Witch Defense Forces(WDF)(完結)   作:ハヤモ

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作戦内容:
緊急事態です!
各地でネウロイの同時奇襲を受けました!
カールスラント北部キール軍港を始め、ヴェネツィア公国では突如現れたネウロイと戦闘状態に入りました。
ヴェネツィアはロマーニャ地方を担当する第504統合戦闘航空団に任せ、EDF本隊はカールスラント防衛に回ります。
最寄りの部隊はキールへ急行。 戦闘に参加して下さい。
備考:
戦局は思わしくない。
万が一 占拠、突破された場合に備えてガリア国境にあるジークフリート線を第1防衛ライン、マジノ線を第2防衛ライン。
最悪、ベルリンは都市防空設備の高射砲塔を拠点に抵抗する。


間違いや矛盾があったらごめんなさい……。


41.熾烈な反攻

◆カールスラント ベルリンEDF本部〜

 

各地でネウロイが突如として同時出現した事で連合軍は混乱、各地の指揮官は部下を怒鳴り散らすばかりで指揮系統は混乱していた。

特にヴェネツィアは突然のネウロイ奇襲に混乱を極めており、人々が悲鳴を上げて逃げ惑っている。

指揮系統が独立している第504統合戦闘航空団は、なんとかそれらの混乱に巻き込まれず緊急発進して対処しているが、現地にいるEDF少数部隊も支援しなければならないくらいに逼迫。

EDF本部は相次ぐ戦闘報告に追われ、しかし最低限の冷静を備えて事に当たる。

 

 

「アントウェルペン港は陽動作戦だったのか!? いや、ヴェネツィアに現れたネウロイといい、ヤツらは神出鬼没、だが同時攻撃となると……ネウロイめ。 反撃に出てきたな!」

 

 

司令官は欧州の地図を広げながら、少ない戦力を効率良く運用する術を探った。

ヴェネツィアは混乱しているが、504を含む連合軍及びEDF小隊が対処している。

また、小康状態だった周辺国からの増援が期待出来る事から、問題はカールスラント北部のキール軍港に限定した。

北部に位置するキール軍港、基地は正史ではアントウェルペン港が破壊された代わりの補給基地として機能した。

正史ではネウロイの勢力下だったり、連合軍が無差別爆撃をしてでも取り戻そうとしていたが、501の活躍で ほぼ無傷で奪還している。

作中では、EDFがカールスラントに現れた際に領内や周辺地域のネウロイをフルボッコにした際、キールもEDFが取り返している。

その為、人類領なのだ。 今は、だが。

 

 

「ヴェネツィアは504、連合軍と現地に展開している小隊に任せる。 キール港が危険だ。 現地にニクス隊がいるとはいえ、輸送したばかりで持ち堪えられるか不明だ。 Storm1と501には悪いが、現地に向かわせろ!」

 

 

司令官が指示すると、すぐさま関係各所へ無線が飛ばされ、現場が慌しく動き回る。

501の面々は文句を垂れたが、戦闘を行っていないぶん、弾薬や魔力には余裕がある。

動かせる戦力があるなら、連合軍だろうと10代のウィッチだろうと放り込まねばならない。

 

 

「ネウロイの狙いはカールスラント奪還にある! 後方に防衛線を張らせる、ジークフリート線を第1防衛ライン、マジノ線を第2防衛ライン。 ベルリンはここ、【フラッグタワー】を利用する! 我々本部も白兵戦に備え、小銃を用意! 陣地放棄に備えて、工兵隊は地下に【C70爆弾】を詰め込めるだけ詰めろ!」

 

 

司令官は次々と命令を下した。

敵が本気なら、少数戦力しか配備していないキールは陥落する可能性が高い。

そうなれば次はベルリン、各国へ侵攻を開始する。

敵側の視点で考えれば、人類側が態勢を整える前に攻撃、電撃戦を行ってくると考えられる。

だが必ずしもキールを死守しなければならない理由はなくEDFも馬鹿ではない。

EDFが来る前から存在していたガリア国境にあるジークフリート線、マジノ線の要塞を利用、侵攻を阻止、或いは遅らせる。

これらにはEDFが近代改修をしており、火力と防御力が上がっている。

要塞は時代遅れ、とは501のハルトマンも言っていたが、EDFが手を加えた事により防衛拠点として十分な機能を発揮出来るようになった。

キール防衛が困難ならば、これら拠点に撤退させ、戦力低下を軽減させる。

また、キールに間に合わない増援部隊は、これらに向かわせる事で備える事が可能である。

その準備を慌しくしていると、無線機から悲鳴が上がった。

司令官は忙しくも仲間の声に耳を傾け、しっかりとした口調で対処。

 

 

《こ、こちらキール! 大至急救援を請う!》

《敵は大多数! 現状戦力では対処出来ません!》

《本部、本部ッ! このままでは全滅です!》

 

 

どうやら本部の予想通り、敵は本気で堕としに来ていた。

昔と違い、踏み留まる必要はない。

判断は早かった。

まだ組織的な行動が出来る内に、司令官は迅速に撤退命令を下す!

 

 

『キールを放棄する! 直ちに遅延行動をしつつ撤退せよ!』

《りょ、了解ッ!》

『ニクス隊、動けるか!?』

《こちらニクス隊! 起動シーケンス最終フェーズ!》

 

 

コンバットフレーム ニクスは起動していない。

無理もない。 キール軍港に空輸したばかりなのだ。 パイロットも現地で間に合わせだ。

だがニクスまで放棄すると、撤退する部隊が壊滅すると踏んだ司令官は、守るように指示した。

 

 

『戦闘可能な者はニクスを守れ! 起動次第、ニクスは部隊を守りながら撤退!』

《了解!》

『ガリア国境線に部隊を派遣する! 増援部隊も向かっている、持ち堪えてくれ!』

《任せて下さい! エイリアン連中の攻撃と比べれば、楽な方です!》

『すまない、生き残ってくれ!』

 

 

互いに、して自らを鼓舞するように言葉を掛け合い無線を終了する。

現地のEDF隊員らは、インパルス地雷をばら撒いて陸戦ネウロイ侵攻の足止めを行う事になる。

本部はキール防衛隊が無事に撤退してくれる事を願いつつ、現場が時間を稼いでくれている間に次の手を打つ。

ベルリン守備隊の戦力を割き、キールや防衛線に向かわせる。

EDF式訓練をした元連合軍達も投入。

して最悪は司令官や本部隊員自らが銃を手に取り戦う、身を削った覚悟だ。

本部も かつてはエイリアン連中に位置を特定され、攻撃された過去を持つが、何とか乗り越えてきた。

EDF隊員もそうだ。 テレポーションシップや輸送艇、バケモノに囲まれて袋叩きに遭ってきた事は数知れないが、それでも抵抗し跳ね返してきた。

大将、Storm1も現地に向かっている。

共に動いている只野二等兵も、欧州で逃げてしまい、不幸にも当西暦世界に飛ばされたが、なんだかんだ生き延びてきた兵士だ。

きっと、何とかなる。

そうでなければ。

 

 

「最悪は……WDFを投入する」

 

 

新たな"死神"のカードが、手札にあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆キール軍港

 

 

「キールはもう駄目だぁ!」

「こんな所で死にたくない!」

 

 

キールにいるEDF小隊は、無数に飛んで来るビームに悲鳴を上げつつも、港湾設備の影からライフルを出して弾丸をばら撒いていた。

彼ら兵士の背後には、しゃがみ込んだ姿勢のEDF普及量産型コンバットフレーム【ニクスB型】が並んでおり、ウンともスンとも動かない。

 

 

「おい! 起動はまだか!」

『もう少しだ!』

「これ以上は持ち堪えられないぞ!」

『連合軍は どうした! さっきまでいただろう!』

 

 

パイロットが、コックピットで操作をしながら怒るように言う。

連合軍のキール防衛隊がココにはいて、戦力はEDFより多かった。

なのに、今は見当たらない。 全滅してしまったのだろうか。

 

 

「とっくに逃げたよ! 俺たちを盾にして!」

『なんだって!?』

 

 

なんと、EDFを しんがり にして逃げ出したらしい。

 

 

「弾丸1発も撃たずに逃げやがったぜ!」

『くそっ! 俺たちだけか!』

「後方で守備を固めてくれている事を願うよ」

 

 

逃げ出したい気持ちは理解出来るので、適当にフォローする。

それより、今を生き延びなければならない。

 

 

『よし! コンバットフレーム起動! バトルオペレーション!』

 

 

永遠の様に感じた起動シーケンスが終わり、EDF印の鋼鉄巨人が立ち上がった!

歩兵部隊を守る様に前進すると、両肩のポッドからミサイルを発射し、両腕に備わるリボルバーカノンで無数の弾丸を吐き出していく。

それに押し流される様に、ネウロイは次々に一掃されて光る粒子となり、港をイルミネーションのように輝かせていく。

だが感動している場合ではない。

明らかに持ち合わせの弾薬では足りない数のネウロイが押し寄せており、留まれば殺される事に違いなかった。

 

 

『予定通り撤退だ! ニクスが援護する、歩兵部隊は下がれ!』

「やっとか! 言われるまでもない!」

「インパルス地雷を置き土産にばら撒いてやる!」

 

 

ただ逃げるだけでなく、ニクスが弾幕を張り敵を近付けさせないようにしつつ、その間に歩兵部隊が地雷をばら撒く。

EDFが去った地をネウロイが踏みしめる時には、無数のボールベアリングがネウロイをズタズタにして侵攻の足を鈍らせた。

しかし、EDFは敵と比べて少数だ。

数の暴力による恐怖は、EDF隊員らは知っている。

 

 

「来るな! 来るな来るなー!」

「元の世界で生き延びたんだ! こんな所で死ねるかよー!」

 

 

とにかく撃って撃って撃ちまくって、弾幕を張るしかない。

でなければ敵に飲み込まれて死んでしまう。

今は とにかく時間を稼いで、少しでも延命処置をするしかなかったが、敵のビームが苛烈でニクスの装甲が抉れ、融解していく事に焦りと恐怖を感じずにはいられない。

やがて、あるニクスのコックピット付近にビームが直撃!

脇腹に当たる部分が融解し、コックピットが露出。 中の隊員も同じように脇腹をやられて血が滲み出る!

 

 

「ぐわああッ!!」

 

 

反動で倒れていくニクス。

それをすかさず、隣にいた別機体が片手で支えて転倒を防止する。

 

 

「しっかりしろ! まだ動けるか!?」

「ぐっ……すまねぇ」

 

 

痛む身体にムチを打ち、生きている操縦系統を確認し、

 

 

「なんとか動ける……ッ、俺に構わず撃つんだ……ッ!」

「分かった! 死ぬなよ!」

 

 

怪我を負いながらも、戦力の低下を考えて仲間に言う。

言われた側も、彼の覚悟や動ける事を汲み取り、再びネウロイの群れにミサイルや弾丸を叩き込む。

 

 

「ぐっ……俺は まだ戦えるんだ……ッ!」

 

 

ニクスの左手で脇腹を押さえるようにコックピットを守り、右手でリボルバーカノンを撃ちながら後退。

ミサイルも撃ちつつ、後方陣地まで下がり続ける。

だが、インパルス地雷の影響がなく、空を掩蔽物として覆う飛行型ネウロイが、空からビームを乱射。

歩兵が吹き飛ばされ、損傷ニクスも転んでしまう。

 

 

「うわあああッ!!」

「ぎゃあッ!」

 

 

転び、空が見えた。

ネウロイが覆い尽くしているのが良く見えた。

 

 

(畜生、ここまでか)

 

 

赤いビームが視界に広がる。

マザーシップからの絶望的な砲撃、それらを運良く生き延びて来たが、とうとう運が尽きたか。

そう諦めて閉目しかけた時。

ふとEDF総司令官の言葉が思い出させる。

 

 

《絶望は何の役にも立たない!》

 

 

刹那、彼は刮目した。

ニクスのシステムは、まだ動けると教えてくれた。

 

 

(なら足掻け!)

 

 

咄嗟に操縦桿を倒し、ペダルを踏み込み、ブースト全開!

青白い炎を出しながら、ニクスは地面を擦るように転がりビームの着弾点から回避する!

 

 

「EDFッ!」

 

 

してすぐさま右腕を突き上げて、リボルバーカノンの銃身をフル回転、空に弾丸をばら撒いた!

 

 

「うおおおおおおッ!!」

 

 

気迫溢れる対空弾幕に、航空ネウロイは次々に粒子となり消されていった。

そんな彼に悪足掻きだと、ネウロイが数で押し潰しにくる!

しかし、無駄ではない。 その僅かな時間を稼いだお陰で、彼や皆は助かる事になる。

 

 

「良い根性だった。 ナイスファイト」

 

 

無線で英雄の声が聞こえたと思えば。

小型ミサイルが20発飛翔。

ネウロイに衝突、爆発。 爆発。 爆発。

ネウロイが次から次へと爆発していく。

 

 

「なっ!?」

「大型攻撃機による【AH高速ミサイル群】か!?」

 

 

隊員らが驚く間もなく、次には空からの弾丸の雨で地上のネウロイがバラバラに吹き飛ばされていく!

地上制圧機DE202ガンシップによる地上支援だ!

【105ミリ連射砲】や小型砲弾を拡散させ広い範囲に着弾する【120ミリ制圧砲】や攻撃支援システム「ラピス」により要請確認から発射までの時間を短縮、して航空機搭載可能な最大クラスであり敵を貫通する程の威力がある150ミリ砲【150ミリ単装砲ラピス2】、大型目標には更なる大口径だとばかりに巨砲【180ミリ砲】、それでもイマイチなら更なる巨砲【190ミリ砲】で地面ごとネウロイが吹き飛んだ。

なんで150ミリが航空搭載可能な最大クラスと説明しておきながら、180、190ミリ砲が搭載可能なのかとかツッコミはナシである。

EDF謎の技術。

 

 

「おお!」

「ガンシップによる支援!」

「ありがたい!」

「ということは、Storm1が!?」

 

 

隊員らは振り返る。

して期待通り、そこにはフルフェイスヘルメットのエアレイダー。

伝説の兵士、Storm1が後光を浴びて立っていた!

あと、オマケで"ただの"二等兵。

 

 

「待たせたな! これより撤退の援護を行う、いくぞ只野!」

「ウッス」

 

 

……やさぐれているのは、気の所為か。

 




ネウロイ反抗。
してチラつくWDF。
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