Muv-Luv-Dragonewt   作:へらこじか

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伏線回収気持ちええ^〜
今回は長めんそうめん人間ドラマ満載です。


#12 還りし記憶

「カオリは……………………俺の………………妹だ………」

 

龍臥がその女性の名を、関係を口にする。

 

「妹と言っても…ただ、あいつが勝手に俺を兄だって言って……ようは幼なじみさ……」

 

「幼なじみ……」

 

武はその言葉に反応してしまう。彼自身もその言葉には思い当たるものがあるのだろう。

 

「名前は……矢凪 香織(やなぎ かおり)っていうんだ……あいつは特別元気って訳じゃなくて……少し病弱だったんだ。家が近くて、毎日のように遊びに行ってた」

 

遥と茜も、その話を真剣に聞いていた。

 

「あいつと一緒にいると……元気になれたんだ…昔は…………」

 

「昔は……?」

 

遥は不思議に思う。

そう、先程から全て過去形で話しているのだった。

 

「その……香織さんは……今は……?」

 

茜が恐る恐る質問する。

返ってきたのは予想通りの返答だった。

 

「……っ………し…死んだよ。」

 

涙ながらに龍臥が言う。

 

「………バカだったよあいつは……テストも俺より点数悪くて……幼なじみの俺を残して勝手に死んで……」

 

龍臥の発する声が少しずつ震えてくる。泣いている。そう誰もが分かっていた。

 

「病死……か?……」

 

武がその質問に入った瞬間、龍臥の顔が鬼のような形相に変貌する。

 

「刻永君……?」

 

「……殺……されました……!!」

 

「「「っ!!」」」

 

その場にいた全員が息を呑んだ。

 

「ちょっと……そんな……犯人は……?」

 

茜が信じられないという顔になりながらも、龍臥の話を聞こうとする。

 

「中学3年の頃だった…当時あいつは………大学生と付き合っていた…。アプローチしたのはそいつからで、執拗な絡みが嫌で香織は仕方なく付き合ったんだ。………………ただそれが間違いだった……」

 

龍臥が大粒の涙を流し、震える声で話し続ける。

 

「そいつは……ただ遊びだったんだ……っ……好きでアプローチしたん………じゃない……」

 

「……」

 

「……そ”い”つ”は”あ”ろ”う”こ”と”か”!!……仲間と一緒に香織を放課後拉致して!!乱暴した後に殺したんだ…………っ……。」

 

「なっ………!?」

 

武は驚きと怒りが混じった顔になる。

遥は口を抑えて涙目になっている。

茜は目を見開いた。

 

「…………そいつらは捕まって……でも…………未成年だったからって……たった2年で釈放されて…………」

 

龍臥の息がどんどん荒くなっていく。

 

「なんで香織だったんだって…………問い詰めた!そしたら……『初めて見かけた時に目が合ったから』って………!!!どうしてあいつだったんだよ……!!なんでッ!!!……」

 

顔を手で覆って、蚊が泣いたような小さい声で泣く。

 

「……あいつは、俺が小学3年の時いじめられていた。いっつも俺が庇ってやって…そんときに約束したんだ……」

 

「約束……?」

 

遥が尋ねる。

 

「…『私だけじゃなくて、みんなを守れるヒーローになって』って……。俺は『勿論だ』って……」

 

 

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---元の世界 10年前---

 

ここはある公園。横浜市の都会とは言えないが、それに近い場所にあった。

ある少女が泣いている。

 

「…………っ………えぐ……っ…」

 

その傍らに立つ少年は、優しく少女に話しかける。

 

「ほら香織、あいつら追っ払ったから、もう泣くな。」

 

しかし少女は泣き止まない。

 

「…それだ!それがあいつらがいじめ続ける理由だよ!あいつら香織の()()()()を見て楽しんでいるんだ。ほら。」

 

そう言って少年は少女の涙をハンカチで拭いてやる。

少女は少年を見つめる。

 

「な…なんだよ…」

 

いつまで経っても少女は少年を見つめるので、少年は照れくさくなる。

 

「……して」

 

「へ?何?」

 

「やくそくして、もういじめられないようにするから、つよくなるから…。だから……」

 

少女が決意の目で言い切る。

 

「螳ョ逕ー莠ォ(にぃ)も、わたしだけじゃなくてみんなをまもれる()()()()になって!」

 

少年は意外だった。今まで、目の前にいる少女が自分にそう言ってきたことがなかったからだ。

 

「……も、もちろんさ!おれはりっぱな大人になる!それに、おまえもいつまでたっても泣き虫だから、おまえももちろんまもってやるよ!」

 

「なきむしじゃないもん!」

 

「うっそだー。いま泣いてんじゃん!」

 

「ないてない!」

 

少女が頬を膨らませて言い張るものだから、少年は吹き出してしまう。

 

 

その後二人は笑いあった。子供の無邪気な笑顔で……

 

 

やくそく、ね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「-俺はあいつを守れなかった……俺は…ヒーローなんかに……なれないよ……」

 

茜も武も暗い顔をしていたが、遥は違った。

歩み出して、龍臥の近くへ寄る。

 

「あなた……本当にそう思ってる?」

 

遥の目は『甘ったれるな』という意思があった。

 

「え…?」

 

「そうやってウジウジしていて、どうにかなると思っているのって聞いてるの!!いい?今は今、昔は昔って考えて割り切りなさい!」

 

遥は龍臥の頬を叩く。

龍臥は何が起こったのか一瞬理解できなかった。

 

「お姉ちゃん!ちょっと…それは」

 

「涼宮中尉!待って下さい!…」

 

二人は止めようとするが、遥は止まらず続ける。

 

「それにあなたは、ここに来る前、数回ともBETAと戦ったんでしょう!?それは何のために!?」

 

「それは…BETAが…現れたから…」

 

「あなたは何のために戦ってるの!!?」

 

「仲間や……子供達の…笑顔のために…みんなを…………()()()()()………………………!!」

 

龍臥がハッと気付く。

遥が龍臥の隣に腰掛け、優しく続ける。

 

「わかっているんでしょう?あなたは無意識にも、彼女との約束を守ろうとしているのよ。それが一番の…香織ちゃんへの供養にもなる。」

 

「あなたは強い。力だけじゃなくて、その約束を守ろうとする『心の強さ』があるの。だからあなたは…今まで通りでいいの。ね?」

 

「涼宮……中尉……」

 

「それに、人に話すと心が軽くなるでしょ?いいのよ。私でよければ、相談に乗ってあげるから。」

 

「涼宮…中尉………っ……遥…さん……っ」

 

武と茜は二人を残して部屋を後にする。

 

「膝貸してあげるから……まずはちゃんと泣きなさい…ね…?」

 

龍臥は泣き続けた。遥の膝の上で。

遥は黙って龍臥の頭を撫でてくれた。優しく、安らぎをくれた。

 

 

そして 、龍臥は自分の身にあったこと--別世界の人間であることを告白した。

 

 

 

「---それで、今に至る訳です……」

 

遥は龍臥を優しい目で見つめている。

 

「信じられませんよね……こんな突拍子もない話……」

 

それまで黙っていた遥が口を開く。

 

「……私は信じるわ。あなたが辛いことを体験してきたことも、ここじゃない何処かの人だってことも。」

 

「中尉……」

 

「あれ?さっきまで『遥さん』って呼んでくれたのに。弟ができたみたいでよかったよ?」

 

「いえ…一応上官なので………。……中尉……」

 

「何?まだあった?」

 

龍臥のこの世界に来て…初めてのわがままを告げる。

 

「涼宮中尉を……『遥さん』と……呼ばせてもらってよろしいでしょうか……?」

 

少し短い沈黙が続いた。

 

しばらくすると遥が微笑みながら応える。

 

「もちろん。あ、でも他の部隊がいる時はメリハリつけてね?」

 

「…ありがとうございます」

 

二人は絆を深め、龍臥は人の温もりを改めて知り、決意した。

 

これからも『()()』を胸に、戦い続ける。

たとえ相手が人間であろうとも、大切な仲間達を守るために。

 

 

--------------------

 

「---どうした、刻永少尉。急に中隊を集めて。」

 

「伊隅大尉…今ここに集まって頂いたのは、みなさんへ謝るべきことがあり、それを伝えるためです。」

 

龍臥の目には迷いはなかった。記憶の中の声を……妹のように可愛がった彼女の声を思い出す。

 

「より圧倒的な兵器を求めた国連軍は…俺の機体を譲渡するよう言ってきました。それに、国連軍は俺の機体を譲渡しなければ、この中隊を解体するという条件を提示してきました。」

 

皆が龍臥を見つめる。驚愕と疑問の目で。

 

「……中隊のみなさん!申し訳…「わかっている。」!?」

 

「話は副司令から聞いたばかりだ。中隊長の私にそんなこと言われても、と思ったがな。」

 

伊隅大尉は夕呼から聞いていたらしい。

 

「この中隊が解体されるのは私は不服であり、心が痛む。このメンバーこそが伊隅ヴァルキリーズだからな…」

 

「…」

 

「だから、刻永少尉!私からも皆に謝罪させてほしい!」

 

「!?大尉…!?」

 

「皆、刻永少尉と私のわがままを聞いてほしい…国連軍に…刻永少尉の戦術機は譲渡しないことを…!!」

 

シン…と全員が静まり返る。

 

「……もちろん、ですよ。」

 

「国連軍の言いなりは嫌だしね〜」

 

「宗像中尉…柏木少尉…」

 

龍臥は意外だった。中隊の解体となれば、反対されると思っていたからだった。

 

「はぁ…ま、いいわ。どうせその機体も奪われるんなら、最後まで抵抗って言うし。」

 

「大尉に着いていくだけですから…」

 

「刻永〜…私も同じだからね!」

 

水月も祷子も、茜も同じ思いだった。

 

「心配すんな龍臥!俺達も…」

 

「私達も同じ……」

 

「刻永、そういう時はもっと早めに相談頼むわよ」

 

「あうぅ〜…でも……これが伊隅ヴァルキリーズですっ!……なのかな?」

 

「そなただけで抱え込む必要はない。武も同じく一人で抱え込んだことがあった。みんながいるぞ。」

 

「いいねー。一丸となった感じ。」

 

「武…彩峰…榊…珠瀬…御剣さん…鎧衣…」

 

遥は龍臥を見て、応援しているように頷く。

 

「--という訳だな…行ってこい。刻永…」

 

「みなさん………ありがとうございますッ!!!」

 

ブリーフィングルームを出て、司令室へ…

そして…司令官へ、オルタネイティヴ5派への返答を伝えに行く。

 

 

--------------------

 

 

「国連軍の方々へ伝えて下さい。私は…ガンダムを渡す気はありません!!……」

 

夕呼はニヤリと笑う。

司令官がふう、と息を吐く。

 

 

「私もその思いだ。刻永少尉。君の戦闘データを見た時に思った…君ならば…この世界を変える力になれると……!」

 

「司令官……!」

 

みんなひとつなのだ。龍臥はそう実感した。このように世界が手をとりあえば、BETAに勝てると思った。

 

……必ず責任はとる。龍臥はその気でいた。

 

「司令官、もし機体を強奪に来た際は……」

 

一呼吸し、覚悟を決め、続ける。

 

「俺が奴らを撃退します。オルタネイティヴ5の計画通りになど……させません!!」

 

 

---横浜基地ハンガー---

 

ここにはネェル・アーガマから移したモビルスーツが整備されている。

その中にひとつ、異様な雰囲気を醸し出す機体があった。

黒い装甲に黄金の一本角……その機体に吸い寄せられるように、一人の女性が近付いていく……

 

 

 

 

…孝之……?

 

 

to be continued

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




龍臥はお気に入りキャラです。さて…ここから怪しくなっていきますよ?いいですか!?せーのっ!ああ〜『NT-D』の音ぉ〜!
次回もお楽しみに…
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