「『闘神』南郷 寅次郎」
嘗て最強の侍にしてこの日本に於いて第二次世界大戦を勝利に導いた英雄
『《侍》黒鉄 リョーマ』の相棒。
その実力は世界に於いても注目されている90を超えてなおも現役と言う
世界最高齢の現役騎士なのだ。
「その最強にまあアタシもだけど指導してくれてねえ、
今の七星剣武祭上位者は全員その教え子って訳だけどアンタなら分かるよねえ
《抜き足》の攻略方法?」
「「「!?」」」
西京の言葉を聞いて綾瀬達が一輝に向けて視線を注がせると一輝はこう答えた。
「まああるにはあるが簡単な話、己自身で『その意識の空白』を
自分で操作すればいいんだけどこれは言うに易し、行うは難しだな。
例えるならば目の前に自身よりも強敵がいて自身の目の前に
剣が振り下ろされるときに皆はどう見る?」
一輝がそう聞くと全員はこう答えた。
ステラ
「そりゃあ相手の剣でしょ?」
アリス
「私も同じね。」
絢瀬
「僕は師匠との特訓で何度も走馬灯見えているからまあ大体は見れる・・・
そうかそれか!」
絢瀬はそう言ってこう続けた。
「走馬灯と一緒ですね!?相手の攻撃で死ぬ時に自身のこれまでを振り返るから
その際に起きるあらゆる方法の模索!!それこそが『抜き足』の攻略法!!」
ですよねと聞くと一輝はこう答えた。
「その通りだよ、その剣に対して放たれる走馬灯。その刹那の間に起こりえる
時間の凝縮、『抜き足』の攻略法とはつまりその刹那を自らの意思で行い、
その刹那を移動する事だが・・・珠雫殿は恐らくそれは無理な話でしょうな。」
「確かにね、大抵の騎士は自分の魔力を最大限に利用するための技術を
身に着けることしか習わないから刀華ちゃんみたいな体術系においては
黒鉄の場合厳しいだろうね~~。何せ今の黒鉄がこの日本の今を作ったと言っても過言じゃないもん。」
「?それはどういう意味ですか西京殿??」
一輝がそう聞くと西京は嗤いながらこう答えた。
「簡単な話だ、今のランク至上主義はまず初めに提言したのが今の連盟
日本支部の長『黒鉄 厳』だからさ。『与えられた才能を十全に使いこなしてこそ騎士としての高みに辿り着けるであろうとさもあらんと言った事でまあアンタなら分かっていると思うけど『黒鉄』の家は名家で色んな場所の要職に
自分の家の連中や自分の派閥をぶち込んでいるから誰も否定できなくて
否定出来る奴なんてそれでこそ南郷の爺や絢瀬ン所の親父さんくらいの奴らで
後は大体が『黒鉄』に尻尾振っている玉無し共さ、その所為で近年じゃあ
破軍学園どころか今の日本の国家代表の騎士で上位者何て
全員南郷の爺の弟子かあの人が自ら開いている『闘神リーグ』って言う
ルール無用の地下大会の出場者しかいないからそのせいで今の日本に於いて
《『黒鉄』はこの国を弱らせる国賊であり奴を葬らない限りこの国は
弱体化の一途を辿るであろう》とか言っている連中が言うほどだぜ?」
それを聞いて成程と一輝は口ずさみながらも・・・嘗ての家を思い出していた。
『お前は何もしなくていい何もするな。』
魔力が無いだけでそう言われて家の稽古(大体が魔力関係)にも出してもらえず苦痛の日々を過ごしていたが明治のあの世界で父がどれだけ・・・
井の中の蛙であったのかが分かった。
日本ではあれ程強い人間たちがごまんといた。
己の才能を実力で研ぎ澄まし、研磨し、強くさせていた。
誰もが最初から強いわけではない。
強さとは何か?
魔力?
才能?
それともその両方か?
違っていた。
力とはその目的を達成させるために必要な『意思』である。
そう、嘗て憧れていた曾祖父はどうだった?
魔力で勝ったか?才能があったから生き残ったのか??
いや違う、彼は自分の『意思』で鉄火場を生き残ったのだ。
家族を、国を、友を守ると言う『意思』を持って戦い、生き残ったのだ。
だからこそ国はその『意思』に報いるために権力を与えたが曾祖父は
それを嫌ったが故に祖父は世界に恥じない日本を作ったにも関わらず
父がそれを利用して今のこの国を作ったのだ。
そしてこの国が潰れて行くさまを南郷と言う老人は見たくないが故に
『闘神』リーグなるモノを作って未来を繋ぎとめようとしていたのだ。
だからこそこう思っていた。
「(父さん、貴方は『力』の分別をまず学ぶべきであった。
そうしなかったからこそ今あなたの娘が負けるのですよ?)」
冷たい視線と僅かなる嘲笑でそう思っていた。
「(糞糞糞!一体どうしてこうなったんですか!?私は『黒鉄』の家で
魔力を磨いて七星剣武祭で優勝してそれで!それで・・・あれ?そこから先は)」
珠雫は戦いながらもそう思い始めていた。
自分は何のために戦っているのであろう?
家の為?
父の為??
名誉のため???
思いつく限り考えたがそれら全てが・・・違っていた。
何かあるはずだと必死で考えて・・・もう一度目を見開くと
そこから見えたのは・・・黄色の閃光
『鳴神』が放つ雷の光であった。
「ー--『雷切』」
その言葉と同時に・・・珠雫は白と黄色で構成された雷の中で
意識を暗転させてしまった。
全てが黒に・・・家の名と同じく正に・・・
・・・・黒一色となって。
次回へと続く。