Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
WDFの無力化はなりました。
ですが、まだひとり残っています。
その者は潜水母艦エピメテウス内にいると思われますが、肝心の潜伏地が分かりません。
捜索隊を増員し突き止めます。
只野二等兵は"シルバー"と共に南島基地に避難。
警備隊と共に彼女を護衛し、奪取されないよう警戒して下さい。
備考:
WDFには惨劇の記憶は無い。
◆南島EDF基地
あれから何日経ったのか。
WDF、軍曹ちゃんは無力化され、理性が戻った。
悲惨な記憶と強大な魔法力を引き換えに。
だが肉体改造された彼女だ。
kissをしたところで、完全に魔法を失ったワケではない。
しかも、その残されたチカラもまた、通常の魔女を凌駕して余りあるときた。
ユニット無しで飛行可能で、かの者のようにサイコキネシス攻撃のような事も未だ出来る。
出来ないのは、隕石を降らすとか空間転移といった超次元行為であるが……それを抜いてもヤバいのは言うまでもない。
そのチカラさえあれば、他国を圧倒出来る他
、様々な使い方があると考える各国は彼女をEDFから奪取しようと動く。
そうでなくても、軍曹ちゃんに大切な人を奪われた記憶が残る者らは、復讐を果たそうと殺しにかかる。
EDFの身勝手から始まり身勝手が続く人類から彼女を守るため、EDFはベルリンではなく501部隊が訓練に使用していた南島に築いた臨時基地に匿った。
そこは彼女を守るのに信用出来る精鋭で固められ、α型1匹通さない防衛体制。
大量殺戮犯をオーバーテクノロジーで守る異界の軍隊EDF。
だが、全て悪いのはEDFであり、せめてWDF事件……いや、紛争が終わるまではこうしていなければならないのだろう。
「えへへ❤︎ 次はどんな"ちゅっ"をしますか❤︎」
そんな記憶喪失の殺戮犯こと軍曹ちゃん。
殺した命なんて無いかのような無垢な笑顔。
だけど牝の顔を従兵の只野二等兵に晒しながら、彼の胸元に両手を添え、体重を掛けては背伸びをしてKissをせがむ。
内なる魔力を抑えられないのか、猫耳ピコピコ、尻尾をゆらゆらさせていた。
「あ、あのさ軍曹ちゃん。 501もいるからさ、こういうのって 余り人に見せちゃ駄目だと思うんだ」
只野は窶れた顔をしながら、そう言った。
記憶は無いが、Kissの話はStorm1や周りから教えられていて、その結果、元々好意を抱いていた軍曹ちゃんは甘えまくる事に。
また、話に出てきた501部隊は彼らの監視兼警備として同じ島にいる。
彼女らも惨劇の記憶は無いが、目の前で禁忌であるチュッチュッを見せられてはイライラもするというもの。
早速というか、規律に煩いバルクホルン大尉が物申す。
「おい軍曹! いくらその、その……キスしても平気な特殊体質だからって、軍属であるなら風紀を乱す行為をするな!」
やや赤らめて吼えるバルクホルン。
ごもっともであるが、対して軍曹ちゃんも言い返す。
「えぇ〜? でも こうしてないと私の中の魔力が暴走するかも知れないんです。 正当な行為ですよ」
「そ、そんな正当行為があるか!」
軍曹ちゃんに言われて赤くなるも、やはり認められず吼えるバルクホルン。
言い返されたコトも正しいのはブリーフィングで知っているが、だからってイチャイチャされていてはイライラもする。
だが軍曹ちゃんは知ってか知らずか追い討ちを掛ける様に只野を抱き寄せて、ニンマリした。
「501は監視もしないとならないのでしょう。 ならセーフティが掛けられているのを見られた方が安心です」
「それは詭弁だ!?」
「ならナニすれば良いんですか? ああ、答えなくて良いです【自主規制】すれば良いのは分かってます」
「お、乙女だろオマエ!?」
「只野さん、いえ。 仁の女です❤︎ 身も心も捧げてます、愛さえあれば問題なんてナニもナイです❤︎」
「〜〜ッ!?」
こっ恥ずかしいコトを堂々と言われたバルクホルンは悶絶。
トマトより赤い顔にし、口から滝の様に砂糖ドバドバの甘すぎる症候群を罹患。
地面にのたうち回り、埃を立てて転がり回る。
真面目でウブな魔女ほどに、"えっち"言葉はキツ過ぎたのだ。
それを耳元近くで聞いていた只野も、軽く赤くなる。
まだ童貞とはいえ、南島でのハネムーンで耐性が付いたらしい。
「軍曹ちゃん……あまり、ねぇ? 女の子が そんなハシタナイ言葉を連発するもんじゃないよ」
そうは言うも、ケダモノの眼光で言い返す軍曹ちゃん。
「もー、これくらいワケないです。 仁もウブ
なんですからぁ❤︎」
アレを言えばコレをネットリ言う。
箍が外れた彼女は、すっかりサキュバス染みた えっちな子に成り果てている。
只野がナニを言っても、聞く耳持たないという感じだ。
そこにミーナ中佐がやってくる。
目を回して、ばたんきゅーな屍を乗り越えて、彼女に物申した。
「軍曹さん。 只野さんが好きなのは分かるのだけれど、その、ね?」
母性に満ちた、しかし困惑顔で言うミーナ。
戦争で恋人を喪った辛い過去を持つのもあり、複雑な様子だ。
そんな彼女に対しナニかを察したのか、哀しげな口調で反論する軍曹ちゃん。
「中佐、私と仁の仲を裂く気ですか?」
「えっ!? いえ、そんなつもりじゃ」
「ぐすっ、酷いです。 こんな時代、いつ死に別れするかも分からないのに」
芝居ったらしく、オーバーリアクションを撮り始める軍曹ちゃん。
「いえ。 だからこそ、中佐は引き裂こうとしているのですね……これ以上、仲良くなると別れが辛くなるから」
「それもあるけど。 ほら、周りの子も辛いでしょう?」
「そうですね」
「ね? だから……」
「でも、別れても心は一緒でいたいです。 だから一緒にいる内に【自主規制】しましょう。 私、仁との愛の結晶が、形見が欲しいんです❤︎」
「〜〜ッ!?」
頭を【ジャックハンマー】で殴られた様な衝撃と目眩に襲われ、卒倒するミーナ。
愛とえっちな響きだけで頭がパーンしそう。
その様子を見た軍曹ちゃん、悪魔の微笑みを浮かべる。
軍曹ちゃん、恐ろしい子!
そんな悪魔に、501の悪魔ことハルトマン中尉がやってきた。
目には目を、悪魔には悪魔を。
「ねーねー、軍曹ちゃんは只野さんの どんなところが好きになったの?」
正攻法でダメなら、相手に合わせるように攻撃するらしい。
世間話風のそれに、軍曹ちゃんは笑顔で答える。
「私を助けてくれたり、気にかけてくれる優しいところです」
「あー、分かるよ。 私も只野さんに優しくして貰ったなぁ、墜落した時ね」
言った刹那。
ビシィッ! と変な音が響く。
「えっ!?」
見やればなんと、軍曹ちゃんの背後の空間にヒビが入っていた!
加えて周囲の小石が宙に浮かんでいる!
キレてるキレてないじゃない、キている。
サイコキネシス……彼女の場合は魔法だが……普段はここまで強くないのに、愛と怒りのチカラで増大した。
同時に地雷を踏み抜いたらしい。
軍曹ちゃんは目元を薄暗くして、変な笑みを浮かべながら只野を抱きしめる。
それも、ギリギリと嫌な音を立てながら。
「ふ、ふふふ……もう仁ったら、中尉にどんなコトをしたんですか?」
「ぐえぇ……ッ!?」
理不尽だろ、こんなん。
変な妄想を膨らませて、嫉妬と怒りと愛故に只野を苦しめる軍曹ちゃん。
抱かれている只野の身体からは、ミシシッと嫌な音がする。
Storm1を絞殺しかけた時ほどのチカラは無いものの、このままではポックリ逝ってしまいそう。
その様子に慌てて、ハルトマンは弁解。
男女の愛は彼女も未経験だから難しいけれど、なんか恐ろしいモノの片鱗を見て身を震わせた。
「あー、いや、ね。 Storm2って部隊と一緒に安全圏まで連れて行ってくれたんだよ!」
そのままの話をするハルトマン。
すると、チカラが弱まり、空間は修繕され小石は地に落ちた。
「なんだ、そうだったんですか。 もー、仁ったら勘違いさせるなんて悪い人です❤︎」
悪いのは軍曹ちゃんやろ。
そう言いたくても言えない只野とハルトマン。
変な疲労感を味わい、ハルトマンは諦め顔になる。
作戦は失敗だ。
強行偵察の末に犠牲になった親友2人を置き去りにして、撤退する事にした。
「ごめん。 トゥルーデ、ミーナ。 男女の愛は難しいんだね」
心で敬礼をして、涙ながらに立ち去る中尉。
歴戦のカールスラント組が全滅した以上、バカップルに立ち向かえる投入戦力は無いかに思われた。
「えへへ……じゃあ、近くの空き家でイイコトしましょう」
「……ぐ、ぐんそーちゃん……俺はもう動けないんだ」
「大丈夫ですよ。 私がリードしてあげます❤︎」
子どもの軍曹だが、大の大人を軽々と抱き抱えて、近くの小屋に運び込もうとする。
だが遮る者が現れた。
イェーガー大尉……シャーリーだ。
「待った!」
バーンと手の平を軍曹ちゃんに見せて、静止の構えを取る。
大きな胸にナイスバディな彼女なので、そんなポーズも様になっていた。
「なんですか? 私はこれからお務めをしなくちゃいけないんです。 そこを退いて下さい大尉殿」
グラマラスシャーリーを、冷ややかな目で威圧する軍曹ちゃん。
只野を奪う気なのか知らないけど、そんな事をしたら容赦しない、といった考えをしている。
もう階級なんて愛の前には関係ない。
ただヤるのみである。
だが、シャーリーは退かない。
「別に軍曹ちゃんが"ただの女"になってただの"の"女になるのは止めない」
「止めてるじゃないですか」
ツッコミを入れる軍曹ちゃん。
間違えていないが、構わず続けるシャーリー。
「だが! 一線を超えて魔女でなくなった時、愛しの只野から寵愛を受けられるのかな?」
これにはピクリと反応してしまう。
今の軍曹ちゃんは、只野の事が好き好き大好き状態だ。
だが、只野本人の気持ちは どうなんだろう。
私は知らなくて大尉が知っているかのような反応は面白くなかった。
「魔女じゃなくなれば、愛してくれないとでも?」
冷ややかな目のまま、動揺を隠しつつ問い掛ける軍曹ちゃん。
対してシャーリーは大袈裟な動きと言動で説得をする。
「どーかな? 男の好みなんて、胸の大きさや顔だけとは限らない! ならナニか。 そう、魔女……魔性の魅力! 軍曹ちゃんは魔性の女なんだ! 只野さんはソレに惹かれたのかも知れない! だが! 魔女から魔をヌけば、それこそ"ただの"女! いや、"大人"しくなった女! 即ち! それは魅力が無い女に等しい!」
バッ!
両手を広げるシャーリー!
言っている事は滅茶苦茶だが、演技で誤魔化している!
もうなんなの この茶番。
只野は思ったが、息が苦しくて言えなかった。
「そんな……! 仁は大人に興味ないの!? ロリコンだったの!? 私が大人の女になったら興味が無くなる男なの!?」
只野ではなくシャーリーに救いを求めるように問う軍曹ちゃん。
すると、シャーリーは迷える子羊を導く、慈愛に満ちた修道女のように手を前に組んで優しく語った。
「大丈夫、焦ることはない。 今すぐ最後の一線を超えるのではなく、よく愛する者と話し合いなさい。 愛とは一方的なモノではいけないよ」
「なるほど。 分かりました、良く話し合ってみます。 ありがとうございました!」
只野を引き摺って、何処かへと拉致する軍曹ちゃん。
その様子を見守るシャーリーと、背後で見る他の面々。
なんなんだコレ。
少なくとも、あんな事を言っておきながら、只野の意思はまるで尊重されていない。
「愛し合う時。 それは彼らの受難が永遠の勝利に変わる時だよ」
「ナニ言ってるんですかシャーリーさん」
ツッコミを入れる宮藤軍曹。
他の面子はナニも言わなかったが、同じ想いであった。
なんにせよ、最後の一線を飛び越える事は先送りになり【自主規制】を見せつけられての深刻な精神汚染は回避されたとさ。
「う〜ん……乙女が……乙女が……」
「形見……結晶……頭が……」
約2名の汚染除去作業をしなければならなそうだったが。
「Storm1から只野二等兵へ。 エピメテウスの座標再取得。 ヘリも手に入れた、動けるか? おい、返答しろ只野」
「今、仁と愛を語り合ってるところです。 邪魔しないで下さい!」
「言い方ァッ!?」
彼の戦いは続く……。
無理がある気がしてきましたが、話を進めねば……。