Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
話をしよう。 我々の世界の。
備考:
EDFの話をこの世界の人々に話すのは、別に禁止されていない。
誤字脱字、間違い等があれば すいません……。
ストーム1は重く、しっかりとした口調で話を始めた。
それはEDFの世界の話。
隊員が体験した、絶望の世界。
昔、とある山の中から、宇宙船の残骸が発見された。
人類にとって、それは未知の領域。
同時に 未だ見ぬ脅威が来る可能性を危惧した偉い人達は、各国に呼びかけて世界規模の軍隊を設立。
それが地球防衛機構軍。 EDFである。
人類は未知の脅威に備えた。
備えた、つもりだった。
しかし、その人類に怒ったのか。
宇宙人が何処からともなくやってきて、世界中を同時攻撃。
優先されたのは各国の主要都市と空軍基地である。 明らかに敵意があった。
228基地は空軍基地ではないが、襲われた基地のひとつである。
その時、只野とストーム1(ストームのコードネームは この時にはなく、228基地奪還作戦時に付けられた)は この基地にいた。
武器を取り、隊員達は押し寄せる怪物の群れに必死に抵抗したものの、敵の圧倒的な戦力に基地を放棄、撤退。
その後は各地を転々としながら戦い続け、ストーム1は入隊、只野と同様に戦い続けた。
しかし、敵は圧倒的である。
未知のテクノロジーと数を前に、人類は破竹の勢いで殺されていく。
ある者は食い殺され。
ある者は溶かされて。
ある者は糸に巻かれて死んでいった。
ある者は撃たれて。
ある者は爆散して。
時には踏み潰されて。
時には轢き殺されて。
大きな針に串刺しにされて、死んだ者も。
血のような赤い濁流の酸で、目の前の部隊が溶かされた。
怪物の群れが津波のように押し寄せて、飲み込まれて消えた部隊もいた。
今も夢で魘される。
聞こえなくなる銃声。 悲鳴。
気が付けば、仲間の死体に囲まれて立っていたのは自分のみ。
やがて人類にトドメを刺そうとしたのか。
敵の司令船がやって来た。
生き延びた者は、一箇所に集まり、これを攻撃。
もはや作戦なんて呼べるものはない。
無謀な特攻とも呼べるもの。
それでも、生きている者がやらなければならない。
多くの犠牲と敵の圧倒的な弾幕の先、EDFは奇跡的にも司令船を撃墜した。
だが、その後も戦いは続いた。
司令船からひとりの銀の巨人が現れたからだ。
それは空に浮いており、武器もなしに手からビームを撃ち、空からは隕石を降らせ、仲間を召喚。
圧倒的。 圧倒的なチカラだった。
戦略情報部のオペ子は神と呼んだ。
隊員たちは【かの者】を死神と呼んだ。
あまりに、あまりに反則的で圧倒的なチカラを前に、隊員は無力だった。
それでもストーム1と、重症だった筈のストーム遊撃部隊の面々が駆けつけ抗った。
戦略情報部の少佐は、敵司令官と思われる かの者を倒す為、そして孤立させる為の誘導作戦として集結しつつあったエイリアンの母船を足止めさせる。
その足止めとして発動されたのが。
【operation:Ω】である。
生き延びた世界中の人々をEDFの兵士として、母船と戦わせる。 そうして時間を稼ぐ。
正真正銘、EDF最後の作戦とされた。
本部もオペ子も嘆き、少佐は そうするしかないとした。
そうして世界中の生存者が時間を稼ぎ。
ストーム1は神を、銀の巨人を。
【かの者】を殺した。
やがて宇宙人は それを知り、狼狽え、動揺し……我に帰ると武器を捨てて地球を去った。
静寂が戻った地球。
人の声が響かない地球。
残されたのは僅かな人類。
かつて60億いた人々は、その1割以下にまで減少。
使役されていた、そして置いてかれたクローンのエイリアンたち。
そして、大量の侵略性外来生物。
暗黒時代がやって来た。
人類と残存エイリアンとの間で小競り合いが続き、双方に被害が出ている。
侵略性外来生物は繁殖を続け、数だけでも人類を圧倒しているだろう。
EDFは、人類は今も足掻いていた。
今も我々の地球では、絶望の未来を生きている。
ストーム1が話し終える。
難民キャンプからの喧騒が聞こえ、訓練場からの叱咤と悲鳴が聞こえた。
それまで世界が止まっていたような、そんな錯覚がある。
「俺が逃げ隠れしている間に、そんな事が」
只野が息を吐くように、何とかそれだけを述べた。
ストーム1が、心配そうに声をかける。
「大丈夫か?」
「はい。 人類が絶望的なのは分かっていましたから……operation:Ωはショックですが、司令官を倒した事、本隊が撤退した事、まだ人類がいる、仲間がいる事実が救いです」
絶望の中の希望です、と只野。
悪い状況なんて毎日起こり得た。 これからもだ。
それを思えば、自分は恵まれている。 別世界に飛ばされたとはいえ、衣食住を確保出来た。
この世界の敵であるネウロイだって、EDFの技術力が優っている。 エイリアン連中より遥かに倒しやすい。
笑顔だって、ここ連絡所や難民キャンプ、EDF基地では毎日のように見る事が出来る。
そうポジティブに考えられるのは、ストーム1や仲間がいる事実もあるし、この世界の絶望を遥かに上回る絶望を体験してきたからだ。
だが、それを知らないウィッチの軍曹ちゃんは、目を見開き、冷や汗を出して子鹿のように震えていた。
「そ、そん……な。 EDFの世界は……」
口を手で覆う。
目の当たりにした訳じゃない。
だけど、この世界で少人数でネウロイの軍勢を圧倒出来るEDF。
そんなEDFを追い込める程の相手。
どんな圧倒的な存在だったのだろうか。
して、人類は殆ど殺されたという。
考えただけで恐ろしく、そんな怪物の相手をしてきた隊員らの絶望は計り知れない。
「すまない軍曹ちゃん。 大丈夫か?」
「医療テントに行く?」
「大丈夫です。 少し、驚いただけです」
努めて笑顔を見える軍曹ちゃん。
子どもには、刺激が強かったかとストーム1は反省した。
「では……EDFは、この世界には移住目的で?」
では、絶望続く世界から どんな目的で この欧州に、世界に来たのか問う軍曹ちゃん。
ボランティア目的で来た訳じゃない事くらいは分かる。
そこまで子どもではない。
だけど、余裕がない筈のEDFが、わざわざ世界を超えて来たのだ。 目的がある筈であると。
して、ストーム1はアッサリと教えてくれたのであった。
「それも視野に入れている。 他には物資や人員などだな。 我々がネウロイ撲滅にチカラを貸す代わりに、それらを恵んで欲しい、といったところだ。 この世界に繋がったのは偶然だよ」
「……そうですか」
聞いた軍曹ちゃんは、少し寂しくなった。
やはり利益目的で戦っているんだなと。
でも、そんなものだと軍曹ちゃんは割り切れる子でもあった。
だけど、タダノさんや目の前のワンちゃん、多くの隊員は温かい人たちだと信じている。
決して組織の利益のみで戦い続けている訳じゃないのだろう。
絶望の中でも笑顔になれて、その温もりを他者に与えられる隊員らは やはり強い人達だ。
「私や連合のみんなも、強かったらな」
そんな強い隊員みたいに、なりたい。
私は弱いから。
こんな事を言ったり、聞いてしまうんだもの。
「強くなれるさ。 訓練するか?」
「隊長。 EDF式はヤバいかと」
「カタパルトじゃなきゃ大丈夫だろう」
「いや、そういう問題じゃなく」
目の前で日常会話っぽく、やり取りする強い人たち。
軍曹ちゃんは苦笑しつつ。
だけど どこか眩しそうに、寂しそうな表情を浮かべるのであった。
知識不足で、501などのウィッチの話が出来てないですね……。
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