Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
複数の氷山型ネウロイがアントウェルペン港に接近中!
このままでは港湾設備が破壊されるばかりか、状況次第で地上を制圧されてしまいます。
氷山型ネウロイに対抗する為、稼働可能なバルガを臨時投入。
歩兵部隊は援護をお願いします。
アントウェルペン港を防衛して下さい。
備考:
連合軍も援護する。



39.かき氷機バルガ

アントウェルペン港

 

海上巨大ロボット決戦の地と化したアントウェルペン港。

全高47mの、丸みを帯びた巨大ロボットことバルガが押し寄せてくる氷山型ネウロイを食い止めんと、港を背に海で戦う!

 

 

『うおおおおッ!』

 

 

右腕を大振りし、圧倒的な質量を持つ機械の拳を氷山に叩き込む。

ガギィンッと甲高い音と共に氷塊が四散。

氷山は身を削り、海を滑る。 否。 割る様に吹き飛ばされた。

大きな水飛沫が、氷が飛び散る。 双方が動くだけで軽い津波が港湾設備に海水の土砂降りを降らせる。

 

その銃弾使わぬ凄まじい肉弾戦に、ギャラリーと化した連合軍は驚く他ない。

まさか1940年代の西暦世界でリアル海上ロボット決戦が始まろうとは。

 

 

「なんなんだアレは!?」

「デカい!」

「スゲェぞ! 氷山を殴り飛ばしやがった!」

「クレーンが来るとは聞いていたが」

「クレーン!? アレがか!?」

「凄まじいな、EDFは」

 

 

港でビビる連合軍兵士たち。

EMCも凄いと思うが、質量ある巨大ロボットのスケールはロマンがあった。

 

因みに。 アントウェルペン港にバルガを輸送するに当たっては管轄側、連合に書類を送っている。

無断輸送じゃない。 EDF、偉いやろ?

ただ、そこには全高47mの"クレーン"と書いてあり、二足歩行ロボットとも質量兵器とも鉄屑とも書いていない。

若干、詐欺臭いが嘘じゃないし、変に兵器転用可能だなんて言ったら警戒されるし……まっ、多少はね?

 

 

「頑張れEDFッ!」

「頑張れー!」

「やっつけろ!」

「アントウェルペンを守ってくれー!」

「頑張ってー!」

『頑張ってじゃない! お前らも頑張るんだよ!?』

 

 

応援しかしない連合軍に文句を言う搭乗員。

だが やがて声援は、ひとつの言葉に集約させる!

 

 

「「「EDFッ! EDFッッ!!」」」

 

 

背に声援を受けたバルガは、なんだかんだやる気を見せた。

腕をクレーンの機動らしく、グルグルと回し両腕を天に上げ、背中のブースターから青白い炎を出してみせる!

 

 

『皆が期待する技をブチかますッ!』

 

 

バルガが近くの別氷山の前に躍り出る!

 

 

「おおっ! ナニを見せてくれるんだ!?」

 

 

戦場なのを忘れ、空の501もワクワクして見ている。

格闘戦とは心踊るナニかがあるのかも知れない。 それも巨大ロボットとなると尚更に。

バルガは拳を広げ、氷山を掬い上げる様に下から上へと一気に振り上げ、

 

 

『喰らえ! ちゃぶ台返しッ!!』

「「期待してない! そんな技ッ!?」」

 

 

ちゃぶ台を知る扶桑軍人の坂本と宮藤のツッコミを受けつつ、なんと氷山をひっくり返した!

 

 

「スゲェッ!? 氷山をひっくり返したぞ!」

「チャブダイガエシ。 なんて恐ろしい技なんだ!」

「俺もチャブダイガエシを習得すれば、ネウロイ相手でも!」

「無理だろ生身の人間じゃ」

「EDFの噂の強化外骨格があれば!」

 

 

チャブダイガエシ。

日本の……この世界だと扶桑の、ご家庭技を知らない欧州の人々はスゲェ技だと勘違いして興奮する。

まぁ、名前はともかく、デカい氷山をひっくり返しているワケだからね。

その意味ではスゲェと思う。 技名は ともかく。

 

 

「芳佳はチャブダイガエシ知ってるのー?」

 

 

ルッキーニが目を輝かせて宮藤に聞いてしまう。

デカいロボットがドンパチする姿に感銘を受けてしまったらしい。

そんなルッキーニに、なんて答えて良いものかと逡巡する宮藤軍曹と坂本少佐。

 

 

「うーん……詳しくないけど迫力はある、かな?」

「あー、なんだ。 説教する際に行われる儀式……いや。 技というかだな」

 

 

曖昧な話をしている間にも、バルガの戦闘は続く。

今度は別の氷山の元へと歩み寄り、両腕を天に上げてからの一気に振り下ろすWスレッジハンマーが炸裂! 氷塊を叩き壊す!

 

 

「いいぞー!」

 

 

一方的に氷山群を砕く光景に、連合軍の声も熱くなる。

が、しかし。

 

 

「氷山からナニか出たぞ!?」

 

 

中からネウロイ本体と触手が生えてきた。

それらはウネウネと動き、先端をバルガに向ける。

 

 

「ナニかをするつもりだぞ気を付けろ!」

『叫んでないで手伝ってくれ!』

「援護ならしている!」

『応援だけじゃないか! 撃ってくれ!』

 

 

デカいスピーカーで余裕な会話をしている間にも、戦闘は続く。

触手の先端がバラバラになり粒になったかと思えば、それらがロケット弾の様にバルガへとぶつかる。

刹那、次から次、雨霰と爆発。 爆煙がバルガの上半身を包み込んでしまった!

 

 

「ああ!?」

「自爆型ネウロイかよ!」

「おい大丈夫か!」

 

 

心配するギャラリー。

正史では軍事施設を沈黙させてしまう程の威力だったソレ。

ネウロイは先手を取られたが、コレでどうだ、と様子を見るように黙り込む。

ですが心配御無用です(CV:EDF広報)。

爆煙から操縦席から洩れる緑の明かりが煌めいたと思えば、次には拳が生えます。

 

 

「おおっ!?」

 

 

チョップするように氷山を叩き飛ばし、港から更に引き離す!

驚く間もなく、またも吹き飛ばされてしまうネウロイ。

 

 

『バルガはE1合金製! この程度、こそばゆい!』

 

 

煙を突き破り、現れる鉄鋼の巨体。

表面は全く傷付いておらず、圧倒的な強靭性を感じずにはいられない。

 

 

「スゲェ!?」

「自爆型に耐えるとは!」

「耐えるというか効いてない!」

「本当にクレーンかよ!?」

 

 

人類側も驚く威力。

そんな彼らに喝を入れるように、バルガ搭乗員が叫ぶ。

 

 

『ナニをしている! 要塞砲は飾りか!』

 

 

正史で吹き飛ばされていた、港防衛用の軍事施設に言うと、慌てた様にバカスカと砲撃を始めた。

 

 

「すまない! 援護する!」

 

 

バルガ程ではないが、宇宙人の鎧的な役割をする氷山を削ぐ手伝いにはなった。

それを迷惑だと思ったのか、それともバルガに少しでもダメージを与えるためか。

ネウロイはバルガを盾にするように位置取りをした。

 

 

「くっ! ネウロイめ!」

 

 

これではバルガに砲撃が当たってしまう。

砲撃の手を緩めてしまう連合軍。

それに再び声を上げるバルガ搭乗員。

 

 

『構わない! バルガごと撃て!』

「なんだって!?」

『先程の光景を見ていなかったのか! バルガは頑丈さだけが取り柄だ! 要塞砲くらい、なんて事はない!』

 

 

なんとバルガごと撃てという。

先程の光景や彼の覚悟を見て、連合軍は意を決した。

 

 

「わかった! 撃って撃って撃ちまくれ! 当たっても構わん!」

 

 

再び撃ち始める要塞。

砲弾は氷山やバルガに無差別に命中。

表面に爆炎が立つもバルガは無傷、ネウロイは表面を削がれダメージ。

バルガに殴られていたダメージもあり、よろけて大きな隙を見せるネウロイ。

 

 

『いいぞ! トドメは任せろ!』

 

 

言うと、バルガはクレーンらしい機動……腰を360度グルリと回転、その勢いのまま拳を叩き込む大技を披露する!

 

 

「「おおっ!」」

 

 

ネウロイは、耐え切れず真っ二つ。

コアごとやられたのか、光の粒子となり消えてしまった。

 

 

「す…………スゲェッ!」

「やったぞー!」

「EDF! EDFッ!」

 

 

勝利に沸き立つ港だったが港の奥には、まだ氷山がいる。

 

 

『数が多い! 本部、増援を要請する!』

『既に向かわせている』

 

 

言うが早いか。

空から更にバルガが投下された。

大きな津波が相次いで発生、港や見ている兵士を濡らしまくる。

が、それくらい気にならないくらいの光景に目を奪われる面々。

港を守る壁のように、MK-1を先頭に横一列に並んでいる その光景は圧巻だった。

 

 

「うおおおー!」

「まだ来るのか!」

「良いぞー!」

 

 

使用可能なモノを無差別に放り込んだのか、グリーンカラーやシルバーもいた。

グリーンはG型と呼ばれる特別に強度の高い機体。

大規模な架橋工事を想定して改修が施されており、パワーとボディ剛性が向上。

積載可能量を増加させることに成功している。

つまり、オレンジのバルガより強い(確信)。

シルバーはウォーバルガ。

戦闘用に調整されたバルガである。

安全第一の文字が、EDFの文字とエンブレムに変わっている。

強い(確信)。

かつて夕陽に染まる平原で起きた最大最後の激突で、後続のBチームやStorm1をパイロットとしたノーマルを入れれば、なんとひとつの戦場に17機(!?)も投入された事もある。

そうなった経緯はバルガをもってしても敵を倒しきれず、逆に倒されてしまったからなのだが。

しかし、この世界ではEDFが優勢だ。

ネウロイは港を破壊出来れば良いと特攻してるヤツもいたが、その目論見も儚く散った。

バルガ1機だけならともかく、こうも何機も来られては どうしようもない。

 

 

『バルガ全機へ! 氷山型ネウロイを殲滅せよ!』

『了解!』

『突っ込むぞ! うおおおおおっ!』

『EDFッ! EDFッ!!』

 

 

次から次へと氷山に突撃する巨人たち。

それに悲鳴を上げる様に自爆型ネウロイを発射しまくる氷山群。

それを正面から堂々と受け止め、爆炎を突き破り氷山を殴り壊すバルガ。

 

 

『アーケルスやエルギヌスより楽だぜ!』

『この程度かネウロイ野郎!』

『カキ氷にしてやろうか!』

『なら粉々に粉砕しないとなぁ!』

『オラオラオラァッ!』

 

 

圧倒的。 圧倒的な質量と威力。

即ち暴力。 虐め。 新手のパワハラ。

アントウェルペンは港でありながら、採石場ならぬ砕氷場となってしまった。

 

 

「圧倒的じゃないかEDFは」

 

 

歩兵の出る幕もなく、要塞砲が申し訳程度に支援したくらいの戦闘。

バルガとかいう、人型クレーンがアントウェルペンを守った戦闘。

連合側では、暫く その話題で持ちきりになったそうな。

 

 

「隊長。 俺らの出る幕なかったっすね」

「501の言う通り、仕事は無かったようだ」

「私たちも何もしてませんが」

 

 

ユニットでホバリングする501と大型戦闘ヘリ ブルートを操るStorm1、只野はボヤく。

まぁ、仕事が減る事は良い事だ。

楽できる内に楽をしよう。

大変なのは これからなのだから……。

 




かき氷機と化したバルガ。
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