Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
WDF無力化作戦、白雪姫作戦を開始します。
ネウロイの比ではないレベルで通常兵器が効かない為、魔女から魔法を奪う作戦です。
その方法は周知の通りです。
メルヘンチックですが、多くの死傷者と負の連鎖を止める為の重要な作戦です。
王子様役の隊員の健闘を祈ります。
備考:
ヤれるかじゃない。 ヤるんだ。
◆黒海方面
只野二等兵視点
キャリバン救護車両から降りたら、そこは臨時防衛線だった。
青いビークル群、イプシロン自走レールガン部隊に狙撃部隊ブルージャケット。
ハンマーズもいるか。
重武装のフェンサーと、狙撃武装のウィングダイバーも展開してるな。
対空仕様のコンバットフレームもいる。
随伴歩兵として、連合軍の歩兵と、陸戦ウィッチが。
航空ウィッチは……あんな惨劇の後だ、戦場には出さないよな。
501と502も後方だろう。
「よくもまあ、これだけの戦力を集められたもんだ」
つっても、軍曹ちゃんには無力だろうよ。
白銀の魔女は倒せない。
倒して欲しくもない。
『只野、無事で良かった』
ここでStorm1……隊長から無線が。
「隊長!」
『惨劇の後だが、残業を頼む。 只野にしか頼めない仕事だ』
やっぱりEDFってブラック。
まぁ……だいたい予想はつくよ。
その辺のウィッチとか、顔を赤らめてヒソヒソしてるもん。
「王子様だ〜♪」とか「えぇ〜?」とか「なんというか、フツーw」とか聞こえるもん。
もうやめて! 俺は"ただの"二等兵だよ!?
「心折れそう」
『すまない。 レールガン部隊に混ざって、例のアレがある。 そこに行ってくれ』
言われて、もう一度見やる。
なんか、1台だけ砲塔が違うのが見えた。
見覚えのあるヤツだ。
まさかアレを使うとはね……。
「見えました。 例のアレ、カタパルト」
そう。
変態開発班がウィッチ用として作った鉄クズ。
人間を弾丸とし、空へと打ち上げるヤツ。
『攻撃してきた敵はWDFだ。 カタパルトに乗って彼女に突撃し、唇を奪って無力化するんだ』
「マジでやるんですか?」
『不服だとしてもヤるんだ。 服はあるが脱がなくて良いぞ』
いやー、キツいっす。
「軍曹ちゃんの場所は分かってるんですか?」
『確認した。 心配するな、自走カタパルトには既に運転手兼砲手が乗っている。 ソイツに細かい事は任せれば良い。 しかも二段構えで攻撃する』
なるほど、もう失敗しそう。
二段構えとか、いつかの前哨基地破壊作戦かよ。
『Aプランは不意打ち、失敗したらBプランに移行。 レールガン部隊などが集中砲火、気を引いている間に別角度から射出する』
「待って下さい。 俺、1回目失敗したら死にません?」
『自分の悪運を信じるんだ。 生きていたら、アンダーアシストで素早く戻ってこい』
酷過ぎる作戦だなおい。
EDFは元々酷いが、いよいよここに極まれり。
連合軍は、この話を聞いて何て思うのだろう。
天使とダンスってか。
それは空軍の話だろ、陸軍関係ないやろ。
『時間が惜しい。 カタパルトに乗ってくれ』
断れないですよね、そうですよね知ってます。
『世界の命運を君に託す。 頼んだぞ』
託すな、"ただの"二等兵に。
ああ、緊張してきた。
年下の女の子の唇を奪う為に撃ち込まれる男とか、変態じゃん。
そも、俺は未経験だし。
互いに初めてが、こんな作戦とか。
というかキスってナニ。 接吻。 ベーゼ。
やり方ってあるの?
バード、ディープとか。
こんな事なら、あの時に軍曹ちゃんを美味しく食べておけば……。
いやでもなぁ、まだ子どもだしなぁ。
って、過去を振り返っても仕方ねぇよ。
「あーもう! ヤケクソだ!」
考えても仕方ねぇ!
男は黙って撃たれて来い!
当たって砕けろだ!
いや、本当に砕けたらダメだけど!
「じゃ、お願いしますっ!」
俺はカタパルトに跨り、ヘルメットの顎紐を締め直す。
して、乗っているだろう砲手にお願いすると、反応してカタパルトの砲身が持ち上がる。
大丈夫、大丈夫だ。
俺は死なない。 上手くやる。
今までもそうだった。
『幸運を。 死に逝く兵士に敬礼を』
なんか聞こえたよ、司令官の声で。
どこぞの名言を流用するんじゃない。
そんでみんな、敬礼するの止めろ。
俺は死ぬ気は無いんだぞ。
既においおい死んだわ、アイツみたいな雰囲気出すのヤメテ。
コンバットフレームまで、器用に敬礼するなよ。
モブウィッチは敬礼しつつ顔は赤いし。
『照準合わせ! 目標WDFシルバー! 撃ちー方、よーい!』
ああマジで俺を射出するのね。
最悪の作戦だよ、人生最期には良い仕事……じゃない、やっぱり最悪だ。
『EDFの誇りに賭けて! 名誉に掛けて! ちょっとKissしてくるだけだ!』
なんだソレは……。
コンビニ行くノリじゃないんだぞ。
そんな誇りと名誉は煮ても焼いても食えないよ。
『撃てーッ!』
刹那。
物凄い風圧を受けて、俺は鳥になっていた。
気が付いたら空である。
「ぎゃあああッ!?」
して、ナニか柔らかいモノが当たって止まる。
「ぐっ」
意外と早く到着したようで。
照準もかなり正確とか、スゲー。
自然と抱き着く形になったモノを見やれば、カールスラント軍の服が。
もう少し上を見れば、軍曹ちゃんの顔。
久し振りに間近で見たなぁ。
白銀の髪と色白の肌になってるけど、更に可愛くなってない?
お胸に顔を埋めた事は無かったけど、意外と膨らみがあるんだね、成長期?
妙に冷静な頭で、他人事のように偶然触れた胸を弄って評価する俺は変態だよね。
「えっと《ふつつかものですが、よろしくお願いします》(定型文)」
視線が合う。 挨拶をしておく。
なんか、凍てつく視線だった。
次の瞬間には片手で引き剥がされ、ぽいっと空中に投げられたと思ったら、空中で軍曹ちゃんは1回転。
その勢いで、かかと落としを仕掛けられた。
「グヘェッ!?」
痛い。 凄く痛い。
地面に凄い勢いで叩きつけられたよ。
クレーター出来たよ。 漫画の1コマ再現だよ。
なのに生きてる俺もヤベェ。
改めてEDFの戦闘服と俺の悪運には助けられたな。
『おいナニをしている只野二等兵!』
本部に怒られた。
いや仕方ないじゃん、訓練もしてないんだよ!?
Kissの練習なんてした事もない!
そう文句を言いたかったけど、恥ずかしいから言えない。
したら、今度は戦略情報部の少佐と思われる無線が入る。
『残念ながら、彼は童貞のようです』
ナニ真面目な声で言ってんだよ!?
『残念だ(定型文)』
勝手に残念がるなよ。
あと、これさ……オープン回線だよね、全隊に響いてるよね?
ヤメテ!? 恥ずかしい無垢な経歴晒さないでよ!
人口の少なくなった元の地球ならいざ知らず、こっちの世界は普通にいるからね!
"人の声が響く地球"だから!
それが全て俺への嘲笑になる!
『そうなんだ、童貞さんなんだ……』
『で、でも初めて同士の方がロマンスが』
『えー? そうかなー?』
クスクス……クスクス♪
可愛いけど、辛い笑い声が聞こえるんですけども。
ウィッチと思われる無線音。
もうやだ。
ナニが哀しくて、10代の少女にまで知られなきゃならないのか。
名誉毀損で訴えたいんだけど。
どっちの世界でも意味ないだろうけどさ!
「ああ……このまま死にたい。 死んでよ」
『立て! 立つんだ只野!』
いやStorm1。
もう英雄のあんたらが何とかして。
超次元生物な【かの者】を倒したなら、何とかなるって。
WDFに敗北したのは手違いだよ。
だから頑張って。 後は知らない。
『じゃないと死ぬ間際にkissを拒んだ伝説童貞として広報に広めてもらう』
直ぐに起きたね!
そんな伝説は勘弁だ、死してなお輝く(嘲笑されたり侮辱)される人生は嫌だ。
「ならヤッてやろうじゃないか!」
アンダーアシストで全速力で後退。
背後から軍曹ちゃんがミラージュみたいな光弾を連射してきたが、偏差射撃は苦手なのか走ってるぶんには当たらなかった。
『カタパルト再射出用意! レールガンと狙撃部隊は撃ちまくれ! 気を引くんだ!』
『撃ちまくれ! 只野の後退を援護!』
司令官とStorm1が指示を出す。
直ぐさま、貫通力がある砲弾が軍曹ちゃんに撃ちまくられるが、それすらシールドで防いでしまう。
「やっぱ兵器じゃ駄目か。 俺が、俺が何とかするしかない!」
今度こそ成功させよう。
成功したとして、軍曹ちゃんが戻ってくるかなんて分からない。
でも、今はヤれる事をヤるだけだ。
そうだろう?