嘗て私は他人の玩具を壊した。
奪いものした。
普通ならば怒るだろう、親は叱るであろう。
だが私は・・・黒鉄珠雫は違った。
『御免なさいね、珠雫ちゃん。ホラお前も謝れ!!』
『ご・・・ゴメンナサイ。』
子供から聞こえる悔しさが滲み出た謝罪。
力の前に正しさを曲げる子供とそれを許す大人。
ああ、人間は何て醜い。
まあ私もそうであるからこそその苛立ちを弱者にぶつけることで
気が紛れていました。
強者に頭を垂れて内心ではみじんも感じていないような謝意や誠意を舌に乗せる
こんな人間しかいなかった。
だから私は・・・嫌いだ。
緋村一輝の様に心の底からきれいごと言う奴を見ると腹が立つ。
Fランクの癖に何故か圧倒的に強いのも嫌い。
兄と同じ顔しているのも嫌い。
存在自体が嫌いなんだ。
けどなぜ?どうして??
誰も彼もが彼に憧れるのだ?
何故誰も彼もが・・・ステラですら彼に尊敬するのか?
私には・・・理解できない。
『一年・黒鉄 珠雫さん。試合の時間になりましたので入場してください。』
そのアナウンスと同時に珠雫羽目を見開いて試合会場に向かって行った。
そしてこうも思っていた。
「(ああ、やっと来たここ迄。私はこれ迄幾多のも選手の心を
へし折ってやりました。低ランクを傷つけて罵倒して侮辱するあの戦いこそ黒鉄なんですものね・・・
・・・・・低ランクの兄であった存在をあらゆる力を使って『いなかった』扱いして戸籍事消すくらいですから。)」
ですからと言って試合会場に入ってこう呟いた。
「精々私の遊び道具になって下さいね♪生徒会長さん。」
『さあそれでは本日の第12試合の選手を紹介しましょう!青ゲートからはかの《紅蓮の皇女》に次ぐ今年度次席入学者にしてここ迄戦績は15戦全勝無敗で
属性優劣すら跳ね飛ばすほどの抜群の魔力制御力を武器に幾多もの選手を敗北させ地に這いつくばらせ徹底的にいたぶるその光景から《深海の魔女》と恐れ
呼ばれている一年生《黒鉄 珠雫》!黒鉄と言う名門は何処まで
駆け上がれるのか!!?そして対する赤ゲートからは我が校の生徒会長にして
校内序列最高位!前年度では二年の七星剣武祭で惜しくも《部局学園》の
エースにして《浪速のスーパースター》事《諸星 雄大》選手に僅かに及ばず
敗北するもベスト4と言う偉業を成し遂げた正に我が校の顔とも言うべき存在!!そして今年彼女は七星の頂に立つために今帰って来た彼女を止めれるのか!?
同じく全戦無敗でその速さの前に避けるも出来ず、その鋭さは防ぐも敵わずと言う金色の閃光から付けられた渾名は《雷切》!!三年の《東堂 刀華》選手の
ご入場です!‼』
そこから現れたのは栗色の長髪を足元に迄届きそうなほどの三つ編みにした
少女が現れたの瞬間に会場全体が・・・空気が重く感じた。
そして両者がリングに入った時点で・・・アナウンスが流れた。
『それでは第12試合・・・開始!‼』
然し1分後
『こ、これはどうしたことでしょうか!両者一歩も動きませんが!‼』
そう、互いに動かないのだ・・・一歩も
「ねえ一輝、これってどういう意味なのよ!?」
ステラがそう聞くと一輝はこう答えた。
「いや、あ奴らは既に戦っているよステラ殿。頭の中でね。」
「?」
ステラは何言ってんのと思っているとアリスがこう返した。
「簡単よステラ、2人は魔力が同程度。詰まる話が距離感も同じって事ヨ。
今あの2人の頭の中にあるのはどうやったら攻撃を当てられるかって言う頭の中でチェスをして勝利する事=試合の勝利に繋がるのよ。」
アリスがそう言って今の現状を説明していると絢瀬がこう言った。
「だけど相手は生徒会長で七星剣武祭ベスト4だよ、経験値で言うなら
会長が断然有利何だよね。」
だけどと言って絢瀬は一輝を見てこう言った。
「師匠だったらそれすら力技で何とかしちゃいそうなんだよねえ。」
「「ああ、確かに。」」
「おろ?!」
一輝はそれを聞いて心外だなと思っているとステラ達だけではなく周りにいる
生徒達ですら同じ気持であった。
そして絢瀬は一輝に向けてこう聞いた。
「師匠でしたらどうしますあの2人を相手どる場合?」
そう聞くと一輝は暫く考えて・・・こう答えた。
「まあ珠雫殿については今までの事を鑑みて相手を水で息を
出来なくさせると言った感じで行動不能に陥った所を水で叩きつけて
いたぶると言った感じであるから・・・まあ1,2分は息を止めている中で
戦えば良いかなって。」
「「イヤそんな考え誰もしないわ!!」」
アリスとステラはそれを聞いてツッコミを入れる中で一輝はこう続けた。
「次に生徒会長であるが彼女と拙者とは戦い方が同じだから・・・
抜刀させぬようにして戦う、この一本だね。」
「「「・・・・ハイ?」」」
アリス達はそれを聞いて何言ってんだと思っていると一輝はこう続けた。
「『飛天御剣流』は抜刀術に特化した剣術、それ即ち全ての抜刀術に
通じているんだ。そしてそれを?」
と聞くと絢瀬は暫くして・・・アッと言ってこう答えた。
「抜刀術を阻止する事も出来る!ですね!?」
「その通りだ、故に拙者と刀華殿との戦いは正にどちらかが先に抜刀を
成功できるかどうかに掛かっている。そう言う所だな。」
そう言って一輝は試合を見続けた。
次回は戦闘です。