Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
501を制し、取り敢えず落ち着いた。
次はEDFの話をしよう。
501にはまだ、話をしていないからな。
備考:
世界違えば、見え方も違うという事か。


大惨事料理大戦は、まだでした……。


32.ワールドギャップ、カエルにミエル。

ストーム・1と只野、501に勝利す。

 

圧倒的な武器を見せつけ、501の司令官ミーナは降伏。

他の面々も投降。

料理で血を見る阿鼻叫喚の悲劇から始まった戦闘は、これ以上の犠牲者を出す事なく平和的(?)に終結した。

遠く只野とも合流し、一同は拠点のブリーフィングルームとする部屋に集結していた。

プロミネンスによる大きな煙は風で流されて、とうに消えている。

建物の中にも少なからず入っていたが、換気して排除。

拠点運用に支障はない。

そんな中、着席する501の面々の表情は様々だ。

 

未知の片鱗を見せられ、未だ恐怖する者。

これから どうなるのか不安になる者。

ナニがなんだか理解出来ていない者。

騙されてショックを受けた者。

好きな人の料理の手が止まり、睨む者。

 

色々な感情が渦巻く部屋。

敗北者と勝者がいると、こんなにも息苦しいのかと只野は思った。

 

 

「皆、よく聞け。 無線で知らされたと思うが演習はEDFの勝利となった」

 

 

ストーム・1……ワンちゃんが宣言。

牽強付会である。

一応、野外演習として南の島に来ているので、軍規違反等の問題にしない為の言い回しだった。

 

だが……たった2人に負けた なんて。

 

改めてEDFとは。

ワンちゃんは、只野は何者なのか。

皆は疑問に思い、恐れ慄いた。

しかし怖くて誰も聞けない。

それを知ってか知らずか、ワンちゃんは話を続ける。

 

 

「さて演習の反省会を開きたいところだが、それよりEDFとは何者なのか、カールスラントの現状等を話したい」

 

「カールスラントッ!」

 

 

ここでガバッと起きるは、バルクホルン。

部屋の隅に寝かされていたが、祖国の名前に反応した様子である。

 

 

「バルクホルンさんっ、安静にしていて下さい!」

 

 

宮藤が慌てて寝かせに行くが、バルクホルンは構わず声を荒げた。

 

 

「ストーム・1! 私たちの祖国は、カールスラントは どうなっている!? エトワール作戦の時から……いや、その前から妙な噂が立っている!」

 

「トゥルーデ落ち着きなよ」

 

「お前は平気なのか!」

 

「平気なワケないじゃん」

 

「バルクホルン大尉、落ち着きなさい」

 

 

同国のハルトマンとミーナが宥めた。

ワンちゃんも、腕を組んで佇む。

静かにならなきゃ話さないぞー、という姿勢。

 

 

「ッ、すまない」

 

 

冷静を取り戻し、力なく座り込む。

国を、家を、家族を。

大切な者を傷付けられ、奪われてきた。

故に奪還への気持ちも強い。

 

 

「……バルクホルン大尉」

 

 

胸元を抑え、呟くペリーヌ。

家族を失い、国を追われる苦しみを。

祖国ガリアをネウロイに奪われ、皆が絶望と隣り合わせに生きた日々。

それでもガリアを奪還すると焦る様に戦い続けた。

だから、痛い程に気持ちが分かる。

 

 

「はい、静かになるまで15秒掛かりました」

 

 

シリアスを校長ネタで濁すワンちゃん。

1940年代の欧州で通じないだろオメーと只野は内心ツッコミを入れたが、

 

 

「……ッ! すまなかった……ッ!」

 

 

真面目魔女に効果は抜群だった!

目を伏せ、表情を暗くするバルクホルン。

通じるとこでは通じるもんだと、不思議な気持ちになる只野であった。

 

 

「カールスラントは現在、EDFの占拠下にある」

 

 

からの テンペスト直撃発言!

占拠下などと、ネガティブな単語を何故出したんだ!

只野は部屋の隅で荒ぶった。

皆はワンちゃんに集中していたので、見えなかったが、見えていたら狂乱者として距離を置かれていた だろう。

 

 

「占拠!?」「なんですって?」「どういうこと?」

 

 

案の定、カールスラント組が厳しい目を向ける。

EDFの印象が侵略者になったよ。 最悪だよ。

 

 

「EDFは異世界から来た軍隊なのだが、偶然にもカールスラント領に入り口が出来てしまってな。 そのままカールスラントを占拠していたネウロイを殲滅、土地を間借りしている状況だ」

 

 

テンペスト追加直撃!

異世界から来た軍隊という、頭がオカシイ発言に皆は硬直!

ヘッドバンギングする只野二等兵!

 

 

「その後はガリアのパリにいるネウロイに嫌がらせの砲撃をしたり、転進してくるネウロイを倒していたぞ。 エトワール作戦ではカールスラントにネウロイが逃げない様、栓の役割をしつつパリへ攻撃。 連合軍と共にガリアを解放した次第だ」

 

 

噛み砕けず、硬直しっぱなしの501!

ヘドバンが加速する只野二等兵!

その状況から、再びネタに走り場を和ませようと試みて無駄吠えする駄犬。

 

 

「いやぁな? 元の世界が宇宙人の侵略を受けてね。 お陰で世紀末で暗黒時代に突入して困窮し、厭世に感じている絶望世界なので。 この世界から糧秣等を分けて貰おうと侵略、じゃなかった、守りに来た次第なんだ。 笑えるだろう?」

 

 

笑えねえよ!?

侵略とか口を滑らせてるし!

宇宙人という単語が出て来てるし!

絶望世界を説明されて、笑えるか!

 

 

「あわよくば、この世界に移住しようとも考えている者もいるが。 ネウロイがいるからなぁ、それ以前にEDFに物資や土地を貰えるか怪しい。 でも安心してくれ、本部からはカールスラントからは近々出て行くと聞いたからな! カールスラントの民もボチボチ戻って来ているし、君たちも帰れるぞ! はっはっはっ!」

 

 

坂本少佐のように、高笑いする駄犬!

501、メデューサに見られたのか石化!

只野二等兵、ゲッタン状態!

あー、もう滅茶苦茶だよ。

どうしてくれんの、コレ。

 

 

「……ぷっ。 あははっ!」

 

 

そんな状態を破ったのは、新人枠の宮藤。

場を和ませようとするワンちゃんに吹き出してしまった。

皆の石化を解き、注目を浴びるも、笑みは溢れっぱなしだ。

 

 

「ご、ごめんなさい……ストームさんが頑張って説明してるのに……ふふっ」

 

 

身体を震わせて、笑いを堪える宮藤。

その様子にハッとして、皆も口が軽くなった。

 

 

「そうですわよ宮藤さん。 人が説明しているのに、笑うのは良くないですわ」

 

「そう言うツンツン眼鏡も、今は笑ってるじゃんか」

 

「これは宮藤さんに釣られて!」

 

「でもさ、宇宙人が侵略とか嘘だろ?」

 

「そうだー! 証拠を見せろー!」

 

「異世界からきたって言われてもねぇ?」

 

「で、でも。 武器や装備は見たこともないモノばかりだし」

 

「そうね。 エトワール作戦の話も、本当なら辻褄が合う部分もあるわ」

 

「そうだな。 どこまでが本当なんだ?」

 

 

皆が思っている事を言い合う。

只野もバグった動きを止め、苦笑した。

全部本当なのだが、信じてくれるかは微妙だった。

 

 

「全部本当だぞ。 証拠写真を見せる」

 

 

素直に言うワンちゃん。

証拠を提示しようと、宇宙人の歩兵部隊の写真を皆に見せた。

最初に地球に降下した、第1次地球降下部隊にもいたヤツらだった。

只野も、これで少しは信じてくれるかと思ったが、

 

 

「色付きの写真?」

 

「綺麗。 まるで世界を切り取ったみたい」

 

「でも……二足歩行のカエルじゃん、コレ」

 

「建物ぐらいの大きさがあるぞ」

 

「これが宇宙人?」

 

「はっはっはっ! 宇宙人はカエルの姿をしているのか! 泳ぎも上手そうだな!」

 

「おもしろーい!」

 

「ストームさん。 さすがにコレを信じろと言うのは……ちょっと」

 

 

皆、半信半疑というより……信じていない。

寧ろ笑われてしまった。

残念ながら、この世界の人間にはヤツらはカエルに見えるのだ。

しかし、ワンちゃん達EDF隊員には人間そっくりに見えている。

ジェネレーションギャップならぬ、ワールドギャップ。

 

 

「本当なんだがなぁ……俺たちの世界じゃ、コイツらや持ち込まれた侵略性外来生物、ロボット群と戦っていたんだが」

 

「外来生物?」

 

「象くらいの大きさがある怪物だ。 種類や亜種がいる」

 

 

そう言って別の写真を見せた。

そこにはαやβ、γ、飛行型と呼ばれる、象程の大きな怪物の群れが写っていたが、

 

 

「うわっ! 虫じゃんか!」

 

「デカッ!」

 

「気持ち悪い」

 

「大きなアリンコとクモ?」

 

「こっちのはダンゴムシか?」

 

「これは……ハチ?」

 

「捕まえるのはムズかしそー!」

 

 

アリだのクモだのダンゴムシ、ハチだのと言う。

気持ち悪い、怪物だと思うのは共通出来る様子だが、虫の話をする辺りから微妙にEDF隊員らとはズレていそうだ。

 

 

「……とにかく。 俺たちの地球はソイツらに侵略を受けた。 俺や只野が所属する組織であるEDFは地球を守る軍隊だから、戦った。 沢山の犠牲の果て、何とかエイリアン本隊は撤退してくれたが、まだ残存戦力が地球に残っている状態でな。 今も同志が戦い続けている」

 

 

憂いを帯びた口調に、皆は静かになる。

写真を見ても嘘や冗談だと思っていた501だったが、今の雰囲気から そうは思えなくなってきた。

 

 

「あの」

 

 

遠慮がちに手を挙げるリーネ。

 

 

「どうした?」

 

「EDFは、この世界に助けを求めに来たんですよね?」

 

「そうなるな」

 

「でも、寧ろEDFは私たちを助けてくれている気がします……連合軍は、何か助けてくれているのでしょうか?」

 

「リーネさん!」

 

 

少し のめり込んだ質問に、ミーナが咎める声を上げ「す、すいません」と謝るリーネ。

だが皆も気になってはいる。

話が本当ならEDFはエトワール作戦含めて、色々と欧州の為に戦ってくれている。

ネウロイの侵攻を食い止めたばかりか、カールスラントを奪還、ガリアも解放。

電撃的に一転攻勢、欧州を解放した。

なのに、知っている筈の連合軍はEDFを公にしていない気がする。

あくまで兵士の噂で止まる。

少なくとも501は知らない。

対してワンちゃんは、連合と違って濁す事なく答えてくれた。

 

 

「連合軍はEDFに良い顔をしていない。 我々の技術を寄越す様に言う他、カールスラントを占拠している批判、負傷兵を"無断で救助

"した事への文句ばかりだ」

 

「そんな!」「あんまりですわ!」

「ひどいよ!」「薄情だな」「恩を仇で返してる」「どうして」「助けるのが、そんなにいけないことなの!?」

 

 

ひどい、あんまりだと連合への怒りが湧き出す501の面々。

ブリーフィングルームは、ワイワイガヤガヤと騒がしくなった。

 

 

「お前たち、静かにしろ!」

 

 

坂本が一喝、静かにさせる。

自分たちも連合軍であり、その上層部に不信感を膨らませすぎるのは良くない。

今後の連携や集中力が乱れる。

そうなる前に早めに止めた坂本も、司令のミーナも思うところは あった。

あったが……上に立つからこそ、我慢した。

 

上にいる立場だからこそ、連合の欲望を痛感してしまう。

だからと、どうする事も出来ない。

501は、あくまで 連合軍の ひとつの部隊に過ぎないのだから。

ミーナも多少の人員、物資確保の為に書類上で根回し、工作する事はあるが、それらは連合の上層部が嫌がらせをしてくるからだ。

それらは子どもがするイジメではない。

大人のイジメだ。

何かとイチャモンを付けて、兵站削減、人員削減、厄介払いの捌け口にしてきたりするワケである。

だが、それは まだ理解出来る。

大人のイジメとは、如何に こじつけて反論出来ない様にするか という要素がある所為だ。

 

そうでなくても、自国からわざわざ貴重な戦力を手放す行為はしたくない。

故に統合戦闘航空団に人員を送りたくないのだし、物資も そうだ。

人員が送られても、政治的、問題児だから厄介払いで来た子もいる。

リーネは、訓練を終えたばかりの新人なのに政治的な理由で"エースを集めた"501に送られた。

シャーリーは勝手にユニットを弄る問題児で軍を除隊されかけていたところ、501への要請が来た為に送られる。

ルッキーニも、お母さんに会う為に軍を抜け出したりと問題児であり、同じように501に送られてきた。

また、設立時は別のウィッチが所属していた事もあるが、性格の問題や人間関係、政治家や上層部の横槍で離隊した。

 

EDFに関してはワンちゃんの話から想像するしかないが、今までの経験から似た様な嫌がらせをされていると安易に予想出来る。

最も、謎の技術を使う異界の軍隊とか危険だから関わりたくないと言う気持ちもあるだろうが。

 

ワンちゃんは、坂本が静かにしてくれた事に感謝しつつ、話を再開した。

 

 

「皆の気持ちは嬉しい。 だが、連合に迷惑を掛けているのは事実だ」

 

「そんな」

 

 

あくまで受け身な姿勢のワンちゃんに、皆から同情を買う。

余計に連合が憎たらしく、EDFが優しい……悪く言えばお人好しな軍隊な気がして来た。

 

 

「だからEDFは、カールスラントから別の場所に移動しようとしている。 技術提供も少しずつ行う。 それらを扱えるように訓練も施す」

 

 

それを聞いた只野は変な表情に。

基地で訓練をしていた兵士を思い出しての事だ。

EDF式の訓練はハードというよりカオスだ。

そも、難易度インフェルノで死者が出ないか心配なレベル。

 

もうあれ、自殺じゃね?

人間卒業試験じゃね?

 

そんな只野も人の事は言えない身体である。

この場合、同情するべきは訓練という名の自殺行為をやらされる連合軍兵士だろう。

 

 

「まぁEDFは連合軍じゃないからな。 互いに助けなきゃ ならないなんてルールは無い」

 

 

それでもきっと、ピンチの時。

EDFは。

この男は、何かを得る打算もなしに救いの手を差し伸べるだろう。

 

皆は何の確証もなしに、そう感じた。

 

 

「すまんな、暗い話をした。 それより今後の話をしよう。 料理だ」

 

 

ここに来て料理の話。

されど料理である。

 

トラウマを植え付けられた只野や一部のウィッチは、別の意味で黙り込む。

 

大惨事料理大戦。

 

そんな予感がして、只野は今すぐ無条件降伏をしたい気持ちになったとさ…………。

 




次回、またも悲劇の予感?

して噂のWDF計画は どうなるのか……。
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