話が急に変わりますが、遊戯王の大会に出ようとしたらデッキを忘れたことが何度かあります。汗
必死に作った幻影騎士団の出番があああああ!
オルタネイティヴ第3計画によって人類が得られた情報はただ一つ、『BETAは人類を生命体とはみなしていない』。それが莫大な時間や経費、犠牲を費やして得られたものであった。
その第3計画を元に計画されたものがオルタネイティヴ第4計画--その中枢となる存在こそが00ユニット、生体反応0 生物的根拠0からそう名付けられた。その能力はニュータイプである龍臥など足元にも及ばない驚異的な力を秘めている。その00ユニットの被験者は……武はその事に、既に理解も覚悟もしていた。何故なら彼の大切な人…この地獄のような世界に居なくてよかったと思っていた人--鑑 純夏、彼女こそが00ユニットなのである。
国連軍との戦闘が終わり、昼食を済まして00ユニットとの対面を終えた武が夕呼の部屋から出てきた。少し時間を置き、再び00ユニットに会い調律という名の調整を行うのである。
「武……まぁ……無理すんなよ…」
龍臥は00ユニットの被験者が鑑純夏だったという事実を多少かじっていたため、ショックは少なかった。しかし目の前にその現実が迫るとなると、武にかける言葉が『無理すんな』くらいしか出てこなくなるのであった。
「ああ…また行ってくるよ…」
龍臥は考えた。もしも…もしも香織や水月が、00ユニットの被験者であったなら…武と同じ立場だったならば。多分まともには精神が働かなくなるだろう。
武について行き、見守ることくらいしかできない……そう考えていたが、龍臥の頭にピンと閃く。完全に忘れていた。アレを。
「あっおい、ちょっっっっっと待てゐ!!武殿!」
少しでも明るくしようと時代劇のような口調になってしまったが、問題はそこではない。
「な…なんでござろうか!?」
武も乗ってきたことに少し困惑したが、話の本題へ入ろうと武の目を見てそれを告げる。
「前のバンシィあっただろ?あの騒動のせいで大分忘れていたけど、あのシステムなら!お前の負担も軽く出来るかなって……」
「あっそれって確か…」
「「『ナイトロシステム』!!」」
二人揃ってそのシステムの名を声に出す。
「そのシステムって何だっけ?」と武がもう一度説明してくれと言わんばかりに首を傾げる。
「ナイトロシステムってのは、簡単に言うとニュータイプじゃない人を一時的にニュータイプにするもので…そのシステムに慣れていくと、パイロットはニュータイプになれるっていうシステムだよ」
難しい事を言っても訳分からんだろうと、武に合わせた説明を行う龍臥。その解説に続けてさらに自身の考えを告げる。
「いいか?水月さんはニュータイプじゃなかった…。それでも今は、バンシィを少し扱える程のニュータイプ能力を持つようになった!つまり…」
その時武が閃いたように言い出す。
「俺もニュータイプになれる!?」
「言いたいのそこちゃうねん!!」
ドスッと手刀を武の頭部にクリーンヒットさせる。武もそこじゃないか、と苦笑する。
気を取り直し龍臥は一番重要なことを話す。
「一時的にお前をニュータイプにして、00ユニットの調律を手伝ってやる!」
一瞬の間の沈黙。武が目をパチクリさせ、「やっぱり俺もニュータイプに〜」などと言い出すから再びツッコミを入れるが、華麗に回避される。
「あの…龍臥?ナイトロシステムの使い方とか特性は分かった。でも…それが00ユニットの調律に何の意味が?」
武の質問にフンと鼻を鳴らして龍臥は答える。
「00ユニットがBETAに対しての負の感情しか出なかったのはわかってる。意思疎通が難しい。だから今は会話も霞ちゃんでなければ不可能に近い。」
武は黙って真剣な眼差しで龍臥を見つめる。
「だったらこっちが合わせてやりゃいい。一時的にニュータイプになって、直接思念を送って感情を甦らせる!どうだ?」
武がプルプルと小刻みに震える。
しまった、と龍臥は一瞬思った。いくら今は感情が甦っていないとはいえ、彼の大切な人なのだから。それを侮辱してしまったのではないか、言いすぎたのではないかと思った。
「わ…悪い言いすぎたか…?」
しかし武は怒ってなどいなかった。むしろその逆だ。目をキラキラ輝かせてこちらを見ている。
「龍臥…お前ってやつは…!やっぱすげぇよ!早速先生に伝えに行こう!」
「いや、博士はもう知っている。」
「あ?マジ?」と武。
その調律について知っているのは龍臥、夕呼、武のみだった。甲21号作戦までに調律を終えなければならない。すぐに脳髄が入ったシリンダーのある部屋へ、夕呼と00ユニットに会いに向かった。
------
「調律といえば、やっぱりアレ使うのね」
夕呼が待ちくたびれたとため息を吐く。
その傍では霞が00ユニットにあやとりを教えていた。少しずつだが反応していたため、今すぐナイトロを使っての調律は可能だと思えた。
「すぐにでも始めましょう、博士、武。あと一週間…時間が無いんですよね?」
「ええ、早速…。霞、00ユニットを連れてきてくれる?」
夕呼が霞に頼み、それを霞はこくりと頷き00ユニットの手を引く。
---横浜基地 ハンガー---
ハンガーにこの世界の技術を完全に超越した獣が二機配備されている。二機とも、いつでも出撃を可能にするためハロ達が整備している。損傷の修理だったり内部基盤の点検、塗装剥がれの確認など…。それぞれができることを行っていた。
ハンガーについた時、一体のハロが近づいてきた。何かあるのか、目線を合わせるため屈んだその時--
「マタ、壊シタナ!?壊シタナ!?」
ハロがその開く耳のような箇所から小型スタンガンらしきものを取り出し、龍臥の鼻に直撃。
「お”ぅ”っ”ぁ”あ”っ”!?」
「(情けない声ね…)」
「(龍臥お前…変な声…)」
「龍臥さん、変で情けない声です」
「か”す”み”ち”ゃ”ん”…………皆の声を…まとめなくて…いい……から…」
力尽きそうな龍臥に一撃蹴りが入る。何事かと見上げるとそこには青く綺麗な髪をいつも通りポニーテールにまとめた水月がそこにいた。腕を組んで龍臥を見下ろしている。
「水月さんなにやってんすかツナギ姿で…」
「ハロ達が手伝えってうるさいのよ…だから遥と一緒に軽い点検でもやってんの」
水月が見る先に、デルタプラスの手のひらに乗った遥がノートパソコン片手にこちらに手を振っている。
(ハロに気に入られたな…あの二人…)
龍臥は立ち上がり、水月にハロの言うことを聞いておかなきゃこうなると伝え、ユニコーン二機の元へ急ぐ。
---「…これがガンダム…ですか?」
霞が興味ありげにガンダムを見上げる。例え人工生命であっても、その瞳は初めて見るものに興味を抱く少女そのものであった。
「目が2つあって頭部にV字アンテナがついてりゃガンダムだって言う人もいたけど、ガンダムはいつの時代も人のためにあった。今も、ガンダムは人のために戦う」
「なんだか…このガンダムから声を感じます」
霞の目はガンダムをじっと見つめていた。
(どういう…事だ?)
不思議に思うが、今はそれよりも調律だ。早速準備に取り掛かる。
「博士、00ユニットをドラゴニュートに。武はバンシィに乗れ」
二人に指示を出し調律の準備を進める。上手く行けば、一日程度で調律が終了するのだ。気合いを入れていきたい。
「武、あとはお前次第だからな!」
「ああ!やってみせるさ!」
二機のユニコーンが起動し、NT-Dを発動。ドラゴニュートには龍臥は乗っていないが、バンシィがNT-Dを発動すればドラゴニュートの方も、それに共鳴するように強制的にデストロイモードが発動するのであって問題はない。
「ぐっ…ッ……なんだ……これ…!!」
武は今まで感じたことの無い頭痛に直面した。こんな痛みを速瀬中尉は感じていたのか、と驚愕する。
しかしこんな痛みなど、愛する彼女のためならば屁でもない。
「ッ…すッ……純…夏…ッ…」
(武…無理すんな…無理なら無理と言え…)
龍臥は武が心配だったが、やってくれると信頼していた。彼なら調律をやってのけると--。
「純夏…俺はここだ!何処にもいかない、お前の傍にいる!」
武が呼びかけるが、返ってきた反応は変わらず
『BETA…殺してやる…』
「BETAとは俺も一緒に戦う!だから戻ってくれ!純夏!!」
『BETA…殺してやる…!……うう……!BETA!!BETA!!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!』
「純夏!それはいい!BETAは今はここにいない!俺だ!白銀武だ!思い出してくれ!純夏!!」
00ユニットが負の感情を剥き出しにすると同時にドラゴニュートのサイコフレームが白い発光を強めていく。
何事だとハンガー中の整備兵やハロ達が一斉にユニコーンを見ている。
「水月……あれって……」
「うん……サイコフレームの…。……白銀……!」
水月は誰がこの現象を起こしているのか、把握できた。ニュータイプである者の証---彼女もそうなのだから。
ドラゴニュートの発光に合わせてバンシィも黄金に発光し続ける。
「……純夏アアアァァァァーーーーーーーーーッ!!」
武は力いっぱい叫ぶ。愛する者の名を。決して失いたくない存在を---。
「お前を……愛しているッッ!!!純夏アアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
タケル…ちゃん……。
「純夏ッ!!」
それをきっかけに両機ともサイコフレームの発光が薄くなっていき、遂にはユニコーンモードへ戻ってしまった……。
失敗か、そう思われた時だった。バンシィのコックピットが開き、武が大急ぎでドラゴニュートへ駆け寄る。
「純夏!開けてくれ!純夏ッ!」
「武!ハッチは外からでも開けられる!」
龍臥はドラゴニュートのハッチを開けてやり、武を中に入れる。
「……!純夏…大丈夫か……?」
目を閉じシートにもたれかかっている00ユニットに優しく話しかけ、彼女の反応を伺う。
「タケル…ちゃん……?…あはは……タケルちゃん…だ…」
00ユニット--否、
「ああ、俺だ…武だ…」
とりあえず成功といったところか。武を認識できる状態にまでもっていけた事が証拠だ。
「博士、霞ちゃん、しばらく二人きりにさせてあげませんか?」
龍臥は二人に提案をし、恋人同士を優しい眼差しで見つめる。
「そうね…少しの間はいいでしょ。」
「はい…龍臥さん、二人をありがとうございます。」
「いいえ、どうも。さ…俺はバンシィの点検かな?」
バンシィに向かって歩きながら、横目に武達を見ると何やら幸せそうな表情をしている。
ひとつまた、いいことができた気がする。龍臥が殺したラプターの衛士にも、同じように愛する者がいたのかもしれない。そんな事をクヨクヨ考えていてもキリがない。
全ての人々を守る事は無理かもしれない。しかし、身近な人々は守ることができる。これからは手の届く範囲で人々の笑顔を守ろう、と心に誓った。
互いを愛する恋人は深緑の竜人の中で、ほんの一時の幸せな時間を過ごしたのだった。
書きたいから書くんです。そう、自己満足です。
また日常回をしばらく突っ込んだら…あの作戦に行きます。それでは、次回も読んでくれたら幸いです!