Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
祖国の家や親戚の元へ行く難民が増えました。
ですが身寄りがなく基地に身を置く子もいます。
または身寄りがあっても、帰りたくない子も。
そんな彼女らを戦力化していますが、まだ10代の女の子。 無理させないようにして下さいね。
備考:
正義は いくつある?


30.WDF計画の噂

ストーム・1と只野が食糧を巡り死闘(笑)のFDFをしている頃。

 

基地では回収されたウィッチが様々な分野で戦力化されていた。

徴兵前に工場や農業に従事していた子の1部は、戦闘訓練もソコソコに武器より工具や農具を握らせたり、希望する分野があれば 其方に従事させている。

 

連合軍だったら兵士不足から戦場に投げるだろうが、EDFはネウロイ相手に現状戦力で対処可能域である、との判断の結果だ。

 

東の広大なユーラシア大陸、その一帯を領土とするオラーシャ帝国のネウロイを倒そうとしたり、戦争勃発の元凶にしてネウロイの根城な黒海の巣を潰そうとするなら話は別だが、現状、EDFにそうする積極性は見られない。

 

EDFの目的は あくまでも、この世界からの物資や土地、人員の搾取……じゃなかった、支援であるからだ。

エトワール作戦でガリアを解放したのだって、連合に良い顔見せて権力や資源を有利に貰えるようにする為だし、不法占拠中……じゃなくて、守りを固めているカールスラントだって連合への交渉カードにする為だ。

 

だが しかし!

 

連合は土地を不法占拠している事への非難や技術寄越せと言うばかりで人員や物資を寄越す気配がない。

 

それしか言えないのか、この猿ゥ!

 

挙句に負傷したウィッチを回収した件等は魔女狩りと罵ってきた次第である。

 

ふざけんな! いい加減にしろ!

どの口がソレを言うかぁ!

徴兵という名の魔女狩りをしていたのは連合ダルォ〜!?

 

そんなワケで。

連合とEDFは相変わらず仲悪く、カールスラントも交渉カードとして弱いなら、少しづつ基地機能を南の島かどっかに移設しようかしらとも考えていた。

そうすると連合軍は東から来るネウロイから自力でカールスラントを守らないとならないが、そんなの関係ねぇ!

このままだと、カールスラントの民から非難されるし、マロニー空軍大将を逮捕して傘下に入れたい501にもカールスラント軍人はいる。

印象が悪くなって、ドンパチ騒ぎは困る。

そっちの方が重要だった。

してオペ子の書類作業という犠牲の果て、基地では荷造りが行われたのであった……。

 

 

「うぅ、いくらユニットがあるからって魔女使い荒いよぉ」

 

「で、でも! これが終わればチョコレート貰えるよ!」

 

「ジュースも!」

 

「お酒も 貰える!」

 

「ツマミだって!」

 

「タバコも」

 

「頑張るぞー!」

 

 

木箱やコンテナを運ぶ幼き少女らモブウィッチーズ。

陸戦も空戦も関係なく荷物を運んでいて、忙しそうだ。

フェンサー等、パワードスケルトンを装着するEDF隊員も手伝っているのだが、なにせ人手不足だ。

幼い少女にも手伝える範囲で手伝わせている。

そんな中で聞こえてくるチョコレートや酒、タバコの名前。

それが少女達の活力の源のひとつであり、少ない楽しみのひとつだった。

 

この戦時、チョコレートや酒は中々手に入らない嗜好品。

それは生産工場が機能していないEDFの世界もそうなのだが、備蓄物資を使う人類が残っていない。

だから、余る嗜好品をウィッチに給与の様に支給している。

酒やタバコを未成年に渡すのは気が引けるが、時代的にガバガバなので、まぁ要望があれば……としている。

彼女達にも命を懸けて戦場に出て貰うのだ。

それくらいの自由、許してやろうと。

 

そんな光景を見て、もはや地球で見る事叶わぬ少女たちの笑顔を見守り微笑む隊員ら。

だが、直ぐに隊員を曇らせてしまう。

 

 

「俺たちEDF隊員だけじゃ、この世界は守り切れないだろうな」

 

「ああ。 この世界のウィッチや兵士を訓練してはいるが、微々たる戦力だ」

 

 

警備隊が話し合う。

ネウロイが消えて青空広がる下、似合わない暗い会話だった。

 

 

「連合もEDFに良い顔をしない」

 

「互いに利益を求めるのは仕方ないが。 もう少し足並みを揃えてくれても良いのに」

 

「結局は人間って事だ。 愚かだよな」

 

「EDFも含まれるのか?」

 

「勿論」

 

「悲しいなぁ」

 

 

はぁ……とため息を吐く警備隊。

仮にも任務中なのに、こうやって話し合っても怒られないのはEDFだからか。

 

 

「それで……EDFは人造人間を造っている噂があるんだ」

 

「なんだって!?」

 

「しっ! 声が大きい」

 

 

慌てて周囲を確認する隊員。

ウィッチが「チョコレート♪」と鼻歌交じりに荷物を運んでいるだけだった。

 

 

「……それはエイリアン連中のクローンみたいなモンか?」

 

「いや。 でも可能であれば するだろう」

 

「いくら人手不足だからって……ドローンを生産する方が良いんじゃないか?」

 

「人間を造った方が都合が良い事もある。 "増やせる"からな」

 

「生物兵器……αやβかよ」

 

「噂だがな。 あとこれも続きだが」

 

「うん?」

 

「遺伝子情報やモデルはウィッチと……【かの者】らしい」

 

「なっ……!?」

 

 

絶句。

 

 

「馬鹿な。 俺は信じないぞ……ぶっ飛び過ぎだ……【かの者】をモデル……EDFは この世界を滅ぼしたいのか!? 神を、死神を造りたいのか!?」

 

 

そこまで言ってハッとする。

突然怒鳴ったから、ウィッチが不安そうに 此方を見ていた。

慌てて、愛想笑いで手を振って誤魔化す。

 

 

「落ち着け。 あくまで噂だと言っただろう」

 

「…………あぁ。 そうだな、すまん」

 

 

そうだ。 あくまで噂だ。

EDFが そんな事をする筈ない……。

 

確証は何も無い。

嘘か本当かも分からない。

 

 

「でも……なんでまた」

 

「圧倒的なチカラを持ちたいのもあるだろう。 崇拝する者を。 して世界を、あの子達……ウィッチーズを守るチカラを」

 

 

一拍おいて、言葉を繋げる。

世界は不穏な話と裏腹に、明るく綺麗な光で包まれている。

 

 

「【WDF計画】。 どこからともなく風で流れてきた、EDFの噂さ」

 

 

誰も信じないだろう。

それこそ、この世界の人々には理解出来ない話だろう。

だが、エイリアン連中の圧倒的なチカラや技術力を まざまざと見せつけられた隊員らは。

特に【かの者】のチカラを見た者は。

EDFの技術で、金の装甲を破るフーリガン砲を開発出来たEDFが、あの死神を再現する可能性を必ずしも否定出来なかった。

 

 

「正義ってなんだろうな。 EDFって。 地球の守り方って、いくつある?」

 

「人の数だけ正義がある。 正義の反対は正義なんだ。 悪じゃない」

 

「ならエイリアン連中も……怪物の体液に環境改善するチカラがある話からして、ヤツもまたEDFだったのだろうか」

 

「今頃考えて、何になる。 今は今を生きるしかない。 それに下っ端の俺たちに何が出来る……今は、ここを、あの子たちの笑顔を守ってやる事くらいだ」

 

「……そうだな」

 

 

言われて前を見る。

丁度 とてて、とウィッチーズが笑顔で駆け寄って来たところだった。

 

 

「荷物運び、終わりました!」

 

「チョコレート下さいなっ♪」

 

 

みゃあみゃあと子猫達がギブミーチョコレートとねだってくる。

裏の世界、大人同士のドロドロした世界を知らない純粋な笑顔な女の子たちが、ただ そこにいた。

 

隊員は癒されながらも、して この子たちの笑顔を絶やしたくなくて。

持っていたチョコレートを皆に渡していったのであった……。

 




終わりを模索中。
正義って色々ありますが。 認められるかどうかは別問題です。
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