Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
隠れる事が出来ないなら戦うしかない。
だが2週間も逃げ隠れするのは弾薬や数が不利。
転進。 短期決戦に挑む。
互いの被害を軽減する為だ。
これ以上、(料理の)犠牲者を出す訳にはいかない。
その為には敵陣地を抑え、特に料理出来る子を確保、敵の戦意を削ぐ事にある。
二手に分かれよう。
長距離攻撃用の武器を渡す。
射程は俺が稼ぐ。
それも誘導兵の仕事だからな。
健闘を祈る。
備考:
魔法は万能じゃない。 使うのは同じ人間の少女だしな。
突破口があるものだ。
タイトルが……。
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話は南の島に戻る。
バルクホルン(気絶中)発見とシャーリー撃墜(回収済)を受けて、ミーナと坂本は計画を立て直す。
「シャーリーさんが撃墜されたのは森の近くね」
「ああ。 予想通り、森に入ったか」
テーブルの上には大雑把な地図が広がって、森に入る境界辺りでバッテン印が描かれている。
シャーリーが撃墜されたポイントだ。
周囲には小さな丸が いくつも描かれていたが、それらはストーム・1がバラ撒いた風船……ダミーである。
感知系の魔法に引っかかり、地味に探知を妨害してくるので厄介だ。
「周囲にストームさんがいる可能性があるわね。 でも、最初に見つけたダミーは島中央とは真逆」
「うむ。 コレを利用して、予想に反して森に入らない、なんて事もあるかもな」
悩むポイントは他にもあった。
直接撒くタイプなら、ダミー周囲にストームさんがいる可能性が高い。
しかし、遠隔操作で起動可能なら厄介だ。
使い方次第で誘導させられる。
仮に罠だからと動かなくても、相手の正確な位置が分からないのでは詰んでしまう。
また、シャーリーを撃墜せしめたのはストームさんではなく、只野だという。
これで敵は1人ではなく2人だと判明。
ストームさんの底知れぬ能力と二等兵とは思えない練度の兵士が合わされば、捕獲どころか殲滅される危険性も有り得た。
「森から出るなら、空から安易に見つけられる筈よ」
「油断大敵だぞ。 なにせストーム・1は底が知れない男だ」
「そうね。 皆には必ずロッテ(2機1組)以上で飛んで貰うのと、見つけたら皆が集まるまで接触しないことを伝えるわ」
シャーリーが単独で突っ込んだのを反省して、そう言うミーナ。
「頼んだ」
「でも」
ここで思案顔になる。
「何故、只野さんが敵になったのかしら。 トゥルーデも気を失っていたそうだし」
(それはミーナが悪い!)
目を閉じて歯をくいしばる!
坂本は心からの声を堪えるのに、必死になったそうだ……。
「と言う感じに警戒されたな」
山の麓、森の中。
派手な音を立てたストーム隊長が言うなら、きっとそうなのだろう。
シャーリーの件は敵か味方か判別する前に倒してしまったが、隊長が攻撃したなら敵だ。
そういう事にしておく。
今頃過ぎるし。
「このまま2週間は厳しく思います」
「同意する。 デコイも弾薬も2週間バラ撒く数は無い。 空軍や海軍も そこまで付き合ってくれない」
逆に料理如きで要請される空海軍ェ……。
いや仕方ないんや。
生死に直結するんだって。
「当初は山に籠るつもりだったが、デコイをしらみ潰しされたら いずれバレる。 1週間も掛からないな」
「こちらから打って出ますか」
「うむ、攻撃は最大の防御。 今がその時だ」
「殲滅?」
「いや、拠点を制圧する」
そう言うと、何処からともなく大砲のような大筒と、ロックオン時間短縮&距離を稼ぐ補助装置の【E2レーダー支援システム】を俺に渡してきた。
へ。 何処にしまってたの?
ド●え●んのポケットでもあるの?
いやEDF隊員全体に言えるけど。
あ、俺もか。
「装置は分かりますが、これは」
「レンジャー用の大型誘導ミサイルランチャー【プロミネンスM1】だ。 約1kmのロックオン距離がある。 ロックオン時間は2秒。 爆破範囲は半径約16m。 改良型は威力が高くなったがロックオン時間が長くなったからな、初期の方を持ってきた。 目的が目的だから、これで十分だろう。 撃つ時は空に向けて砲口を上げろ」
普通に説明されたんですがそれは。
話は続く。
「お前は森に籠り、501が拠点にしている方向に構え続けていれば良い」
「え? でも海岸側の拠点まで1kmは超えています。 たぶん4倍、4kmくらいじゃないですか」
「ギリ行ける」
「へ?」
またも変な声を出すと、今度は別の物を取り出して見せてきた。
「この【パワービーコンガン】を使う。 これはロックオン速度2倍、距離を4倍にしてくれるものだ」
銃のような、ビーコンを射出するサポート装置を見せられた。
おお、それなら射程内に収まるかも。
あれ……いやいや待てよ。
「あの隊長、このプロミネンスのミサイルってガチのヤツですか?」
一応聞いておく。
ガチなら半径16mは吹き飛んでしまう。
「安心しろ。 ミサイルの炸薬量は少なくされ、代わりにスモークが同じ半径で撒かれるように改造した」
「そ、そうですか。 安心しました」
信じる事にしよう。
隊長が言うなら、そうなんだろう。
「ではビーコンを設置しに行ってくる。 スニーキングミッションごっこ だな。 お前は撃ってくれるだけで良いからな、はっはっはっ!」
「隊長だけで? 危険です!」
「大丈夫だ。 1人の方が見つかる危険も少ない。 それに、俺は誘導兵だ。 上手くやるさ」
そうは言うけど。
いくらストーム隊長でも……いや。
幾多の絶望を乗り越えて来たストーム・1なら大丈夫だろう。
戦時と比べたら、このくらいイージーモードといったところだ。
我らが隊長を信じよう。
「隊長、ご武運を」
大きな隊長の背中に敬礼!
片手を上げて去って行く隊長。
これが俺が見た最期の姿……に、ならない事を願う。
ストーム・1……ワンちゃんを探しに行ったメンバーは恐らくミーナ、ハルトマン、坂本、ペリーヌ、ルッキーニ。
バルクホルンは気絶中でシャーリーはユニット修理中。
残りの宮藤、リーネ、サーニャは食事の用意で、サーニャにベッタリなエイラは自然と拠点にしている建物の台所にいた。
コレは概ね予想通りだった。
料理が出来る者まで捜索隊に加える時間、食糧的な余裕はない。
気絶したバルクホルンの看病もある。
となれば。
治癒魔法が使え、料理も出来る宮藤は残るだろう。
合わせて親友のリーネも。
サーニャは夜間哨戒に備えて待機。
或いは料理の手伝い。
他の料理が出来ない子が捜索隊に回される。
司令塔のミーナや坂本が拠点に残る可能性があったが、動いているセンサー反応からして、いないと結論付けた。
恐らく森を出て攻勢に出ないだろうと判断だ。
または早期発見の為に人手を増やしたかったか。
だが、実際は拠点に近付くワンちゃん。
空から見えない様に木の陰を伝い、拠点に侵攻する。
だがこれ以上は遮蔽物がない。
空から丸見えだ。
ビーコンを設置するには、もう少し近付きたいところだが、出ればバレるだろう。
「地底で空がないと嘆いたものだが、今度は空があると嘆くか。 何でも都合良く行かんな」
苦笑するワンちゃん。
ヘルメット・ディスプレイに映るセンサー反応を伺いながら、飛び出るタイミングを見計らう。
1度でも動けば感知魔法に引っかかり、飛行型侵略生物の群れの如く襲って来るだろう。
なので、チャンスは1度きり。
「パワービーコンガンの射程は約1km。 長距離射撃は苦手だが、何にせよ最低1km圏内に入らないと話にならない」
ビーコンガンを構えて言う。
今回使用するパワービーコンガン。
見た目こそサブマシンガンサイズかコンパクトにしたアサルトライフルといった具合だが、こんなナリで射程は1kmもある。
銃身は短いのに、弾道も安定している。
EDF謎の技術である。
が、しかし。
コレの装弾数は1発のみ。
リロードする時間が無いのを考慮すれば、失敗は許されない。
「スナイパーや暗殺者も、こんな気持ちだろうか」
プレッシャーを肌で感じ、しかし戦時と比べ可愛らしいと笑う。
改めて自分が過酷な戦場に身を置いてきたか実感。
龍とハムスターの差かな?
考えたら またも変な笑みが溢れる。
「いかんな。 集中だ」
遠く見える拠点は小さく、レーザポイントも射程外で確認出来ない。
ビーコンガンのスコープを拡大して窓辺りを確認。
小さいが確認出来た。
宮藤とリーネが鍋を用意しており、白百合なサーニャ、彼女と共にいる未来予測出来るエイラの4人。
バルクホルンとシャーリーは未確認。
そちらは戦力外で良い。
拳銃や護身術を身に付けていても、その間合いまで入る予定はないので脅威ではない。
「空の捜索隊は良い。 問題はサーニャの探知能力、エイラの未来予測ダナ」
大人気なくエイラの口調を真似つつ、チャンスを伺う。
室内まで魔法を使っているとは考え難いが、警戒しているなら可能性はある。
未来予測をされた場合、退避される可能性があるが、予測出来るのは数秒後の未来。
プロミネンスミサイルが最大高度まで達してからの位置エネルギー、急降下による加速を適当に考えても、スモーク圏内 半径約16mから脱出する時間は あまりない。
その間にセンサーを頼りに全員を制圧。
サーニャは、どうしたものか。
探知出来る範囲は とても広い。
EDF隊員 個人が使用するセンサー範囲を軽く超えている。
ミサイルを探知されるくらいなら良い。
それより誘導兵……ワンちゃんの考えを読まれた場合、退避されてからの逆制圧も有り得る。
ワンちゃんは時々死神、バケモノ扱いされるがネウロイではないので、反応が遅れるかも知れないが……位置がバレるのは危険。
やはり一気に畳み掛けるしかない。
「油断出来ない相手だ」
誘導ビーコンを撃ち込むだけなのに、こんなにも気を使う。
センサーを再度見る。
低高度を飛んでいるモノを探知、確認。
高高度だとセンサーが拾わない危険性があったが、501の面々は地上の捜索の為に低空を飛んでいた。
お陰でどの辺にいるか分かりやすくて助かる。
また、センサー上から判断するに、最低でも2人1組で飛んでいるようだ。
片方にナニか問題があっても対処出来るし、連携する事で火力が上がる。
シャーリーが単騎でヤられたので、そうしたのだろうなと思う。
「むっ」
センサー上、捜索隊が拠点から遠く森へ向かう。
それは良い。 只野は上手く隠れる。
発射後、位置がバレて交戦状態に入るかも知れないが。
その場合、再発射は困難だ。
その意味でも1発で決めねば。
問題は。
「数は4、2組……あと1人はどこだ?」
センサー反応が足りない事だ。
気絶中のバルクホルンと思われる反応を足しても10人。
501は全員で11人。
あと1人、確認が出来ない。
つまり。
「なるほど」
不敵に笑い、手に新たなモノを持つ。
大きなクワガタ ロボット【スタグビートル】を。
ビートルとあるがカブトムシじゃない、クワガタである。
陽の光に反射し輝く青いボディ。
その立派なツノは、鹿のツノのよう。
「シャーリーの相棒かな。 部隊最年少の、天真爛漫な あの子なら喜ぶだろう」
ストーム・1は拠点に駆け出した。
手に持つは決してオモチャでは無い。
EDF科学班が4年もの月日と膨大な研究費を掛けて制作したモノ。
なのだが、所要時間と研究費に見合わないからか変なところ(飛行能力は兎も角、ツノとかデザインとか)に金を掛けたのか知らないが、本機を最後に後継機は開発されなかった。
まぁ……作者も あまり使わなかったし、使い勝手の問題もあったのかも知れない。
「EDF!」
自身を鼓舞する様に叫ぶと、連続ローリングで突撃を敢行!
して案の定と言うべきか。
センサーに突如として現れる赤丸表示。
これで11人。
ワンちゃんの予想通りだった。
「やはり来たな」
それはセンサーに反応しない、高高度より急加速で接近。
シールドを固有魔法の光熱で超高温、多重にし、猫科な耳と尻尾、縞々パンツ……じゃなかった、ズボンを丸出しにしながら単騎で突っ込む少女。
「シャーリーのかたきー! 覚悟しろー!」
「来いルッキーニ。 遊んでやる」
高高度、センサーに反応しない位置から拠点を自主防衛していた子。
501最年少、ロマーニャ公国の軍人。
フランチェスカ・ルッキーニ少尉である。
「うりゃー!」
赤いボディの演習用の銃で、ペイント弾を撃ってくる。
流石にワンちゃん相手とはいえ、実弾携行許可は下されていなかったようだ。
だが、そのペイント弾は恐ろしく正確。
ワンちゃんに吸い込まれるように当たろうとして───。
「なら防げば良い」
素早くプラネタリウムの装置みたいなモノを設置、起動。
光の青白い半透明な壁が発生。
その壁にペイント弾が阻まれ、ワンちゃんは無事だった。
電磁トーチカだ。
真上は防げないが、ルッキーニは真上から撃ってるワケじゃなかったので普通に防げた。
「シールド!? ワンちゃんもウィッチだなんて聞いてないー!」
未知の技術を魔法だと勘違い。
それを扱うワンちゃんはウィッチだとも。
ズルい、聞いてない、反則だと幼い子ども(実際に子どもだが)の様にゴネるルッキーニ。
「オーバーテクノロジーは魔法に見えるよな。 俺も転送装置のアンカーを見た時は驚いたものだ」
民間人時代、初めてアンカーを見た時を思い出して言うワンちゃん。
228基地、開戦した あの日。
巨大な柱の様なモノが空から大量に降ってきて地面に突き刺さり、そこから怪物が大量に転送されてきた。
突然の事にワンちゃんや隊員らは驚愕し、それでも必死に抗い破壊した。
なのに、更にアンカーが降下。
謎の技術と物量で圧倒してくる敵性勢力に228基地司令官の命令で直ぐに撤退。
ワンちゃんは軍曹チーム……後のストーム・2ら隊員と共に撤退する事になった。
謎の技術は魔法に見える。
それこそ【かの者】なんて装置もナシに宙を浮き、手から光弾を放ち、装置ナシでエイリアンの歩兵を空間転移させ、しまいには隕石まで降らしてきた。
あの銀の巨人、死神に勝てたのは奇跡だ。
駆け付けてくれたストームチームの面々、あの場にいた隊員、地球の皆の奮闘が無ければ負けていたのはEDF……人類。
ワンちゃんだった。
「だとしたら、この世界にとって俺たちは侵略者だな」
悲しくなったが、しかし。
やらなければ(料理に)やられる現状、心を鬼にしてルッキーニにクワガタロボットを見せる。
「このクワガタが目に入らぬか」
「お、おぉ!?」
どこぞの お偉いさんの 紋所のように【スタグビートル】を見せびらかすワンちゃん。
して面白い様に攻撃中断、ゴネるの中断。
ルッキーニは目を輝かせて角が立派なクワガタを見る。
「欲しいか?」
「欲しい!」
「近くに来るんだ」
「わかったー!」
金属光沢を放つソレに、なんの疑いもなくホイホイ降下してしまうルッキーニ。
ペイント銃は その辺にポイしてしまった。
「おぉー! 大きい! 凄い! 立派!」
「大きくて掴み辛いからな、気を付けて掴むんだぞ」
「わぁ硬い! テカテカしてて滑る!」
「オット、イッチャイソウダ(棒読み)」
「あー! イッちゃヤダー!」
ワンちゃんは、ワザと【スタグビートル】を手放し、空へ飛ばしてしまう。
慌てて追い掛けるルッキーニ。
スタグビートルは従来型と異なり飛翔能力があり、飛んで行くのである。
それはそうと…………他の面子が会話を聞いたらエロいナニかかと勘違いのままミーナ達に実弾を叩き込まれそうである。
いや、手遅れかもだが。
ルッキーニの無線がフルオープンだったから……。
「つっかまえたー! うん、あれ!? 胸に くっついて離れない!?」
してルッキーニは空中キャッチ、クワガタが胸に吸着して離れないのに気付く。
場所は偶然である。
ワンちゃんのヘルメットが妖しく光った刹那。
「墜ちろ」
間髪入れず起爆スイッチを押す。
ボカンッと爆発音と共に空中で煙玉が出来上がり、ルッキーニは包まれてしまう。
非殺傷の睡眠爆弾なので安心して欲しい。
流石に危険な炸薬等は使えないので、代わりに即効性の睡眠剤に詰め変えていたのである。
「……うみゅぅ」
して墜落していくルッキーニ。
低高度だし彼女もウィッチなので、大丈夫だろう。 たぶん。
「墜ちたな」
パワービーコンガンに切り替えて、再びローリング進撃を開始。
時間を喰った。
センサーではフルスロットルで向かって来る反応が2つある。
捜索隊。
此方の位置がバレたのだ。
「派手な音と煙だったからな。 そりゃ来るか」
ローリングしながら進み続ける。
想定内だが、ビーコンを設置する時間はギリギリだ。
「只野が気掛かりだ。 半分は只野のいる空域に留まっている」
戦力を只野用に分けられた。
賢い判断だ。
2人だけでも、位置さえ分かれば空中のアドバンテージを使い、地上の目標を相手に出来る。
そういう判断だ。
「だがな、俺たちはEDFだ。 空飛ぶ敵を幾度と倒してきた。 今回もな」
射程の1km圏内までもう少し。
ワンちゃんはウィッチから逃げる様に転がり続け、只野は残された2人のウィッチから身を隠し続ける……!
「な、な、なな……!?」
顔を羞恥心から、自身の赤毛より真っ赤に染める501司令官ミーナ。
えっちな無線が聞こえてきたから、仕方ない事だ。
「おぉー! 大きい! 凄い! 立派!」
「大きくて掴み辛いからな、気を付けて掴むんだぞ」
「わぁ硬い! テカテカしてて滑る!」
「オット、イッチャイソウダ」
「あー! イッちゃヤダー!」
一体、ナニをナニしたの!?
なんて破廉恥な!
あの男は女の敵よ!
「見損なったわストーム・1……!」
「ミーナ、どうし……ひっ!?」
ハルトマンが顔を覗き込んで、後悔した。
そこには赤鬼がいたんだから。
怒ると とっても怖いミーナだが、未だかつてない形相である。
付き合いの長いハルトマンも見た事がない。
「───美緒、ペリーヌさんは只野さんを引き続き探して。 フラウ(ハルトマン)は私と来なさい」
「急にどうした」「ミーナ中佐?」
「命令です、一刻も猶予は ありません」
そう言うと、最大速度で拠点方向へ飛んで行くミーナ。
慌てて続くハルトマン。
残された坂本とペリーヌは、命令なら仕方ないと捜索を続行する。
「ストーム・1を見つけたのか。 なら、後は只野だけだな」
「お供しますわ、坂本少佐!」
慕っている坂本と2人きりになれて、ウキウキなペリーヌ(ペリ犬)。
目下 森であり、そう簡単に只野は見つかりそうにないが、ペリーヌは その方が都合が良かった。
坂本と一緒にいられる時間が増えた方が良いからだ。
どうにも不純な子なのか純粋な子なのか分からない501と化しているが、只野たちにとっては今は敵である。
森の中、只野は早く どっか行けと手汗をかいて願っていた……。
「宮藤ー、ナニか聞こえなかったか?」
「いえ。 リーネちゃんは?」
「ううん。 聞こえなかったよ」
「私も」
「そうか……なら良いんダ」
501が拠点にしている建物内。
台所を中心に、4人は談笑しながら料理を作っていた。
水色軍服のエイラは、未来予測が出来ても料理が出来ないので見ているだけだが、楽しそうだ。
(サーニャの手料理♪ 宮藤とリーネのが混ざっちゃうけど、それでも楽しみなんダナ♪)
なんか失礼な事を思っているが、出来上がっていく料理に上機嫌だ。
ワンちゃんによって食糧が強奪されたが、バルクホルンと共に置かれていた食糧で調理している次第である。
尚、当のバルクホルンは絶賛気絶中で、撃墜されたシャーリーはガレージでユニットを修理中。
(ミーナ中佐の時は酷い目に遭ったけど、お陰でサーニャの手料理が食べられる。 ワンちゃんには感謝なんダナ)
ストーム・1も、人を救い食糧を奪い勘違いされ見損なわれ感謝されてと忙しい男なんダナ。
(ちょっと未来予測するか。 いや、料理が心配なんじゃないゾ。 このメンバーで失敗は有り得ないからナ。 ちょっと、そう、ちょっと結果が心配だから。 サーニャが包丁で怪我したりとか、そういう心配ダ)
ケモ耳と尻尾を生やして、固有魔法で未来予測をする。
只野とバルクホルンが吐血するというショッキングなスプラッターシーンを見せられた身として、色々と落ち着かないのは仕方ない。
「え……?」
して見えたのは。
「みんな! 今すぐココから逃げるんダー!!」
建物が爆煙に飲み込まれるビジョンだった。
「もう遅い」
ストーム・1は冷たく言う。
目線の先。
台所の外壁面には玉の様なモノがへばり付いていた。
高出力のビーコンだ。
発せられるシグナルは、約4km離れた只野まで届いている。
間に合った。
ミーナ達は……間に合わなかった。
───刹那。
ドゴォオオオオオオオオオオオンッッ!!!
拠点が巨大な煙で包まれた。
半径約16m。
プロミネンスミサイルのトップアタック。
それが台所の外壁のビーコン目掛けて急降下、着弾。
大爆発を起こしたのだ。
それは あくまでも、煙玉。
されど大きな音と煙。
圧倒的に加減されている……不思議と、いや本能でソレが分かった。
ストーム・1が勝ったのも分かる。
実戦だったら、大切な家族を1度に失っていた事も分かる。
「続けるか?」
背後で茫然とするミーナとハルトマンに言った。
「…………いいえ、降伏します……私たちの負けです」
2人は武装放棄。
して ミーナは なんとか。
なんとか震える声で言ったのであった……。
描写、難しいです……。
只野 成分、魔女絡み成分が足りないかもな回。
拠点を煙で包んだだけでありますし。
次回、停戦からの大惨事料理対戦(未定)。