Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
読み疲れてしまった方、すみません。
趣味の類で書いてますが、貴重な意見を頂いた手前、現状で少しでも読みやすく、或いは読みたいところだけを掻い摘む事が出来るよう分別させて頂きました。
※MGS PWのサウナネタです。 ご了承下さい。
◆ベルリンEDF駐屯地、風呂共用施設
風呂。
それは湯船にて身体を温め、心身を清めて癒す行為並びに場所である。
間違っても戦場ではなく、故に戦闘など起きるはずが無い、起きてはならない場所。
階級も歳も関係ない。
それは異界の地であれ そうあればならない筈である。
ところが今日、EDFカールスラント首都ベルリンの高射砲フラッグタワー駐屯地にて猛将とチャラ女の間で"間違い"が起きてしまった事は、密かに記録し伝えねばならないと述べておこう…………。
「ふふふーん♪ ふふーん♪」
風呂場……シャワー室から聞こえる女性の鼻歌。
若いが幼くはなく、男性の声と言われてしまえば「そうかも」と頷いてしまいそうにもなる。
そんな正体見たり、と湯気を掻き分けて見れば、長身のプロモーションが露わに。
整った顔立ちは中性的だが美しく、胸の双山の膨らみと、身体のくびれ具合が女である事を主張した。
恵まれた体格はモデルとして十二分に通用する美しさを誇り、男女関係なく称えられて然るべき姿だ。
そんな彼女の名はクルピンスキー。
502部隊、通称ブレイブウィッチーズの所属であり、エースの1人。
本来、カールスラント東側に構える502が中央509の駐屯地にいるのは変に思うかも知れない。
理由としては、カールスラント防衛線の時、東から援護してくれた関係である。
ジークフリート線には"幸運にも"間に合わなかったが、他の面ではEDFの戦線維持に貢献。
その礼を受け取る形としてEDFの駐屯地で補給物資を受領したり、補給を行う関係で、彼女ら502部隊がEDF駐屯地に寝泊まりしているのである。
そんな人類を守る魔女ではあるが……やはり人間である以上、性格があるし、それには難がある。
内容はStorm1が只野に言った事そのままで、酒好きで享楽主義で楽天家。
ユニット壊しとしても知られていて、ブレイブウィッチーズならぬブレイクウィッチーズとも呼ばれる。
まあ、これは他にもいるので問題ではなく……いや、問題なのだが今は割愛させて頂く。
今、取り扱わなければならないのは、それらの事よりも……そう。
女好き、という点であった。
「───楽しんで貰えて何よりだ」
鼻歌交じりの平穏を破るは男の声。
イケボの若い声であった。
「うおっ!?」
突如として聞こえた声に、クルピンスキーは驚きの声を上げてしまう。
女ひとりだけのシャワー室に、そりゃ男の声が聞こえたらビックリもする。
人によっては精神的な苦痛すら味わうし、恐怖ですらある。
だが、男の声は無遠慮に続いた。
「そりゃ驚くよな。 だがな、クルピンスキー……お前以上に驚いた子もいるんじゃないのか?」
振り返れば、そこには若い男性の姿。
顔も声相応にイケメンで、多くの女性を虜にしているんじゃなかろうかと思わす様相。
股間はタオルで隠しているが、露わになっている上半身は鍛えられた腹筋が割れており、組まれている腕も太い。
そんな身体には無数の傷跡。
縫われた跡や、塞がっているものの色が違う部分など、荒々しい戦場を渡り歩いた歴戦の戦士の身体だった。
一瞬、恥じらいを忘れて見惚れたがしかし、直ぐ平静を装って返答するクルピンスキー。
「……今は僕しかいないけど。 この時間に男が入るのは、駄目なんじゃないのかい?」
「お前さんと ゆっくり話し合うには、今しかないと思ってな。 悪く思うな」
「ふーん。 ところで、貴方は? 僕の事を知っているのは光栄だけど、君の事は知らなくてね」
「Storm1だ。 階級は抜きだ、風呂場だからな」
「ストーム? 噂の遊撃部隊、しかも隊長の……これはこれは。 そんな隊長さんが、僕に何の用?」
互いに感情や本心を隠しあい、この状況の腹を探りあう。
一皮剥ければ、オスとメス。
襲われるんじゃないかとクルピンスキーはどこかで思いもしたが、軍人で、魔女である以上はチカラ負けをする気は無い。
だが、Storm1は仁王立ちのまま話を続けた。
表情は無感情にも見えるし、怒っているようにも見える。
「前にココで怪我人が出たんだ。 誰だった?」
「さぁね、509の子に聞いてよ」
「聞いたんだ、したらお前が その時間にココを利用していたとな」
「ほんの打ち身程度と聞いたよ」
「尾骶骨骨折、診療所に最低1週間。 "誰だった"?」
表情崩さず、動かざる事山の如し。
問い詰めるStorm1。
それに観念したように、クルピンスキーはチカラなく声を出す。
「…………ドルフィン」
ドルフィン……イルカ。
勿論、本名ではない。
EDFに その名の部隊がおり、そこの所属のウィッチの事である。
「転んだのかな、石鹸で。 あっははは」
「ほぅ、石鹸で!」
「派手にいったみたいでね、見事な宙返りをしたそうだよ」
「ほぅ、宙返り!」
「ストームさん」
「クルピンスキー」
遮るようにStorm1が、鋭い声を出す。
それは厳格な父のようだ。
「…………………………………………………………………………お前、俺に何か言う事ないか?」
普通なら、ここで観念すれば良いものを。
クルピンスキーは、チャラ具合を発揮し、のらり くらりと躱す。
「そうだなぁ。 最近サウナが出来たんだっけ。 一緒に入る?」
「……案内してくれ」
して、戦場はサウナへと移行する……。
◆サウナでの戦い
サウナ。
フィンランド、こちらだとスオムスが本場とされる蒸し風呂である。
向こうでは日本、扶桑式の湯船に浸かるよりも、こちらが主流らしい。
スオムス出身のエイラは、サウナの方が好きらしいが……今は その議論は置いておく。
少なくとも戦場ではない。 たぶん。
EDF駐屯地に設けられたサウナは、スオムス兵の意見や要望を参考に、本格的に造られた。
20人は入れる大部屋で、蒸気が充満した中は当に蒸し風呂。
汗が嫌でも溢れてくるが、同時に熱が上がる身体、それが心地の良いものである。
そんなサウナ部屋に、ふたりの男女。
タオルを巻いて局部を隠しあっているが、ナニが起きるか分からない様相を醸し出す。
当然、このふたりというのは、Storm1とクルピンスキーである。
「いやぁ、EDFの設営隊は凄いねぇ」
「スオムス出身の兵士らが手伝ってくれた。 寧ろ、彼らの指導や知識があってこその本格的なサウナだ。 EDFは微力ながらの手伝いだよ」
先ずはジャブではなく、様子見の、仮初めの平和的な会話から始まる。
隣り合って座るふたり。
これすらウオーミングアップであるが、直ぐにでも始まりそうで怖い。
「うん? そこにある葉っぱは?」
部屋の隅に置いてある、目につく緑色に視線をやる。
植物の枝が束ねられているが、一見するとナニ用なのか分からない。
だが、Storm1は知っているらしく、説明を始めてくれる。
「ヴィヒタだな。 白樺の枝を束ねたものだ、西部と東部で呼び方は違うらしいが」
「へぇ。 なにかに使うのかい?」
「これで身体を叩く。 血液循環を促したり、サウナの空気をかき回すとか、熱気をより感じる為だとか、傷口の消毒効果の期待、或いは魔除けや幸福を願うなどの精神的な面もあるようだ」
「詳しいねぇ」
「501のエイラや、兵士に教わった」
「へぇ。 今度ニパ君に教わろうかな」
「叩いてやろう」
「い、いや良い」
言い終わるより早く、Storm1はヴィヒタを手に取り、容赦なくクルピンスキーの お腹を叩く。
ベシィッ!! と、女の柔肌には酷なんじゃね、という豪快な音が鳴り響いた。
その中に怒りが混ざっているのは言うまでもない。
「ッ……チカラ強いんだなぁストームさん」
タオル越しでもヒリヒリするお腹を摩りながら、それでも愛想を振りまくクルピンスキー。
それは未だ誤魔化し続けているのは明らかで、余計にStorm1の怒りをメラメラさせているのに気が付かない。
「女は好きか?」
「突然だね。 勿論、僕は可愛子ちゃんは大好きさ」
そこは包み隠さない。
欲に忠実なのは結構だが、仲間の件を隠されるのは良い気がしない。
「ウチの連中も気に入ったか」
「509の子たちかい? 勿論! 選り取り見取り、男女間の交際も大目に見られていて、羨ましいよ」
「そうか。 で、クルピンスキー」
「なんだい?」
「モテるか?」
「へ?」
「モテるか、と聞いている」
「まぁ……それなりに」
イケメンの真顔で、真面目な声で、隣からジッと表情を見てくるStorm1。
相手が女の子ならチャラついて口説くのだが、どうにも、こういうのは……初めての経験で戸惑ってしまう。
罪を責められているのは分かっているのに、それに何故だかドキドキしている自分がいる。
男性経験がないからか、それとも。
同部隊にいるロスマン先生に責められる時とは違うドキドキを、今彼女は味わっている。
が、しかし。
Storm1は そんな事は知らない。
彼が求めているのは愛ではなく罪の告白、して謝罪だ。
彼からの責め苦は続く。
「よく身体を見せてみろ」
「えぇ!?」
ここにきて、まさかの展開。
それは……つまり、魔女の禁忌を破る行為なのか。 そうなのか!?
それはダメだ。
そんな事をしたら戦うチカラを失うだけでなく、多くの人を失望させ、下手すると人生を終えてしまう。
それこそ、目の前の男は処刑されて、人生終了である。
何故、自分が この男に責められているのか、その理由を忘れて彼女はドキドキしっぱなしである。
「立て」
「こ、断る」
「良いから立て!」
「あ……ハイ……」
チカラ強い声にドキッと負けて、立たされてしまうクルピンスキー。
既に負け魔女と化しているが、執拗な攻撃は続く。
Storm1は彼女の前に立つと、舐めるようにボディチェック。
憲兵や他の者が見たら拘束からの即処刑モノだが、彼は至って真面目だ。
「あ、あのぉ、どこを見てるんだい?」
「お前の全てだ。 タオルで隠してあるところ以外のな」
柄にもなく、ドキドキが止まらない。
サウナの熱気の所為なのか、目の前の男の所為なのか。 恐らく両方だろう。
「背後を向け」
「あ、いや」
「向け」
「……はい」
クルリとされるクルピンスキー。
すかさず、ペシペシとタオル越しにボディチェックするStorm1。
タオル越しとはいえ、女のラインを感じるには十分だ。
「タオルを取れ」
「なっ!? ナニを言ってるのか分かってるのかい!?」
「良いから取れ!」
「……はい」
ハラリ。
チカラ強い声に、アッサリ負けた。
タオルを自らの手で取ってしまう彼女。
美しい、滑らかな肌と背中の曲線は汗で濡れており、サウナ部屋を照らす電球色の夕日が、彼女の身体を官能的に称えた。
彼には逆らえない……ただの男だと思っていたが、どうにも言う事を聞かしてしまうチカラがあるようである。
魔女を生まれたての姿にしてしまうなんて色々ヤバい事をしているStorm1であるが、やはり彼は真面目だ。
「尻に傷があるな。 まるで 引っ掻き傷のような……」
ペチペチと手の甲で、その傷痕を叩くStorm1。
振動で小刻みに震える下半身。
それを首を傾けて、その行為を見やる彼女。
顔は赤らめており、熱気からなのか恥じらいからなのかは分からない。
やはり両方だろう。
「そ、そろそろ出ようかな! のぼせそうだし」
「座れ」
「……はい」
タオルを巻くも、大人しく座らされてしまう。
Storm1も倣うように隣に座り、再びヴィヒタを振るう。
今度はStorm1が自らの身体にだったが、先程より高い打撃音が響いた。
ドキッと、またもしてしまうクルピンスキー。
それは吊り橋効果となり、今までのドキドキが どんな感情のものなのか判別が出来ないくらいに解れあい、絡まりあっている。
「ラビットは知っているか?」
またも唐突な質問。
が、しかし。
今度は他の子の話になった。
勿論、ラビットも部隊名であり、そこに所属するウィッチである。
「え、あ、ああ。 509の子だよね」
「あの子もココで働くには惜しいくらいの美人だよな?」
「……そうだねぇ」
他の女の子の話になり、冷水をブッかれられたように大人しくなる彼女。
今まで自分の事だったのに……なんで2人きりなのに、他の子の話を。
そんな風に、女好きの彼女らしくない思考をしてしまうくらいには、初対面にも関わらず心を掌握されている。
残念ながら意図してStorm1はしていないのだが、何にせよ、天然ジゴロな彼もまた罪な人である。
「ラビットから相談があった。 事故があった後直ぐにだ。 折り入って話したい事があるとな」
「……へぇ」
不機嫌な相槌をする彼女。
ノロケ話でもされるのかと、そんな面持ちだ。
だが、実際は本題の話である。
というか、ずっとそうであり、クルピンスキーは勘違いしているだけだ。
「お前らデキてるんだって?」
「ははっ! そう言ってた?」
不機嫌からと、相手への悪戯心からか、チャラついた声を出すが、構わず続ける。
「だが、その前にドルフィンともデキてたんだって?」
「……それは、えーと」
が、直ぐになりを潜める。
目は泳ぎ、Storm1を見ていない。
それでも構わず続ける。
フィニッシュだとばかりに、畳み掛けて。
ついでに、手に持つヴィヒタが荒ぶり、葉先は彼女に向けられる。
「入ったのか?」
「え?」
「入ったのか、ラビットと! ここのシャワー室に! ふたりっきりで!」
ビシィッ!
「いたっ! あ、いや! そ、その」
「それをドルフィンが見ちまった!」
ビシィッ!!
「うっ!」
「彼女は不安な気持ちでシャワー室を覗いた。 したら、ふたりっきりで石鹸プレイを楽しんでいたんだと!」
ビシィッッ!!
「先ッ見……ッ!?」
「それをドルフィンが見た! そりゃ驚くよなぁ、見事な宙返りを決めるくらいに! イルカショーでもナシになぁ!」
ビシィッッ!!!
「アッ! イッタアーッ!!?」
「ヴィヒタァッ!!」
ビシィッッッ!!!
謎の叫びを互いに上げつつ、遂に実弾の説教波は大きくなっていく。
「二股。 共用施設の乱用。 挙句に隊員の負傷。 お前……ナニをやってる!?」
チャラ女の罪状を読み上げたStorm1は、呆れと怒りの声を出す。
それはさも、息子ないし娘に説教するお父さん。
対して、淡い恋心が咲く前に我に返ったチャラ女は、言い訳出来ない状況に根を上げた。
「ご、ごめん……つい」
「つい!? ピクシー、トントゥ、ロスマン、スワロウ、後何人の女に手を出した!? 潰す気か!?」
バキィッ!
今度は怒りのあまりか、手に持つヴィヒタが砕けてしまった。
さりげなく先生の名前が混ざっているのは偶然なのか分からなかったが、とにかく、二股どころではない人数を毒歯にかけていた。
「俺は皆の、惚れた腫れたに首を突っ込む気はない。 個人の自由、自己責任だ。 だがな、それは任務に支障がない、心身に影響がない範囲での話だ!」
「ぼ、僕は」
「俺にこんな説教をさせるなぁ!」
「すいません!?」
あまりの怒気を感じてか、思わずハダカ正座からの土下座を敢行。
扶桑式のソレは、恐らく502にいる扶桑軍人に教わったのだろう。
側から見れば大の男が、一応まだ10代の女の子に土下座をさせているという凄い光景だった。
だが、こんな事態になっても、クルピンスキーの性根はチャラ女だった。
「じゃあ、この辺で」
見下ろしてくるStorm1の隙を突き、彼女はスタコラサッサと遁走。
タオルを巻いた状態で、サウナを後にする。
「コラァ! 待てェッ!!」
直ぐに追いかけるStorm1。
だが、先手を打たれた分、追いつけない。
そう判断したStorm1は、どこからともなく某家庭用お掃除ロボットのような形をした《スピードスター》を手に取り滑らせる。
「行かせるか!」
それは時速3桁越えの速度で、クルピンスキーの足元を掬うには十分な威力を誇っていた。
「アラァッ!?」
ドルフィンがしたように、今度は彼女が宙返りをする番に。
ズテーンと派手に転ぶがしかし、大きな怪我なく無力化される彼女。
「ははっ……そこを動くな」
そこにねっとりボイスで やってくる男がひとり。
再び彼を見上げるクルピンスキーだが、タオルの中身が見えて赤くなり……目をそらす。
「立てぇ!」
そんな彼女を鍛えた両腕で抱き起こし、無理矢理立たせるStorm1。
フラつきながらも、両足で立つ……が。
「お返しだっ!」
隙ありとばかりに、体当たり。
「がはっ!?」
反応出来ずに、吹き飛ばされてしまうStorm1。
して再び逃走するクルピンスキー。
道中にいた兵士らが驚愕の声を上げるが、構わず走る。
「貴様ァッ!」
素早く体勢を整えたStorm1。
傷が開くのもお構いなく、EDF伝統芸のローリング移動で追いついて見せる変態機動。
もう全裸である。
道中にいたウィッチも「キャー」と悲鳴を上げるのは仕方ない。
「根性叩きだせッ!」
ここまで来ると、恥じらいなんてないのか。
Storm1は相手が女だろうと構わずパンチを繰り出した。
レンジャー程でないにしろ、彼も軍人だ。
鍛え抜かれた全身は凶器と言って良い。
とはいえ、一応加減して急所は外す。
それでもクルピンスキーの長身でしなやかな身体は吹き飛んだ。
ゴフォッ! という美少女にあるまじき重低音。
吹き飛んだ先で、ガシャーンと積んである木箱の山を崩し、悲鳴の輪が広がった。
Storm1はそれでも構わず迫真の追撃。
「このニセ伯爵!」
「グハッ!?」
ドカドカ。 バキッ。 ボコボコ。
「握り潰すぞ!」
「ゴフッ!?」
ドンドコ。 ドッカン。
「人類の敵! ネウロイ以下の悪党!」
「ゲフッ!?」
ボカボカ。 ドスッ。 ズドン。
「反省しろォッ!」
ズドーン。
「カハ……ッ!」
十分に痛めつけられたクルピンスキー。
タオルは どこかにいってしまい、綺麗な肌はアザだらけ。
女の子になんて事を……と、思う人もいるだろうが、彼女も相応に悪い事をしたのは知っていて貰いたい。
それを認めさせるように、Storm1は倒れている彼女を起こし、背後から首をギリギリと締め上げる。
男女が生まれたての姿で密着している光景は色々と危ないが、別にやましい行為をしているわけではない。
反省会だ、いちおう。
「どうだクルピンスキー……! 火照った身体に気持ち良いだろう……外の風が」
「く、首が……締まる……! それに、なんか、ストームさんが、あったかくてぇ……!」
「ううん!? 反省したか!?」
ギリギリギリ。
「ぐえええ……!」
「真剣に考えろ。 女か! 仲間か!」
「りょう……ほう……」
言うと、ケモ耳と尻尾を出して魔力を込める彼女。
チカラ一杯、背中のStorm1を背負い投げし反撃。
Storm1は突然の事に対応出来ず、地面に叩きつけられてしまう。
「ぐっ!?」
すかさず馬乗りになるクルピンスキー。
して、今度は殴りながら自分の主張を始める。
それは親に反抗する子のようだ。
つまり、親子喧嘩。
「僕が!」
ポカッ。
「モテて!」
ポカポカッ。
「ナニが悪い!」
ポカポカポカッ!
そんな可愛らしくも、必死の主張。
だが、それを認めるワケにはいかないから、Storm1も反撃に出る。
EDF式で鍛えた身体は、例え魔女が魔力を込めたパンチであれ、多少は耐えられる。
傷口は広がりを見せるが、そんなものは痒いとばかりに、乗っかる彼女を蹴りどけて、再びパンチング。
「貴様ッ!」
バキッ!
「少しは!」
ボカッ!
「懲りろォッ!」
ズドンッ!
そんな殴り合い。
だが、手負いとはいえ陸戦を耐えて来たStorm1には敵わなかったのか。
やがて起きたクロスカウンターが決め手となり、クルピンスキーだけが仰向けに倒れる。
「ぐはぁ……ッ!」
そんな彼女の元へ寄り、また見下ろすStorm1。
息が荒く、傷口が開いて所々、鮮血が流れ出ている。
そんな彼はシメだとばかりに、彼女に語る。
また彼女も、素直に聞き入れた。
「はぁはぁ……クルピンスキー……皆に謝れ」
「……あぁ」
「少しは慎め」
「……あぁ」
「509にいる間は毎日風呂掃除」
「……あぁ」
「よし」
こうして、509は落ち着きを取り戻していったとさ。
「お前たち、ナニを見ている。 持ち場に戻れ」
一部始終を見てしまった只野や皆はムラつく余裕もなく思った。
ナニコレ。 チン百景かな、と。
クルピンスキーは、そんな子じゃない!
と、思ってしまった方もいるかも。
でも、適任の子がパッと浮かんだのがニセ伯爵でした(殴)。