Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
アントウェルペン防衛、お疲れ様でした。
501は訓練地の南島に輸送します。
Storm1と指揮下の隊員は待機していて下さい。
備考:
WDFとは。


40.WDF計画とは。 call sign:silver

アントウェルペン港

只野二等兵視点

 

 

海水で ずぶ濡れの埠頭に佇む俺と隊長。

海には海水に浸かる巨人の群れ。 連合軍兵士は、ソレを見て驚き笑い合っていた。

 

 

「ストーム隊長。 約束通り、教えて下さい」

 

 

だが俺には笑う余裕がない。

潜水母艦エピメテウス、待機命令を下された軍曹ちゃんに曹長ちゃん。

その理由を知らなくては ならない。 特に軍曹ちゃんは俺が最初に助けた子だから。

 

 

「良いだろう」

 

 

隊長は渋る事なく、淡々と話してくれた。

 

 

「WDF計画。 聞いた事はあるか?」

「名前だけは」

 

 

他の隊員が話していたのをチラッとな。

詳細は知らん。 でも所詮は噂だ。 あまり気にしていなかった。

北京決戦の例がある。 毒ガスの様な新兵器が使われたと噂されていたが、真相は大気汚染だったし。

 

 

「Witch Defense Forcesの略だ。 WはWorldともかけているようだ」

 

 

ウィッチ デフェンス フォース。

魔女を守るチカラ、とでも言うべきか。

ワールドなら、世界を守るチカラ。

EDFみたいだな。 今や虚しい響き。

 

 

「それと軍曹ちゃん達に関係が?」

「ああ。 エピメテウスはWDF計画の為に この世界に来ている」

「潜水母艦を出張らせる。 それだけデカい計画なんですか」

「そうだ」

 

 

事実なら、唾棄して跨げない真実がある。

ただの二等兵が知ったところで、どうしようもない気がしてきたな。

 

 

「EDFが この世界に来た理由は分かるだろ」

「はい。 物資や人員、土地確保の為です」

「そうだ。 それには連合国、世界に認めさせる必要がある」

 

 

まぁ確かに。

EDFは この世界からしたら異物だし、イキナリ来て物資を寄越せと言うワケだからな。

戦時中だし、ボランティアでくれてやる程、余裕はないだろう。

 

 

「それにはどうすれば良いと思う?」

「有益な関係を築く事ですかね」

 

 

EDFの技術や戦力を この世界に提供し、代わりに連合は物資や土地、人員を渡す。

理想は こうだろうな。

 

 

「そうだな。 だが、もうひとつ方法がある」

「へ?」

 

 

なんだろう。

まさか無理矢理?

それは……非現実的だ。 だって、兵力が足りない。 圧倒的に。

それにEDFがそんな事をする筈がない。

そう否定する俺。

だが現実は、そうはいかなかった。

 

 

「圧倒的なチカラで世界を掌握する事だ」

 

 

目眩がした。

隊長はナニを言っているんだと。

それじゃまるで……侵略者。

エイリアン連中じゃないか。

 

 

「隊長。 今のEDFに戦力はありません」

 

 

だから否定したくて。

事実を口から垂れ流す。 だけど、隊長の言葉も本当なんだと思う。

 

 

「無いなら創れば良い」

「それがエピメテウスですか。 確かに戦力としてはデカいでしょうね、でも」

「創るんだよ只野」

 

 

WDF。

つくる。 ウィッチ。 隠密。 潜水母艦。

言葉が頭をぐるぐる回る。 結果として生まれる言葉は分からない。 分かりたくもない。

 

 

「ハハッ、この世界の兵士をキャプチャーしてEDFの兵士として訓練して。 時間が掛かりそうですね」

 

 

だから適当な事を言ってしまう。

本能が真実を求めない。 虚実を求める。

 

 

「察している筈だ」

 

 

それでも隊長は追撃してきた。

仕方ない。 知りたいと申し出したのは俺の方だ。 責任は俺側にある。

 

 

「答えを言おう。 エピメテウスで軍曹ちゃんと曹長ちゃんに強化人間の手術を施す。 それで既存の兵器なんて比べるべくもないチカラを与える」

 

 

隊長が淡々と言い続ける。

足が地についていない感覚に襲われた。

隊長の言う通りだ。

何となく、俺は察していた。

でも、目を背けていた。 怖いから。 真実が。 知りたくなかった。

またも俺は、仲間を見捨てて逃げていたんだ。

 

 

「で、でも。 空軍のフーリガン砲だって量産出来るチカラはなかった。 兵士を人工的に増やすにしても改造するにしても、設備も物資も揃えられない筈です」

 

 

尚も逃げる為に意味なき言葉を走らせる。

そんな俺を隊長は責める事もなく。 ただ、それに対して答えてくれるだけだった。

 

 

「call sign:silver」

 

 

コールサイン"シルバー"。

その言葉は、生き延びたEDF隊員なら察せる"者"だ。

 

 

「まさか」

「そのまさか、さ」

 

 

俺は欧州に取り残されていた。

だからコマンドシップの話、エイリアンの司令官……神……【かの者】の事は詳しくない。

でも。 武器装置も無しに空を飛び、手からビームを撃ち、エイリアンの歩兵隊を空間転移で召喚し、宇宙から流星群を降らせるという無茶苦茶で、絶対的なチカラを持っていたという。

 

 

「かの者、銀の巨人。 あの死神をモデルに軍曹ちゃんと曹長ちゃんを創り変え、世界を産み直し支配する」

「ふざけるなぁ!!」

 

 

思わず叫んだ。 あらん限りのチカラだ。

港に響いたかに思ったがしかし、周りは気にも留めない。

喧騒の方がずっと高く、皆の注目はバルガである。

改めて自分の無力さを思い知らされた気分だよ。

 

 

「……すいません」

「構わない、俺も同意見だ」

 

 

そう言い隊長が何かを言おうとして───。

 

 

『こちら本部。 キール軍港がネウロイに襲われた。 直ちに救援に向かえ!』

 

 

本部からの無線が入ってきた。

全く、ゆっくりさせてくれよ。

色々と心が荒れているってのに!

 

 

「こちらStorm1了解。 只野、向かうぞ」

「……隊長は」

「どうした」

「WDF計画を最初から知っていて、軍曹ちゃん達を艦内に残したんですか!?」

 

 

これは聞いておきたい。

もし、そうなら。 俺は隊長と共に闘えない。

 

 

「違う。 アントウェルペンに移動中、オペ子からの機密通信で知った。 最初から知っていたらエピメテウスを撃沈してでも止めたさ」

「そ、そうですか」

 

 

安心した。 いや、安心は出来ないけど。

軍曹ちゃん達、大丈夫なのか?

 

 

「それに。 こんな事もあろうかと」

「はい?」

「艦内に入った時にバックドアは仕掛けておいた」

 

 

バックドア?

侵入口の事だっけ?

見かけないと思ったら、そんな事をしていたのか。

抜かりないというか、なんというか。

 

 

「でもエピメテウスは人類の切り札ですよね。 セキュリティは甘くなかったのでは?」

「心配するな」

 

 

そういうと。

フルフェイスヘルメット越しでも笑っているのが分かる口調で、言うのだった。

 

 

「俺は過去にエピメテウスにハッキングをした事がある男だぞ?」

 

 

ああ。 民間人時代でしょ?

Storm1が隊長で良かったかもな。

だから。 過去にハッキングした時の事は謝らなくて良いですよ。

寧ろドンドンヤッてくれ。

 




WDF計画の話。
これからどうなるのか……。

そろそろ終わりへ向けて。
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