Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
第501統合航空戦闘団が、南の島で野外演習を行います。
その間、501基地はブリタニアのマロニー空軍大将が駐在。 実験部隊の運用を行うようです。
スカウトがコレの動向を観察します。
ストーム1と只野二等兵は南の島へと赴き、501と合流。
表向きは共同演習ですが、有事の際は出動出来る態勢をお願いします。
なお、今回は海軍と空軍の協力を得ました。
必要なら要請が可能です。
備考:
サバイバルなので、基本は現地調達。
食糧や水が痛んでいないか注意。
ウィッチとは仲良くして下さい。
本部の命令で南に島流し。
ストーム1だけじゃなく、まさかの俺もかよ、とは只野二等兵の感想である。
「本部連中は酷過ぎます」
「そう怒るな」
「怒ります。 突然ヘリに乗せられて、目標の島上空で蹴り落とされたんですよ?」
青空広がる浜辺で、只野は荒ぶる。
比喩でもなんでもなく彼が言った通りで、突然拉致られて、ヘリに詰め込まれたと思ったら、南の島上空で「逝ってヨシ!」と蹴られての自由落下。
彼もEDF隊員なので死ななかったが、浜辺に垂直にハマった。 ギャグである。
そこを先行していたストーム1に発見され、引き抜かれ……今に至っていた。
「狼狽えるな」
「狼狽えます」
「鍛えれば、浜辺にハマる事なく綺麗に着地出来る」
「ツッコむところ、そこですか」
「本部は お前に強くなって欲しくて、この任務に従事させたのだろう」
「強くなる前に殺されそうです」
なんにせよ、任務を遂行しよう。
EDFの無茶振りは今に始まらない。
それにストーム1がいるなら、何とかなるだろう。
「任務を確認する。 我々はこの島に演習しに来ている第501統合航空戦闘団と合流して、野外訓練を行う」
「会うのは初めてです」
「皆、良い子たちだぞ」
「メンバーは11名と聞きました」
「司令官はミーナ。 副官兼戦闘隊長が坂本。 補佐でバルクホルン。 ハルトマンに、シャーリー、ルッキーニ、ペリーヌ、サーニャ、エイラ、リネット、宮藤だ」
「詳しくないのですが、少なく感じます」
「俺も詳しくないが……この世界の戦闘航空団は本来3個飛行隊があり、それぞれに36機で計108機。 だからウィッチ1人で約10機分。 1人で1個中隊に相当する戦力だ」
「スゴいんですね」
へぇ、と反応する只野。
γ型もそうだったが、見た目じゃ判断出来ないんだなと思う。
基地にいる軍曹ちゃん達も、ああ見えてスゴいのだろうか。
シールドもそうだし、毒料理を作れる辺りからして普通じゃないのだろう。
「ウィッチはそれだけ、この世界の希望なのだ」
「…………いつの日か、彼女たちが戦わずに済む日が来ると良いですね」
「そうだな」
尚、後に坂本は魔法を使えなくなり《上がり》を迎え離隊。 代わりにバルクホルンが戦闘隊長を務め、空いた席には服部という子が入るのだが、それは先の話である。
また、研修で他の子が来たりはしていない。
陸軍ウィッチの中島や諏訪とか。
「呼び捨てっぽいですけど、階級とか大丈夫ですか」
「大丈夫だ。 俺もいるし《サー》はいらない」
「イエッサー!」
「俺にも使わなくて良い」
ふざけつつ、浜辺を歩く野郎2人。
とても戦時中とは思えないし華がないが、平和な時間である。 来た経緯はアレだが。
「センサー反応を見つつ合流だ」
「しかし、何故ココで演習を」
「ソレは表向きだな。 実際は基地を空けて、そこにマロニーちゃんを入れるのが目的だ」
「空軍大将を"ちゃん"扱いですか」
ストーム1は恐れを知らない。
たぶん、直接会ってもマロニーちゃん呼びしそうである。
俺だったら出来そうにないな、と只野は思った。
「今の内に、もう少し説明しておこう」
「はい」
「マロニーちゃんは"クズ"だ」
「今度はクズ呼ばわりですか」
ツッコむ只野。
ちゃん付けだから、良い奴かと思ったら違うらしい。
「兵站削減、人員削減、ウィッチ嫌いに極秘実験、不穏な噂が絶えない」
「裏は取れないのですか」
「取れた。 後はスカウトが現行犯逮捕だ、その為に501基地を空けた」
「そんな事情でしたか」
正史では勿論異なるので注意されたし。
作中ではEDFの活躍で早々に欧州から多くのネウロイを蹴散らせたこと、政治的なやり取りがあったこと等で こうなった。
実際はウィッチ型ネウロイと接触した宮藤を基点に色々な問題が起きて、501をマロニーちゃんによって解散されたり、ヤツの某兵器の所為で扶桑海軍の艦艇がピンチになったりする。
だがこの世界ではEDFの所業でその辺はズレた。
主に宮藤が不名誉除隊にならず、501もマロニーちゃんに解散されていない。
南の島に押し込めたりはしたものの、それはEDFらマロニーちゃん包囲網が そうなるように差し向けたからである。
計画通り(暗黒微笑)。
「しかし、EDFが連合軍の大将を逮捕なんて。 現行犯とはいえ、出来るのでしょうか」
「連合軍総司令部からは承認済みだ」
「良く承認してくれましたね」
「マロニーちゃんを続投させる危険性とEDFを天秤に掛けたら、此方に傾いた、それだけだ」
「証拠収集は戦略情報部ですか」
「そうだ」
「引き渡しは?」
「する。 始末は連合だ」
「してEDFのメリットは?」
「501を実質EDFの傘下に置けること、連合への発言力が高くなる事だ」
「隊長が501の上官に?」
「形式だと総司令部のカールスラントウィッチ総監ガランド少将が上官に。 だが俺も委託された上官みたいになって、多少は動かせるようになる」
そうですか、と只野。
下っ端には分からない話だ。
だがしかし、EDFも色々と手を回している事に感心する。
人手不足で大変だろうに、頑張っているなぁと。
その頑張りの中にはオペ子が「ぴえん」と泣きながらの書類仕事も含まれている。
頑張れオペ子!
君の書類仕事はEDFを支えているぞ!
「見えてきたぞ。 501の皆だ」
前方を見やると。
そこには砂浜で群れている女の子たちが。
まだ上陸した ばかりらしい。
荷物を各自、背負っていたり浜辺に置いている。
軍服はバラバラで、各国から集められたのだと再認識させられた。
見たもの、似たものとしては青っぽい服を着た者と緑や黒っぽい服の子らか。
となれば。 ガリア軍とカールスラント軍だろうかと予想する。
後は赤く目立つ服や白の服。
旧日本海軍の、お偉いさんの服らしき者もいる。
だが共通して大凡、10代か。
「EDF基地にいるウィッチと大凡同い年ですかね」
「だがエリートだ」
「エリート。 俺には縁のない言葉です」
「隊員は皆、精鋭だ」
「変態と言った方が理解が早いです」
「ならお前も俺も変態かな」
男同士で「変態」と呼び合いながら、女の子の集団に近付く両名。 変態である。
そんな変態に気が付いた501の面子のひとり、ミーナが声を掛けてきた。
艶のある赤毛のロングで、スラリとした体格。 お姉さんのような風格があり、抱擁力もありそうな人。
只野を魅了するには十分な威力だ。
「久し振りです、ストーム1。 予定通り合流ね」
「ああ。 異常無いか?」
「ええ、大丈夫よ」
ミーナは、穏やかな声で言う。
どうやら輸送艦がネウロイの攻撃を受けた、なんて事は無いらしい。
これもEDFがネウロイをボコボコにしている結果だろう。 主に陸軍しか活動していないが、陸のみならず空すら"晴れた"。
EDFの戦力がもう少しあれば、オラーシャや黒海を攻略していただろうか。
「そちらの方は?」
「俺の部下で只野だ」
「は、はい! 只野二等兵です! 宜しくお願いします!」
言葉を震わせながら敬礼をする只野。
頰を染めて、初々しい。
「ふふ。 こちらこそ、宜しくお願いします」
「はい!」
ミーナに笑顔を向けられて、照れてしまう只野。
そんな彼をからかう様に、背後から様子を見ていたウィッチたちが前に出てきた。
「夜は気を付けた方が良いよー? 寝込みを襲われちゃうかも」
イタズラっ子な、黒い軍服の悪魔が笑う。
ハルトマンである。 金髪で、やや小柄な気もする。
カールスラント軍人なのだが私生活がダラシない子。 だが、仲間をフォローしたりと、結構周りを見ているエースのひとりである。
「いや、しませんって」
そんなハルトマンに対して直ぐに否定。
そんな恐ろしい事出来るか。 ヘタレじゃないよ。
そんな彼に反応して厳しそうな子が声を出してくる。 バルクホルンだ。
「もしそうなら、私が1発殴ってやる」
「だからしませんって」
バルクホルンは固有魔法が怪力だ。
流石に死なない程度に加減はしてくれるだろうが、EDF隊員とて入院してしまうかも知れない。
こうしてカールスラント組に早速絡ませてしまう只野は、幸か不幸か。
「はっはっはっ! 熱烈歓迎されるとは、只野も幸せだな!」
豪快な声が響いた。
坂本だ。 501の上官達に絡まれた只野は、幸先良いか判断がつかない。
後々面倒事に巻き込まれないか不安だった。
そんな只野を置いて、ストーム1はミーナと話をする。
「盛り上がっているところ すまんが、寝泊まりは別々にする予定だ。 それと、俺達の事やカールスラントの話も聞きたいだろう」
「そうね。 一体何が起きているのか現状を把握しておきたいわ」
「総司令部から、聞かされてないのか」
「なにも。 何か隠す事でもあるのかしら」
ミーナが思案顔。
隠すというのは、マロニーちゃん逮捕劇の事やEDFの事だろう。
後者に関しては、馬鹿正直に伝えても頭オカシイと思われるから言えないだけだろうが。
「なら話そう。 迎えの船が来るのは2週間後か」
「時間はあるわ。 教えて。 知っている事を」
「分かった。 その前に、野営準備だ」
「そうしましょう」
普通に会話し、普通に皆に指示を出していくストーム1。
その様子を只野は見て、何故隊長が501に派遣されたのか、少しだけ分かった気がしたのであった。
無知ゆえに、上手く書けないかも……。