Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
ウォーロック撃墜に成功。 残るは基地だけだな。 スカウトとStorm-2が突入している筈だ。 任せて大丈夫だろう。
だが先の戦闘でスカウトウィッチが重篤だ。 回復すると良いのだが……。
備考:
エピメテウスを見るのも乗船するのも初めてだ。
曹長ちゃんに軍曹ちゃん。 大丈夫だろうか。


只野二等兵視点が不足していると思い……。


36.着艦

ブリタニア第501基地近海 只野二等兵視点

 

デカい。 説明不要!

それが第1印象だった。

潜水母艦エピメテウス。 こんなの潜水艦じゃないわ! ただの要塞島よ!

 

 

「大きい!」

「これが潜水艦!?」

「まるで戦艦ダナ」

「航空機が着艦出来るなんて」

「さっきのロケット弾、この潜水艦からなんだっけ?」

「デカい大砲の音もな」

「EDFのチカラは凄まじいな」

「味方で良かったですわ」

「我が扶桑海軍にも欲しいな」

 

 

501の面々がエピメテウスを見て、感想を無線越しに口々に言う。 俺も同意せざるを得ない。

エピメテウス。 俺らの世界では、人類の切り札と言われた潜水母艦だ。

 

 

「そうだな」

「只野はEDFなんだろ。 見たことないのか」

 

 

シャーリーが聞いてくる。

撃墜しちゃった件を気にしてないフランクさはありがたい。 ユニットも直ったようで良かった。

あの時は狂乱していたからね。

向こうも仕方ないと思ってくれたらしい。

……それはそうと、質問に答えねば。

 

 

「ないよ」

 

 

シャーリーちゃん、俺は陸軍歩兵なのさ。

もっと言えば二等兵。 最下級。

さらに言えば入隊して日が浅い内に戦争勃発、訓練より実戦時間が長い。

徴兵組の方が、まだ訓練してた。

それだけ毎日絶望の戦場に投げられていたんだ。

空軍海軍、種類や数なんて知らん。

ましてや秘密裏に造られた潜水艦だ。

海軍だったとしても、知っている人間はひと握りだったんじゃないかな。

 

 

「逆に聞くけど連合軍の全艦艇を見たことがある?」

「ないな。 極秘裏の兵器もあるんだろうし、世界は広い」

「それと同じだよ。 特にエピメテウスは隠密性の高い潜水艦。 戦前から存在を知っていたのは、一部だけだろうね」

 

 

戦時の放送で民間人の知るところに出たのだろうがな。

あの偏見放送を鵜呑みにするなら、他にセイレーン、パンドラという潜水母艦がいたらしいが……戦局が悪化していく中で撃沈されてしまったらしい。

エピメテウスは、その3隻中唯一、生き延びた潜水母艦となる。

 

 

「しかしまぁ……本当にデカい」

 

 

そう言うと。 シャーリーちゃんが、コックピットの前……俺の目の前に飛んできて立派な お胸を持ち上げてきた。

誘惑するような流し目で。

 

 

「私の?」

「セクハラ止めて下さい大尉殿」

 

 

ウサギの耳と尻尾もあって、なんかもうね、色々とエロいね。 下半身をイライラさせるね。

したら反応したのは下半身だけでなく、宮藤ちゃんもだった。

 

 

「なんて羨ましい!」

「……芳佳ちゃん」

 

 

悔しそうな表情をする宮藤に対して「自重しよ?」な顔をするリーネちゃん。

宮藤は胸が好きなの? 淫獣だったの?

大人しそうな常識人かと思ったら、意外と恐ろしい子だった。

 

そんな馬鹿な事をエピメテウス上空でしているワケだが。

俺が操作中の大型武装ヘリとストーム隊長のブルート2機、501の11人のウィッチはホバリング中。

全員を着艦させるとの事だが、順序待ち。 管制官の指示に従い、俺たちは上空待機中。

 

 

《こちらエピメテウス航空管制。 艦載機のKM6戦闘爆撃機隊を先に着艦させたい。 Storm1大丈夫か?》

「俺のは大丈夫だ。只野は?」

 

 

言われて燃料計、ダメコンパネルや電子機器類の異常が無いか確認。

大丈夫。 無傷だ。 今のEDFには貴重な万全整備状態のビークルだよ。

 

 

「問題なし」

「了解。 ミーナ達は?」

 

 

俺の返事に短く答え、続けて501を確認する隊長。

司令官のミーナが直ぐに対応する。

 

 

「飛んだばかりだから大丈夫よ。 魔法力には余裕があるわ」

 

 

優しい口調で言う。 母性を感じるね。 料理はアウトだけど。

対してハルトマンとバルクホルンのカールスラント組がアレコレ言い合う。

 

 

「ヘリから落とされた時はヤバいと思ったけどねー」

「高度を上げてくれただろう?」

「降下して十分な速度が出たら、水平飛行に戻す やり方だったね」

「また やるかも知れない。 良い訓練だったと思えば良い」

 

 

うん。 アレは仕方ない。

最悪は戦って貰おうとして「落ちろ」と少女たちに命令したからね、ウチの隊長。

でも撃墜されてーの、纏めて海の藻屑にされる危険性、戦力増加を考えれば、アレは正しい。

 

 

「…………エピメテウス、こちらは問題ない。 燃料、魔法力共に余裕がある」

 

 

落ち込んだ声を出す隊長。

これからも強く生きて。

 

 

《魔法? ああ、ウィッチは魔法で飛んでいるのでしたね》

 

 

世界とのギャップに疑問の声が出たが、直ぐに飲み込んだ模様。

その感じだと、予め情報を得ているようだ。

人類の切り札だからね。 しかもココ、仮にも異世界に当たるワケだし。 来る時に情報くらい得ているか。

 

 

「でもウォーロックに対処するのに、エピメテウスを投入する?」

 

 

…………そう。 切り札とも呼ばれる程の戦力が"地球"を離れてココにいる事実。

不測の事態ではあったが、投入戦力としては過剰だ。

 

 

「只野」

 

 

そんな俺に無線を送ってくる隊長。 真剣な声だった。

 

 

「今は詮索するな」

 

 

まぁ、うん。 機密情報ってヤツ?

触れたら抹殺される系ですかね。 なら関わりたくない。 こちらから願い下げ。

 

 

「了解です」

 

 

"ただの"二等兵だしな。 上の事なんて知らないし知りたくない。 その方が楽だ。

 

 

《そのまま現在位置で待機していて下さい。 KM6がアプローチします、滑走路の前に出ないように》

「了解」「了解です」「了解しました」

 

 

返事をすると、遠くからEDFの空軍主力戦闘爆撃機KM6の編隊がやってきた。

アレは知っている。 戦時、隊長の指示で戦場に低空で突入、機銃掃射をしてくれたのを見たから。

 

 

『こちらKM6、着艦する』

 

 

ギア……タイヤを出して速度と高度を下げ、滑走路に降りて行く戦闘爆撃機。

その様子に、501が再び騒ぎ出す。

 

 

「おー! 見た事ない形!」

「あれがEDFの戦闘機?」

「翼が違うナ」

「武装は何処についてる?」

 

 

まぁ仕方ないね。 この世界には"はやい"航空機だ。

ジェット機は既に存在しているらしいが、俺らの世界の航空機の性能には遠く及ばない。

 

 

「おぉー! 速いんだろアレ!」

 

 

シャーリーちゃんも騒ぐ。 元気だなぁ皆。

 

 

「なぁ只野! アレに乗せてくれないか!?」

「俺に聞かないで」

 

 

下っ端に どうしろと。

して、この子は何故俺に絡んでくる。 やっぱ撃墜したのを根に持ってるんじゃね?

 

 

「仕方ないなぁ。 なぁワンちゃん!」

「無理ダナ」

 

 

ブフォッ!?

まさかのエイラの真似ですか隊長!

 

 

「あははっ!」「ふふっ」「(クスクス)」

 

 

笑みがこぼれる皆さん。

いやー、今のは似てたからね間違いない。

 

 

「私はそんなんじゃないからなー!」

 

 

エイラちゃん、オコなの?

赤くなって可愛いんだが。

 

 

「只野ッ、そんな目でミンナー!」

 

 

どんな目なんですかね、エイラちゃん?

ぜひお兄さんに教えて貰いたいね。

 

 

《盛り上がっているところ すいません、次はブルートとウィッチが着艦する番です》

 

 

おっと いかん。 仕事しないと。

俺は再び無線に集中。 隊長がやり取りを始める。

 

 

「失礼した。 エピメテウス側でリクエストはあるか?」

《ウィッチに滑走は必要ですか?》

「どうなんだミーナ?」

《絶対必要ではないけれど、魔法力を抑えるには使いたいわね》

「分かった───ウィッチが先だ」

《了解しました。 順番にアプローチして下さい》

「着艦の順番はミーナが指示しろ」

「了解」

 

 

手慣れてるね。 さすが我らがストーム隊長。

 

 

《ウィッチの着艦は初めてです。 専用機材はありませんが、何か必要な事は?》

「大丈夫です」

《航空管制了解。 着艦したウィッチは順次、奥のリフト上で待機して下さい》

「了解です。 みんな、大丈夫ね?」

「了解です」「了解しました」「了解ッ!」

 

 

ああ、陸とは違うもんな。

でもウィッチのいる世界だ、艦載機のような子もいそうだがな。 設備とか。

そこら辺、どうなんだろう。 カタパルトとか。

 

 

「非道な設備は無いよな?」

 

 

まさか基地の改造レールガンモドキみたいなのがある……なんて事は無いよな?

あら。 よく見たらエピメテウスに見た事ある砲身があるやん。

レクイエム砲もだが、それとは別に特徴的な形をしたヤツ。

 

 

「エピメテウスにもレールガンが」

 

 

そう。 新兵器(比較的)レールガン。

潜水母艦は開戦した時に緊急出航した筈だ。 レールガンは既にその時、完成していたのだろうか?

それとも、何処かに寄港して換装したのだろうか。

おっと。 詮索するのは良くないな。

 

なんて考えている間に、次々と着艦していく501の面々。

うーん、こうして滑走路を使っているのを見ると彼女達も航空機に見えてくる。

運用方法は似ているんだろうけれども。

でも……生身で少女が戦っているんだよな、魔法があるとはいえ。

 

 

「魔法、か」

 

 

もし彼女達が魔法を使えなかったら、どうなっていたんだろう。

 

幸せな人生だった?

それとも不幸?

 

魔法は本人を苦しめている?

それとも幸せに しているの?

 

 

「あー、やめやめ。 考えても仕方ない」

 

 

そんな「もしも」を考えて どうする。

仕方ないんだ。 こういう世界だ。

過ぎた事や起きた事を悲観して妄想するなんて、本人達に失礼じゃないか。

 

 

「そうだぞ只野」

 

 

隊長が声を掛けてくれた。

今度は明るい。

 

 

「欲求不満なのは分かるが、秩序を守れ」

 

 

そういう妄想はしていないです。

 

 

「違いますって!」

「グラマラス・シャーリーに誘惑されていたじゃないか」

 

 

おのれシャーリー!

俺は悪くねぇ!

けしからんボディをしているのが悪い!

 

 

《あのー、次はブルートです。 リフトに直接着陸して下さい》

 

 

困惑した航空管制官の声がする。

俺は悪くねぇ。 周りが悪いんだ。

 

 

「只野から着艦しろ」

 

 

爆弾を投下しておいて、鎮火させず仕事モードですか隊長。

 

 

「了解っす」

 

 

でも俺も仕事しなきゃな。

不貞腐れながらも、俺はブルートを操作。

無線交信して確認しながら高度を下げる。

 

 

「リフトはどれですか?」

 

 

うーん、リフトってどれだ?

ウィッチのいる場所とは別なのか。

 

 

《Hサークルが見えますか?》

 

 

あー、ザ・ヘリポートな所があった。

円が描かれて、真ん中に"H"とある。

 

 

《救命ヘリポートですが、リフトになっています》

 

 

オッケー。 大人しく向かうとしよう。

ところで……ヘリポートって"R"もあるが、そちらはレスキュー系だったかな。

強度や広さの都合で着陸が出来ない場合に描かれて、ヘリはその上でホバリング、隊員らはヒモ等で降下したりして活動するんだったか。

俺は座学の授業なんて大して受けていない。 ブルートの操作だって戦場で覚えた。 他もそうだった。

 

 

「向きはサークルに合わせる形で?」

《はい、お願いします》

「了解。 着艦します」

 

 

高度を下げて……着艦。

緊張したね。

ブルートみたいに鈍重なヘリの操作は、それなりの癖がある。

離陸には時間がかかるし、着陸はスロットルの調整をしないと、一気に落下して怖い。

 

 

《着艦を確認。 リフトを下げます》

 

 

降下する床……リフト。

太陽光が遮られ、一瞬暗くなると今度は人工的な光が入ってきた。

して、リフトダウンした先。 整備士な人達が誘導棒を振っている。

こういうのって、どうするのかね。 適当に振っているワケじゃないだろう。

 

 

《そのままヘリから降りて下さい。 後は我々にお任せを》

 

 

後はやってくれるらしい。 良かった、もうスロットルの上げ下げは良いらしい。

 

 

「了解です」

 

 

お言葉に甘えて降りて背伸び。

あー、疲れた。 長時間飛行だった。 燃料もそれなりに減っていた。 まだ飛べる量ではあったが。

 

 

「お疲れ様です。 救援感謝します」

 

 

整備士の1人が駆け寄ってきて、そう言う。

いや。 命令だったし、やったのは隊長だ。

 

 

「俺は何もしてませんよ」

「ウィッチを輸送していたのでしょう?」

「そのくらいですね。 ドーントレスを撃ったワケでも ありません」

 

 

なんなら1発も撃っていないまである。

飛んできたライオニックミサイルを隊長が"拾って"再利用、ウォーロックを倒しただけだ。

…………うん。 普通に凄い芸当だったね。

短時間でライオニックの誘導波を調整して"拾った"と思えばウォーロックに当てるとか。 隊長スゲェ。 それこそ魔法かと思った。

 

 

「ご謙遜を」

「後から来る隊長の方が凄いですよ」

「まぁ、そこはStorm-1ですからね……色々と普通の枠に収まらないのです」

「はははっ、やはり」

「ええ。 Storm-1が民間人だった時から、その片鱗はありました」

 

 

へ、ナニ。 民間人時代の隊長を知ってるの?

エピメテウスが?

 

 

「へ? エピメテウスって当時、極秘だったんじゃ」

「ええ。 少なくとも民間人は知らない存在だったのですが。 何故か彼は知っていたのか……開戦日、緊急出航したエピメテウスに見慣れない要請コードが来たりハッキングを受けましてね。 それがStorm-1だったと後々に知りました」

 

 

ファッ!?

どういうことなの……。

ますます隊長が人外染みているというか、謎が深まるんですがそれは。

 

 

「"民間人"からの要請を受けて、ミサイルを発射しちゃったりしましてね……それで担当員が艦長に怒られましたね……ははっ」

 

 

乾いた笑みを浮かべる整備士さん。

ナニやってんですか隊長……。 謝んなよ。 もう時効か、そうですか。

 

 

「まぁ話もなんです。 休憩室に案内します」

「助かります」

「ちょっと艦内の雰囲気は暗いですが」

「ナニかあったんですか?」

「ええ……スカウトウィッチが2名、撃墜されてしまって」

 

 

なんだって?

 

 

「無事なんですか?」

「なんとか一命は取り留めましたが、片割れはICU(集中治療室)にいます」

「そう、ですか」

 

 

先ずは安心して良いのだろうか。

助かって良かったと。

 

戦場にいる以上、10代の少女だろうと容赦なく命は奪われる。 それがこの世界の現実だ。

501のようにエリートな子達は生存率、生還率が高いのだろうが……他の、俺みたいな"ただの"軍人は その限りではない。

使い捨ての駒なのだ。

エトワール作戦で、改めて思い知らされた。

あんな、若い子達が。

命懸けで戦って。 足掻いて。 生きて。

人類の希望だなんて聞いたけど。

大人の都合で少なからず人生を滅茶苦茶にされているとも思う。

時に殉職の素晴らしさを風潮され、時に肉壁とされ、時に見捨てられていく。

そんな事をさせる連中、未来永劫呪詛したくなる。

 

 

「あの子達がなにをしたっていうんだよ」

 

 

"魔法"なんて持ったばかりに。

メルヘンな言葉で片付けてはならない。 魔法、それは一種の呪いだ。

こんな酷い仕打ちを受け続けなきゃならないのか、あの少女たちは。

 

 

「その事は」

 

 

整備士が声を掛けた。

どうやら、俺の心の声が漏れていたらしい。

 

 

「もう片方のウィッチから聞いた方が早いかと。 案内します」

 

 

して現実は、俺の事を嫌いらしい。

 

 

「"軍曹ちゃん"のところへ」

 

 




軍曹ちゃんと再会します。
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