狐憑きのメソッド   作:蓬莱人形

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今回はやりたいことをいっぱい詰め込みました…

やり切った感…

それと、詩菜の持っている槍に関する情報はサイト"幻想の武器博物館"様の文章を参考にさせて頂きました。





第四話

詩菜が実体化した事で感じた浮遊感に自分の体を確認する。

詩菜が実体化したことによって薄々解っていたが実際になって見ると以外とびっくりする。

詩菜は自身の身長より少し短い位の槍を構えイヌに向かって飛び掛かる、イヌは詩菜の攻撃を躱すと詩菜に向かって牙を立てて反撃を行う、詩菜はそれをサイドステップで躱す…

「…詩菜、なんで人型なのに実体化して…?」

薄々感じていたとは言え、詩菜が実体化したことは予想外だった、そもそも詩菜が実体化するなんて思いもしなかった。

だから僕は詩菜が戦ってる事なんて関係なく詩菜に声を駆けていた…

「よっ…これはね、『反転』…これも式神使いとか狐憑きが使える技の一つなんだけど…っと…」

イヌの攻撃を槍でいなしながら詩菜は僕の言葉に答えるように説明を始める、話している隙を突こうとイヌも攻撃を繰り返す。

詩菜はイヌの攻撃をバックステップで躱すと槍を構え直す

「…解りやすく言うと、肉体の本来の持ち主と式神が互いに入れ替わろうと思うと発動する術で。」

槍をイヌに向けながら説明を続ける詩菜、その状況からしてかなり余裕さが伺える。

隙を見つけたと思ったのかイヌは詩菜に目掛けて一直線で突っ込んでいく、丁度僕の喉元を抉ろうとして放った爪による攻撃とまったくおんなじ動きで…

「何で『互いに』なのかって言うと、どちらかの意志で暴発するのを防ぐ為らしいよ。」

詩菜は突っ込んでくるイヌなんて気にも止めず説明を続けている、イヌは完全に攻撃が入ると踏んだのか詩菜の喉元を狙い飛びかかった。

 

イヌは詩菜の喉元を切り裂く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事は無かった。

詩菜はこの事を呼んでいたのか…いや、始めからこの状況を狙って余裕を持った戦い方をしていたのだろう。

だから最初の攻撃は直線的で、かつ避けやすい物だったのだろう、それにこの戦い殆どを詩菜はイヌの攻撃をいなす事しか行っていない。

その証拠に今、詩菜は「予想通り、待ってたよ」と言いたそうにニヤリと笑うと、持っていた槍を弾くように空中で一回転させ、イヌの喉元を槍の持ち手を叩き付けるようにして攻撃を防いだ。

「キャンキャン」とイヌが怯んでいる所を詩菜は見逃すはずが無く、槍の穂(刀身部分の事)をイヌの喉元に突き刺すとそのまま地面に槍を突き刺す形でイヌの体を槍で貫通させた…

「グゲェェェ…」とイヌが鳴き声を上げる…

詩菜は槍を引き抜き、こちらに向き直る。

「遥人、大丈夫?変な所無い?偶々とは言え、始めて妖怪と戦ったけど…」

詩菜は僕を見ながら聞いてくる、体は大丈夫だ、問題ない。

しかし『反転?』を行ってから僕は体に違和感を感じていた

「いや、大丈夫だよ、でも…一つだけ有るとしたら…」

「あるとしたら…?」

「『反転』…だったか?あれを行ってる今の状態で体に浮遊感と言うか…まぁそういうのがあって違和感を感じるんだけど…」

一つだけ有る、と言った時に心配そうな顔立ちになっていた詩菜は「何だ~そんな事~」と言いたそうなほど安心した表情になり笑顔で言った

「それは仕方ないよ~。霊体化してるんだもん、解決策は…慣れ?」

「何で疑問形なのかは置いておいて、早く戻らないか。」

「え~♪どうしよっかな~♪」

今僕は「しまった、今重大な事に気が付いてしまった!!」と思った。

この『反転』、とてつもない欠点がある、『互いの意思が重なった時』にしか発動しないって事は『どちらか片方が「戻ろう」と思わなければ体は一生このまま』という事だ。

今詩菜が何を思ってるのか知らないが『戻ろうと思ってない』事は確かなはず…

ヤバい、どうする…どうする…!!

「ん~、じゃあこの"油揚げ食べたら"戻ろう♪」

…は?

「詩菜…まさか…さっきのって…」

「うん、遥人をからかう為の冗談だよ♪」

コイツ……はぁ…安心したやら、呆れたやら…

詩菜の発言に胸を撫で下ろすと共に、僕は何とも言えない気持ちになった。

…取りあえず、帰ったら説教だな。

 

 

「へへへ~♪引っかかった~♪」

無邪気に笑う詩菜、その後ろに動く影が見えた…

…ってあれさっきのイヌ!?

「詩菜!!」

気付いた時に僕はとっさに叫んでいた

詩菜はハッと槍を構え後ろに向き直る。

 

 

 

 

…その時、パパパン!!と言う発砲音と共にイヌは声にならない悲鳴を上げながら消えていった。

僕と詩菜は発砲音のした方を向く、僕たちの目に映ったのは屋根の上に立つ黒いマントにフードを付けた誰かだった…

恐らく女性だろう、その女性は持っていた銃、形状からして恐らく"ベレッタM93R"だろうソレの銃口を降ろしながら詩菜と僕を見ると、銃口を構え発砲して来た。

「遥人!!私の後ろに!!」

詩菜が叫び、僕はとっさに詩菜の後ろに隠れる。

一瞬、詩菜の遥人と言う言葉にフードの女性はピクリと反応を見せたが、詩菜と僕は気付かず、詩菜は銃弾を槍を使い弾いていく…

発砲を繰り返しながら詩菜の前まで接近して来た女性は発砲を止め、詩菜の槍を見る。

「霊槍・小たいまつですか…」

「へぇ…知ってるの…」

詩菜はニヤリと笑うがその顔には若干汗が浮き出ている…

 

『霊槍・小たいまつ』、『加沢記』に登場する霊槍で天正十年、沼田城をめぐる北条軍との戦いで矢沢薩摩守頼綱が携えていたと言われる霊槍、ある夜戦では松明の如き光で敵を照らしたと言われている。

何でも、元は頼綱の父が、鬼神を退治しようと、水内郡八幡宮へ祈誓した際に授かったもので、鬼神を退治したという言い伝えのある槍らしい…

 

「何故あなたみたいな妖狐がその槍を持っているのですか…?」

「ちょっとした事情があってね…悪いけど答えられないわ…」

「そうですか…」

詩菜とそんな会話をした女性は再び発砲を開始する。

詩菜は再び槍を使い銃弾を弾く

「詩菜!!替われ!!」

「それが出来たら今、苦労してないっ…っよ!!」

詩菜は銃弾を弾いているが若干押され気味になっている。

僕は自分が危険になることを顧みず詩菜と女性の間に割って入るように移動し、ダメもとで「替われ!!」と強く願った…

ふと、体が戻ってくる感覚がして周りを見ると、驚いた顔をして居る二人が見えた…

「は…?」

詩菜は驚いた表情を浮かべ、女性は目を見開いている。

とっさに体を確認する…戻っている…?

…戻った?どういう事だ…

「『強制…反転…』」

「…まさか…」

二人は何か思い当たる節があるようだが僕は何が何だか解らない…

どういう事…?訳が分からないよ…

「…急用を思い出しました、今日はここまでにさせて貰います…」

女性は銃をしまうと後ろを向いて歩きだす。

「あら、見逃してくれるの?」

「いえ、私の本来の目的は先ほどのイヌの討伐ですので…貴方たちが討伐対象になれば今日みたいには行きません。」

「ま、精々気を付けるわ…」

詩菜とそんなやり取りをして女性は町の闇に消えて行った…

「何だったんだ…今の…」

あっけにとられていた僕は詩菜に聞く。

詩菜は少し考えてから何時もの笑顔を作ると

「後でゆっくり説明するから、早く帰ろう♪」

と言ってさっさと家に向かって飛んで行ってしまう、僕は詩菜の後を追うように家に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その同時刻、僕たちが向かった方向と逆の道でフードの女性が夜空を見上げて

「まさか…貴方が"狐憑き"になっているとは…驚きましたよ、遥人君…」

なんて呟いていた事を僕たちは知らない。

 

 

 




ぶっちゃけ霊槍の情報探すのに手こずってました…



次回、取りあえずの一区切りが付いた

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