Witch Defense Forces(WDF)(完結) 作:ハヤモ
展示会の外でネウロイが出現。
被害が出る前に駆逐する。
備考:
展示されていたビークルを使用。
◆展示会外部
突如として地中から這い出てきた黒き怪異ネウロイ。
久し振りのソレらは人よりずっと大きく、象くらいはあり、それでいて虫の様に節足動物……悪夢である。
「相変わらず気持ち悪いヤツらだ」
只野二等兵は遠方の光景に、眉間に皺を寄せて吐き捨てる。
この世界の者も同意見。
ただし。 EDF隊員である只野の場合、αやβを思わしてならない。
特に地中移動が連想させる。
ヤツらも地中を移動して、突然地上に這い出ては人間を襲ったが故に。
「酸や糸とビーム。 どれがマシなんだか」
アニメでも地中からネウロイが出てくる描写はあるが、今目の前には1体や2体ではない。 沢山いる。
地面を盛り上げて出てきては、周囲の木々を倒したり建物にビームを飛ばして暴れ始めているときた。
これもEDFの影響か。
ネウロイ自体、様々な姿形があって一概に言えないから、何でも有りに思える。
アニメでも氷山になったりほぼ宇宙空間の高度にいたり、ウィッチの姿をしたり、兵器を取り込んでネウロイ化させたり。
目的も正体も仕組みも不明。 謎が謎を呼ぶ存在である。
怪異、この言葉が正に似合う。
なんにせよ攻撃してくるなら敵だ。
居合わせたStorm1達は迎撃する事にした。
「酷い目に遭うのは異世界に来ても同じだな」
Storm1は操縦桿を倒しながら呟く。
かつて、Storm2のぶっきらぼうな部下が欧州救援時にボヤいた言葉に似ている。
「嫌な事を思い出しますね」
護身用の右銃座に着く只野が言った。
銃座といっても銃手はビークル内で操作する為、安全だ。
外部を映すカメラ映像には、怪異チャンプル大盛りと弾道予測線となるレーザーラインが映る。
「前にも どこかで?」
左銃座に乗り込まされたウルスラが尋ねる。
狭い空間ながら眼下に広がるデジタル映像や操縦桿に興味津々だ。
「うん」
只野は短く言った。
思い起こされるのは、αやβの大群と地底探検だ。
「欧州でしょうか?」
「そんなとこ。 今は集中しよう」
戦闘中なので、話を打ち切った。
欧州でも地中移動してきたβの大群とドンパチした事はあるが、日本でもそうだった。
ただ、それを詳しく話をする事は無い。
異界の2020年代の話をしても理解を得られる保証が無い。
501部隊には笑われたし。 Storm1が証拠として提示した写真を見ても、やれカエルだの虫だのと無下にされたものだ。
わざわざ壁を感じる必要もない。 同時に虚しさを感じる事もない。
「電磁投射砲スタンバイ!」
Storm1が喝を入れるように叫ぶ。
改めて集中するふたり。 次に言われる言葉に耳を傾けた。
「敵はこちらに気付くだろう、マシンガンをいつでも撃てる様にしておけよ!」
「やっぱ機関銃は必要なんだって、ハッキリ分かるじゃないですか」
そして只野の言葉を無視しつつ、Storm1はカメラに映るレーザーラインをネウロイの群れに合わせる。
レールガン独特の主砲……筒ではなく"レール"が動き、同じ旋回砲塔に備わるマシンガンも動く。
「あれ? 勝手に照準が動きましたが」
「同じ砲塔に乗っかってるからね。 EDF製ビークルの悪癖だよ」
ウルスラにツッこまれ、只野がしょうもなさそうに説明した。
タイタンの副砲同様、同じ砲塔に備わるレールガンのマシンガン。
旋回すれば、同じように動く。 ネレイドみたいに自動補足機能等による捕捉や位置固定が無いので射手の技量、互いの連携が問われるのだ。
とはいえ。 ウルスラはEDF製ビークルに搭乗したのは初めてだ。
只野はソレを踏まえて説明する。
「もし接近されたらマシンガンの弾をばら撒くんだ。 レールガンは発射間隔が長く、機動力も低いから隙が大きい」
「分かりました。 操縦桿のトリガーを引けば撃てますか?」
「その通り。 操縦桿を動かせば、その方向に銃口が向く。 ただし、護身用故か射程が短いから注意ね」
EDF隊員は既に知り得ている事だが、レールガンは連続発射が出来ず乱戦に向かない。
どちらかというと長射程を生かして狙撃するビークルだ。
運用するなら、平原のような遮蔽物のない場所が向いている。
残念ながら、この場は そうとも言えない。
林や多少の家屋が並び、見通しも良いとは言えない。
だが、そこはEDFのセンサーを併用。
「神仏照覧ッ!」
「これ大和じゃないッス」
只野にツッコミをされつつ、Storm1は狙いを定めた。
岩や家屋、林に隠れて見えないネウロイを捉え、トリガーを引く。 刹那。
───ドンッ!
想像より軽い音と共に、電磁力で超加速した砲弾が放たれた!
レール方向に打ち出された弾丸は一瞬で岩や家屋、林ごと並んでいたネウロイを貫通! 粒子となり消えてしまう!
爆発のような派手さは、そこには無い。
だがしかし。 その貫通力やいなや、敵味方双方が驚愕するレベル。
既存の兵器に使われる火薬類の爆発音と異なる音、振動、なにより 人類が苦戦するネウロイをアッサリ葬った光景に驚くウルスラ。
「なんて威力……!」
魔女、魔力ナシでネウロイを葬る。
それが この世界において、どれだけ凄い事か。
故に疑念を抱く者がいるのは然り。
だが今、まさに事実として存在したのだ。
EDF。 異界の軍隊。 その技術力の片鱗だけでコレなのだ。
兵力が少ないにも関わらず、カールスラントを早々に奪還し、維持している実力と技術力は伊達ではない。
全盛期のEDFであれば、あっという間にネウロイをヨーロッパのみならず全世界から駆逐しただろう。
「むっ!?」
地面が揺れ、車体が揺れる。
Storm1は察すると操縦桿を引き素早く後退。
刹那、レールガンの車体があった地面からネウロイが盛り上がってきた。
センサーも、今になって反応する。
ゲームでもそうだったが、センサーは元より万能では無い。
地中移動している敵は反映されない。 アテにし過ぎると、このように面食らう場面も多い。
「この世界でも同じ目に遭うとは!」
だがやる事は変わらない。 殲滅だ。
「撃て!」
すぐさま只野がトリガーを引いた。
護身用のマシンガンが火を噴き、リスキルの如く怪異を銃火に晒す。
ウルスラも、慣れぬ引き金を絞って応戦する。
あくまで護身用機関銃とはいえ、かなり近い距離、なによりEDF製。 この世界の機関銃より高性能。
それなりの威力をもってして、ネウロイ装甲は抉れては怯み、一部はコアを破壊されて粒子にしてしまう。
それを遠方から観戦していた他の技術士官は、感嘆や驚愕の声を述べた。
「なんという威力だ。 説明は誇張でもなく事実であったか」
「あの機関銃、銃手も無しに自発的に動き撃っている。 いや、中で操作しているのか」
「凄い技術力だな」
「研究中の対ネウロイ徹甲弾をも遥かに凌ぐ威力ではないか、これは」
「あのサイズで。 やはりEDFは未来の……違う。 別次元の軍隊だ」
「機動力や柔軟性に劣るようだが。 それを補ってあまりあるな」
レールガンの実演を見て、ある者は目を輝かせ、恐怖し、メモを取る者もいれば己の技術及ばず落胆する者まで。
そんな彼らのフォローをするようだが、この世界にも凄いものはある。
ウィッチの存在の有無がある時点で、魔法の話になれば劣るのはEDFだ。
また、ウィッチ関係でなくてもトンデモ兵器が実用化されてる。
アニメではベルリン奪還作戦時、大型決戦兵器……陸上巡洋艦ラーテが投入されたのが その例だ。
全長39m、全幅11m、重量1000t。
全長25mのEDF製重戦車タイタンより巨大な誇大妄想兵器だ。
史実では様々な問題から構想のみで終了した兵器であるが、どういうワケかストライクウィッチーズの世界にて解決したのか、開発、投入された様だ。
そのスケールの大きさから、501部隊のバルクホルンは あの巨体で良く陸上を動けるな と驚いている。
その2連装砲の主砲は、ロケランの雨をもってして破壊不可能だったネウロイの壁を連続でブチ抜く威力があった。
副砲も複数取り付けられており、防御面も対ネウロイ傾斜装甲を備えマザーシップの砲撃の如く飛んでくるビームに耐えるほど。
だがそれらはタイタンも負けず劣らず。
走力は……負けているだろうが。
主砲のレクイエム砲は榴弾で、貫通力は無いもののビルをも吹き飛ばす威力。
固定機銃や副砲もあり、サイドのハッチからはグレネードをばら撒いたりミサイルを発射する。
防御面も高く、エイリアン前哨基地から繰り出される大砲撃を前に耐えつつ前進すらしていた。
量産もされている面を見ればEDFに軍配が上がるだろう。
…………別にEDFリスペクトをしたいだけではない。
事実を述べているだけだ(殴)。
「次弾発射準備完了!」
Storm1が後退しながら叫ぶ。
乱戦中ほど、装填準備時間が長く感じるものだ。
隊員なら、この苦しみが分かる筈。
「撃ってください!」
只野は、レールガン車体にまとわりついてきたネウロイをマシンガンで退け払いつつ懇願する。
「期待に応えよう」
そしてStorm1は冷静に対処する。
ネウロイが1列になるタイミングで、トリガーを引く。 刹那。
───ドンッ!
再び放たれた砲弾。
ほぼゼロ距離で喰らったネウロイは都合良く一掃。
……まあ、アニメでもリーネの対物ライフルで小型ネウロイの群れが一掃されてる描写があるからね。
それと比べたら無理はない。 なくない?
「クリア。 センサーに感ナシ。 周囲に敵影認めず」
「了解。 戦闘終了」
Storm1と只野は興奮するでもなく、静かにやり取りして取り戻した平和を噛みしめる。
会場は一瞬の静寂の後、歓声に包まれた。
「う、うおおおおお!!」
「凄い! 凄いぞEDF!」
「これがレールガンか!」
やがて、声はひとつに集約される。
「「「EDFッ! EDFッ!!」」」
拍手喝采の雷采止まぬ讃える声。
誘われるようにして3つのハッチが開けば、Storm1はやれやれといった具合だ。
只野は褒められた事が少なかったので、慣れぬ称賛に大いに照れる。
ウルスラは……技術に携わる者のひとりとして……それを最も間近で経験出来た者として、どこか誇らしく、嬉しく思う。
「さて。 このまま地底探検をしたいところだが、それは他の隊員に任せよう」
Storm1は指差して言う。
そこには蜘蛛型(脚は4つだが)地底戦用歩行戦車デプスクロウラーの群れが。
機械音を鳴らしながら、ネウロイが這い出てきた穴の中へと突入していく。
地底戦に開発されたが、地上でも強いビークルだ。 武装も火炎放射器やキャノン砲、ロケット砲と多岐に亘る。
そんな気持ち悪くも、頼もしいビークルにも目を奪われ、また歓喜し応援する連合の皆。
こうも喜ばれ……強さを感じてくれたなら、頭の固い上層部も黙るだろう。
して少しは平和になる筈だ。
Storm1と只野は、そう願った。
方向性に悩むも戻れない。
少佐 「データ(終了する為にも)交戦して下さい」
司令官「そうせざるを得ない。 逃げ切るのは不可能だ」
(作者) 「状況は最悪だ(殴)!」
諸悪の根源、黒海を潰して終わりとするか。
空気だったオラーシャからの刺客と悶着してから終わりとするか。