これは俺の(私の)新しい友人(繋がり)の物語   作:雨宮季弥99

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第2話

エアリアルに誘われ私は彼女たちの国への入り口に目を奪われる。この中に入れば私は……。でも、私の脳裏を過ったのはあの人。あの人は私を必要としてくれた。一度だけでも家族と呼んでくれた。だから、帰らなくちゃ。

 

 エアリアルに伸ばしていた手を抑え、不思議そうな顔をするエアリアルに行けないと告げようとした時、突然横から草をかき分ける音がした。

 

「君、だめだ!」

 

「え!?」

 

 声の下方向を向くと、そこには男の子が走り寄ってきているのが見えた。彼は私の腕を掴むと、そのまま私が何か言うよりも早く引っ張る。

 

「走って!」

 

「え! ちょっ!」

 

 抗議するよりも早く彼は私の腕を掴んだまま走り出す。私もそれに引っ張られ、無理やり走らされる。

 

「ちょっと! 何よあんた! チセをどこに連れていくつもり!」

 

 後ろからエアリアルが追いかけてくるけど、私たちに追いつけずに徐々に置いて行かれて行ってる。この人、逃げるのがうまい。

 

 しばらくしてエアリエルを撒いた私たちは地面に倒れ、息を荒げる。こんなに走ったのは初めてかも……。

 

「はぁ……はぁ……君、大丈夫?」

 

「は、はい……えっと……あなた……は?」

 

 改めて男の子を見ると、とても綺麗な顔立ちをしている。男の子なのはわかるんだけど、まるで女の人みたいだ。年は……私と同じぐらいかな?

 

「俺は夏目……夏目高志。えっと、君は?」

 

「あ……私は智世……羽鳥智世です」

 

「羽鳥か。羽鳥はあれが……妖が見えるんだな?」

 

「え、ええ……貴方も見えるの? あれが」

 

 私の問いに夏目君は頷いた。そんな……まさか、私と同じ人が?

 

「そこまでだよ君。僕のパピーを離してもらおうか」

 

 不意に声が聞こえたと思うと、夏目君の後ろにエリアスが立っていた。それを見た途端、夏目君が私を庇うように自分の体で私を隠す。

 

「……あんたは何だ? 羽鳥に何の用だ?」

 

 夏目君の声が固くなってる。でも、震えてはいない。彼の体も全然震えてない。この状況に慣れてる?

 

「僕は僕のお嫁さんを連れ帰りに来ただけだよ。どいてくれないか?」

 

 ……ハイ? お嫁さん? 誰が誰の?

 

「……羽鳥。こいつが言ってる事は本当なのか?」

 

 夏目君に声をかけられ、私は気を取り直す。

 

「えっと……お嫁さんっていうのは初耳ですけど……大丈夫です。エリアスは、私の……家族です」

 

「家族? ……そうなのか。悪かった、さっきこの子が妖に連れ去られそうになってたから」

 

 私の言葉を聞いた夏目君は一瞬訝しげな表情を浮かべたけど、エリアスに向き直って謝った。

 

「知ってるよ。チセの勉強になると思って見守っていたけど、まさか君みたいなのが乱入してくるとはね。君は何者なんだい? エアリエルが見えてたけど……人間にしては魔力があまりに大きい」

 

「俺は……」

 

 エリアスの問いに夏目君が答えようとしたとき、私達の後ろの茂みから音がしたと思うと、妙にブサイクな猫とその上に乗ってる小さい……人? が出てきた。

 

「やっと追いついたか。まったく、少しはゆっくり走れんのか」

 

「おや……これは少々剣呑なご様子ですね」

 

「! ニャンコ先生、時渡」

 

 それを見た途端、夏目君が名前を呼んだってことは知り合い? 夏目君も私みたいにエリアスみたいなのがいる?

 

「……ほう、半端者か。相手をするのは少々面倒そうだし、不味そうだな」

 

「斑、止めておきましょう。見れば互いに事情が分からずに困惑している様子。どうだろうかそこの骨頭の方。できればどこかで落ち着いて話をさせてもらえぬか? 我らは争うつもりはないし、そこの少女を傷つけるつもりもない」

 

 不細工な猫の言葉に一瞬エリアスが動こうとしたけど、小人の提案を聞いて動きを止めてる。考えてる……のかな?

 

「……良いだろう。僕も君たちの正体が気になるし、いつまでも外に居たらチセの体にも悪い」

 

 そう言うと、エリアスは無造作に私に近づいて、私を軽く持ち上げてしまう。そのまま私たちは家へと帰った。

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