Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
バルクホルンの犠牲を無駄にしない為にも、我々は食糧を持って山奥に退避している。
だが、501JFWの行動は素早い。
見つかれば、集られて あの世行き(死因:料理)だろう。
だが魔女にもマトモな子はいる。
彼女らを仲間に引き込めれば良いが。
備考:
戦闘は極力避けたい。

にわかなので、ツッコミどころもあるかも。
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28.魔女も 美味しい食べ物が欲しい。

ストーム1が501の食糧を強奪。

 

振る舞った料理にオーバーリアクションで倒れた只野二等兵とバルクホルンも、彼の肩に担がれて 何処かへと運ばれてしまった。

迷いのない素早さ。 謎のローリング移動。

死闘の陸戦経験豊富な彼。

逃げる時も闇雲に逃げるのではなく、遮蔽物を縫うように移動。

ユニットも無い……それも陸戦経験が少ないウィッチは、コレを追跡するのは困難だった。

ミーナやサーニャが感知魔法を使い追い詰めたつもりになったが……そこにはEDF製のバルーン……熱や粒子を発するデコイがあるだけ。

その位置はストーム1が逃げた先とは逆方向である。

 

 

「風船を感知するなんて」

 

「ただの風船じゃないのでしょう」

 

 

まんまと時間を稼がれた501だったが、彼女らも軍属。

自ら思考し、拠点に戻ると彼を追い詰める作戦を練っていた。

 

 

「これよりストーム1の捕縛作戦会議を始めます」

 

 

そう言うは501の隊長、ミーナ中佐。

会議場所として島にある、広めの空き家を使用している。

ここに大学の講義みたいに椅子を同じ方向に向けて、面々は話を聞いていた。

 

 

「ストーム1は、バルクホルン大尉と只野二等兵を拉致。 加えて食糧を奪いました。 この行動の真意は不明ですが野外訓練に著しく支障をきたすと判断。 彼を追跡、位置を特定して捕縛。 バルクホルン大尉と只野二等兵 両名を救出し、食糧を奪還します」

 

 

キリッと軍人らしく言うミーナ中佐。

真意は不明と言うが。

それは彼女を除く面々は知っており、皆は苦虫を噛み潰したようような顔をする。

間違いなく、アレが原因としか考えられないからだ。

紫色に染まった液体がナミナミ注がれた皿。

 

ミーナの お吸物(汚水物)

ポイズンクッキングだ(悲鳴)!

 

501最恐の料理を生み出す司令塔の頂は、皆が口を揃えて頂きたくないブツであり、口に出すだけで震え上がる悍ましさがあった。

勿論、ミーナだけが悪いワケじゃない。

鍋が焦げないようにとだけ頼んでしまった宮藤軍曹も悪い。

その見張りを投げ出して逃走したリネット軍曹にも少なからずの非がある。

そうなる事態は安易に予想出来ただろう他の面々もだ。

配膳当番を確認しなかったのも悪い。

して、皆を守る様に口にして吐血したバルクホルン大尉と只野二等兵。

死体蹴りをしようとするミーナから守る為、ストーム1が亡骸(気絶)を運んだ。

それは勇敢な姿であった。

501の面々は彼を心で称賛。

ミーナ以外。

だが、食糧まで持って行かれたのは痛い。

それは501の生命線に成り得るもので、それがないとミーナのブツを振る舞われる危険性を常に孕むからだった。

そんなに軍規に厳しくないから止めれば良いのだが、変なところで気遣ってしまったり、怒ると1番怖いとされるミーナにソレを言うのは、何というか……やっぱ怖くて言えないのである。

そんな事もあって皆はミーナに従い、ストーム1と食糧を奪還しようと躍起になっていたのであった。

許して。 ストーム1。

ほら。 軍人だからね、上官命令だから(言い訳)。

 

 

「私達は島に来たばかりで地形を把握していませんが、島中央部は山になっているのは分かっています。 麓周辺から森になっており、ストーム1は恐らくココに向かっていると考えました」

 

 

壁に貼られた大きな紙に棒を当てる。

そこに書かれた島の大雑把な図。

中央部に大雑把な絵で「森」が書かれていた。

補足するように、隣の坂本少佐が声を出す。

 

 

「我々がストライカーユニットを使う事を想定すれば、自然と向かうだろう。 森に入られては、見つけるのは困難だ」

 

 

分かりやすい理由。

誰もが考え付くだろう思考。

しかし、効果的な戦略である。

航空機は素早く移動出来て、海や川、標高の低い山などの地形を無視して見通し良く地上を見られそうではある。

だが、木々生い茂る森や空なき洞窟、地下の探索は無理だ。

 

 

「そこで、地上班と空からの索敵班で分かれる事にした。 可能なら森に入る前に見つけ出し、包囲する」

 

 

坂本とミーナの話は続く。

大きな荷物を抱えている以上、何らかの痕跡が残る。

また、隠れる場所も決まってくる。

地上班がソレを探索し、空の班と連絡を取り合う。

怪しい場所を見つけたら、空の班は現場に急行、地上と連帯して囲い込み、少しずつ範囲を狭めて捕獲する。

勿論、感知系の魔法を使えるミーナとサーニャは魔法を使うし、他の面々が持つ魔法も使える時は使っていく腹だ。

 

 

「───今、言われた者は直ちに編成、出撃。 他の者は食糧の現地調達だ」

 

「以上、解散」

 

 

2人が言い終わる。

皆は起立し、建物から出て行く501の隊員たち。

して仲の良い者同士……その1組、胸が大きくグラマラスなシャーロット・E・イェーガー大尉(島に来る前に辞令が届き昇進した)……シャーリーと501最年少のルッキーニ少尉は歩きながらヒソヒソ話。

並んでいると、親子の様にも見えるが今は非常事態。

周囲を気にしながら、今後を話す。

 

 

「なぁルッキーニ。 このままワンちゃんが捕まれば、空腹の方がマシな事になりそうだぞ」

 

「そんなのヤダ!」

 

「そこでだ。 私たちが先に見つけたら、報告はしないで食糧だけ回収しよう。 そうすればワンちゃんも助けられるし、私達の胃袋も守られる」

 

「そんなこと、出来るのー?」

 

「出来るかじゃない。 ヤるんだ! 私達の未来の為に。 南の島でバカンスを楽しむ為に!」

 

「おー!」

 

 

なんだか上手く行くのか分からない離反者モドキが既に出始めているが、ストーム1の想定内には収まっている。

こうして501の捜索が始まったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言う子もいるだろう」

 

 

山奥目指して歩きながら、隊長は言った。

魔女にマトモな舌を持つ子がいるなら、そうなんだろう。

お前の中ではな(混乱)!

 

 

「仮に来たら、どうするんですか」

 

 

501に潜伏していた隊長だ、詳しいだろうから信じる事にしよう。

 

 

「周囲を警戒、罠じゃないか用心する」

 

「はい」

 

「相手の要求次第では拒否。 直ぐに移動だ」

 

 

そんなんで2週間も生き延びられるのだろうか。

今まで絶望の戦線を生き延びては来たが。

この移動は228基地を放棄した後の撤退行動と似ている。

あの時も街に撤退、本隊と合流しようとしたけれど行く先々で襲撃に遭ったしな。

今回も なりそうで怖い。

来るのは侵略性外来生物ではなく魔女だが。

 

 

「……ところで501は、何故持ち回りなんですか。 炊事兵は?」

 

「いない」

 

「最新の機材や優秀な人材が集まっているのに」

 

「ミーナがな」

 

「501の隊長が?」

 

「ああ。 最初の頃、男性との接触を禁じていた影響だろう」

 

「何故でしょう。 俺と会った時は、そんなに嫌な顔をしていた様に見えませんでしたし」

 

 

あくまで個人の主観だけど。

ひょっとして内心嫌われてる?

男性恐怖症?

 

 

「…………昔、大切な人を失ったそうだ」

 

 

重く、それだけ言った。

ああ……成る程。 理解した。

ミーナは大切な人を失う辛さを知っている。

して、2度と味わう事が無いように予防線を張っているのだ。

それは仲間にも。

風紀の問題もあるだろう。

だが、それは表向き。 言い訳だ。

 

 

「……その辛さは分かります」

 

 

俺はそれだけ返す。

俺を含むEDF隊員の殆どは、大切な人を失っているからな。

いや。 生き延びた人類皆が そうと言える。

戦争とは悲劇だ。

全てを壊し、悲しみを生んでいく。

それでも戦わないといけない。

その苦しみも……俺は。

俺たちEDFは知っている。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 

暫く無言で歩いて、やがて静寂を隊長から破った。

 

 

「俺が潜伏している間に価値観は変わった様だがな。 軍規に囚われない宮藤らの影響だろう」

 

「宮藤?」

 

 

白いセーラー服に、スク水を着用した日本人……じゃなくて扶桑の子か。

して数少ない料理が出来る子。

 

 

「真面目で良い子そうでしたね」

 

「実際に良い子だぞ」

 

 

隊長嬉しそう。

まるで親である。

俺は親じゃないから分からないけど。

 

 

「俺と同じで民間人の時に戦闘に巻き込まれたそうだ。 して決意し、軍に入った。 最も501でしか活動をしていなくて、原隊で動いた事は無い」

 

 

と言う事は。

その子も隊長みたいに将来ヤベェ強さになるのだろうか。

 

 

「料理も出来るし、将来有望そうですか」

 

「魔法の事は不勉強だが皆、有望……伏せろ」

 

「ッ!」

 

 

言われて弾かれた様に伏せ、ジッとする。

もう考えるより先に動くね。

下手すると生死に直結するから。

 

 

「聞こえるか?」

 

「はい。 行動が早いですね」

 

 

聞こえる……プロペラ音。

正確にはユニット音か。

倒れた姿勢から空を見やる。

草木の合間から、僅かに飛翔体が見えた。

数は2つ。

けも耳と尻尾のシルエットから、ウィッチに間違いない。

 

 

「早い、か。 これでも時間を稼いだつもりだったが」

 

「歩き続けましたからね」

 

「それもあるが。 ところどころデコイを設置していたんだ」

 

 

いつの間に。

俺が気絶している間の話だろうな。

 

 

「まだ見つかっていないのもあるだろうが……少なくとも、歩いて行ける距離のは見つけ出したな。 隠して設置したが、やはり察知系の魔法を使ってきたか」

 

「ココもヤバいのでは?」

 

「皆が察知系の魔法を使うワケじゃない。 今は下手に動くな。 銃のレーザーポイントも切れ。 位置がバレる」

 

 

言われて切る。

迂闊だった。

もっと用心しなければ。

倍率スコープによるレンズ反射光は、軍用なので起きにくい様になっているが……一応、蓋をしておこう。

 

 

「…………通り過ぎましたね」

 

 

影と音が遠ざかり、一先ずの安心感を得る。

たぶん、此方には気付いていない。

 

 

「センサー反応からして、向かった先はバルクホルンの安置所か」

 

「まだ死んでいないでしょう」

 

「これで回収される。 安心して山奥へ行けるな」

 

「ナニも安心出来る要素がないんですがそれは」

 

 

言いつつ、再び進軍……じゃなかった。

撤退開始。

無意識に、PA-11SLSを持つ手にチカラが入る。

刹那。

 

 

「むっ!」「なっ」

 

 

センサーに反応!

高高度から現在地直上より急降下!

速い! 位置がバレた!?

 

 

「耐衝撃体勢ッ!」

 

 

言われるより早く、俺は再度伏せた!

 

高高度降下低高度開傘!?

いや、アンカー!?

いやいやココにエイリアンはいない筈!

 

 

「くっ!」

 

 

それは、俺の目の前に突っ込んで来た。

大量の砂埃が舞い上がり、視界を遮る。

それは地上に到達して……いなかった。

 

 

「…………へ?」

 

 

それは筒。

そこの下側には、プロペラのようなモノが回っており、砂を巻き上げ宙を浮く。

俺はコレを見た事がある。

基地でだ。

そう……軍曹ちゃんや曹長ちゃんらウィッチが着けていた……。

飛行脚……ストライカーユニットだ。

 

 

「よぉ! また会えて良かった!」

 

 

恐る恐る上を見た。

白いパンツ……じゃなくてズボン。

赤い軍服、ソレを持ち上げる大きな双子山。

綺麗に整った顔立ちと、綺麗な目。

頭部にはウサギと思われる長い耳。

その笑顔は破壊力抜群だった。

 

 

「あ……あぁ」

 

 

エロいバニーガール。

自己紹介の中にいた子。

こちらでいうアメリカ……リベリオン合衆国の軍人。

 

シャーロット・E・イェーガー大尉。

 

 

「イェア"ア"ア"ア"ッッ!!?」

 

 

ウィッチ

その事実に奇声を上げ、腹を抱える!

 

 

「どうした、大丈夫か!?」

 

 

覗き込むな、余計に腹が痛くなる。

ウィッチ恐怖症ってヤツだよ。

 




早期★発見された只野二等兵。
腹を抱え蹲り悶え苦しみ、シャーリーは追い討ちの覗き込みを行う。
彼女の笑顔は果たして、バニーガールの皮を被った悪魔の嘲笑か救いの天使の微笑みか。
数々の絶望を生き延びてきた只野二等兵も、遂にここまでか?

そんな絶望の中、座標伝達の声が轟く……!


次回「plan:X18」(いつも通り未定)


スクランブル、機銃の雨、濡れぬ予報は魔法にあらず。
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