それとして、プロジェクト ミハイル楽しみです…
今回は日常回どすえ〜(舞子並感)
#16 帰還-そして日常
ほんの数十分の間に色々なことが起こりすぎた。
NT-D同士のぶつかり合い、サイコフレームの共振…そして最も有り得ないはずの死者と交流。
この3つが今日のイベントとして間違いないだろう。もうこれ以上は何も起きないことを祈るしかない。
『刻永…悪いけど少し寝かせてくれない?なんか疲れちゃって……』
「もちろんですよ。基地に着いたら起こしますね。」
すると、すぐに水月が眠りについたのだろう、通信中にも関わらず何の音沙汰も無くなった。
(水月さんのバイタル…正常だな…)
戦術機に乗っているのならば強化装備によってバイタルチェックが可能となる。しかし、モビルスーツではパイロットスーツ無しでもバイタルは確認できる。そのため、水月の身体に異常がないか確認している。
横浜基地に到着したのは、水月が寝てから10数分後だった。
バンシィをハンガーに戻そうとしたとき、A-01部隊のメンバーが待っているのが見えた。皆、自分達の帰りを待ってくれたのだと理解すると龍臥は感極まって思わず笑みがこぼれる。
二つの機体を収納し、ハッチを開けて皆の所へ向かう。
「龍臥……お前、戻ってきたな…!」
「龍臥君…ありがとう……!」
武と遥が第一に声を掛けてくれた。
次に他のメンバーがそれぞれ声を掛けてくれ、更には整備兵達が羨望の眼差しでバンシィとドラゴニュートを見つめる。まるで、この機体に希望を持っているような目だった。
「武…遥さん……皆さん、刻永少尉ただいま帰投しました!」
「よくやったわ、刻永。これで速瀬も戻ってきたし、計画も進められる。これ以上の成果はそうそうないわよ?」
夕呼が褒めてくれている。となると、これは相当の評価や信用を得たのではないだろうか、と龍臥は思う。
(これなら…
「そういえば、司令官があなたの回答を国連軍…オルタネイティヴ5促進派に送ってくれたわ。奴らムキになって明日頃に来るわね…」
「!!…そうでした…」
忘れていた訳ではないが、彼らに不都合な返信をしたおかげで戦闘になるのかもしれないのだ。今日はゆっくり休んでおきたい。
「刻永、とりあえずは疲れただろう。ゆっくり休むといい。…早瀬は?」
伊隅が龍臥の顔を見ていてくれたのか、龍臥が今一番求めているものを発言してくれた。
(こ…こんなに嬉しいことはない…!)
「水月さn…速瀬中尉はバンシィの中で眠っています」
「?なんだあの間に名前呼びとは…そこまで仲良くなったのか?」
「あっいえ、俺がそう呼んでいるだけです…多分」
「ふふふっ…」
伊隅の質問に焦って、赤面しながら答える龍臥を見て、遥は笑ってしまう。
(ほんとに…強い子ね…。ありがとう…)
遥は優しく暖かい目で龍臥を見ていた。
水月がバンシィの中から連れ出され、担架で運ばれていく。バイタルは正常であることを夕呼に伝えた龍臥はお返しに耳打ちする。
「それと……俺の考えでは……----」
「!!?…今の、シャレでも冗談でもないわよね?」
龍臥の言ったことはそれほどのものであったのであろうか、夕呼の目が見開き、龍臥に確認するように再度質問する。
「今の状況で冗談など言いません…それに、あれらは『可能性の獣』ですから」
「……」
龍臥の答えを聞くと、何かをメモしながら夕呼は自室へ走るように戻っていく。
「おつかれ、龍臥」
「オス、武…悪いけど…疲れ…-」
「!? おい、龍臥?」
武と少しの会話を最後に、彼にもたれかかるように眠ってしまう龍臥。
龍臥を部屋へ運ぶ武は、後ろを振り返りドラゴニュートとバンシィを見つめる。
(これがあれば…人類を救えるのか…?)
基地から見えた純白と黄金の光、そして虹色の輝き…はたしてこれらが人類の希望となるか、滅亡の種となるのか…武には分からなかった。しかし一つだけ分かる。
(龍臥と俺なら…この世界を変えられる!)
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「……香……な…織 …ごめ……ん」
「…おはよう……」
(え?)
朝なのだろう。その言葉は朝、目覚めた時に言う言葉だからだ。
変なのはそこじゃない。目を開けた先にそれが居た。
白い…髪?長髪をウサギのような髪飾りにまとめ、ツインテールらしき髪型の少女…
「ファッ!!?か……霞ちゃん…?」
「…おはよう……」
「あ、おはよう……」
「……」
「…?」
少し間が空いたその後、そそくさと部屋を出ていく霞。それを見るが、わけが分からなかった。なぜ居るのか?鍵は……いや、武に運んで貰ったのだ。
などと考えていると、出ていく時に霞が一言、
「香織さんは…いい子だったんですね…」
「……お、おう」
(リーディングされていたのか……)
しかし先程から心臓がバクバクだ。見た目は少女だが、当たり前だが相手は女性……まだ当分女性耐性は克服できそうにない。
国連制服に着替え、部屋を出ていこうとする。
(そういえば…俺も一応国連に入っているのか…)
国連の制服を見ると、何か複雑な思いになる。国連に入ってはいるが、国連軍と戦わなければいけない。
これから何が起こるのか分からない。しかしやることは決まった。俺は二度と逃げない。
全てを守ることは出来なくても、身近な存在だけは守りたい。
そんな思いを秘め、部屋の外へ出た瞬間--!!
「おぶぁ!?すみま…」
「きゃっ…!ちょ…」
(…ふわふわしている…?あ、嫌な予感。)
その通りだった。龍臥は声の方向を見る。すると、そこにいたのは顔を赤面させた水月がいた。
「刻…永…あんた…っ…」
ちなみに、龍臥は生前、ラッキースケベ?というものに縁はなかった。それに近いものといえば香織と幼い頃に一緒に風呂に入ったこと位だろう。
「…おはようございます」
龍臥は爽やかな顔で挨拶する。しかし…
「ちょっ…離れなさいよ!バカ!」
否、どこも『しかし』ではなかった。予想通り水月は強烈なボディブローを龍臥の脇腹に繰り出す。もちろん龍臥に直撃、ダウンする。
「こんな経験生きてる間に無かった…我が生涯に一遍の悔いなし…」
「何がこんな経験よ!上官の胸に顔を埋めるのが挨拶より前にすること!?伸びてないで起きなさい!」
「うぃーす……」
「おわっ!?龍臥…速瀬中尉…何が…!?」
武が隣の部屋から出てくると困惑気味に聞く。
「こいつ…私の胸に飛び込んで来たの…変態。」
「誤解ですよ!?武もな!そんな露骨に蔑むような目で見んな!!…躓いた弾みに、ですよ」
龍臥も慌てて言い訳…本当のことを話す。
「…ふふっ…あはははっ、わかってるって。さぁ、今日もビシバシ訓練してやるから!さっさとPXに行くわよ!……ほら、起きなさい!」
そう言いながら最後に伸びている龍臥にトドメの一撃、背中に蹴りを喰らわす。
「は、はい!ほれ、龍臥!!」
「今…行きます……」
---横浜基地 食堂---
「-朝から酷い目に会った……」
合成食の鯖味噌を口に運びながら、龍臥はつぶやく。
「……」
「お姉ちゃん?どうしたの?食べないの?」
遥が皿にのせられたものを見つめ、考えているのだろうか、動きが止まっている。
「ううん…この野菜…天然物…だよね?なんか綺麗で…珍しいなって…」
「そうなんだよ!夕呼ちゃんからねぇ、手に入れたって沢山くれたのよ!久々の天然物だったから、腕がなったよ!」
「副司令から…?」
(あ、渡してくれたんだな、夕呼博士。よかった…みんなの役に立てるな…)
龍臥が夕呼に渡しておいた、ネェル・アーガマからの栽培物の天然野菜だ。流石は宇宙世紀の技術…野菜も様々な種類を栽培できるなんて……
なんてことを考えていると、京塚のおばちゃんが夕呼に絶対言うな、とあれほど言っていたことを言ってしまう。
「そうそう、夕呼ちゃんから聞いたよ!龍臥が乗ってきたあの飛行機?にあったから、龍臥が渡してくれたってね!」
皆が一斉振り向き、龍臥を見る。
色々秘密にしろとあれほど言ったはずだ、と考えたが、夕呼は研究に使えるもの以外に興味は持たない。だから秘密にはしなかったのだろう、と自己完結する。
「え…刻永が持ってきてくれたの!?」
「……まぁ…」
「なんでもっと早くこの横浜基地に来なかったの!?あんなに凄いものいっぱいあるのに!」
「……事情があるんでしょ、茜」
茜のはしゃぎように、遥は龍臥の事を知っているため落ち着くように言い聞かせる。
(目立つのはあまり好きじゃないんだがなぁ…)
ユニコーンを持ってきて何を言うか、と自らツッコミを入れる。
ふと武を見ると、彼自身も闘っていた。
武に霞がさば味噌を『あーん』しようとしている。無論、御剣を初め元207訓練小隊のメンバーに軽い殺意を向けられている。
(ニュータイプのせいか、軽くても殺意には反応しちまうのは厄介だ…)
と思いながら、ある人物を横目に見る。
その人物は…速瀬水月。今一番龍臥が気になっている人物。
先程の殺意に、軽くビクッとしていた。
(おそらく…戦場に長くいるせいか、ニュータイプになりかけている…?)
もし水月がニュータイプならば、全て辻褄が合う。
初めに邂逅した時…ユニコーンがデストロイモードになったとき、そしてバンシィとの戦い、サイコフレームの共鳴……
色々と気になることがあるが、今はオルタネイティヴ5派の攻撃を待つ。
そして、ひとつの小さな争いを終わらせるのだ。たとえ塵のような小さな問題でも……。
(そして、水月さん…あなたを必ず守ります。あなたが守りたいものをも全て--!)
日常のほのぼのした感じは好きですが、マブラヴ世界ではそんな日常回的なこと…ないです。
次回もお楽しみに!