イライラするんで捕食植物デッキ組んで友達無くしてきます。_| ̄| Σ・∴'、-・一≡三(っ'ヮ'c)
あっあかん、超融合無いやん……
#26 甲21号作戦発令
武がexゼロのテスト飛行を終わらせ、横浜基地へ帰還してその日が終わった。
ベッドに寝ながら、今まで一番忙しい日であったと龍臥は一日の全てを思い出す。
ラプターとの戦闘、対人訓練、そしてexゼロ搬入。武にexゼロの駆動に違和感はなかったか、と聞いた所、『若干スラスターの噴射のタイミングが早く、いつもの機動が難しかった』とのこと。
やはりモビルスーツと戦術機では性能が段違いであり、その中でもexゼロは『ウィングガンダムゼロ』と『ガンダムDX』の装甲を利用し、更にはスラスターを改造しジェネレータ出力を最大限に引き出せるよう細工を施した。
武なら扱えると信じた甲斐があった、とまず一安心する。
今日は12月23日。甲21号作戦まであと2日。この世界について分かることは二つ。
ひとつは誰が死んでしまうか。これだけは歴史をひん曲げてでも阻止しなければらならない。
二つ目はBETAの新種について。これは絶対的な根拠が無ければ、報告しても国連が信じない。だからこの情報は最後までとっておく。
そう考えていると、段々とまぶたが重くなっていき、意識が薄れてくる。そのまま龍臥は眠りについた――。
―――ここは何処だろうか?真っ暗で何も見えない。あの時見た空間と真逆だったため心底不安になる。
――と、突然足元が明るくなる。そこにはアイツ……彼をこの世界にとばした張本人が居た。
「久しぶりだな、少年殿。」
(な……お前は……!!……!?声が…?)
龍臥は目の前に居る者と、声が出ないこと両方に驚愕と困惑、ふたつの思いをした。
「ここは夢…と言っていいのか分からんが、とにかく夢の中だ。夢を見ている間は魂が身体を離れる、と言われたことはないか?それと同じだ。だから魂だけの少年殿…おっと、今は龍臥だったか。だから龍臥殿は声が出ないのだよ。」
(何言ってんだこいつ…)
「『何言ってんだこいつ』か……」
龍臥は目の前のトカゲに何度驚かされたことだろう。異世界にとばすことだけでなく、心も読めるとは。こいつは一体何者なのだ。
(お前が俺の名前を奪ったのか…?何故この世界に香織がいたんだ…?何故モビルスーツがあって、ネェル・アーガマもあるんだ!?お前の目的はなんだ!!?)
「質問は一つずつにしてくれ龍臥殿…結論から言おう。
龍臥の頭は真っ白になった。このトカゲが言っていることが理解できない。何もしていないなんて…そんな事があるはずがない。
「全て想定外だった。まさか君が私の分身体を庇うなんて。あの程度の機械なら、避けられたのだ。」
(じゃあ…俺は無駄死にだったって事かよ!?お前の言い方じゃ、正にそれだ!俺は一体なんて名前なんだ!!)
龍臥の声が少しずつ荒くなっていく。
香織がこの世界に霊体となって存在していたこと、まずそこが不思議なのだ。彼女が死亡したのは元の世界。普通有り得ない。
他にも、こいつが何もしていないのならば、モビルスーツがある理由は?こいつの目的が理解できない。いや、そもそも目的があるのかどうかも怪しい。
「まだ早い。全ては、この世界の出来事にひと段落つくまで。」
こいつには本当に呆れ、怒りさえも覚える。
「それにもうひとつ…絶対に歴史を曲げるな。例えば本来は死亡する者を生かす……とかな。もし歴史を変えれば、君は元の世界に帰ることは出来なくなる。」
(……無責任な事を言わせて貰うが、俺は中隊のみんなを死なせない。誰もな)
龍臥は心の奥からの思いをトカゲに告げる。
するとそいつは奇怪な程に眼をギョロギョロとさせ、にやりと笑ったかと思えば次の瞬間には元の表情に戻っていた。トカゲが表情とかいうのはおかしいと思うが、確かに表情と言えるものだった。
「……ほほう。では見せてもらう。それが『
そう言いながらそいつは目の前に浮かんできたと思えば、闇の中へ消えていく。
(ま…待ちやがれぇッ!!!!)
手を伸ばすが届かない。届きはするが、透けてしまい掴むことができない。そのまま龍臥の意識も無くなっていく……。
(……!!)
気が付けば朝だった。時計を見ると、午前7時ちょうど。そして横には……水月が心配そうに顔を覗かせていた。
「大丈夫……?随分と
「え…何故部屋にいるんすか…?いつからいるんすか…」
鍵をかけていなかった事を思い出し、自分の不注意さに苛まれる。こんな小さな事であったから良かったが、これがコックピットハッチのロックならどうだ。戦車級のアゴに簡単に喰い破られたり、敵勢力の工作員に機体を奪取されてしまうだろう。
「来たのはさっきよ。起こそうと思ったら、魘されてたから心配で……。…もう大丈夫そうね、支度して。Pxに行くわよ」
水月はいつも通りの調子で告げる。
やはりこの人だけは失いたくない。片想いでもいい。とにかく守りたいものは見失わずにいたい。
ベッドから起き上がり、制服を着ようとした時。
「……結構、寝顔可愛かったな……」
部屋を出る瞬間の水月の呟きに、龍臥は”全力で回したハンドスピナー”以上の速度で、首を水月の方向へ向ける。顔は角度で見えなかったが、とても優しい声色だったのは確かだ。
これは”
遅れてしまうと再び水月にどつかれると思い、急いで顔を洗い国連制服に着替えPxへ向かう。
ーーー横浜基地 食堂ーーー
朝であるからか、食堂の担当者達が全員分の食事の準備のため忙しなく動いている。
今日の朝食は合成サンマ定食にしよう、と考えているととても香ばしい香りが鼻を刺激する。たとえ合成食であっても、京塚のおばちゃんによれば非常に美味なものと化す。
野菜類はネェル・アーガマの一室を利用した栽培所から持ってきており、兵士みな久しぶりの天然物を楽しみにしている。
この世界ではBETAによって動植物の激減に伴い食料不足に陥っていた。その解消のため、合成食というものを基本食として食べられている。
少なくとも、龍臥が提供した天然野菜や、兵器技術によって兵士の心身共に大分楽になっているのは確実だった。
「おはよう刻永!朝は合成サンマ定食?私もそれにしよっかな〜」
「おはようございます、茜さん。サンマは好物なので」
茜が朝とは思えない程元気な声で挨拶を交わす。
顔も性格もかわいいとか、全くこの世界はBETA以外は完璧だな、と思いながら席に着く。
向かい側に茜、その隣に遥が座っている。龍臥の隣には遥の向かい側となるように水月が座っており、二人は合成さば味噌定食を頼んでいた。
「おはようございます遥さん」
「おはよう。龍臥君、水月から聞いたよ。魘されてたんだって?大丈夫?」
「問題ないでしょ、遥。こいつは結構丈夫なんだから。それに、ただの疲れでしょ?ここ最近実戦が多かったから」
そんな感じに二人は会話を進める。その会話を聞きながらサンマを口に運ぶ。
やはりおばちゃんは流石だ。こんなにも合成食であるサンマが本物のように思える。
最後に食べたのはいつだったか、と考えていると頭に妙な感覚が走る。
大群のなにかが、数を増やしながら進軍している感覚――。間違いない、龍臥の予想通りニュータイプ能力によってBETAの存在を感知したのだ。
隣で水月は変わりなく笑顔で会話している。水月のニュータイプ能力は低いのだろう、と安心する。もし感性が強すぎると、あの戦場でどうなるか予測不可能である。
朝食を終えたら、対BETA戦のシミュレーション訓練が待っている。いつもより気合い入れて行こうとやる気を出すため、このサンマ定食の味をしっかりと味わう。
ーーー横浜基地 ブリーフィングルームーーー
「本日未明、国連司令部及び帝国参謀本部より『甲21号作戦』が発令された!」
午後5時48分、横浜基地司令がその作戦名を伝える。
遂に来た、この日が。龍臥は作戦目的も戦況がどう転ぶかも熟知しているため、有利な立ち回りが可能だろう。
「今回の作戦は国連と帝国の共同作戦であり、作戦目標は敵ハイヴ”甲21号目標”の奪還、敵情報の入手よ。他にも、私達A-01にはある新型兵器の護衛をやってもらうわ。」
夕呼がそう告げ、側近のオペレーターへ合図を送る。その新型兵器のデータが大型モニターへ転送される。
「護衛してもらうのはこれ…XG-70b……”凄乃皇・弐型”よ」
どよめきが起こり、龍臥以外の全員が驚きの表情を見せる。
戦術機らしからぬ巨体、いかにも強そうな名前と、驚くには十分な要素だった。
「刻永少尉には、技術者として協力してもらったから…既に存在は知っていたわ」
(事前に博士に『凄乃皇の存在は知っているんで』って言っておいて正解だった……)
さすがに一人だけ驚かないのは、不自然極まりない。
「これは単機で敵陣地へ赴いて、敵陣地を内部から破壊するという夢のようなオーダーを叶える兵器。動力はML型抗重力機関を使用していて、何よりも重要なものがここ」
夕呼はそう言って凄乃皇の胸部に近い部分をアップする。
まるでソーラ・レイのような見た目の武装であるそれは人類にとって希望となりうる存在だった。
「これは胸部に設置された荷電粒子砲と呼ばれるもの。これが凄乃皇一番の武装ね。他にも、動力機構から発生される”ラザフォード
淡々と凄乃皇の解説を進めていく夕呼を見ながら、龍臥はこの作戦を成功させるための、”ハッピーエンド”のことを考えていた。
甲21号作戦…書きたかった……!!