Muv-Luv-Dragonewt   作:へらこじか

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お昼ご飯は牛弁当…
推奨Bgmを表記してみましたので、ぜひ聴きながら読んでみてください!


#18 戦闘態勢

ふたつの機影が衝突する。

 

『うおおおおおおおおおおおおッ!!』

 

『そんなんじゃ遅いッ!!』

 

シナンジュがビームナギナタを横へ振るが、バンシィは上昇し、回避。そのまま後ろへ回り込みシナンジュを蹴り上げる。

 

『……っ!!』

 

武は今まで感じた事のない衝撃を味わっていた。後ろからの強烈な蹴りに加え、上官の圧倒的な実力に直面したためである。

更に追い討ちをかけるように、耳がつんざくような轟音、バンシィがリボルビングランチャーの徹甲弾を炸裂させた。シナンジュの右脚が爆発。

 

『…!右脚のバーニアが…』

 

『そぉらっ!!まだまだ行くわよ!!』

 

『くっ…ここで……負けてられるかぁッ!!』

 

武がムキになって地面に伏せるようにスラスターを操作し、バンシィの攻撃を回避する。

それだけではなく武は機体を一気に急上昇させバンシィの真上をとる。

 

『は…嘘でしょ……』

 

『うおおおおおおっ!!』

 

シナンジュの高機動性、武の変態機動、そして新OSの3つが重なってなせる事。そのままビームアックスを構え、バンシィに切り込む。

勝った--もし皆が武ならば誰もがそう思うだろう。しかし相手は全身サイコフレームの謎の機体。

その瞬間に水月が覚悟を決めると同時にバンシィが黄金に輝き出す。

 

『(お願い……上手くいって…!!)』

 

推奨BGM : MAD NUG サビ〜

 

バンシィが上部装甲をスライドさせNT-Dを発動。黒き獣がその牙を鳴らす。

 

『ちょ…これ相手かよぉ!!』

 

「頑張れ武!!下手こくとやられるぞ!」

 

『てめ…他人事だからって…』

 

『刻永!敵を応援するな!』

 

「オス!水月さん!」

 

バンシィがビームトンファーを使ってシナンジュの左マニピュレーターを切り落とす。

武は少し距離を置き、ビームライフルを連射--しかしいとも簡単に躱され距離を縮められる。

 

『っ…クソっ…!』

 

バンシィに飛び蹴りされ、腰部のスカート部分の装甲が剥がれ落ちる。シナンジュは再びビームライフルを撃ち続けながら離れようとする。

 

『そんなに近付かれるのが嫌!?それならこうしてあげる!』

 

バンシィがビームマグナムを構え、射撃の姿勢へ入る。武は傍のビルを盾にするが…時すでに遅し。発射されたビームがビルと共にシナンジュの右半身を撃ち抜き、シミュレーション終了。

 

「--あぁっ!あと少しだったのに!」

 

武が汗だくになり文句を言いながら出てくる。しかしその顔は少しも負けたことへの悔しさでは無く、シナンジュを操って戦えたことへの喜びが勝り、むしろ清々しい顔だった。

 

「これが先輩の実力ってね!そうでしょ、刻永!」

 

龍臥の肩をバシッと叩き自賛する水月。

しかし相変わらず龍臥は強化装備姿の女性に対して恥ずかしそうな態度をとる。それに気付いた水月は龍臥へ耳打ちする。

 

「…あのとき私にちゃんと言ったんだから、今更恥ずかしがることないでしょう?男なんだからビシッとしなさいよ」

 

龍臥へのそれは逆効果だった。目の前にはかなりの美人であり身体のラインがしっかりと出る強化装備姿、更に自身の惚れた相手なのだから…龍臥のボルテージが振り切れてしまう。

 

「は…っ………はいっす……!」

 

「?」と武は少し理解できずにいたが、冥夜はある程度理解できた。

 

(ああ…あれは完全に『恋する乙女』の目だな…刻永は男だが)

 

「水月さん……それはそうと…顔近いっす……」

 

「はぁ?どーこがぁ?」

 

顔を赤面させ照れる龍臥をからかい、水月は更に顔を近づける。

 

 

--そんな日常が過ぎる中、突如基地内のサイレンが鳴り響く。

 

『--緊急連絡、準戦闘態勢2…繰り返す。準戦闘態勢2へ切り替えよ--』

 

シミュレーションを一旦中止し、中隊全員が…シュミレータールームにいる者がザワザワと騒ぎ出す。

 

「な…いきなり準戦闘態勢2!?またクーデターかよ!?」

 

「タケル…暫くはクーデターはないと思うが、油断は禁物だ…」

 

「刻永!」

 

慌てながら夕呼が駆け寄ってくる。

 

「遂に来たわよ!国連軍…特に、アイツらよ…!!」

 

「……了解です。今…準備します。」

 

「……それが、とんでもないのよ。まさかアレを投入してくるとは思わなかったわ…」

 

「…?アレとは…なんですか?」

 

龍臥が質問した時だった。夕呼の額からの汗が頬をつたって床に落ちるーー夕呼が重い口を開く…

 

「『ラプター』よ…米軍の最新戦術機…ステルスを搭載しているの…それが16機」

 

「じゅっ…16!?……龍臥っ!危険だ!」

 

武が目をひん剥いて龍臥に訴えかける。しかし龍臥は止まらない。

 

「行きます。その程度なら、ドラゴニュートの敵ではないと思います」

 

「刻永!タケルの言う通りだ…米軍を舐めては……」

 

「私が行く。」

 

その場にいた夕呼以外の全員が彼女ーー速瀬水月を振り返る。

 

「ダメです!なんであなたが出なきゃ行けないんですか!?そもそも俺はみんなを守りたいから行くんで…」

 

「無茶は承知よ。それに、大尉やほかのみんなが、新入りの部下が一人で戦うのを指をくわえて見てろって言うと思う?私は思わない…あんたは大丈夫だと思うけど、目の前で人が死ぬのはもうたくさんよ!……特に、こんなにからかいがいのあるかわいい部下は…」

 

「水月さん……」

 

水月の発言を聞いてニヤリと夕呼が笑い、ひとつ提案をする。

 

「…ふふっ、あんたなら言うと思ったわ速瀬。いいわよ…責任は私…副司令がとるわ。」

 

「夕呼先生…!!」

 

「香月副司令…ありがとうございます!」

 

「頑張って刻永をサポートしてあげてね、速瀬。」

 

「はい!……ふふふっ…」

 

「え!?逆じゃないっすか!?てか何で笑うんすか水月さん……」

 

龍臥が二人に困惑気味に訊く。

 

「…じゃあ、行くわよ刻永!」

 

「は…はいっ!」

 

二人が出ていく瞬間、夕呼が龍臥にボソッと伝える。

 

「好きな女なら、命をかけて守りなさい…絶対にね」

 

「…了解です…香月副司令!!」

 

「こんなときに副司令呼びって……行ってきなさい。」

 

龍臥が後ろを向き、夕呼と中隊全員に向けて敬礼する。

 

「…必ず、生きて帰ります!お土産にラプターの部品を持って帰ってきます!」

 

その発言に皆に苦笑や大笑いなど…龍臥の一番求める『笑顔』が見られた。

この笑顔のため、戦わなければならない。たとえ相手が人間でもーーー

 

ーーー横浜基地 ハンガーーーー

 

「えっ水月さん、バンシィで行かないんですか!?」

 

「当然でしょ、もし暴走したらあんた国連軍と私を相手にするのよ?そんなんで生き残れる?」

 

正論ではある。しかしーー搭乗する機体は…と思っていると、水月はある機体に向かって走り出してしまう。

 

「あっそんな子供みたいに…」

 

「これ!この戦術機かっこいいわぁ!これで行くわ!」

 

彼女が選んだ機体…高機動かつ高火力を出せる可変型モビルスーツ『デルタプラス』。

 

(なんでバンシィ乗る人って機体が大体パターン化してるんだよ…)

 

「じゃあ、それでいいですけど…下手に変形しないでくださいよ、整備が大変だって整備ハロにどつかれましたから」

 

「へ…変形?それどういう意味?」

 

「じゃ、俺はドラゴニュートで行きますんで。射線場へ出ないでくださいね」

 

「ちょっ…指示が多いし変形って何よ!?あっ逃げんな!……もうっ…」

 

水月の質問に答えるのが面倒くさくなった龍臥はさっさとドラゴニュートへ乗り込む。

ーーが、直ぐにコックピットを降り向かってくる人物の気配に気が付く。ニュータイプになりかけている水月も同じくその方向を見る。

 

「やれやれ…全く、横浜基地というのは次から次へとトラブルが発生するな…冥夜様の身が心配だ…」

 

「あ…あなたは……」

 

龍臥がその人物を確認すると同時に武と冥夜が走ってくる。

 

「龍臥!まだいたのか!早く行ったほうがいい!」

 

「武、御剣さん!なんでここに……」

 

「モニターを確認していたら帝国の武御雷がいたのでな…。……何故ここにそなたがおるのだ……

 

月詠!!」

 

「月詠…中尉……!」

 

青緑色の髪をした綺麗な顔立ちのいかにも厳しそうな女性…月詠真那中尉。五摂家の1つであり、現将軍家でもある煌武院家の警護を担当する帝国斯衛軍第19独立警備小隊の隊長が何故…

と、考える間もなく月詠は龍臥に鋭く訊く。

 

「刻永少尉…貴様はあの戦術機の衛士らしいな。国連軍の連中が騒いでいるぞ?あの機体を引き渡せと」

 

「こちらにも事情があるのだ月詠…」

 

「冥夜様、私はこの者に多少質問しなければならないことがあります。…これは冥夜様達にも関係がありますゆえ。」

 

「……あの機体は絶対に渡せません。これは全人類のために、平和のためにあります。」

 

「その言葉が真実だとしても、貴様に真実味が不足しているぞ、刻永少尉。」

 

「……どういうことでしょうか?」

 

龍臥にとって不都合な質問であればマズイが、物事に逃げることは絶対にしないと決めたため、逃げる訳にはいかない。

 

「貴様は何者だ…戸籍が存在せず…あの戦艦も何だ!見知らぬ戦術機に続いて貴様には謎が多すぎる!白銀少尉以上にだ」

 

「刻永……?」

 

「え…どういう…こと?」

 

「……っ…龍臥……」

 

月詠、以外の三人が龍臥を一斉に見る。

口腔が乾いてきた。手汗もダラダラと滲み出てくるし、唇も乾燥している。

 

「……俺は…」

 

龍臥が言うべきことはひとつだけ。

 

「俺が何者だろうと、そんなこと訊いてくる人も機関にも構いません!!俺はそんなことより、()()()()()()()()()()武装して来る国連軍のことを考えなければいけないんです!……今は人類同士で銃口を向けている場合じゃないでしょう!?そんなんだからBETAの侵攻を許したんです…

 

 

俺は、全人類の…地球の!!味方です!!!

 

 

その一言を聞いた月詠は彼女らしい言葉を発する。

 

「……わかった、ただし冥夜様に何かあったら貴様を斬りに行く。覚悟しておけ……」

 

「…はい!!」

 

「さぁ!刻永、速瀬中尉、早く!」

 

「よしっ!行くわよ龍臥!……さっきのカッコよかったわよ…」

 

「…っ!! 了解です!」

 

ーーーふたつの機体が横浜基地を出ていくのを確認すると月詠は小さく呟く。

 

「……あのような若者が増えるといいんだがな…。……冥夜様…殿下…日本帝国もまだ捨てたものではありませんね…」

 

 




推しでもある月詠真那が登場しました。月詠中尉の強化装備姿ほんとエッッッッッッッで好き
推奨Bgm不要でしたら言ってください。読者さんの需要にも合わせるのも必要ですので!
それでは!また明日!!
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