甲車両グレイプが やって来た。
砲塔から連続で火を噴いて、違う方面にいるネウロイを吹き飛ばしつつ。
側まで来ると、ゾロゾロと仲間たちが降車。
「みんな!」
「よぉ、只野。 生きていたか」
「しぶといな。 くたばったかと思ったぜ」
笑顔で言われた。
ひ、ひどい。
「ストーム・ワン隊長! 助けに来ました!」
「助かる。 ネウロイを殲滅だ」
「了解。 ネウロイを殲滅します!」
ショットガン……スローターE20を持つ隊員は、突撃しつつネウロイに発砲。
ネウロイ装甲を貫通し、巨体を吹き飛ばしていく。
発射間隔を補うように、他の隊員はPA-11をフルオート。
「俺も撃ちます!」
「頼む」
俺も気を取り直す。
負けじと、残弾を吐き出す!
皆で敵の群れを切り崩す。
だがしかし。
それでも敵の数が多過ぎる。
ネウロイは、EDFの数が少ないと判断したのか、包囲するように展開を始めた。
「ネウロイめ、悪知恵が働きやがる!」
ストーム隊長を守るように、俺のブラッカーとグレイプを盾にしつつ、円型陣形で四方八方に発砲。
だが、敵が多くて捌き切れない。
ひと部隊に過ぎない、俺たちだけじゃ対処しきれないか!
「ダメです。 このままだと包囲され、殲滅される恐れが!」
「仕方ない。 砲兵隊も次弾装填中だし、空軍も海軍もいない。 やむを得ん、全員グレイプに乗り込め。 退路がなくなる前に撤退する」
「いつもの事になり、すみません!」
「俺のワガママに付き合ってくれたんだ。 謝るのは俺だよ」
俺も合わせて謝った。
それでも、隊長は冷静に撤退命令を出す。
「それに」
「はい?」
「見てみろ。 もう大丈夫だ」
指をさす方向。
砂埃を立てて、やってくる青い車両群。
「あ、ああ……ああ!」
戦場に目立つブルーカラー。
俺は知っている。
いや、俺じゃなくても知っている。
あのビークルはEDFの新兵器!
「「「レールガン!」」」
皆が叫ぶ。
そう。
電磁誘導砲を積んだ、超兵器。
レールガンである。
「こちらイプシロン自走レールガン隊。 戦闘中の部隊、ただちに退避されたし! 後は我々に任せてくれ!」
無線がダメだからか。
大きなスピーカーで、俺たちに指示を出してくるレールガン隊。
特徴的な砲身は、既にネウロイ野郎に向けられている。
更に後ろから随伴歩兵か……いや、連合軍の生き残りか。
ガスマスクをしたカールスラント兵、それと連合に加盟している、どっかの国の兵士が続いている。 そっちもガスマスク。
それからフェンサーモドキみたいなヤツもいるな。 こっちはマスク無し。
ケモノ耳と尻尾を生やした、それとパンツな格好からウィッチだと分かる。
何だろう。 陸戦ウィッチというヤツか?
「EDFを助けるんだ!」
「助けられたんだ! 助けもする!」
「アンタに拾われた命だ! アンタの為に使いたい!」
「ストーム・ワン! 今度は俺たちがアンタを助ける番だ!」
なんか言ってるんだけど。
隊長、ナニしたの?
あ、いや。 それより今だ。
退避しなくちゃ。
「そのつもりだ。 みんな乗り込め!」
「了解!」
「後は任せた!」
して直ぐに隊長含む隊員らは、グレイプに乗り込んで、レールガンの射線外へと走っていく。
俺もSPCを走らせて撤退。
撤退しつつ、レールガン隊を見る。
「任された! 電磁誘導砲スタンバイ、照準合わせ! 隊列は崩して良い、横並びに砲撃を喰らわせろ!」
「展開終了」
「照準合わせ用意ヨシ」
「いつでも撃てます」「命令待機中」
「全機、発射用意完了」
「テェッ!!」
砲撃より軽いか どうかな音が響いた。
発砲炎は大きくない。
だけど斉射されたのは分かる。
その結果は、ネウロイの群れを見れば明らかだ。
あれだけいたネウロイが、デカい風穴を開けて一掃されていったのだから。
「ケッ。 相変わらずの貫通力だぜ」
「射程もな」
「敵が湯水の如く消えていく」
仲間の声が聞こえてくるようだ。
俺も、また見てもスゲェとしか思えない。
レールガン。
電磁誘導の……まあ、よく分からないが、電気のチカラで砲弾を撃つ兵器。
EDFのは威力もだが、貫通力が高い。
射程もある。
1発で、背後にいるヤツらも纏めて消し飛ばすのだ。
場合によっては、対空にも使えるだろう。
俺の乗るSPCなんかじゃ、比べ物にならない。
それだけ、圧倒的な兵器だ。
コンバットフレームも強力だが、これは別のベクトルで強い。
運用方法が違うだけだ。
「ザコは片付けた!」
「あの奥にいるデカブツをやるぞ!」
「敵さんは射程外か! だが、こっちは射程内だ! 容赦は せん!」
「全機目標、前方の超大型陸戦ネウロイ! 撃たれる前に撃つ!」
「集中砲火!」
「照準合わせー!」「用意ヨシ!」
「撃ち方よーい!」「全機ヨシ!」
「テェッ!」
目にも留まらぬ速さで、弾丸が斉射。
遠くに見える大型ネウロイに、瞬時に無数の風穴が開いていくのが分かる。
やがて核を貫かれたのか、光の粒子になって消えてしまった。
同時に。 空の暗雲が消えていく。
久しぶりの青空が、顔を覗き始めた。
「センサーに感なし」
「周囲に敵影なし」
「戦闘終了!」
「帰投する!」
「歩兵隊。 我々が来るまで良く耐えたな。 各自の持ち場に戻ると良い」
直った無線で、一方通信をしてくると。
そのまま青い車両群はクールに去った。
後に残るは、俺らの部隊と取り残された連合軍兵士たち。
ポカーンとしている。
まぁ……うん。
あっという間だったからね。
俺らは兎も角、彼らはナニもしてない。
「やれやれ。 俺のカノン砲要請の意味が、薄れてしまったな」
「い、いえ! おかげで助かりました」
「そう言ってくれると、嬉しいな」
無線越しに、隣のグレイプにいる隊長と会話する。
戦闘が終わった。
呆気なかったな、最後は。
まだ実感が湧かない。
「ところで、隊長」
「どうした」
「なんで、ここにいたんですか?」
「連合軍兵士を助けていたら、501がピンチだと知ってな。 そっちも助ける為に移動して……気が付けばココにいた」
ああ……だから連合軍兵士が、恩返しだとばかりに助けに来たのね。
でも、ナニも出来なかった。
仕方ない。
レールガンには敵わない。
仮に戦闘に参加しても、苦戦していただろうな。
俺らも、人のこと言えないが。
「なんにせよ、戦闘終了だ。 帰ろう」
「ついてきた連合軍兵士は?」
「後方の防衛線に輸送してやろう。 タンクデサントは危険だが、敵がいないから大丈夫だ。 只野、乗せてやれ」
「……了解です」
なんか、余計な事を言っちまった。
まあ、でも。
可哀想だからな。
乗せてやろう。
彼ら、彼女らもまた、俺らと戦った仲間なのだから。
連合軍兵士は、見た。
放たれたのは電撃か。
発砲したこと、着弾したことすら遅れて気付く雷撃の如く。
電撃は強大なネウロイの群れを貫き、地平線を埋め尽くさんばかりのネウロイを霹靂の速さで消し去った。
常人には理解出来ない光景に、慄き固まるよりなかった。
神のイカズチ。
いや、まさか。
俺は聞いたぞ、ヤツらはEDFだと!
EDF?
ヤツらは、コイツらは何者なんだ!?
見てしまった者は、ガリア解放を手放しで喜べない。
それ程の、雷にでも打たれた錯覚に陥るほどの衝撃だった。
やがて噂が噂を呼び、電撃というワードから、あのウィッチの偉業ではないかと勘違いが起きてしまう。
501統合戦闘航空団にいる ガリアの魔女、ペリーヌ・クロステルマン中尉。
固有魔法が電撃(トネール)だから。
記録では、あの場で戦っていたワケだし。
なんか気が付いた頃には、ガリア救国の大英雄として拝められた…………。
「わたくし、記憶にございませんわ!?」
ご謙遜を。
EDFとしては、まあ、連合軍に恩を売るのも悪くないから言及しなかった。
そんなワケで、多くの人は真実を知らないままになったとさ。
取り敢えず、なんだ……。
名誉の為に言っておこう。
ペリーヌさん含めて、501JFWもガリア解放に大きく貢献したよ、と。
その意味では、英雄として拝められるのは間違いない……筈である。
申し訳程度のウィッチ要素。
誤字脱字、間違い情報とか、あればすみません……。
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