落第騎士の令和剣客浪漫譚   作:caose

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 牙は常に磨くもの、磨かないものは只々死ぬのみ。


最強が牙をむく

 「へえ僕らの事分かるなんて中々やるねえ、気配も魔力も絶ったつもり

だったのに?」

 「生憎ですが僕は貴方方よりも気配を絶つことに関しては達人級な人間を

一人知っているものでして。」

 「あら?それは私達よりもお強いのでしょうか?」

 泡沫に続いてカナタがそう聞くと一輝は悪びれもなくこう答えた。

 「ええ、貴方方なんて瞬殺な程の小太刀二刀流使いですから。」

 「へえ、珍しい戦い方するんだねえ。」

 泡沫はそれを聞いて感心交じりでそう言うが当たり前だ。

 何せ相手はプロの御庭番衆、詰る所忍びだ。

 暗殺の達人でもあると同時に近接格闘に於いては間違いなく一輝が知る中で

剣心以外に於いて最速を誇る男・・・四乃森 蒼紫しか思いつかないからだ。

 そんな中で泡沫は一輝に向けてこう聞いた。

 「それでさ、どうして刀華が全然本気出していないって分かるのさ?」

 そう聞くと一輝はこう答えた。

 「簡単ですよ、彼女がやっているのは相手の観察です。」

 「観察?」

 ステラがそれを聞いてオウム返しでそう返すと一輝はこう答えた。

 「そう、観察です。刀華殿程の実力であるとするならば既に勝負は決しても

不思議ではない、だがそうしないのは何故か?絢瀬殿はどう考える?」

 そう聞くと絢瀬は暫くしてこう答えた。

 「そうですね、僕だったら相手の動きを熟知するために

まずは映像とかで・・・あれ?普通ならみんなやっているはずなのに

どうして??」

 絢瀬はそう呟いて頭に?マークを浮かべていた。

 如何に相手のコンディションによって試合内容が変わるからと言っても

大差はないのに何故から考えると一輝はこう答えた。

 「恐らくはそうしないのでしょうね、相手をまじかで見るからこそ分かる。

刀華殿はそれが出来る位の強者なのになぜ観察するか?だよ。」

 そう言うと暫くして・・・アリスがこう答えた。

 「相手の思考の把握?かしらね。」

 「その通りだよ、よくわかったね凪殿。」 

 「あらありがとう、お礼は後でゆっくりと」

 「まあそれは置いといて。」

 「置いとかないでよ!」

 アリスは一輝の言葉を聞いてびっくりしたかのようにそう返すと一輝は

こう続けた。

 「思考の把握、それこそが刀華殿の得意とする分野だろうね。相手の戦い方から策を弄して敵を討つ変幻自在な戦い方とそれを成せる速さを持つ抜刀術、刀華殿は他の騎士にはない体術をも組み合わせた戦い方を最も好んでいるではないかと

拙者はそう読むが如何でしょうか泡沫殿?」

 一輝はにこやかにそう聞くと泡沫は・・・冷や汗交じりの笑顔でこう返した。

 「君ってもしかして心理学も分かる程の使い手なの?人心掌握術とか読んだら

最強じゃない?」

 「いやはや、只の勘ですよ~~。」

 一輝は笑ってそう言うがこれは只の勘だ、そう・・・膨大な戦闘情報から

読み取った明治で培われた才能である。

 「まあ確かにロングレンジに関しては互角だけどねえ・・・それだけじゃあ

いけないんだよなあこれが。」

 泡沫は一輝に向かってそう言ってこう続けた。

 「刀華のロングレンジでの戦闘能力はまさに天下一品なんだ、

去年の準決勝の時なんて今の七星剣皇なんてそんな刀華の戦法を切り崩せずに

高機動におけるヒット&アウェイで勝ったようなもんだから文字通りあの距離での刀華を倒した奴は実際いないんだ。」

 泡沫はまるで姉を自慢する弟の様に言っているとカナタがこう続けた。

 「今の彼女は本来7対3の割合で勝っていなければ今後の勝利は厳しい物と

なるでしょうね。」

 「それに試合が始まって未だ5分弱、その間に既に2人との明確な差は

着いたと言っても過言ではない。」

 一輝はそう言って・・・嘗て妹であった少女を見てこう思っていた。

 「(さてと珠雫殿はどうやってこの難局を超えれるのかどうかで

今後の騎士としての一生が決まると言っても仕方なかろうな。)」

 そういう・・・冷ややかな目つきでそう思っていた。

 最早何も感じない、他人としか見ていないのだ。

 好きの反対が無関心とはよく言ったものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうこうしている間に刀華の足元の氷が・・・解け始めたのだ。

 雷使いである刀華によって生み出されたジュール熱によって刀華は珠雫によって造られた氷のフィールドを溶かしたのだ。

 「(ああもう!何なのよ何なのよこれはもう!!)」

 珠雫は今の状況に内心怒り心頭であった。

 何せ自身がこれ迄培った技術がこれ程あっさりと破れていることに怒りが

顔に出そうなのだ。

 自身がこれまでやった攻撃の中で死角でもある頭上に氷をぶつけようとしたのにそれすら効かないと言う非常識なやり方に納得が出来ない中でも

冷静に対処しようと刀華をじっと見ていて・・・突如自身の目の前に現れたのだ。

 「ひぃ!?」

 珠雫はそれを見て小さく悲鳴を上げてすぐに自身を受け身も取らずに

後ろに飛んで左手に地面を付けた瞬間に左手に溜めていた水を水蒸気爆発して更に遠ざけるが内心パニック状態で在った。

 「(一体どうなっているのよ!?私は彼女をずっと見ていたのにどうやって

あそこ迄近くに?!)」

 頭の中でパ二クッテいる中で珠雫はその正体が何かを考えていたのだ。

 まるで・・・見えない迷路に堕とされたかのように。




 次回も考察から始まります。
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