Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
残存戦力を集結させ、キール港のネウロイを殲滅、ネウロイを一掃したいところですが……。
先ずは進軍ルートを確認します。
空から501部隊のバルクホルン大尉とハルトマン中尉、陸はスカウトが偵察。
只野二等兵は作戦時間にスカウトに随行し、共に偵察任務に従事して下さい。
備考:
陸路は森です。
空からはこちら側が見難い為、無線での交信で連絡を取り合って下さい。
なんでその場所に森があるのとか地理条件とか、突っ込んではいけない……。
ほらEDFだから。 民間人時代のミッションで、基地から逃げる時、道無き山の中を通ったじゃん(言い訳)。
時系列にも突っ込んではいけない(殴)。
間違いもあるかも……。
長め回。
スプリガン隊の登場時間を増やしてみました。
前はグリムリーパー隊がやや長めでしたからね……。
誤字報告、感想、ありがとうございます。
◆ベルリン・高射砲塔要塞フラッグタワー
EDF作戦司令本部・司令官視線
本隊はジークフリート線に到達したか。
ネウロイを掃討出来たし、ストームチームを集結させる事が出来た。
このままの勢いで北のキールを奪還したいところだが……森を抜けねばならない為、進軍速度がガクッと落ちるのは必至。
しかもだ。 レーダーでは航空ネウロイと思われる反応を捉えている。
これは進軍してくるEDFや連合軍を待ち構えているか、哨戒しているヤツだろう。
見つかれば攻撃を受け、戦力を削がれる可能性が高い。
森の木々で見つかり難いとは思うが、大人数の移動はバレる。
むうぅ……! やむを得ない!
「ジークフリート線にいる本隊を分散させ、各地にいるネウロイからの反抗に備えろ」
私は貴重な戦力を分散させてでも、反撃に備えた。
ここまで来て、慌てて全軍を進撃させるのは愚策だ。
ネウロイはキールだけでなく、カールスラント各地に残存している。
それ以外にも、東のユーラシア大陸からネウロイが来るかも知れないからな。
キール攻略中に、ソイツらに背中を撃たれる訳にはいかないのだ。
勿論、キールは奪還する。
ガリアや各国に籠る連合軍に任せていては、ネウロイが足並みを揃えてしまうからな。
EDFの居場所確保の為にも、連合軍への見せしめの為にも戦わねば。
先ずは進軍ルートや敵の情報を得るぞ。
ベース228奪還作戦の時のように、ストームチームを向かわせる方法もあるが、勝手が分からぬ土地を進むのだ。
偵察部隊を進ませて、その上で考えねば。
その間、ネウロイが反抗に出ないか不安であるが……上手くいってくれ。
祈りながら指示を出していると、ミーナ中佐が声を掛けてきた。
背を伸ばし、真っ直ぐ語りかけてくる。
有益な話ならば聞こう。 猫の手、彼女の場合はオオカミの手も借りたいのでな。
「司令官。 501からも偵察を出します」
それはありがたいが、大丈夫か?
いや、今更ではあるが。
501……統合戦闘航空団は仮にも連合軍の、数多ある部隊のひとつなのだ。
命令系統は各国から独立しているとはいえ、総司令部からの命令には従わねばならない。
「連合司令部からは、何か言われていないのか? 大丈夫なのか?」
「501はネウロイからの襲撃を受けており、反撃しているだけです」
堂々と言われた。
詭弁に答弁というか、頼もしいというか。
隊長として部隊を率いる以上、そういった事にも長けているようだな。
「分かった。 ならば、EDFも協力しよう」
「ありがとうございます」
礼を言うのはこちらだ。
全く。 良くできた嬢さんだ。
上層部も、こうであって欲しいものだ。
「501からは誰が出る?」
「バルクホルン大尉とハルトマン中尉を考えております」
カールスラント組だな。
祖国の危機だ。 喜んで志願してくれるか。
だが魔法力は大丈夫か?
魔法のことは詳しくないが、燃料の様なものだと考えている。
或いはウィングダイバーのエナジーや、コア。
時間が少し経ったとはいえ、ジークフリート線の戦闘で消耗している筈だが……。
それを察してか。
ミーナ中佐は説明するように言う。
「完全回復とはなっていませんが、偵察任務を請け負う事は出来ます」
「……信じよう。 魔法や隊員の事は中佐の方が詳しいからな」
私は止めなかった。
軍人とはいえ、10代の女性を戦場に放り込むべきではないだろう。
だが、人手不足は深刻だ。
やはり協力してくれるならば、使わねばならない。
「危なくなったら退避するように伝えてくれ」
せめて。
罪の意識から、それだけ言う。
これを"地球"でも言える事が出来たら、どれだけ気が楽だっただろうな…………。
◆ジークフリート線
只野二等兵視線
本隊が来たから楽が出来るかと言えば、そんな事はない。
直ぐに北の森へ偵察隊が組まれる事になったのだが、そのメンバーに俺も含まれた。
「何故だ」
嘆く俺に漆黒のフェンサー、グリムリーパーの隊長が声を掛ける。
228基地や戦場では何度か見かけたんだがな、こうして話すのは何気に初めてだ。
「良かったな。 死んで来い」
内容はアレだったが。
ワイルドボイスが身に染みるぜ畜生!
「なんで死ぬ必要があるんですか」
「それが仕事だ」
「冗談じゃないッスよ。 強行偵察じゃないんですから」
酷いッス。
噂には聞いていたが、死に場所を求めている節があるせいか、こんな言い方をするのだろうな。
「それに、俺は まだ死ねない理由があります」
「ほぅ。 聞かせてみろ」
興味を持たれたよ。
光栄だね、Storm3と話せるのは。
「軍曹ちゃんに会うまでは死ねない」
そう。
WDF計画の実験台になったらしい、軍曹ちゃんと曹長ちゃんに会うまでは。
「軍曹"ちゃん"だと」
トーン低く、アルファベッドのGをドクロマーク風にした絵が描かれたシールドを構えられた。
へ、ナニ。 ナニか知ってるのか?
「人の趣味にとやかく言うつもりはないが、俺の背後に立つな」
「違いますよ!?」
死神相手に、あらぬ誤解を招いた!
Storm2とナニかを想像したのか、止めろやマジで。 気持ち悪いヤダオメェ……!
「ウィッチの子です!」
「異界の小娘か。 それならそうと言え」
勝手に勘違いしたんだろうが死神野郎!
あ、勿論言わないよ。 格上の人だし。
「恋人か?」
ウィッチが恋人。
なんだか犯罪臭が。
基本的に10代だし、えっちな関係に発展すると魔法が使えなくなると聞くし。
でも違うからな、狼狽えない。
なんなら恋人歴ナシ=年齢まである。
悲しいなぁ。
「そんなんじゃないです。 ただ、この世界で初めて会った人ですし、大切な子なんです」
あまり それらしい事もしてないけどな。
作戦行動の連続で、一緒には動けなかったし。
「気が付いたら手の届かない場所に行ってしまいまして。 今は、いつか会えると思って生きています」
「そうか。 なら足掻け、精々後悔の無い様に生きろ」
そう言うと、Storm3は どこかへとのっしのっしと歩いて行った。
ヤベェ。 死神に生きろとか言われたよ。
なんか不思議な気分。
「後悔の無いように、か」
下っ端の二等兵な俺に、何が出来るかは分からないな。
「やあ、異界に飛ばされたヤツ」
うおっ!?
突然、お姉さんの声が!
慌てて振り返れば、そこには赤いウィングダイバー装備の部隊が。
えっと……スプリガン隊、Storm4か!
「面白い驚きようだ」
「そりゃ、突然に精鋭の隊長に声をかけられれば」
俺なんかに声を掛けてくれて嬉しいけど。
「ところで、ご用件は?」
「嘆く顔を見にきた」
良い趣味してるなおい。
この後、もっと嘆くかも知れないけど。
エイリアンの前哨基地 偵察戦の時みたいな目に遭わない事を願う。
「そんな顔をするな。 偵察や観察経験くらいあるだろう」
「そうっすね。 ただ俺って不幸体質みたいで、行く先々で酷い目に遭うんで」
巨大な怪生物が乱入してくるとか、赤色機に狙われるとか。
真後ろにアンカーが落ちてきたり、戦闘マシンが降ってきたり。
上から来るぞ気を付けろ、と思えば足下から侵略生物が出てきた事も。
この世界でも何度か酷い目に遭ってきた。
不幸体質は世界を越えても変わらないらしい。
「だが、お前は乗り越えてきた。 違うか?」
乗り越えてきた?
逃げ隠れしてきたのを乗り越えたというのかな?
「建物に隠れたり、友軍任せにしている時が多かったですよ」
「死なずに来たんだ。 乗り越えたと言って良い」
「そうっすかね?」
「そうだ。 だから偵察任務だろうと何だろうと、お前は乗り越えられる。 自信を持て」
「持てるか分からないですが、頑張ります……あざっす」
この先も乗り越えたいなぁ。
自身の生死もそうだけど、仲間の犠牲を見て絶望した事は幾度とある。
軍曹ちゃんと曹長ちゃんが無事な事を願うしかない。
もし、変わり果てていたら……俺は耐えられない。
「ところで、死神とは何を話していたんだ?」
「大した話じゃないっすよ。 軍曹ちゃんの話をしていたんです」
そう言うと顔をほんのりと染めて、
「人の趣味にとやかく言うつもりは───」
「ちげぇよッ!? 腐女子か貴様ッ!?」
思わず突っ込んだ。
俺も悪いけどさ、なんなの精鋭どもは!
「スプリガンにエライ態度だな」
「誰のせいだ、誰の! ウィッチの軍曹ちゃんですよ!」
「なんだ。 それならそうと言え」
つまらなそうにするなよ。
やっぱり腐ってるのか?
「ウィッチは魔法で空を飛べるんだったな」
「らしいですね。 ウィッチは色々と特殊ですよね」
「我々ウィングダイバーとは異なるが、長時間飛べるのは羨ましいな」
ああ。 航空ウィッチは凄いよね。
ストライカーユニットで空を飛んで、戦える。
やはり、広い空を飛ぶのは気持ちが良いのだろうか。
俺はヘリを操縦出来るけど、やはり体感はまるで違うだろう。
その意味では羨ましい。
「でも住み分けは出来るでしょう?」
「ああ。 お嬢さん達は航空機のような扱いと戦闘で……ふふっ」
突然微笑んだ。
へ、ナニ。 思い出し笑いかな?
「すまない。 グリムリーパーに言われた時を思い出してな」
「Storm3が?」
「ああ。 死神連中は私達をお嬢さんと呼ぶんだ」
「良いじゃないですか。 若く見られてるみたいで」
言ったら、ドス黒い笑顔に。
あ、ヤベェ。 失言だったか!?
寒気もするし、変なオーラまで漂い始めたぞ!?
「私達は実際に若いぞ?」
「すみませんすみません!? 失言でしたァ!」
ヤベェよヤベェよ。
曹長ちゃんにセクハラ発言をして、軍曹ちゃんに止められた時みたいだ!
「話を戻すぞ」
どうぞどうぞ。
手で促しつつ、罪を帳消しにしてもらった。
「ウィッチは航空機の様な運用方法だが、我々は歩兵だ。 陸戦で立体的な起動を取る事で敵を撹乱したり、予測不能な不意打ちが可能だ」
「ですよね」
「空軍と陸軍だな。 空を飛べるといっても、戦法や運用が異なる。 だから同じ戦場にいても仕事は違うぞ」
ヘリコプターとネグリングみたいな?
いや、それは極端か。
なんにせよ、互いに喧嘩するとか仕事を奪い合ってる仲じゃなさそうで良かったよ。
「陸戦ウィッチは、どうなんです?」
戦車にも似た装甲や武装……ユニットを着けて戦う子もいる。
俺は見た事はあっても、交流経験がないからな。
スプリガン隊は知っているかな?
「ああ、ウィッチ版フェンサーか。 彼女達の運用方法はフェンサーと同じか、ブラッカーと似ているな。 ただパワードスケルトン程のパワーを出せる子がいないのか、全く同じ装備は出来ない」
そうか……同じ装備が使えるなら良かったんだが。
ウィッチは魔法の力で、ちょっとした重い物でも持てる様だが、流石にフェンサー程の装備は無理か。
501の、固有魔法が怪力のバルクホルン大尉なら使えるだろうか。
いや……キツいか。 反動があるからな、撃った衝撃だけで命を落としかねない程の。
「フェンサーやビークルの水増しと、侮辱する気はない。 ただ歩兵以上、ビークル未満と微妙なラインだ。 魔法を使う事やシールドを張れるから、それらを活かした戦術がありそうだが……連合軍では どうなんだろうな。 なんにせよ、歩兵の数が増えた事はありがたい筈だ」
ふむ。
連合軍では良くとも、EDFの中だと微妙なラインになっているのか。
でも有難い。 EDFじゃ歩兵だろうとなんだろうと、人手不足だからな。
多いに越した事はない。
「そんなウィッチ達だが。 階級は最低でも軍曹なんだな」
そうなんだよな。
だから軍曹といってもウィッチの場合、新兵の者もいるわけだ。
士官学校等、出たての少尉……尉官ウィッチもそうだろう。
「その様です。 特殊技能ですし」
「魔法を扱える子達が、怪異のネウロイに有効な戦力だ……貴重な兵士だ。 複雑だな」
後は男女間のトラブルを避けるために、上官となるよう位置づけられている面がある。
えっちな関係になると、魔法が使えなくなり、戦力にならなくなるからな。
もし"破った"ら、極刑に処される可能性がある。
EDFはその辺、厳しくはないけれど。
普通に基地内やキャンプ内で男性兵士とウィッチは話し合っている。
惚れた腫れたも個人の自由だろう。
ヤッてるかは別として。
「EDFもなりふり構ってられませんから」
だからって、人体改造をするべきじゃないと思う。
軍曹ちゃんに曹長ちゃん……心配だ。
「寡兵のEDFでは全てに対応出来ない。 だから連合軍が通常兵器でも立ち向かえるように、いっそEDFの武器や技術を渡すべきという意見もあるが。 そんな事をすれば、連合軍が何をしでかすか……EDFも遊びに来ている訳じゃない。 有利なポジションは維持したい。 だが、それは連合の各国も同様だろう。 人類は有事の際も……いや。 有事な時ほど醜い時がある。 その辺は上の仕事だが」
醜い、か。
結果が火を見るよりも明らかな時もそう思ったかも。
交渉に応じる気がなく、ガチで殺しに来ている連中に交渉団を向かわすとか。
害虫駆除みたいに殺戮してくる隣人に銃や爆弾じゃなく対話を試みろと言う政治家とか。
許された土地で生き延びようと考える政治家に、そもそも交渉に応じないのが分からないのって突っ込みたい時とか。
本部も言っていたらしいが、現場はそれどころではないのだ。
今回の相手は怪異の軍勢と人間の連合軍だけど、悠長な相手ではない。
殺らなきゃ殺られる。
前線で沢山の命が散る中で、上の連中はナニを考えているのか。
負の連鎖を止めたくて、自分なりに考えた結果なのかも知れないが。
「まつりごと は分かりません。 俺、二等兵ですし」
逃げた。
いや、無力だし俺。 言い訳だけど。
「なに? 二等兵なのか?」
はい、下っ端ですがナニか?
「もっと上かと思っていたが」
「上が仕事してないのか、意図的にしているのか、俺は二等兵のままです」
別に良いんだけどね。
それでイジメられたり、言い方や態度を気にするヤツはいないから。
連合軍で気にしてくるヤツはいるけど。
万年二等兵で"上等"兵。
「私から本部に言ってやろう」
「良いですよ。 今更上がったところで、戦場に放り出させるのに変わりないでしょうし」
人の上に立てる器じゃないし。
指示とか無理。 士官教育も受けてない。
「お前がそう言うなら良いが」
階級より食い物とか、休暇が欲しいです。
でも言わない。 みんな同じだろうからね。
「私はそろそろ行く」
「はい。 お話、ありがとうございました。 気が紛れましたよ」
「それは良かった。 こうして人と話せるのも貴重だろう。 任務まで時間があるなら、連合の兵士でも隊員とでも話したらどうだ?」
そう言うと、スプリガンの隊長は どこかへ飛んで行った。
ううむ、あの短パンも際どい。
飛行ユニットに干渉しない為だろうけど。
ウィッチとどっちが良いだろうか。
「さて。 誰かと話すか」
周りを見渡す。
崩れた要塞内には本隊の連中と、作戦会議かナニかしてるStorm1、2がいるだろう。
邪魔しちゃ悪い。
WDF計画の件を話したいが、今は別の仕事をしなければ。
離れたところを見る。
ストライカーユニットを調整しているシャーリーや、談笑している501の面々が見えた。
こちらなら大丈夫かな、話してみよう。
南の島ではドタバタして、あまり話せなかったからな。
シャーリーは忙しいかもだし、戦闘隊長の坂本は作戦会議中なのか見当たらない。
エイラとサーニャは仲良く話しているから悪いしなぁ。
宮藤はリーネと話している。
バルクホルンはハルトマンと会話中。
ルッキーニは寝てるし。
うーん、後は……ペリーヌか。
「えっと、ペリーヌ中尉」
やべ、少しオッサンみたいになったか。
だがしかし、呼ばれたペリーヌは邪険にする事もなく、明るい笑顔で対応してくれた。
「はい、なんですの?」
やべ、ナニを話すか考えてなかった。
えーと、取り敢えず労おう。
「戦闘、お疲れ様でした」
「ありがとう。 只野さんもイェーガー大尉と共に奮闘なされていたのでしょう?」
お、おお。
知っていたのか。
これで会話も弾みやすい。
「そうなんです。 プロテウスって乗り物で」
「とても強力な兵器でしたわ。 最後は残念でしたが、お陰で私たちは生き残れました。 改めて お礼を言わせて下さいまし」
「そんな礼なんて! 皆のお陰ですよ!」
「謙遜されなくても。 立派に戦ってくれましたわ」
俺はただ、シャーリーと砲弾をブッパしていただけだよ。
話を変えよう。
照れ臭いからね。
「中尉はガリア出身なんですよね?」
「ええ。 EDFのお陰で、早期に奪還出来ました。 ただ」
うん? ただ?
「ガリアの街並みが悉く破壊されてしましましたが」
おうふ…………。
俺の所為じゃないが、殆どEDFの所業だからなそれ……。
エトワール作戦前からの、雨霰な硝煙弾雨の嵐、砲撃でガリアの土地をボコボコにしたか
な。
「すいません中尉」
「いえいえ、只野さんの所為じゃないのは分かっております。 気を悪くなされないで。 それとペリーヌ、で良いですわ。 敬語もなし。 只野さんたち、EDFからなら皆は気にしないと思います」
いやぁ、同情はするよ。
EDFは建物に配慮しなかったからな、復興の目処は立つと良いが。
パリには、エッフェル塔とかエトワール凱旋門があったのかもだが、そういう歴史的な建造物も吹き飛んだだろうなぁ。
そんな、暗い顔をする俺を明るくしようとしてくれたのか。
前向きな話をしてくれるペリーヌ。
「各国からの支援もありますし、ガリア復興の為に頑張っていくつもりですわ。 リーネさんも手伝ってくれますのよ」
そうか。
…………ペリーヌって、隊長からチラッと聞いた感じ、家族も失っているんだよな。
それでも、こうして笑顔で話せる。
まだ子どもの歳なのに。
強いんだな。 羨ましいよ。
「そうなんですね……じゃなくて、そうなんだね」
「ええ。 もし、ガリアに来る事があれば景色を堪能していって下さいね」
そんな時。
傍からチョッカイをかけてくるイタズラ娘が現る。
エイラだ。 やや後ろにサーニャ。
「なんだー? ツンツンメガネがツンツンしないで話してるなんて、珍しいな」
「エイラ。 ペリーヌさんに失礼よ」
「その通りですわッ!? いきなりなんなのですの!」
「はいはい、ツンツン」
「キ〜ッ!! ほんと、貴女って人は〜!」
なんだろう。
2人の関係が少し分かった。
取り敢えず、落ち着かせよう。
「落ち着いて。 エイラはナニか用があって来たんだろ?」
「いやなに、楽しそうに話してるのが見えたから気になって来ただけだよ」
左様ですか。
みんな、気さくというか、暇なのか。
「本当に無粋ですわね、だから───」
「あっ。 もう少しで会議が終わって、坂本少佐が来るんじゃないか?」
「なっ!? こうしてはいられません! 失礼しますっ!」
「…………ちょろい♪」
駆けていくペリーヌの背中を見て、ニヤつくエイラ。
ナニか。 ペリーヌは坂本にゾッコンなのか。
して利用するエイラ。 悪い顔。
「もう、エイラったら」
「別に良いだろー? 嘘じゃないんだし」
そんなエイラは、サーニャにベタなのか。
聞いたら男子中学生みたいなナニかになりそうなので面白そうだが、止めておこう。
命拾いしたな、流石は回避のエイラ。
否。 彼女の実力ではない。 全ては俺の裁量さ。 なんてな。
「なんだよ、ニヤニヤして。 スケベな事でも考えてたのか?」
ダメだ、調子乗ってる。
俺の裁量で爆撃しよう。 気分は誘導兵。
「エイラはサーニャの事が大好きなんだな?」
「ナァッ!?」
やはりか、赤くなって面白い事になった。
友情を超えたナニかをエイラは持っているのだろう。
「た、只野が思っているよーな事は無いったら無いんダナ!」
「俺がナニを思っているって? タロット占いが趣味で魔法で未来予測が出来るんだってな、当ててくれよ、おうアクしろよ」
チンピラみたいになったが、これもエイラが悪いんで。
サーニャを巻き込むようで悪いが、許せ。
「こんの、鬼! 悪魔! EDF! スケベーッ!」
なんでや! EDF関係ないやろ!
まあ良い。 反撃しよう。 侮辱罪な。
「そうか。 サーニャ、気を付けろよ。 エイラはスケベらしい」
「ち、違う! 只野がスケベなんだ!」
「ナニが違うんだ。 Storm1から聞いたぞぉ、エイラはオッパイを揉む趣味もあると」
「ワンちゃんは どこ行ったーーッ!!」
凄い勢いで走っていったぞエイラ。
やべぇ。 隊長には悪い事をした。
多分、大丈夫だろう。 そう願う。
てかワンちゃんって呼ばれてたのね。
「もう。 只野さんまで」
残ったサーニャは、ほんのり頰を染めて可愛い。
「ごめんよ。 エイラがイタズラ好きみたいだからさ、やり返しちゃったよ」
やったらやられる。 報復! 抑止力!
自己防衛権!
まさか、スオムス……こちらでいうとフィンランドに該当……の子に攻められ、逆に陥落させる事になるとはな……。
武力じゃないので平和的解決。
「してサーニャ、こうして話すのは自己紹介以来かな?」
「そうですね。 あの後、色々とあったけど」
「あはは…………ごめん」
彼女らが料理している建物に、ミサイルのトップアタックをかましたからな。
申し訳なく思っている。
反省だけならなんとやら。
「オラーシャ出身だっけ? 家族と離れ離れだとか」
東のユーラシア大陸、そこにあるオラーシャ。
俺らの世界だとロシアに該当する。
向こうにもネウロイが跋扈しており、戦場となっているとか。
首都はモスクワだったな。
……俺らの世界じゃ、戦闘ロボット総数200機が投下され、守備隊が短時間で壊滅、モスクワは陥落した。
こちらの世界では、そんな事にならない事を願うよ。
「ええ。 でも、いつか平和になったら会えると信じています」
「いつか会えるさ。 俺も、そう信じて会おうと思っている子がいるんだ」
「大切な人なんですか?」
「うん。 ウィッチの軍曹ちゃんと、曹長ちゃん。 離れ離れになったけど、いつか会えると信じてる」
「きっと会えますよ」
「そうだね、ありがとう」
人体改造された疑いがあるんだがな。
それは言わない。
戦時とはいえ非人道的な話を聞いて、良く思うワケがない。
…………話を変えよう。
「武装は多連装ロケット弾を発射する、フリーガーハマーっていうのを使用しているようだね」
「はい。 強力な武器です」
「EDFにも似た武器があるんだ。 カスケードとかボルケーノとか。 誘導性はないけど、連射出来るから多くの標的に当てられる」
「魔力ナシでも、誘導出来る武器があると聞いた事があります」
「レパード誘導ロケットランチャーかな。 発射されるロケット弾にセミアクティブレーザー誘導装置が搭載されていて、ランチャーから照射されるレーザー光をセンサーが検知する事で進路を変えられる」
「えーと?」
「着弾位置をコントロール出来るんだ」
「南の島のは、それで?」
「いや、アレはプロミネンスっていう大型ミサイルランチャーを使った。 標的を予めロックオンして撃つもので、大型誘導ミサイル……誘導弾を発射する。 後は自動的に標的目掛けて進むんだ。 プロミネンスの場合は落下、といった方が良いかもだが」
「只野さんとシャーリーさんが乗っていた乗り物の武装にも、誘導弾を発射する箱が付いていましたね」
「良く見ているね。 アレも似たようなものさ」
暫くたわいもない話をして、礼を言うとエイラを探しに行ってしまった。
入れ替わるように、今度は宮藤とリーネのコンビが来た。
この2人は今のところ階級が同じだし、大人しそうな雰囲気からも仲が良いのだろうな。
「お疲れ様です、只野さん」
「お疲れ様です」
「2人こそ、お疲れ」
宮藤は扶桑。 名前で分かる通り、俺らの世界だと日本。
リーネはブリタニア。 イギリスに該当。
「頑張ったね。 良くやった」
「只野さんも。 シャーリーさんと凄い砲撃をしていて、凄かったです」
宮藤が褒める。
そんな宮藤も凄いと思うよ?
固有魔法は治癒系なのと、医学に心得があるようだし。
実家が診療所なんだっけ?
横須賀海軍基地が近いとか。
それは有名だけど、流石にエピメテウスを繋留出来る設備は無いだろうな。
「精度は荒かったけどね。 その点、リーネは狙撃が上手かった。 見習いたい」
「そんな! 私なんてぜんぜんっ!」
リーネを褒めてみたら、謙遜された。
いや、普通に凄いと思うんだが。
「EDF製の銃座に初めてついて、あそこまで的確な攻撃は中々出来ないよ」
いやマジで。
クセが酷いからね、直ぐに慣れたリーネは凄く凄いです。
ウィッチとして使用している武装は、対物狙撃銃だったか。
それと固有魔法が弾道安定系。
その意味でも、狙撃の腕や才能があるのだろうな。
羨ましいぜ、全く。
「だって! リーネちゃん凄い!」
「そ、そうかな? ありがとう芳佳ちゃん」
きゃっきゃっと会話する2人。
仲良い事は良き事かな。
「宮藤も凄いぞ」
「へ? 私、何かしてましたっけ?」
「衛生兵をやってくれたじゃないか。 仲間を助けてくれて、ありがとうな」
戦闘だけじゃなく、救護班も……というか、あらゆる面で人手不足だったからな。
特に銃座についてトリガー引けば良い兵士ではなく、知識が要求される面での人手はありがたかった筈だ。
「えへへ……お役に立てて、良かったです」
笑顔を見せてくれた。
いつの日か、誰もがそうなると良いな。
暫く話して、負傷兵の様子や雑務の仕事をしに、2人も どこかへ行ってしまった。
頑張り屋だな。 自分から役に立とうと動けるのは立派だ。 俺なんかより、余程な。
続いて、思い出したかの様にやってきたのはシャーリーだった。
手にスパナを持っている。
ユニットの調整は終わったのかな?
「よっ。 色んな子と話しているみたいだな。 私も混ぜてくれ」
「もちろん。 ユニットは良いのか?」
「終わったよ。 それよりも、その足を見せてくれるか?」
ああ、アンダーアシストを見せてとか言ってたな。
見たきゃ見せてやるよ。
仕組みとか聞くなよ。 俺も分からん。
「ほー……全然、分からん! 仕組みは?」
だから聞くなよ。
「俺も分からない。 Storm1に聞けば分かるかもね」
Storm1は元整備士だ。
技術屋としても、何か知っている可能性はある。
「じゃあさ、それを私にくれないか?」
「無理ダナ」
エイラの真似。
俺もハマりそう。 つーかハマった。
「ぷっ、ははっ! エイラも幸せだなぁ」
「さっき、ウチの大将を探しに行ったよ」
つい言ってしまったが、実際に大将らしいので良いだろう。
そういう兵士もいるし、訂正する事じゃない。
本人は、そう言われるのは嫌かも知れないが。
…………なんか、改めて凄いよね。
最下級の二等兵な俺の直接の上司、隊長が最上級であろう大将の時が何度もあった。
間に一等兵すら挟まず、尉官も飛び越えてるもん。 EDFヤベェ。
「大将?」
シャーリーが聞き返してくるので、答えておく。
「Storm1のこと」
「本当の階級は?」
知ってどうする。
階級を気にしてこなかった分、こういう話は嫌いになってきた。
あまり意識してこなかった所為もある。
軍隊じゃ大切な事だろうけどさ。
寡兵と化したEDFじゃ、な。
いや言うけども。
「本当に大将らしいよ」
「おいおい」
肩をすくめるなよシャーリーちゃん。
本当は知ってないとダメなんだろうけどさ。
「だって、大将が直接最前線にいるんだぞ」
「まぁ、後方にいるイメージはあるわな」
「もっと言えば、名誉大将みたいなものらしい」
「なんだよ名誉大将って」
本当、なんだろうね?
「EDFにとっては象徴みたいな兵士なんだ」
「そんなに有名なのか」
「みたいだね、俺らの世界を救ったから」
その戦場には、俺はいなかった。
欧州でビクビク震え隠れていた頃の話だ。
「もちろんStorm1以外の、多くの兵士の協力はあった。 でも彼がいなかったら、人類は敗北していただろうね」
「そんなに凄いヤツだったんだな……整備の腕が凄いだけじゃないと」
ホントだよね。
Storm1……隊長がいてくれれば、きっと大丈夫だ。
そんな気がする。
根拠は無い。 だけど誇らしい自信だ。
「整備士としての腕は民間人時代に養ったんだろうね」
「えっ!? 元民間人なの?」
知らなかったのか。
隊長が自ら話す機会が少なかったのかもな。
「宮藤みたいだな」
「あー、宮藤も元民間人か」
そうか。
坂本がスカウトして501部隊に来たんだったか。
実際は軍隊に入る気は無かったが、ワケあって欧州に移動中ネウロイに襲われ……皆を助けたいという想いで軍人になった。
その点でも、隊長と似ているな。
将来、ヤバい強さになるのかも。
「それにしても、ストームね」
「コードネームが、どうしたの?」
アメリカ……リベリオン的に、ナニか想うところが?
「いやなに、北アフリカ戦線にも同じ名前の部隊がいるからさ」
「ほぅ」
それは初耳だ。
それにアフリカ。
そこにもネウロイがいるのか……欧州のみならず、世界中にいるのかもな。
扶桑でも、戦闘記録があるらしいし。
平和になる日が来ると良いな。
「えーと……そうそう、ストームウィッチーズ。 正式名称は第31統合戦闘飛行隊アフリカ」
なんか強そう。
でも、501部隊のような統合戦闘航空団とは違うのか?
「500番代じゃないんだな」
「504を設立する時、ここを母体にする案があったらしいが、現場から猛烈な反対があったとか。 現場事情じゃないか?」
仕方ない。
色々あるんだろう。 政的な意味とか。
「しかし詳しいな。 知り合いがいるのか?」
「そんなとこ。 以前、基地にマルセイユってヤツが来てな。 その部隊のヤツだった」
マルセイユねぇ。
開戦時、マルセイユ基地という所が怪物に襲われたらしいと言っていた隊員がいたな。
いや、関係ないだろうが。
そんな時。 またも新たな客が。
カールスラント組、バルクホルンとハルトマンだ。
「嫌な響きが聞こえたもんでな」
「気にしても仕方ないよ、トゥルーデ」
心底嫌そうな顔をするバルクホルンと、両腕を頭にのっけて、興味なさそうなハルトマン。
知り合いだろうか。
わざわざ来たんだし、聞いてみよう。
「どういった関係で?」
「JG52という部隊で同じだった。 ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。 後にJG27に転属したが……命令や規律を守らないヤツでな、カールスラント軍人の恥晒しだ。 だからか、僻地に追いやられたんだろう」
うわぁ……。
そこまで言うとは。
犬猿の仲か。
性格が合わないんだろうな。
でも、フォローしておこう。
EDF隊員としての経験からかな。
関東の外れ、田舎の228基地にいたのもある。
EDF総司令官が開戦から約5ヶ月後に言っていた、今いる場所が最前線で最終防衛線である、みたいなのを思い出してもある。
「アフリカの事は知らないけど、そこも最前線でしょ。 僻地の戦場だろうと重要な場所に変わりない。 命を掛けて戦っている筈だ。 私情はあるだろうけど、あまり悪く言わないであげて欲しい」
そう言うと、少し俯いた。
思うところはあったらしい。
「別にそういう意味で言ったワケでは……いや、すまない。 言い訳だな。 そこは反省する」
バルクホルンは真面目過ぎるのもあるだろうが、マルセイユって子は相当な自由人なのかも知れない。
でもさ、それ、貴女の相棒のハルトマンはどうなの?
隣で気にした素振りもしてないけど。
「そうそう。 妹のクリスがファンなんだし」
それを感じてか。
ハルトマンが意地悪そうに言った。
あっ、バルクホルンに妹がいたのね。
「うぐっ……そうなんだよな。 なんでアイツの事なんか……」
ブツブツとナニかを言い始めたよ。
やっぱ嫌いなヤツは嫌いらしい。
なんか複雑そうだな、嫌いなヤツなのに溺愛している子がファンとか。
「アフリカの星だなんて言われてるエースだ。 ウィッチ民間問わず、人気があるみたいだからな。 まぁ? 胸は私の方があるけど」
シャーリー。
マルセイユとナニかあったのか?
つっこまないけど。
「何かと勝負を挑んでくるんだよね。 だから、部隊名と同じ名前のワンちゃんは絡まれていたねー。 また会ったら、絡まれるんじゃない?」
ハルトマンが言う。
ナニで勝負するんだろうね?
ウィッチ同士なら模擬戦をすれば良いだろうけど、隊長たちストームチームは歩兵部隊だからなぁ。
まさかの対地対空戦?
それは……ちょっち気になりますよ。
「そう言うハルトマンは、ナニか勝負したの?」
勝負してくる、と言うことは。
ハルトマンも何かしら絡まれたんだろう。
「別にー。 興味ないよ」
本当に興味なさそうな態度だ。
ハルトマンも実は嫌いなのか?
「嫌いなの?」
「嫌いじゃないよ」
じゃあナニか。
好きでもないし嫌いでもないよか。
「たださ、勝負に興味が無いだけ」
「負けるのが怖い?」
あっ。
やべ、また失言してしまった!
恐る恐るハルトマンの表情を伺う。
10代の子どもに恐れる大人の図。 情けない。
が、本人は何とも無いようだった。
ここまでくると、本当に勝負事に心底興味がないんだろう。
「違うよ。 勝ち負けなんかより、ずっと大切な事はあるってこと。 南の島でより思ったよ」
表情は変わらない。
だけど、内容に対しては本気のようだ。
感じるものがある。
「そうか。 そうだな、分かる」
生き延びちまった隊員として、そう言った。
きっとハルトマンの大切な事は、仲間の事だろう。
軍曹ちゃん、曹長ちゃん。
無事でいてくれよ。
「それよりも お菓子が欲しいな♪」
おい。
それはオマケだよな?
仲間より大切じゃないよな?
「全く。 後でチョコレートをやる。 それで我慢しろ」
「えっ? ホント!? やったー!」
子どもみたいに喜ぶハルトマン。
実際子どもなんだが。
その様子に、静観していたシャーリーが からかう。
「規律の鬼が丸くなったな。 明日は槍でも降るのか?」
「なんだリベリアン。 代わりに拳を降らせようか?」
うわっ、怖い。
魔法力を発現させたのか、けも耳と尻尾を出して拳を鳴らしてるよ。
「そう怒らさんなって。 ほら、この後 偵察任務だろう?」
「ああ、そうだ。 その事も話さないとな」
耳と尻尾が引っ込んだ。
シャーリーとバルクホルンって、今は同じ大尉だが国も違うし、仲良いのか悪いのか分からないな。
シャーリーは自由人ぽい部分もあるし……やはり、相容れない部分はあるか。
でも信用し合ってる仲なのかも。
シャーリーは笑顔のままだし、バルクホルンも本気でイライラしているワケじゃない。
「只野も偵察任務に出るんだろう?」
Storm1や坂本辺りから聞いたのか?
という事は、バルクホルンも偵察任務に?
「そうだよ。 501も?」
「ああ。 私とハルトマンが出る事になった。 この後、坂本少佐が改めてブリーフィングをしてくれるだろう」
なるほど。
空と陸から偵察か。
効率が良いのか分からないが、空路と陸路は別々の問題だ。
互いに知る必要がある。
「少なくとも空にネウロイがいるのが分かっているそうだ。 陸路にもいるかも知れない、気を付けろよ」
「そっちもね。 何かあったら助けるよ」
墜落してきたら、迅速に回収出来るかもだし。
対空装備を持っていけば、援護が出来る。
生存率は互いに高められる。 良い事だ。
「それはコチラもだ。 互いに協力しよう。 無線の交信も怠らないようにな」
「了解だ。 501のはEDFの無線技術が組み込まれて調子も良いだろうしな、こういう時に使わないと勿体ない」
「そうだな。 感謝している」
して互いに敬礼し、解散した。
残ったのはシャーリーと俺だったが、ここに来てルッキーニが起きて来た。
欠伸をして、寝ぼけている様子。
「うにゅ〜、シャーリー」
「おー、ルッキーニ。 起きたのか」
「うん。 お腹すいたー」
「ははっ、じゃあ宮藤や みんなの所に行こう。 EDFのレーションならあった筈だ」
げっ。
レーションとな……。
モノによるが、粘土みたいなモソモソとか大味のヤツとか、食べ物として認めたくないミステリーボックスは口にしたくないぞ。
美味しいヤツもあるけどね。
と、思っていた時期が俺にもありました。
軍曹ちゃんや、501が振る舞った魔女料理を喰らった後だと言える。
出来る事なら、レーションで一生を過ごした方がマシだとね!
「えー! やだー! レーション飽きたー!」
駄々をこねるちびっ子。
贅沢者め。
最年少で子どもなルッキーニだから仕方ないかもだが。
君も魔女料理を味わうと良い。
その上で同じ事を言えるのかな、ふふふ。
「じゃあアレにしよう。 カップラーメンとかいうヤツ。 EDFが持ち込んでたのを見たから、何処かにあるだろう」
「全然パスタじゃないヤツ?」
どこをどうしたらパスタの名前が出たんだ。
同じ麺類だからか?
とか思ったが、ルッキーニの出身はロマーニャ。
俺ら側だとイタリアに該当する。
だからだろうか?
「そう。 ルッキーニの口に合うか分からないが、レーションより良いかも知れないぞ」
お湯が必要だけどね。
そのままバリバリ食わないでね。
既に喰ったヤツがいそうだけど。
「うーん。 わかった! それ食べる!」
「よし。 只野、カップラーメンとやらはどこで手に入るんだ?」
俺に聞くな。
それと見つけても無断で持っていかないだろうな?
「厨房じゃないか? 近くの隊員に聞いて」
そう言うしかない。
「ありがとう。 よーしルッキーニ。 どちらが先に見つけるか競争だ!」
「負けないからねー!」
そう言うと、2人は去って行った。
親と子を見ている気分だったな。
やっぱ仲が良いのは良き事かな。
戦場を少しでも忘れさせてくれる……つまらないジョークでも、たわいも無い会話でも良い、それは大切だ。
さて。
ここまで来ると後は……と、来た。
坂本だ。
会議が終わったらしい。
「只野、皆と打ち解けているようで何よりだ。 ハッハッハ!」
「はい。 短い、たわいもない会話ですが」
普通に話すべきか、最初は戸惑うな。
坂本が少佐というのもあるが、雰囲気とかな。
片目、眼帯してたり言動がハキハキしてたり。
バルクホルンも、曹長ちゃんと話した時もだが……真面目な子相手に話すのは苦手かも。
「そう固くなるな。 普通に話してくれて良い」
「ありがとうございます」
そうは言われてもね……。
どちらかというと身内、戦略情報部の少佐となら話しやすいかもだがな。
会ったことないけど。
「この後、偵察任務だろう」
「はい。 501からも出るとか」
「うむ。 バルクホルンとハルトマンが出る。 仲良くやってくれ」
陸と空で分かれるし、地上は森だ。
空から此方は見つけ難いだろうな。
なんにせよ、話すなら無線越しになる。
だとしても、何かしら互いに助け合えるかも知れないしな。
「はい。 宜しくお願いします」
「それは本人達に言ってやれ」
「失礼しました」
と言いつつ、互いに微笑み合えるのは良い。
「ところで」
うん?
なんだ、何かあったか?
「エイラがストームに絡んでいたが、何かあったのか?」
「分かりかねます。 ですが仲良しなのは良い事です」
はぐらかす。
おら知らねーだ。
「そういった様子ではなさそうだったが」
「まあまあ。 大切なのは、これからです」
子どもが じゃれてくるくらい、ウチの隊長なら平気だろうよ。
「その通りだな。 サーニャの武装を持ち出していたのは、後で説教だが」
平気だよな?
ロケランくらい、大丈夫だよな?
隊長、他の隊員より人外かもだし。
もっとヤバい武器で撃たれた事もあるだろうし……うん。
「……ストームからEDFが この世界に来た理由は聞いたが、どうだ?」
「どうだ、とは?」
「居心地だ。 連合上層部からの嫌がらせもあるだろう」
また政治の話か。
それらは上の仕事なんだがな。
いや、坂本は分かっているだろうから、俺個人の感想を聞きたいだけだ。
暗い話にならないようにしよう。
「個人の感想としては、まあ、仲良くなって欧州の本場のメシを食いたいなーとか、観光したいなと」
「そうかそうか! 平和になったら味わうと良い! 扶桑にも来い! 良いところだぞ!」
そうですね、と俺。
WDF計画の件がある、後ろめたい。
でも今、話す事ではないから。
たわいも無い、だけど平和な話をしていく。
そこにすれ違ったらしい、ペリーヌがやってきて話は終わる。
敬礼して互いに別れると、俺は1人になった。
『Storm1から只野へ。 そろそろ偵察任務に出て欲しい、スカウトと合流してくれ』
隊長から無線がきた。
話はこれくらいにしておこう。
そろそろスカウトと合流して、任務を遂行しなければ。
「了解」
俺は短く返答。
PA-11SLSを持ち、箱状の2連装ミサイルランチャーMLRA-TWを背負う。
特別な武器では無い。
だけど久しぶりに持った気がする。
同時に、改めて武器の重みを味わった。
キャラの把握や会話が難しく、コロコロになってしまった感を否定出来ない(殴)。