『ギャアアアアアア!‼』
とある大きなビルの中で男の断末魔が響き渡った。
ここはマフィア達のアジト、そこにあるのは・・・地獄であった。
ある者は腹をナニカで貫かれたり切裂かれて内臓を抉りだされたり、
顔が判別できない程切刻まれたりとしている中でその中でも一際豪勢な部屋で・・・凄惨な光景が広がっていた。
『ママママ待ってくれ!取引しようぜ!?』
『・・・ナンダ一体?』
大柄のマフィアのボスであろう男は冷や汗掻きながら漆黒の鎧を身に纏った
誰かに向けてそう言うとその誰かはそう聞くとマフィアのボスはこう続けた。
『お、俺の右腕にしてやる!これ迄貰った上納金もお前に全部やる!!
だからさほら、これで手打ちギャアアアアアア‼』
そう言っている間に誰かは・・・マフィアのボスの足を思いっきり踏み砕いた。
そして誰かはこう返した。
『俺はお前達から金を貰いたいわけじゃない、お前達から何か貰おうなんて欠片も思っていない。』
只と言ってこう続けた。
『お前たちが俺から奪ったように俺もお前らから全てを奪おうとしても
文句はないよな?』
『あ・・・・あ・・・・あ。』
それを聞いてマフィアのボスはやっとのことで気づいてしまった。
自分たちは・・・悪魔に喧嘩を売ってしまったんだと気づいてしまったのだ。
『だからさ』
そう言って誰かはマフィアのボスに向けて・・・死刑宣告を告げた。
『良い声上げて泣き叫んで死んでくれ。』
そう言って拳を振り上げて・・・殴り始めた。
初めは手前や絶対に許さねえとか言っていたが段々と・・・30発くらいから
態度が急変してきたのだ。
もうやめてとかユルシテとか殺さないでとか言っているがそんなのお構いなしに誰かは殴り続けた。
そして50発くらいから・・・何も言わなくなり只々ひくひくと
痙攣するだけとなってしまい最後には・・・動かなくなってしまった。
そして漆黒の鎧を身に纏った誰かは子供たちを見ると・・・子供達は部屋の隅でガチガチと歯を鳴らしながら震えてこう言った。
『ひ・・・ヒィイイイイイイイイイ‼』
『お・・・お願い・・・こ・・・殺さ・・・ないで!‼』
『あ・・・アアアアアアアア。』
子供たちは絶望と恐怖でごちゃ混ぜになってしまった濁った眼で誰かを見て
そして誰かは子供たちの反射する目から映る光景を見て・・・自身を
見てしまったのだ。
全身を赤いペンキの如き血を浴びた自身の姿と・・・悪魔の様な
出で立ちとなっている自分を見て誰かは・・・吠えた。
『あ・・ああ・・・アアアアアアアア・・・・・アアアアアアアアアアアアアアアaaaaaaaaaaaaaaa!‼』
そしてその儘天井を突き破って何処かに行ってしまった。
気が付けばアリスは雨の中を傘を差さずに歩いていた。
何処にも居場所がなく幽霊の様に歩いていた、通行人はアリスを見て
見て見ぬふりをしているがために誰も声を掛けられなかった。
そしてそんな時に・・・声を掛けられた。
『おいお前、こんな所で傘を差さずに何をしている?』
そう言って後ろを振り向くと背後にいたのは・・・黒い法衣を纏った
壮年の紳士・・・いや、アリスはその男を見てピンと来たのだ。
この男はマフィア程度では片付けられない程のナニカだと思っているが男は
アリスの頭上に傘を差してこう聞いた。
『お前ひとりか?家族や兄弟はいないのか??』
そう聞くとアリスは暫くして・・・こう答えた。
『いたわ・・・兄弟が・・・血の繋がらない・・・けど皆・・・
いなくなっちゃった。』
そう言いながら何故だが理由を説明すると男はこう返した。
『お前は一つ間違いを犯している。』
『間違い?』
『そうだ、愛・金・倫理・道徳。これらは人間が理性を得た時に持つものだが
この世界に於いて唯一不変である事、それこそが《弱肉強食》だ。
強い奴は弱い奴を従える事こそが自然のルールであり絶対のものだ、
金や権力を使って他者を陥れるような屑は別だがお前はそうではない、
お前は今真実に最も近い存在かもしれん。俺と来るか小僧?お前ならば
俺が鍛えてやれば強くなれるかもしれんぞ?』
そう聞くとアリスはこう聞いた。
『私がそっちに入って得になる事ってあるの?』
そう聞くと男はこう答えた。
『そうだな、実はお前達を殺そうとしたマフィア共ガ全員惨殺されていた
らしくてな。それをマフィアに依頼してそいつらの暗殺を頼まれた
市長の所に行くのだが・・・コロスカ?』
そう聞くとアリスはこう聞いた。
『殺させてくれるの?』
『構わん、寧ろ権力を自らの実力と勘違いしている阿呆を殺せば少しは
世界が良くなること位常識だ。』
そう言うとアリスはこう男に向けてこう言った。
『じゃあ条件を付けさせて。』
『何だ?言って見ろ??』
『一億積んで、そうすれば貴方達の下で働くわ。』
そう言うと男はこう答えた。
『うむ、何に使うか知らんが今回の依頼料とマフィア共の部屋から金目の物は
奪えばはした金レベルだ。良いぞ付いてこい、俺からの依頼で
あの市長を殺せば払おう。』
そう言うとそう言えばと言ってアリスはこう聞いた。
『そう言えば叔父さんの名前って何なの?』
そう聞くと男はああと言ってこう続けた。
『俺か?俺の名前は《ヴァレンシュタイン》、リベリオンの
《十二使徒(ナンバーズ)》の人柱で《隻腕の剣聖》等と呼ばれている男だ。
宜しく頼むぞ・・・そう言えばお前の名前は何だ?』
ヴァレンシュタインがそう聞くとアリスは自身の名前を言うと
ヴァレンシュタインはこう聞いた。
『名前だけか?名字はないのか?』
『ソンナのないわ、ストリートチルドレンにそんなの。』
『ならば俺が付けてやってもいいが・・・候補はないか?付けて欲しい奴。』
そう聞くとアリスは暫くして・・・こう答えた。
『ユーリ、それが良い。』
『そうか、ならばお前は俺の弟子としてこう名乗れ・・・・・
・・・・・《アリス=ユーリ》、今日からそれがお前のフルネームだ。』
雨の降るその日私は初めて人の名前を与えられた。
代償として子供達と・・・最も愛した人の命と引き換えに。
そして時は現在へ。