魔法科高校の劣等生 断章 エアリアル・バースト 作:謎のコーラX
「やはり、司波達也だったか、」
「貴方は、確か魔法工学2位だったな、なんだ、逆恨みで襲いにでもきたのか?」
「まさか、俺にとってあんたは目指す人である人物だよ」
火ヶ波は達也のことは知っていた、達也は魔法工学において満点の成績を残していたため、火ヶ波も非凡な才能は持っていたためか、今まで一番だと思っていた、魔法理論と魔法工学以外の成績は平凡だったが、これだけは負けないと思っていた矢先に、達也の完璧な成績だ、自分が井の中の蛙と知り、達也を見つけたら、試そうと、そう決めていたのだ。
「どうもはじめまして、司波深雪様、わたくし、九島風刃と申します」
「あら、貴方、確か学年3位の」
「あはは、嫌味ですか?」
「うふふ、別にそんな気はしてませんよ、お兄様は無事でしたし」
深雪は冷気、風刃は突風を吹かせながら、笑顔で牽制しあっていた。
風刃もまた、達也ほどではないが、2位はいけると思っていた、しかし、教育用CAD、いわゆる魔法の杖のような物での試験の際、深雪は風刃以上の速度と距離を、移動の魔法を使った試験で見せた、風刃は火ヶ波のような気持ちより、素直な称賛を深雪に対して心から思った、が、やはり姉弟だ、帰ってすぐにそれは、憧れから超えるべき存在への好奇心に変わる、いわゆる実戦をしたいというやつだ、だが彼女は克己心が強い、表には出さないようにしている。
「さて、離れますよ火ヶ波、わたくしも自分が抑えられるとは限らないので」
風刃は火ヶ波の首根っこを掴んで、引きずっていく。
「くっそー!、授業で俺のほうが頭いいこと見せてやるからなー!」
「それは無理な相談だな、俺は補欠だからな」
「―――は?」
○
入学式も終わり、火ヶ波は一人、この高校について不信感を抱いていた。
「なんであんなやつがウィードで、俺がブルームなんだ?、おかしいだろ絶対、うん絶対駄目だろ、あいつが雑草なら他すべては毒草だろ!」
「――の――や――」
「ん?、なんだ?」
火ヶ波は、争っている声を耳にする。
「はは、ちょうどいい、憂さ晴らしには良いものだ」
火ヶ波は急いで、その場所に向かっていった。
その間に、火ヶ波の耳に入った情報から、深雪の取り合いということがわかった、普段ならつまらん争いとして関わらないが、ブルームとウィードが関わっているなら今の自分にはおあつらえむだと思い、その場所に現れた。
「随分と楽しそうだな、お前ら」
「あ、あんたは火ヶ波!、ちょうどいい!、このウィードどもを黙らせ」
「お前らが黙れ」
「そういう傲慢な態度が実戦でどれだけ死に直結するか、今ここで教えてやろうか?」
「お?、なんだ?、味方してくれるのか、あんた」
「火ヶ波だっけ?、確か魔法工学で上位にいたような気がするわ」
大柄の男、実戦はしてないが、戦いには慣れている印象、警棒のような形のCADを持った少女、こちらも同じだが、大柄の男よりも慣れた動き方をしている。火ヶ波がウィードの二人を見た感じはそのようなものだった。
「自衛以外での攻撃的な魔法は犯罪、だったか?、第一科ども、ここで俺に物理で躾けられるか、そのCADで補欠を狙うか、選べ」
「ぐっ……くそ!」
(なんだよ、つまらないな)
ブルームの人達は、大人しく離れていく、恨めしそうに、達也らを見ながら。
それと同じ頃に、生徒会長と風紀委員長が現れる、火ヶ波は面倒ごとは嫌だと思い、すぐさまこの場から離れた。
だが、名前は知られており、姿を見せた、逃げてもそれは先延ばしになるだけだった。