exゼロが搬入され、その事を夕呼が龍臥へ秘匿回線を繋ぎ伝える。すると驚く事に、シミュレーションをすぐ終わらせると言い出したので正直何を言っているのか理解できなかった。
呆れたものだ、と夕呼はため息をつく。伊隅達が相手というだけでなく、モビルスーツもいるのによくそんな事言いきれるな、と。
(なら見せて貰おうじゃない…ニュータイプってものを)
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(―――一体何処からの砲撃だ…!?)
龍臥は気になっていた。先程からの異質な砲撃…否、狙撃。明らかにそれはビームではなく、実弾という事だったため、武ではない、そう考えていた。
『どうする…!?龍臥…』
「俺が突っ込みますッ!」
スラスターを吹かし、砲撃の射線上…その先を見る。機影がそこにあった。出てこないのなら、やるだけだ。そう考えていたが、再び砲撃してきたためシールドを構え、ビルの隙間へ逃げ込む。
「そういえば水月さん…。名前で呼んでくれるんですね…」
水月の自身に対する接し方に喜びを感じていた龍臥。
『どういう事ですか?中尉。まさか
『…!それは……〜〜〜!!……龍臥!!上!!』
水月が誤魔化しに何か言っていると思ったが、上からのロックに警告音が鳴る。
すぐさま
(まさか…!!)
先程の砲撃の射線上を見ると、シナンジュが突撃砲を二丁構え、こちらを狙っていた。
やられた。武は自ら陽動を買って出たのだ。しかも龍臥を騙すために武装を入れ替えてまで。
上からのビームがシールドを貫く。伊隅の不知火がビームライフルを構えこちらを狙い撃つ。その眩しい光に、一瞬目を瞑ってしまったことが失敗だった。
一瞬の隙を突き、シナンジュが突進してくる。更には突撃砲を柏木機と茜機へ投げ、ビームアックスを片手に、もう片手にビームサーベルを持ち接近戦に持ち込んでくる。
『刻永少尉!!』
「俺は大丈夫です!風間少尉は自分を守っt……」
その一瞬で風間機をビームが貫く。
『なるほど…これがビーム兵器か。突撃砲より
『大尉!?……くっ……龍臥!白銀を頼んだわよ!』
「了解しました!」
水月に武以外を任せ、龍臥は迫るシナンジュへ目を向ける。
NT-Dだけは使わない、とは決めているがいざとなったら使うかもしれない。
水月を信じ、ビームトンファーを起動し、シナンジュへ向かって促進していく―――。
『大尉、私が相手ですよ!他もかかってきなさい!』
『フ……いくら高性能な機体に乗っていても、一人では限界もあるぞ?速瀬。だが部下を守る姿勢は褒めてやろう』
水月一人では確かに限界はある。一対三、普通なら勝ち目はないはずだが…今の水月はベストコンディションであり、バンシィも水月用に調整されている。
バンシィの装甲がスライドしていく。それを確認するやビームライフルを乱射する伊隅。
しかし全弾謎の壁に弾かれ、黄金色が強くなっていき―――バンシィがデストロイモードへ移行し、NT-Dを発動する。
黄金の
「―――おおおおおぉぉッ!!」
シナンジュとドラゴニュートの戦闘はより激しさを増していく。
「どうした武!!お前の力はそんな程度か!?」
段々と押されていくシナンジュへ挑発を行う。先程は騙されたが、今度はこちらの番だ、とバルカン砲を撃ち込む。弾は外れたが、避けた拍子に機体のバランスが崩れ倒れる。
―――しかし、武は奇妙な程に、回転するように機動し体勢を立て直す。
(流石武、変態機動をやってのける!)
『(龍臥…こいつは敵に回すと厄介だな……)』
お互い心の奥で褒め合い、決着をつけるために距離を置く。ビームトンファーの出力を最大にし、シナンジュを見つめる。
――が、突如後方からのビームがシナンジュの脚を吹き飛ばす。何故だ、これはビームマグナムの光。今水月は戦っているはず…と後ろをチラ見する。龍臥は眼下に広がるその光景に固唾を呑んで驚愕する。
既に三機の不知火が機体の四肢を切断され、上半身と下半身にそれぞれ風穴が空いて転がっていた。
『(バカなっ……!大尉や涼宮…柏木は……!?)』
武はウィンドウを確認するが、既に撃破判定を受けており、戦闘不能に陥っていた。
黒き獅子が大地を踏みしめるように、ゆっくりと歩いてくる。
武に湧き上がってきた感覚――恐怖。いざ向き合うと、改めてバンシィの恐ろしさに気付かされる。
脚を破壊されており、動けない。ドラゴニュートとバンシィが自分を見下ろしている。こんなにも二機のガンダムが恐ろしく見える。
バンシィがビームマグナムをこちらに向け光が一瞬見えた所で、プツリとシミュレーションが終了する―――。
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龍臥と武は、走ってハンガーへ搬入された機体を見に行く。その後を元207訓練隊メンバーが追いかける。
「タケル、そんなに急ぐほどの戦術機なのか?」
「いいから来いよ、冥夜!皆も、早く!」
武は子供のようにはしゃぎながら龍臥の後を追う。
「白銀…まるで子供ね」
「……榊の方が子供っぽい……」
武のはしゃぎ様を見て言う榊に、彩峰がボソリと呟く。
「何ですって彩峰!?」
「タケルさん……待って下さい〜!…鎧衣さん?」
「…なんかデジャブだね〜…」
美琴が何やら笑みを浮かべているのを、珠瀬が不思議に思う。
「いや〜…初めて戦術機に乗れるようになって、ハンガーに急いだことを思い出すなぁって…」
ほんの数週間前、総合演習を終えた訓練隊は衛士になるために様々なトレーニングを行っており、初めて自分達の戦術機が搬入された日のことを思い出していた。
「…あれから色々ありましたしね…」
「タマ、美琴!早く来いよ!」
武が自分らを急かしているように手を降っている。その姿は、笑顔でこちらを向く同期でありながら、もう何も迷いがない立派な『衛士』の顔でもあった。
「――すげえ、これが…」
武は若干興奮気味にその機体を見つめる。
布が外され、搬入された新型機が顕になる。
黒い装甲に白いラインがひかれ、シナンジュより重装甲なモビルスーツには、設計通りサテライトキャノンが装備されていた。
「あれ…誰が乗るんだ!?」
龍臥へ質問をする武。その質問を待っていたかのように、満を持して告げる。
「武、お前が乗るんだ」
武が目を見開いて、もう一度言ってくれ、と信じられないような顔をする。
「だから、博士に頼んでこのexゼロはお前用に製造してもらったって言ってんだ」
龍臥はスペックや装備情報が記された書類を、冥夜へ手渡す。
「…これを…タケルが操縦するのか…?」
そのデータを見て一同が驚愕する。
ユニコーン等のモビルスーツを見てその性能を知ることはできた。しかし、こうしてデータに起こすと今までの戦術機を超越した超兵器という事を改めて実感させられる。
「タケルさん…こんなスラスター推力の機体、扱えるんですか?」
珠瀬が心配そうに武を見る。しかし武は乗る気満々だったため、その思いを胸にしまう。
「早速だが、テスト飛行をしてもらいたいんだ。司令部の許可はとってある。」
武は歓喜の表情を見せ、強化装備に着替えに向かう。
「後は…不知火の性能強化かな…」
龍臥の呟きに冥夜がギョッとする。
「タケルといいそなたといい…一体何者なのだ?刻永…」
「……ま…ちょっとした事で力を得た、ただの将兵ですよ」
微笑んで誤魔化しながら、exゼロに向かって歩み始める。
―――数分後、横浜基地周辺を高速飛行した謎の戦術機の情報が世界中に広まりつつあった……。
フォオオオオオオオオオオオオ!!
RGνガンダム素組み完了!!行くぜ塗装!