Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
回収したウィッチや兵士を訓練したり、基地の警備を行います。
ストーム・ワン指揮下の隊員は、彼に従って下さい。
備考:
EDF式。
ウィッチに関しては、運用のノウハウがない為、試行錯誤になりそうだ。
23.EDF式は変だろうか?
連合軍及びEDF、ガリア解放を宣言。
同時にエトワール作戦成功を伝え、世界中の人々は歓喜に包まれた。
ガリアを奪還し、カールスラントも含めれば一気に一転攻勢の状況になったことで、絶望しかけていた欧州の人々は再び顔を上げ、希望を取り戻していったのである。
勿論、戦争はエトワール作戦で終わりではない。
しかし、この一大反抗作戦が大きな意味を持った事は間違いなかった。
人類はまだ、戦える。 勝てるんだと。
まだネウロイに屈するのは早いと。
戦いの主導権を人類側に傾け続けるべく、
連合各国は、たくさんの犠牲と悲しみを乗り越えて、軍隊を再編成、東の黒海やオラーシャ帝国(ロシア)、北南に散っているネウロイを倒すべく態勢を整えていく。
その態勢のひとつとして、エトワール作戦での第501統合戦闘航空団の功績から、第508までの統合戦闘航空団が結成される運びとなる。
そんな中、カールスラントの治安維持という題目で方面隊を散らせ、領内に基地を置き続けているEDF。
さすがに連合から「カールスラント返せ」だの「基地を退かせ」と文句を言われる頻度は多くなり、特にカールスラント上層部には言われたが、クレームは戦前から慣れている。
戦前も過剰ともいえる戦力拡大に対して民間人らが抗議していたから。
結局、あの時も今回もEDFが悪いところはあるのだが。
戦力がなくなった後も、別世界とはいえ文句を言われるとは。
内容違えど皮肉というか違うというか。
兎に角、本部は適当にあしらいつつ、基地にいる隊員らは仕事や任務に追われる日々を送っていた。
書類仕事や雑用系だと、回収した兵士や民間人の対応、仕事の割り振り。
元の世界や連合との調整。
今後の作戦行動。 兵站の手配などなど。
作戦成功を祝う暇なく、オペ子は作業に追われているのは言うまでもない。
「本部も少佐もヒドイです(TxT)」
がんばれオペ子!
書類仕事をこなして、立派な戦略情報部になるんだ!
一方で現場側。
ガリア解放に伴い、ガリア方面隊の戦力は別方面隊へと割り振られた。
一応、警備隊として多少の隊員を残し、戦力に組み込んだ回収した兵士を配置。
只野二等兵やストーム・ワン、ウィッチの軍曹ちゃんや曹長ちゃんも、一時的に警備隊に組み込まれている。
ガリアに進駐してきた連合軍に睨みを利かせるのもあるが、カールスラント難民を受け入れる連絡所の警備や対応もある。
その辺は、EDF側にカールスラント軍人がいた為に大きな問題は起きなかった。
難民側とカールスラントに取り残されていた保護民が、目の前で再会を喜ぶ光景は、見ていて喜ばしい。
エトワール作戦が成功して本当に良かったと、只野二等兵たちは染み染み思う。
だけど。
EDFはこのままで良いのだろうか。
この世界に留まり続け、いつか双方を傷付ける結果にならないのか。
下っ端の只野二等兵には分からない。
考えても仕方ないかも知れない。
(俺は……俺たちは、この先どうなる?)
隣のストーム・ワン隊長を見やる。
フルフェイス・ヘルメットの下、どんな表情をしているのか読み取れない。
でも。 それでも。
最も身近でありながら、エイリアンの神な存在、かの者を倒し、EDFの象徴であり総大将となった隊長がいれば。
きっと、なんとかなる。
そう願う。
「どうした只野」
「はい……いえ。 人類は大丈夫かなと」
「大丈夫だ。 お互いにな」
そう言ってくれる隊長。
口調は柔らかい。
不思議と安心できるものだ。
「そうですよね。 変な事聞いて、すみません」
「お前の気持ちは分かる。 だが安心しろ。 俺や仲間達がいる。 この世界で新たな仲間も増えていっていることだしな」
後方を指さす隊長。
そこには仲間になったカールスラント軍人、エトワール作戦中に回収されたウィッチがEDF式の訓練を受けていた。
ランニングに筋トレ、ヒイヒイ息を上げて苦しそうだ。
「どうした! まだ50往復しかしていないぞ!」
「か、カールスラント軍も厳しい訓練を積んできたが、それ以上だ……ッ!」
「なんで隊員は息切れひとつしないのっ」
「規律が緩い連中なのに、強いッ」
「喋る余裕があるようだな! 10往復追加だ!」
「「「ひいいぃ!?」」」
共に走る隊員が、兵士やウィッチをしごく。
只野二等兵も、厳しい訓練を受けてきたから、その気持ちは良く分かって、つい苦笑してしまった。
だが、あんなのは序の口で、様々な兵器群の訓練を受ける事になると思うと、あの兵士たちの身が持つか心配だ。
EDFの訓練は厳しいのだ。
だが、中には理解し難い変なのが混ざっていたので聞いてしまう。
「あの隊長」
「どうした」
「ランニングに筋トレは分かります。 でも、アレはなんなんです?」
目の前を緊急回避のローリングを連続で行いながら、地面を転がるように移動していく隊員がいる。
さながら西部劇ものの、転がる干し草。
その後ろを見様見真似で、でんぐり返しをしながら進んでいるウィッチや兵士がいた。
引き攣った表情をしているのは、気の所為ではないだろう。
「早く移動する訓練だな」
「いやいやいやオカシイでしょ!? 緊急回避のローリングを移動方法にするの!?」
「ナニがオカシイんだ。 走り出すよりタイムラグがないぶん、直ぐに移動出来る。 俺のように装備の都合で早く走れない兵士にも重宝するぞ」
「俺ですか? 俺がオカシイんですか!?」
EDFの伝統芸な、ローリング移動にツッコミを入れる只野二等兵。
ストーム・ワンは普通に答えたし、他の隊員もアレが普通の光景に見えている。
只野二等兵に同意する隊員もいるのだが、残念ながら、この場に味方はいなかった。
「それと」
「どうした」
「アレもなんなんです?」
空を見やる。
そこにはEDFの大型ヘリ【HU04ブルートSA9】が、バリバリバリとホバリングしている。
ヘリなのだが大型なのと重装甲で機動力は高くなく、左右に外付け搭載されているデカい機関砲【ドーントレスSA重機関砲】は、大砲にしか見えない。
そりゃ機動力ないよ、寧ろ その条件で良く飛んで良く動くEDF謎の技術力。
ガンナーとして、パイロットとは別に隊員を2人載せられる。
頑張れば、もう何人かは乗れるだろう。
輸送ヘリとしても運用出来るかも知れない。
いや……問題はソコじゃない。
「機関砲の操作訓練と」
「はい」
「降下訓練だ」
「それですよ!? なんで飛び降りる必要があるんですか! パラシュートないし!」
思わず叫ぶ只野二等兵。
もういち度見やれば、サイドドアから、隊員がパラシュート無しで自由落下、なのに猫の様に地面に着地、無傷!
普通の人間だったら、鍛えてようが即死レベルである。
EDF隊員にしか出来ない芸当。
それをやらされようとしている、フェンサーモドキな陸戦ウィッチ。
ヘリの中で涙目になりながら、必死に首を横に振って拒否ってる。
「度胸試しだな」
「度胸試して死ぬのは駄目でしょう!」
「ナニを言っている。 EDF隊員は、それくらいじゃ死なん」
「あの子たちは駄目でしょ……いやいや、ソコで不思議そうに首を傾げないで!?」
そんな事を言う只野二等兵もまた、ヘリから自由落下をしても耐えられる人外の肉体をしていたりするのだが。
それを知っている上で、隊長は「あぁ」と頷いて、
「お前は優しいな」
そう言って、ヘルメットの下で微笑んだ。
違う、そうじゃない。
「だが安心しろ。 ウィッチは頑丈だし、シールドを張れる。 あの高度で落下しても何とかなる」
「俺の気持ち、本当に分かってます? いや色々と」
ゲンナリする只野二等兵。
EDFがこんなノリだから、上同士、連合と仲良く出来ないのではないだろうか。
政治的な理由もあるだろうけれども。
「ナニ、本当に危険なら止めるさ。 ほら、アッチの訓練は平和だぞ」
「隊員がローリングでスクラップの車とかガードレール、街灯を吹き飛ばしてますね。 ウィッチと兵士の皆さん、跳ね返って痛そうにしてますが」
「はっはっはっ! アレは俺も無理だ! だが、レンジャー訓練を受けているなら、そのうち吹き飛ばせるだろう!」
「えぇ」
そう言う只野二等兵もまた、その気になれば吹き飛ばせるのだが。
「奥じゃ射撃訓練をしているな。 教授しているのは……《ハンマーズ》と《ブルージャケット》か」
「どちらも狙撃部隊ですね」
「EDF製の銃火器を扱うなら、大切な訓練だな」
「同意します。 ですが……アレも、必要ですか?」
指をさす只野二等兵。
そこには、物干し竿くらいはある大きな狙撃銃【ライサンダー】を走りながら撃ってる隊員が。
隣では、ジャンプしながら撃っている隊員もいる。
それで約1キロ先の標的に連続で当てまくる変態技を披露中。
それを見ているウィッチや兵士たちは、ポカンと口を開けて驚愕。
魔法でも見ている気分なんだろうか。
だとしてもEDF隊員は魔法使いではない、多くは変態である。
「訓練を続ければ、いつかは走りながらでも、当てられるだろうな」
「まぁ……さっき見たヤツよりマトモ……だと思いたいです」
EDFの変態技をやらせようとして、死人出ない? 大丈夫?
只野二等兵はEDF隊員でありながら、EDF式の訓練に不安である。
下っ端だし、自身も受けてきた身ではあるが……この世界の住民が真似出来る保証は全くない。
見た目こそ同じ人間だが、魔女がいる時点で色々と互いの常識が通じないだろうから。
「もっと平和なのは、ビークルの運転練習だな」
そんな只野二等兵を安心させようと思ってか、別の訓練先を見せる隊長。
そっちには、【武装車両グレイプ】を運転している兵士もいれば【フリージャー】バイクを練習している兵士もいる。
それから【ブラッカー】戦車などなど。
コンバットフレームを操縦している兵士もいた……あ、コケた。
「いちばん平和ですね」
その光景に少し安堵する。
アレならこの世界の住民がやっても、問題なさそうだ。
「そうだろう。 歩兵も必要だが、操縦出来る人員も欲しい。 そちらの方が即戦力になりそうだしな」
うんうんと頷くふたり。
ちょっと、というか かなり不安な場面が多いけれど、上手くやれる部分もありそうだ。
「ところで」
「はい」
「俺はまた、第501統合戦闘航空団に潜伏しなければならない」
「えっ?」
突然言われ、疑問の声を出してしまった。
「ガリアは解放しましたよ? 基地のあるブリタニアも比較的安全になったし、目的は達成して解散するのでは?」
「あぁ、少し事情があってな。 解散は先送りなんだ」
「事情?」
「詳しくは言えん。 だが、俺は再び皆と別行動だ」
「……そんな」
ストーム隊長が、またいなくなる。
EDFの象徴のような存在でもあり、総大将の彼がいない。
それだけで不安な気持ちが出てしまう只野二等兵。
だが、隊長は陽気に励ました。
「心配そうな顔をするな。 EDFには お前もいる、大丈夫だ」
「いや、俺は下っ端二等兵ですよ?」
「謙遜するな、自信を持て。 二等兵と言うが、俺が入隊する前からいるんだろ"先輩"?」
「やめて下さいよ。 入隊して直ぐに開戦したんですよ? 訓練はしてましたけど」
「228基地が勤務地だろ?」
「えっ!? ご存知でしたか!?」
まさか、開戦時の勤務地を知っているとは。
驚く只野二等兵だったが、理由は分かりやすいものだった。
「いやナニ。 俺も偶然、228基地にいたんだ」
「え、でも当時は軍人ではないと」
「民間人として、仕事に訪れていたんだ。 ビークルの修理でな」
「そうだったんですね……知りませんでした」
そんな偶然もあるもんだと、只野二等兵は感傷に浸る。
「でも、そんな隊長は……今や総大将。 俺なんて、ずっと二等兵です」
そういう只野二等兵。
こうして最下級と最上級とも言える人が会話しているのが不思議ではある。
だが、それに答えるように、ストーム隊長は言う。
「階級なんて関係ないさ。 俺なんて、士官の試験なんて受けてないのに、勝手にアレよアレよと名誉総大将って感じさ」
「いやいやいや! そう言われるのに恥じない戦果を上げてますって! EDFは隊長がいるからこそ、今も保てています!」
「そう褒められたもんじゃない。 たくさんの犠牲の上に、俺は立っている」
「…………隊長」
ストーム隊長は寂しそうに言う。
EDFの、元の世界ではエイリアンとの戦争で約9割の人口が死亡したとされる。
EDF最後の作戦とされた《operation:Ω》の事もある。
あの作戦で世界中の、生き延びた人々が時間を稼ぎ、その間にストーム・ワンは【かの者】を倒す事が出来た。
その意味では、彼は全人類の犠牲の上に立っているとも言えるかも知れない。
直ぐに明るくなり、
「すまんな。 だが、俺の目が黒いウチは戦い続けるつもりだ」
「仲間が、みんながいます。 それに、新しい仲間も増えつつあります。 そう思い詰めないで下さい」
「そうか、お前はoperationの事を…………いや、そうだな。 ありがとう」
小声でナニか言いかけたが、言葉を飲み込んで礼を言うストーム隊長。
対して、只野二等兵は敬礼で答えた。
「俺には勿体ない言葉です」
「素直に受け取れ。 "命令"だ」
「了解! 有り難く受け取ります!」
ニッと笑う只野二等兵。
ストーム・ワンも微笑んで、肩を軽く叩いてやる。
平和なひとコマ。
この先、また命懸けの任務があるのだろう。
だけど、この時くらいは。
そう思ったのは只野二等兵だけではない筈だ。
駄文。
続くか未定(殴。
アニメの、胸が大きくなる呪い話のインパクトが強かったです……。
前の話との落差ェ……。