今回も、どうぞ。
水月本人は知らなくとも、龍臥のニュータイプ能力に気が付いた事は事実。そのことを龍臥も薄々感じていた。
他の中隊メンバーが気さくに接してくれながらも、水月だけはそうではなかった。
味方…というよりは、怪しい人物として見ていた。
「龍臥ー!メシ食いに行こうぜ!」
武がミーティングの後、昼食に誘ってきた。
当然断る理由もないため、快諾。
武は他のモビルスーツについて龍臥にたくさん質問してきた。ビーム兵器は主兵装なのか、ビームマグナム以外の強力な武器は、などなど…
「うーん、そうだな…例えばウィングガンダムゼロっていう機体があるんだけど…」
龍臥と武は食堂に向かいながら会話していた。それ以外では、二人だけの共通的な会話ができないためである。
「ウィング?羽…翼とかか?なんかカッコ良さげなネーミングだな…」
「そう、実は機体に翼が付いているんだ。でも、本物って訳じゃなくて機械的なんだけどな。」
龍臥も機体の解説は嫌いじゃなかった。これが00ユニットのためになれば、と思っていたほどだ。
「単機で大気圏突入やハイヴ攻略も可能で…特に専用武装のツインバスターライフルが強力なんだ。」
「ツインバスターライフル?ビームマグナムより強そうな名前だ…」
「事実、ビームマグナムより強力かもしれない。ふたつのバスターライフルを連結させて発射するととんでもない火力が出せる。かつて、地球に迫った巨大なコロニー…宇宙移民のための施設を破壊した程だからな!」
「うわ…なんだそれチートかよ!」
武と龍臥は2人揃って楽しく会話できていた。まるで同じ世界にいたみたいな…そんな感覚だった。
しばらくすると、武が真剣な眼差しで話を振る。
「俺さ…XM3の実験の時に大切な教官をBETAに殺されたんだ…。とても悲しかった。それでも、俺は周りの人達…夕呼先生や中尉達に励まされて、立ち直れたんだ。だから…」
「……」
龍臥は黙って聞いていた。武の教官…おそらく、神宮寺まりもだろう。
「たとえ俺がやられても…そこまで落ち込むなよ?お前の機体があれば…人類を勝利に導けるんだからな。」
「縁起でもないことを……。というか、誰も死なせない!これも俺の目的でもあるんだからな!?」
龍臥と武は笑いあっていた。
食堂に着く頃には会話もひと段落つき、他メンバーも集まっていた。
「刻永、よろしく頼む。改めて、御剣 冥夜と申す。」
腰まで届くほどの髪の長い同い年の少女…彼女が御剣冥夜。彼女は征夷大将軍の実妹である。
「よろしく、御剣さん。」
龍臥も挨拶を返す。相手が征夷大将軍の血縁者だろうと、態度を変えないこと。これがいい関係を保つ秘訣だ。
「あ、あの…珠瀬壬姫でしゅっ…よろしくね。……噛んじゃった…」
「おおタマ、相変わらず緊張すんのか?同い年だぞ?」
武が茶化す。それを見て龍臥は苦笑する。
「…で、こっちの眼鏡かけたのが委員長。無口っぽい感じのが彩峰だ。」
武が軽く紹介すると、二人が鋭く言う。
「白銀…彩峰だけは名前呼びで私は委員長って…榊 千鶴よ。よろしく」
「改めてよろしく…彩峰。」
彼女らは元々武の同期らしく、仲良さげな印象だ。
「ハイハイ!鎧衣美琴だよ!よろしくね!」
武から聞いたが、武の世界では男らしい…なんで並行世界は何故、なんでもアリなんだ……?
「あ!みんなと…刻永少尉だ!あなたの戦術機…あれってどこの!?」
「こら茜、いきなり質問責めしないの…」
「えー!?だってお姉ちゃんもあの戦術機のこと知りたいでしょ!?」
(涼宮遥の妹…茜。涼宮姉妹は変わらずこんな感じか…こんなに女性が多いと緊張する…)
龍臥の元いた世界では極力女性と関わらないように過ごしていたが…ここではそうはいかない。克服していかなくては。
「お、昼食にもA-01部隊勢揃いか。賑やかで結構だな。」
微笑みながらそう言ってきたのは、伊隅みちる大尉…伊隅ヴァルキリーズの中隊長だ。
後ろに柏木晴子、風間梼子、宗像美冴がついて来る。
彼女らも龍臥に軽く挨拶してくれた。
そんな中、ひとり遅れて水月がやって来た。
相変わらず龍臥への目は疑惑に近いものがあった。
(水月…どうしたんだろう…)
遥は心配だった。なぜ龍臥に対してそんな態度をとるのか、理解できなかった。
「刻永…あんたちょっといい?」
水月は龍臥を呼び出したのだ。みなが見つめる中、二人は食堂を後にする。
「え!?なんだい新しい子が入ってきたと思ったら…険悪なムードだねぇ!」
「!京塚のおばちゃん!」
武は急に現れた京塚志津江に驚く。
「さぁ、今日もちゃんと食べて力をつけな!」
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「-で、あんたあの時戦場で会ったやつよね…」
「!!」
龍臥はドキリとした。何を言われるか分からないが…下手な質問に下手な回答をすれば別世界から来た人だ、と言うことがバレてしまうかもしれない。普通、別世界なんて信じられないが。
「…はい…まぁ、あの時逃げようとしたパイロットです…」
「…あの戦術機…見たことないし、どのデータにも一致しないの。国連職員の私たちにも知らない、未知の機体なのかもしれない…。それは別にいいの、問題はあなたよ。」
(……しまった…ニュータイプのことか?それとも、この世界の住人じゃないことか!?)
龍臥はどんな質問にも答えられるように準備した。しかし、質問された内容は驚愕の内容だった!
「あなた!男のクセしてよくも逃げたわね!普通は逃げないでしょう!?あんなふうに通信してきたんだから!」
「…いえ、あの時は機体が勝手に動いて…」
「言い訳しないの!それに、ウジウジというか、モジモジというか、あの時の白銀みたいだし…もう!」
龍臥は訳が分からなかった。何を聞かれるかと思ったら、いきなりこうなったのだから。
「ほら!もう行くよ!食事に遅れるでしょ!?」
「は…はぁ…」
仕方なくこの場を切り抜けるため、素直に従う方がいいようだ。
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「龍臥、大丈夫か?」
武が心配する。
龍臥は混乱していた。女性耐性が0に等しいのに、訳の分からない事で怒られはするし、散々だった。
「……おう……」
「まぁ、元気出せよ。俺も早瀬中尉には散々言われたからさ。」
「ちょっと白銀!あんたがウジウジしてたからしょうがないでしょ!」
「まぁまぁ……水月…少し落ち着いて…ね」
遥が抑える。
「久々に編入した人が二人とも男で、態度が気に食わなかったならこうなりますよ。でも少しは優しくしてさげましょう?そうですよね、大尉」
美冴が水月にからかうように大尉に話しかける。
「そうだぞ、中尉。そうでなければ、刻永少尉に嫌われるぞ?」
「嫌われて結構ですっ!」
こう言うのは、すぐムキになる性格のせいだろうか。
(それにしても……合成食ってこんなに美味いのか?さすが京塚志津江さんだな…)
龍臥はメシの美味さに感動していた。
昼食も終え、モビルスーツの点検でもやろうかと考えていたところ、龍臥は夕呼の部屋に呼ばれた。
龍臥もちょうど夕呼に用があったためグッドタイミングというやつだった。
龍臥はハロを連れ、『ゼロシステム』、『サイコフレーム』、『ミノフスキー粒子』の資料を持って夕呼の待つ部屋…魔女の巣窟へ向かう……。
to be continued
次回から夕呼先生と共にオリジナルMS開発計画を練ります…
次回もお楽しみに!