シルバーウィーク 葦の浮船   作:新庄雄太郎

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そして、達仁は善子と別れることを決意し東京へ帰京する事になった

いつか、善子に会える日を


第9章 善子の別れ

「善子、あいつって誰なんだ。」

 

花丸は達仁に言った。

 

「中学時代の理科の先生ずら。」

 

「えっ、理科の先生。」

 

「そうよ、あいつが有咲を殺したのよ。」

 

「えっ、何だって。」

 

「あいつって言うのは、理科の田中教諭よ。」

 

「そう言えば、俺が中学の時にそうな先生いたな。」

 

「うん、善子ちゃんと有咲ちゃんは小学校の時の幼馴染ずら。」

 

「で、善子が言ってた田中先生って。」

 

「実は、その先生は私にセクハラしたのよ。」

 

「えっ。」

 

「善子ちゃん、田中先生にセクハラされたの。」

 

「そうよ。」

 

「じゃあ、犯人はこの田中先生が。」

 

「うん、間違いないわ。」

 

「よし、早速調べて見よう。」

 

達仁は、早速有咲の足取りを追うことにした。

 

芦原温泉駅

 

「この女性、駅に降りられませんでしたか。」

 

「さぁね、この女性が知りませんが、確か男性が降りてきたのを見たぞ。」

 

「そうですか、ひょっとしてこの男かな?。」

 

達仁は改札員に写真を見せた。

 

「ああ、その男の人は南 達仁と津島善子の名を語ってたけど。」

 

「やはり、あの人は俺と善子の偽物だ、わざわざ偽名を使って旅行客になってたのか。」

 

「その人がどうしたのか?。」

 

「その人は何時の列車に乗って来たのかわかります。」

 

「さぁてねー、列車で来たとしたら10時33分のL特急「しらさぎ1号」でここに降りたけど。」

 

「そうですか、どうも。」

 

芦原温泉駅の調べで、達仁と善子の偽物は10時33分に駅で降りたことが判明。

 

「やっぱり、達仁とヨハネの偽物だったのね。」

 

「ああ。」

 

「被害者は善子を名乗った人だ。」

 

「じゃあ、ヨハネの偽物を殺したって事ね。」

 

「そうだ。」

 

「それで、どんなトリックなの?。」

 

「まず、奥飛騨の事件は、俺の友人の沢村を新保高で殺害し、その後は神岡で遺棄した。」

 

「それで、その後は車で美濃太田まで行き、そこから7時16分の普通に乗る、岐阜に着くのは8時23分、そこから岐阜発8時35分富山行のL特急「しらさぎ1号」に乗り、芦原温泉には10時33分に着く。」

 

「そうか、犯人はこれを利用したって事ずら。」

 

「そうだ、これで田中先生が犯人で間違いない。」

 

俺たちは、田中に狙われるのだ。

 

「アハハハ、よくぞ見破ったな。」

 

「えっ。」

 

「そして、有咲は田中に呼び出され、東尋坊の断崖で突き落とした。」

 

「あっ。」

 

「ごれで、犯人は田中先生あんただ。」

 

「何。」

 

「先生、どうしてあんな恐ろしいことを。」

 

「く、くくく、くそーっ。」

 

そこへ、吉田警部と青木刑事が到着し、犯人田中を逮捕した。

 

次の日、達仁は善子と別れの日がやって来た。

 

「そうか、沼津へ帰るのか。」

 

「うん、これからはお母さんと一緒に暮らすの。」

 

「うん、善子、いつか会いに行くからな。」

 

「うん、待ってるわ達仁。」

 

そう言って、善子は東京駅で東海道新幹線に乗り、沼津へ帰って行った。

 

「善子、元気でなーっ。」

 

と、見送った。

 




この作品はすべてフィクションです

劇中の列車時刻は昭和63年のダイヤを使用しています

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