「貴方は本当に『緋村 一輝』なのですか?」
「・・・・・」
それを聞いて何を言っているのだと一輝はそう思って・・・カナタは
こう切り出した。
「貴方は彼と出会ったと言っておりましたがこれ程の体格の人間です、新聞やニュースの対象になっていても可笑しくないのに何故今まで現れなかったのか?」
「其れは恐らく政府の人達が何かしらの方法で」
「そして貴方の師匠が戦ったと言っておりましたが彼を倒したのならば
同じ様になっていても可笑しくないはずなのにそれもない。」
「・・・・」
「そして最後に・・・貴方彼に行っていましたよね《蝦夷》と《屯田兵》。」
「ええ言いましたけど其れが何か?」
一輝はさもや何言っているんだと・・・カナタは一輝に向けてこう言った。
「何故貴方が彼に対して《屯田兵》・・・既にこの日本には存在していない
役職で言っていたのですか?さも当たり前のように。」
「!!!!」
一輝はそれを聞いて目を思いっきり見開いてしまったと内心そう思っていた。
相手が不二であった事からカナタがいた事をすっかりと忘れてしまったがために
迂闊だったとそう思っているとカナタは一輝に向けてこう聞いた。
「貴方は私達に何か大切な事を隠しているんだとそう思っています、それが一体何なのか私は聴きたいのです。」
カナタは一輝に向けてそう聞くながら詰め寄ると一輝は厄介だなと
そう思いながら・・・仕方なしと思ってカナタに向けてこう言った。
「カナタ殿、これから言う事は全て真実です。傍から見ればよ迷いごとや
気の狂った人間の妄言と言われても仕方ないでしょうが聞いてくれますか?決して疑うことなく。」
そう聞くとカナタは・・・暫くしてこう答えた。
「ハイ。」
そして一輝は・・・自身の過去を語った。
「では貴方は・・・黒鉄の。」
「ええ、ですが拙者の事は恐らく家の者達が死んだことで
既に決着していると思った方が良いでしょうね。少し前に古い新聞を
読んでいましたが拙者は既に死んだものとして扱われていましたし
まあ元からあの家とはもう関りは持たないと決めていますので正体等は墓の中まで持っていくつもりですので。」
「然しそれほどの実力でしたら黒鉄家だってあなたの事を」
「其れは無理でしょう、父・・・ああ、元父ですが
あの人は魔力至上主義者でして魔力がFと最低限の拙者のこと撫で家の恥とでしか思っていないでしょうから幾ら実力が合っても魔力のない拙者等そこら辺の
路傍の石とでしか思っていないでしょう。」
「そして貴方は吹雪の中一人で歩いて・・・力尽いたところで
明治にタイムスリップしたって・・・一体誰が信じると言うのですか?」
「ですよね~~。」
拙者ですら最初は信じられなかったですしねとそう言いながらこう続けた。
「《飛天御剣流》は師匠が新しき時代を切り開くために《人斬り抜刀斎》と
呼ばれようとも振るった剣技、本当は師匠は拙者の事を何処かの集落に置いて
一人旅を続けようと思っていたのですが歯を食い縛って頑張って
何とか会得しましたよ。」
地獄でしたけどねとそう言いながらこう続けた。
「そして明治11年の東京、そこで拙者は色々な人たちと出会ったり
事件に巻き込まれたりしてまあ諸々ありましたがこうやって生きているだけ
めっけもんと思っております。」
「めっけもんって・・・普通死にますよ騎士であっても。」
「まあ生きているからそれで良いかと思われるが?」
一輝はあっけからんとそう言うとそう言えばとカナタはこうも聞いた。
「それではあの刃が逆の逆刃刀も・・・?」
「ええ、あれは師匠が嘗て使っていた刀である《影打ち》を討ち直して
もらった物です。」
「それを作れるような人はもうこの日本にはおられないと思うと悲しいですが
では般若と言う男性も明治の?」
「ええ、正直黙っておりましたが彼は《江戸城御庭番衆密偵方》と言う
所謂忍びでございまして蒼紫殿の右腕でもあったお方です。」
「右腕にして忍者・・・本当におられたのですねえ・・・」
「ええまあ、勝てたのが奇跡でしたが。」
一輝はアハハハッハと笑っているとカナタはこう聞いた。
「その後本当はどうなったのですか?言いよどんでいたところが
ありましたが。」
「・・・あの後拙者は疲れでしばらく休んだところに起き上がった般若殿と共に左腕でもある式尉と言う男性と左之助殿と共に蒼紫殿と師匠がおられる
ダンスホールに入るとそこには実業家のああ、《武田 観柳》と言う外道ですが
奴が売っていた麻薬はとあることを行うための只の資金集めだったのです。」
「資金集め・・・何をする気だったのですか彼は?」
そう聞くと一輝は・・・こう答えた。
「武器商人。」
「!!」
「奴は当時の新兵器である《ガトリング砲》を各地にばら撒いて死の商人として更なる財を得ようと画策していたのです、そして拙者らはその《ガトリング砲》の標的にされて何とか避けていましたがそれでも避けるのが精一杯でしたね。」
「・・・普通避けれないと思いますが?」
カナタはそう言うとまあ良いと一輝はこう続けた。
「そんな中で師匠との戦いの中で満身創痍となっていた蒼紫殿目掛けて
《観柳》は攻撃して・・・それを《式尉》と言う筋骨隆々の大男が壁になって
守ってくれたのです。」
『おっと・・・そんな顔すんなよアンタらしくねえ・・・
俺は結構満足してんだ、薬を使ってまで手にした自慢の筋肉が
弾丸に勝る盾になるって・・・でき・・・て・・・ね』
「そう言って彼は命を落としました、自分を鍛えてくれた蒼紫殿の為に。」
「・・・・」
カナタはそれを聞いて唖然としていた、ガトリング砲と言う兵器に対して
貫通もさせることなくそれも命を変えて守った等・・・今の人間が
其れが出来るのかと言う事を思いながら。
「そして次に来たのがひょっとこさんで彼は油を持って突撃してきたのですが《観柳》は頭を打ちぬいて免れようとしましたが彼はそれを逆手にとって
べしみさんを《観柳》に近づけさせるがために自分を犠牲にして
なそうとしましたが《観柳》は現れたべしみさんも撃ち殺しました。」」
《仲間内からも一芸だけの際物野郎と・・・さげずまれていた・・・
俺達を見捨てないで御庭番衆にいさせてくれたお頭の為に命を・・・
掛けてみたけど・・・すんません・・・最後の最・・・後まで・・・俺達・・・
役立たず・・・で・・・・》
「彼は蒼紫殿に謝りながら泣いていました、自分が彼にもたらしてくれた恩を
返せなかったと言う多分蒼紫殿はそうは思っていなかったでしょうが
それでもと思うのでしょうね、彼らは命を落としました。」
「それでは般若と言うお人は?」
カナタはそう聞くと一輝はこう答えた。
「師匠の逆刃刀を拾わせて《観柳》を倒させるために自ら囮となって同じく。」
「・・・そうでしたか。」
あの時
「般若さん!」
一輝は撃ち殺された般若に向かって走って近くにある机の中に入ると般若は・・笑いながらこう言った。
「フフフ・・・最期に・・・敵に助けられるとは・・・私も・・・焼きが・・・回ったな。」
「般若さん・・・。」
一輝は血が溢れ出ていく般若に対してこう聞いた。
「何か・・・言い残した事はありますか?」
そう聞くと般若は一度驚いた様子を見せるが・・・暫くしてこう答えた。
「伝えてくれ・・・蒼紫様に・・・・
『この獣を・・・人に戻して・・・くれた事に・・・感謝と・・・この命を・・貴方様の・・・為に・・・使わな・・・かった・・・事に・・・・
・・・・・《申し訳ありません》』と・・・・伝えてくれ。」
「!!!」
それを聞いて一輝は目を見開いていた。
般若は最後まで蒼紫を慕っており・・・そしてその命を使う事に
何も躊躇などない武人の様な男の姿に一輝は・・・泣きながらこう言った。
「ハイ・・・貴方の事・・・伝えます。」
「・・・何故・・・泣く。」
「貴方が・・・僕にとって尊敬できる人だからです・・・!!」
「そうか・・・尊敬・・・か・・・
・・・・・・暖かい・・・な、・・・これが・・・人の・・・ぬくもり」
ーーーーーあの時蒼紫様に初めて人として見てくれた時に感じた温かさに
似ている。
最期にそう思い般若の眼から一滴の・・・・・涙が零れ落ちながら
その一生を終えた。
「そして《観柳》は師匠に対しても攻撃しようとすると既に
弾切れになっていましてそれを見て師匠は《観柳》に向けてこう言ったんです。」
『無駄死になんかではない、御庭番衆四人の命が貴様の《ガトリング砲》に
勝ったんだ。』
『た・・・たしゅけt』
『命乞いなら貴様の好きなお金様に頼んでみろ!‼』
「そう言って師匠は《観柳》の顔に一撃浴びさせて恵さんを救いました・・・
呆然としていた蒼紫殿を置いてですが暫くして警官隊が突入した時には
彼は脱出していたんです。・・・・死んだ般若さん達四人の首を斬って持って。」
「!!!」
それを聞いてカナタはそれが人がやれることなのかとそう思っていると
一輝はこう続けた。
「その後師匠は何時でも相手になると言うと蒼紫殿は・・・全てを絶望した瞳で師匠に向かってこう言ったんです。」
『抜刀斎、俺がお前を殺すまで誰にも殺されるなよ。』
「師匠は自分を使って蒼紫殿に生きる理由を与えさせたんです、
例えそれで自分がどうなろうとも。」
「それは普通でしたら誰も言わないと思いますが彼にとってそのお方も助けると決めたのでしょうね。」
「ええ、それでとある戦いが終わって蒼紫殿に彼らはどうしたのかと聞くと
彼らはとある山で眠らせたと言っておられましたので拙者も時間があれば
そこに行こうかと思ってます、あればですけどね。」
そう言いながら笑っている一輝であったがカナタはこう思っていた。
誰かを思い、命を投げ出すと言うその行動が人として忠誠心溢れていると
言う事と一輝の過去があまりにも辛い事に同情めいたものを感じていると
こうも思っていた。
「(あら?そう言えば一輝君の小中高の学校履歴は如何やって
改竄したんでしょうか?)」
そう思っているが一輝を見てこう締めくくった。
「(まあ、それはおいおい聞けば宜しいでしょう。)」
そう思いながら外を見ると・・・雨が止んで夕暮れ近い空となっていた。
次回は刀華がまた出ます。