コロナは陰性でした。このまま書き続けていきます。連載再開です
--撃墜の危機を救った二機のモビルスーツ、ジェガン。その機体から聞こえた会話は人間ではあるが独特な機械音らしさがあったため、これが龍臥の言っていたハロ小隊であることは瞬時に分かった。
『アノ『ラプター』ヲ……堕トセバイイノカ?』
『エゴダヨソレハ……!!』
(な……何を言ってるのか理解できない…)
正直、目の前の機体が従来の戦術機を超越しているということは先の様子で分かった。…しかしだ!このハロ達は何を言っているのか到底分からない……。
『え…白銀…その機体の衛士?何言ってるの?…』
「お…俺にも理解できない……。でも…味方だ。」
その時、柏木と戦闘していたラプターが後退していくのが見えた。これを逃がす訳にはいかないため、追いかけようとするが赤いジェガンがマシンガンを撃ちながら追跡する。
するとラプターは振り返り赤いジェガンを見るとダガーナイフを構え、迎撃の態勢をとる。
『見セテ貰オウカ!米軍ノ戦術機ノ性能トヤラヲ!』
何やらエリートっぽい声質が聞こえ、片手斧を振りかぶってラプターへ斬りつける。対するラプター側もダガーナイフで防御するが、赤いジェガンの攻撃はそれだけではなかった。片手斧の刃が赤く光りダガーナイフを軽々と突き抜け、そのまま肩から腰にかけて斜めに斬り裂く。その断面は斬り裂くというよりも焼き切ったのほうが適切だった。撃破を確認したジェガンは二機とも何処かへ飛んでいってしまった……。
それはそうと、一瞬だけ中の衛士が焼け切れた光景が見えたのは黙っておきたい。
(…しかしだ……。いいのか?いくら敵でも同じ人類だ……殺し合わなくてもいい筈なのに…。このジェガン達はなんでそう簡単に人を殺せるんだ…)
俺は迷っているのかもしれない。クーデター事件の時もそうだったが、首謀者は国を--殿下を思って行動したのであって本当の敵とは言いきれなかった。それに、人が目の前で死ぬのは見たくない。
『……白銀?』
ウィンドウに柏木が映り、黙っている俺を心配して声をかけてくれた。
……そうだ。今は撃退するだけでいい。何も殺さなくても……
『相手が人であれ、私達を殺す気でいたんだから…気になっちゃうのは分かる。けれど、今はこの基地を守るために戦う。だから気にする事はないよ』
「……ああ、ありがとな柏木。」
…俺は全人類のために戦うなんて…重すぎたのか……?
(なぁ……純夏……)
行こう、他の中隊の元へ。そう決心し、柏木と共に皆のマーカーが位置する場所へ向かう。
-------------------------やや数十秒移動した先、鋭い金属音が耳に響いてきた。音から察するに、近接武器同士の接触であろうか。
「(マーカーは…っと…冥夜!?それに、あの赤い武御雷…月詠中尉か!)柏木!俺は二人のカバーを、お前は他の奴らを頼む!」
『了解!大尉達は任せて!』
柏木機と分かれると、俺は突撃砲をラプターへ撃ち込む。しかしそれを軽く躱し、ラプターがこちらを一瞥した後こちらへ向かってくる。…が、二本の長刀がラプターへ叩き込まれ後ろへずり下がる。
『ここは…私達が!!通すと思うのかッ!!』
『白銀少尉…手出し無用だと思え。…冥夜様、お力添えをさせて頂きます』
「……はい!冥夜を頼みます!」
『…言われなくとも!』
そう言うと二つの機体は長刀を構え黒い鉄塊に立ちはだかる。冥夜と月詠中尉が二人揃って戦うのは初めて見るので多少心配ではあったが、あの二人ならばその必要はないと思える。二機の向かい側、ラプターが武装をダガーナイフ二本に持ち替え近接戦闘へ切り替える。
『『うおおおおぉぉぉぉぉぉッーーーーー!!』』
二人が叫ぶと同時に三機は急接近し互いの装甲目掛けて手に持つ武器を叩きつける。冥夜は少し攻撃を受けていたが、さすがは月詠中尉だ。相手の攻撃を器用に長刀で受け流し確実に攻撃を仕掛けていく。
冥夜は思った。月詠とともに何かを行うのは幼少期以来だろうか、と---。
月詠は思った。冥夜様と戦えるとは…冥夜様の成長が従者として誇らしい、と---。
ラプターは二人の連携に危機を感じ、すぐさま背の突撃砲へ手を伸ばす。しかし、冥夜はそれに気付きラプターの背後へ回る。
『(龍臥との訓練のように…ここを壊せばッ!)』
冥夜の吹雪が背後に回ったことに気を取られたラプターは月詠中尉からターゲットロックを冥夜へ移す。その一瞬で月詠中尉は長刀を機体の脇腹へ一太刀。
『冥夜様ッ今が!!』
『……はァアアアアアア!ここかァアアアアアッ!!』
冥夜はラプターのマニピュレーターを粉々に粉砕し、武装解除をさせる。もうラプターには使える武器は無い!
『貴様の勇姿…脳裏に焼き付けておく……!!』
その言葉を最後に、月詠中尉の武御雷がラプターを真っ二つに斬り裂く。敵機は爆炎をあげ散っていった…。
(俺がカバーするほどでもなかった…)
二人が揃えば長刀使いに右に出る者はいないと感じさせる一時だった。
---龍臥サイド---
『ちょっと!まだ着かないわけ!?』
横浜基地へ未だ到着しないことにしびれを切らした水月が半分文句気味に龍臥へ聞いてくる。
「そう焦るとダメですよ…これ以上速度を上げたら、戦術機の速度を超えちゃって……水月さんの身体に負担がかかるかもしれませんよ」
『…横浜基地が心配だからしょうがないでしょう!?』
みんなを思う気持ちは分かるけど、少しは落ち着いて欲しいもんだ、と思う。というよりも戦術機よりも操作が複雑なモビルスーツに乗ってここまで乗りこなせて速度も出せるこの人が異常なんだ。
それもデルタプラスっていう仮にも新型機体を。
「……!水月さん、今……光が!近いですよ!」
『見えたわ。それに、あの光り方…光学兵器よ…まさかあんたの……』
「おそらく、ハロ小隊かも…。勝手に動きやがって…
『あの人達?』
「さぁ!来客様にお・も・て・な・しの時間だ!」
『はぁ!?またそうやって質問に答えないの!?それにそのおもてなしって…言い方、その手振り何よ!?』
小うるさい水月を無視しスラスターを噴射し目標地点を目指す。今のことを答えたりするのは少しだけ面倒臭いので忘れよう。
それに、今はNT-D発動中だから相手にこの機体の存在を認知されてしまう。敵に情報を送信される前にテューポーンシステムで一掃すべきか。
そう思っているうちに横浜基地へと近づいてきたが、敷地内では既にラプター3機の残骸が確認できた。これで残り8機…いささか面倒ではあるがチマチマ倒すしかない。
『じゃ、私は大尉達の方へ行くから!後よろしく!』
「へ!?まあいいですけど、気を付けてください!てかいきなり分散ですか!?」
『大尉達大丈夫よね……』
「あれ!?ちょっ…無視ですか?おーい水月さ〜ん?速瀬中尉〜?」
『(さっきの仕返しよ!…)』
短く舌を出し、からかうようにほくそ笑む水月。二十歳を越えてまで年下への仕返しをするとは…それほどムキになる性格というのは、ここまで面倒なのであろうか。
今までのツケが回ってきたと確信した龍臥は、次からは質問に答えて行こうと思ったのであった…。
「早速お出ましか……敵は……二機!!いいもん見せてやるぜ!」
ラプター二機が急に現れ、流れるように攻撃を躱していくドラゴニュートはテューポーンシステムを起動。
装甲の隙間という隙間からビームが発射され、ラプターの全身を破壊していく。接近する数秒で複数の敵を排除できるのは効率がいい。これはBETAにも十分効果はありそうだ。
「これが本当の一生に一度の大技ってね!見た側からだけどな!」
などとジョークを言う龍臥の目の前に、残り6機が編隊を組んで待ち構えていた。
龍臥は一瞬、ビクッとしてしまった。しかしすかさずテューポーンシステムを……しかし機体はウンともスンとも言わない。
(な……何故……まさかッ!!?)
見ると、ビーム発射に必要なエネルギーが足りなかったのだ。
もちろんテューポーンシステムは排熱機構。溜まった熱をビームに変換しただけなので、そもそも溜まる熱を出尽くしてしまったためこのシステムは使えない。
(しっ……しまったぁぁぁぁ!!)
---???---
『しっ……しまったぁぁぁぁ!!』
「ほう……どうするのか……この少年は……お前どう思う?」
「しらん」
「しらんって……この少年飛ばしたのお前やろ……」
「どうせこいつなら何とかする。」
真っ白な空間があり、そこにはブラウン管テレビらしきモニターを見ていた二人…否、二つの影があった。その影たちは何やら話をしている。
ひとつは大きな毛むくじゃらの虎と思しき影。もうひとつは……とても小さくとても大きな、
(お前たちなら何とかできるはずだ……
その影たちはモニターを静かに見守っていた。
久しぶりの更新です。毎日投稿を頑張って続けていきたいです
それではまた次回でお会いしましょう!