せかいの ちゅうしんで あいを さけんだ!▼ 作:ポケモン再熱
風が気持ちいなぁ。
こんな時間なのに外のビルはまだ明かりがついてるよ。
「ふふっ」
みんなはぐっすりだ。
もうママも家に帰ったし、やっと落ち着けたような気がする。
「大変だったなぁ……」
ポップくんには心配され、ビートくんには激昂され、マリィちゃんにはそれらに加え呆れられ……。他のみんなにもたくさんのお小言を頂いてしまった。
それに……。
「まだ痛いよね、そりゃ」
頭を包む包帯。この中の傷は一生ものではないものらしいがしばらく残るらしい。乙女の顔に傷跡なんて、ってママは悲しそうにしてたけど、あまり私は気にしてないな。引っ越す前は私は男の子に混じってかけっことか、外を駆け回ってたしね。うーん、気にする余裕がないだけかな?
あー、でもマリィちゃんとかはどうだろ。言うの忘れちゃってたけど、やっぱり残念そうにするのかな。反応が怖いなぁ……。
──それはもしかしたらウルトラホールが関わっているかもしれませんね。
「……」
それは医者に言われたことだ。違う世界の私。死んじゃったことだけは仄かして伝えたら返ってきた医者の考察。
──アローラ地方で目撃されることがある、所謂ワープホールです。詳しいことは未だ分かってはいないのですが、その穴は別世界、並行世界、未来、過去などに繋がっているのではないか、と言われているんです。現に国際警察のリラという人はそのウルトラホールを通ってこの世界に来たようなんです。
……ただ、ウルトラホールを通った人のことを“Fall”と呼んでいるのですが……ユウリさんは彼女たちとはかなり事情が異なっていますね……。
向こうではこちらの記憶が思い出せなかったのは共通していますが、それ以外が違い過ぎる……。
世界を行き来したことが原因なのか。はたまた別に原因があるのか。……他に思い当たるのは有名なシンオウ神話の空間と時間を司るパルキアとディアルガくらいでしょうか……。
「ウルトラホール……パルキア……ディアルガ……」
それらが本当に関係あるのか。あったとしてどうするのか。てかその二匹初耳なんだけど。
「う〜〜〜〜〜!!!! わかんない!!!!」
「チラッ!」
「ひぃ! ごめんなさいぃ……」
チラチーノは怒ると怖い、特に寝起きは。これは私たちにおける常識なのだ。
「はぁ……」
よく分からないことばっかりだ。
でも。
分かったこともあった。
私は自分で言うのもなんだけど欲張りだ。昔っから欲しいものは手に入れないと気が済まない困ったさんなのだ。チャンピオンになれたのもどうしてもなりたくて必死にみんなと修行したからだ。
けど、その我儘をこのまま通してもいいのだろうかと思うことも多々あった。十四歳なんだから、いい加減大人にならなくちゃいけないと。
──でもさ。
向こうの世界で生きて分かったんだ。
大事なのは自分に嘘をつかないこと。後悔をしない生き方をすることだって!
で、さっき私の考えは固まった。
みんながたくさんのことを話してくれたから、色んな方向から考えることができたよ。
私は──。
「──最強になるッ‼︎」
「ヂラ゛ァア‼︎」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
まずはゆっくり休んで包帯とるよ!
ユウリは けっしん した! ▼