Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
EDFと連合は既に様々な問題を引き起こしています。
ですが本格的な戦争をするつもりはありません。
特に南島での事件で連合は感じているでしょう。
手を出せば、どうなるのかを。
WDFのチカラが無くとも。
それでも議論してまで戦うのなら、我々も出張る必要がありそうです。
連合司令部と会議を行います。
その間、只野二等兵は警備兵としてWDFを護衛して下さい。
備考:
連合はしつこい。
◆ガリア国内、某会議室
南島事件から早数日。
WDFの2人は無事、カールスラント領に隠匿、501部隊はいつも通り記憶処理。 元の基地へと送られた。
一方、奪取に失敗した連合は タダでは転ばなかった。
先ず連合はWDFを公にバラした。
少女を騙して人体実験をしたという事実を声を大にして、庶民に広めたのだ。
これには世論も誘導されてしまう。 いくら戦争に勝つ為とはいえ、少女を人体実験にして良いなんて倫理観にそぐわない。
そうして庶民を味方につけた連合は、509JFWを解散させてEDFの戦力を削ぐ事にした。
南島で たった数人に大失態を犯した連合だが、油断せずに数で囲めば勝てると踏んだのである。
流石のEDFも、数で囲まれれば堪らない。
武器弾薬量、人材は連合に劣る。
持久戦に持ち込まれれば、いくらストームチームという人外遊撃部隊がいたとしても不必要な出血サービスを晒す事になる。
その為、EDFも己の生存を賭けて反撃。
連合の主張は事実無根である、またカールスラント領を守るにあたり、509JFWが解散すれば人類は大きな損失を被ると脅した。
互いに譲らず、無線越しではらちが明かないと会議にお呼ばれした司令官と情報部の少佐。
オペ子を本部に残し、かくして上層部の戦争が始まったのであった。
「おや皆さん。 "魔女狩り"の首謀者たちが来ましたよぉ?」
司令官と少佐が会議室に入るや否や、連合のお偉いさんに随分な挨拶をされてしまう。
それを応援するように、参加者達も冷ややかな笑みを浮かべて迎え入れた。
だが、この程度で屈する司令官と少佐ではない。
「随分な挨拶だな。 それとも欧州では普通なのか?」
「さすが。 黄猿には分からんか」
「我々の世界では考えられないんでな。 至上主義発言は。 文明人とは思えん」
「元より同じではない。 "エイリアン"諸君」
「同じであっては堪らん。 真面目に戦う兵士に申し訳無いと思わんのか?」
「それが仕事だ」
「人間を殺し合わせるのがか?」
「目には目を。 モノはモノ同士だ。 実に合理的だ。 それがイカンというのなら、君は感情を表に出してしまう無能な指揮官という事だ」
「ひとつ分かった事がある。 お前たちは間違いなく"無能なモノ"だ」
「東洋人の分際で。 減らず口が」
「それでやっと顔を見て話せる臆病モノが」
会議ではなく、いきなり喧嘩が始まってしまった。
こと連合に至っては差別用語すら用いている。 現代でやったら大問題だ。
元々仲が悪いEDFと連合だが、こうして目に見えて噴火する姿は気持ちの良いモノではない。
少佐は溜息をしつつも場を整えようと努力する。
これではナニしにきたのか分からない。
「会議を始めましょう。 時間は有限です」
「なんだね、仕切るように。 紅一点だから聞くとでも?」
「事実を言ったまでです」
「そもそも間違いなのだ。 組織運営に」
ここで司令官は声を大にしてモノを言う。
「その先は聞きたくないな。 互いに無駄口を叩くだけなら無線にでもタレ流せば良い。 聞いた庶民が離れないと良いな」
これは暗に、会議で録音した声を暴露するぞと言っている。
前にも似たようなやり取りをしたので、脅しでもなく本気だと悟った連合は閉口する。
「……ふんっ。 まあ良い、始めよう」
各自、椅子に偉そうに座り直して仕切り直す。
こんなヤツらが上にいるとは。 騙される庶民や兵士たちが可哀想だと司令官は思った。
「単刀直入に言う。 509JFWは即刻解散、在籍中の兵士は原隊に復帰させろ。 EDFはカールスラント領を放棄、WDFを巡る賠償金と技術提供及びWDF2体を引き渡せ」
「解散権限は総監のガランド中将にあると思っていたが」
「連合の総意なのだよ、コレは。 既に手続きは終えている」
対して少佐が挙手。
相手の了解を得ずに語り始める。
相手の軍規を守るつもりは甚だ無い。
そんな事をしていれば良いようにされるだけだ。
「なんの事か分かりません」
「おや。 届いた筈だよ」
「書類は空襲という焚火に燃えました。 連合からの電話は突然不通になるなど、ネウロイの被害が大きく連絡に齟齬が発生しているようです」
「ネウロイは君たちが殲滅しただろう」
「我々でも未確認のネウロイはいる、という事です。 地中を移動する個体も確認しています」
事実と虚実を混ぜて、それっぽく会話する少佐。
なんか、502JFWの隊長みたいな事をしている気がするが、皆そうなのだろうか。
少佐は続けた。
「我々EDFが抜けたとして、連合軍のみでカールスラント領を維持出来るのでしょうか。 地中にいるネウロイにも対処出来ますか」
「開戦初期は遅れを取ったが、今度は大丈夫だ。 問題はない」
「今度は。 あと何度、使う言葉でしょうか」
「ナニが言いたい」
「EDFの技術でも苦戦する事もある相手に、我々より劣る連合が勝てるのか、と言いたいのです」
冷静沈着な表情で、淡々という少佐。
対戦中もそれっぽいところはあったが、今はそのポーカーフェイスが役に立った。
「だからこその技術提供とWDFの譲与だ。 いなくなるなら、それくらい痛くあるまい」
「事は簡単ではありません。 この世界にEDFの兵器を維持管理出来る能力があるとでも仰いますか」
「君たちが教えるのだ。 501部隊の整備士たちは、Storm1のお陰で能力が飛躍的に伸びたと聞く」
「それは既存の兵器に対する整備能力です。 EDFではありません」
「なら、これからEDFの整備とやらを教えてくれれば良い」
引かない両者。
だが、少佐は人間の争いを逆に利用する事にした。
「では」
一拍おいて、
「教えるとして"どの国"に?」
キーとなる言葉を投下した。
連合といえども、欧州の国々の集まり。
それぞれ思惑があるし、仲良しこよしではない。
故に、面白いように利権争いを始める各国。
「それは勿論、スオムスだ。 優秀な整備士が多いしな」
「いやいや。 カールスラントだ。 様々な兵器を開発、運用出来る柔軟性と発想がだな」
「ふざけるな。 ブリタニアだろう」
「ウォーロック事件を忘れたワケではあるまいな?」
「一緒にするな!」
「信用出来ませんな」
「お前たちもだ! イニシアチブを握りたいだけだろ!」
「オマエモナー」
「黙れ貴様ら!」
ワイワイガヤガヤ。
ウィッチより幼稚な争いが発生。
ペンが飛び、紙屑が飛び、椅子が飛ぶ。
ここは いつから子ども部屋になったのだと司令官は嘆いた。
EDFやネウロイという共通に出来る敵がいたところでコレなのだ。
この世界の上層部は本気で人類を守ろうとしているのだろうか。
「どうやら連合もEDFに対する処遇が纏まっていないようだな。 こんな状況で呼び出すな。 帰るぞ少佐」
「了解しました」
ワーワーと喧嘩を続ける連合のジジイどもを背に、司令官と少佐は会議室を後にした。
正直いって話し合いの余地は無い。 不毛な会議である。
「助かったぞ少佐」
廊下を歩きつつ司令官は言った。
「何の事でしょう」
「議会を紛糾させ、混乱させた事だ」
「アレは議会とは言いません。 子どもの喧嘩です」
「少佐も言うな」
「彼ら程では」
「ふっ」
しばらく歩いて、喧騒が聞こえなくなるところまで来ると。
「強いて言えば……けじめ、もありましょうか。 これくらいで許されるとは思ってませんが」
「WDFのか?」
「はい」
少しトーン低く言う少佐。
WDFは戦略情報部が関わって生まれた存在だ。
まさかこんな面倒になるとは思わなかったが、起きたものは仕方ない。
「EDFの為でした。 地球の為でした。 ですが結果は……連合の思考以下です。 申し訳ありません」
立ち止まり、頭を深々と下げる少佐。
司令官は驚くでもなく、ただ静かに受け入れた。
「過ぎた事だ。 失った者たちは帰ってこない」
「はい」
「だがな。 上に立つ者同士、出来ることはある。 そうだろう?」
「はい」
「前から予定にあったが、早めよう」
言って、司令官は軍帽を深々と被り直して言うのだ。
「EDFはこの世界から撤退する。 WDFは……本人たちが望めば我々と共に歩もう。 それがこの世界の為であり、我々の為である」
「了解しました。 では至急、そのように」
その時。
緊急無線が鳴り出した。
慌てて、無線を繋ぐ司令官と少佐。
相手は只野二等兵だった。
「本部ッ! 本部ッ!! 救援を!」
随分と慌てた声だった。
「どうした落ち着け。 詳細に報告せよ」
そういうと、次には数多の銃声。
悲鳴。 絶叫。 爆音。
「どうした!? 何があった!?」
呼びかけるも、応答なし。
緊急事態だ。 本部はすぐさま全体に無線を繋いだ。
「全EDF隊員へ! 指定座標に集結せよ! 敵襲と思われる! 戦闘体勢を維持、周辺警戒怠るな!」
「一体何が」
「分からん! 我々も移動しつつ指揮を執るぞ!」
駆け出す司令官と少佐。
一体、ナニが起きたのか。
それは現場にしか、まだ分からなかった。
「なんで曹長さんが仁さんの手を繋いでるんですか! 許せません!」
「手を繋ぐくらいの、ナニが悪い!」
「全部悪いんです!」
「2人とも! 頼む! やめろ! ヤメテ!?」
「仁さんも悪いんですよ! 浮気なんかして! 信じて待ってたのに! 南島で酷い目に合った気がするけど、それにしたって酷いです!」
「浮気? おい只野。 これはどういう事だ! 返答次第じゃ この辺一帯を吹き飛ばすぞ!」
…………ホント、ナニが起きてるのやら。
修羅場。 デュエル(決闘)スタンバイ!