明日は君望やりながらエーリアンデッキを作るで!
『――ヴァルキリー13!前出過ぎ!』
「――!了解です!」
佐渡島ハイヴの攻略には、国連が主体となって行う。そのことから察するに、このドラゴニュートや、武のexゼロをハイヴ坑内へ進軍することはないだろう。
『――ヴァルキリー1より、全機戦闘態勢!これより佐渡島への上陸を行う!』
中隊それぞれの機体が兵装を準備し、いざ島へ上陸―――陸地へ脚部が接触した途端に、モニターを通して眼下に広がるBETA達が一斉にこちらを向く。
こちら人類側のような編隊など組まず、ただ殺戮するように戦う。それが自分達の敵。
龍臥は操縦桿を握りしめ、トリガーを指で押える。
『――ヴァルキリーズ全機…攻撃開始ィッ!!』
『『『『『『『『『『『「
了解ッ!!
」』』』』』』』』』』』
号令と同時に、耳をつんざく程の銃声が鳴り響く。十数機の機体が所持している突撃砲から発射された銃弾が、要撃級や戦車級の肉を削ぎ落としていく。
その大量の実弾に混じって、ビームマグナムから放たれた光が直線上に連なるBETAを溶かし、殲滅する。
『――はあぁぁぁぁぁッ!!』
『――うおぉぉぉぁぁぁぁ!!』
冥夜と武の雄叫びが聞こえ、共に戦っていることを実感し、不思議な安心感を覚える。
『龍臥!前方11時の方角、突撃級梯団狙える!?』
「…やってみます!」
地球が揺れるような――とは少しオーバーな表現だが、そのように感じさせる地響きを起こしながらこちらへ向かって進軍してくる突撃級。
その方向へビームマグナムを構え、それらを狙う。
「全機体はドラゴニュートの射線上に立たないで下さい!…撃ちます!!」
注意を促しながら、標的が射程距離に入ると瞬時に操縦桿のトリガーを押す。
飛んでいく光は突撃級の硬質な外殻でさえも貫通し、近くにいただけの突撃級をも溶かしていく。
『――これが…この一発で…!?』
次々に仲間達の驚きの声があがる。
『――ヴァルキリーズ、今の攻撃で敵軍の体勢に穴が空いた!速瀬、先を任せる!』
『――了解!…B小隊、私へ続けぇッ!!』
伊隅の号令で水月を小隊長としたB小隊が進軍を開始、龍臥もそれに従い彼女を追いかける。
『龍臥、途中でバテたら置いていくから!』
「了解です…。………!!」
止まらない敵の行進。要撃級がその巨腕を振り上げるが、ビームトンファーを駆使し切り落としていく。戦車級にはバルカン砲を撃ち、できる限り最小限の弾薬を使用する。
「――俺に近寄んじゃあねぇ!!!気持ち悪い見た目しやがってェ!!」
目の前の醜い生命体に、ビームマグナムを構えトリガーを引く――。
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――しばらく戦闘が続き、交代制で補給を行うヴァルキリーズ。
設置されたコンテナから弾薬や、予備の長刀を調達する。
『――ヴァルキリー1より 各機、A-02は予定通り進行中だ。進行ラインにはBETAを1匹も近付けさせるな。特にプランBの攻撃開始地点には絶対だ。』
(今は新潟を進んでいる…――凄乃皇を守りきれば…この歴史を変える事ができる……)
龍臥としては、歴史を変えたことによって、元の世界へ帰ることが出来なくてもそれでいいと思っている。この世界で戦い続ける人を置いて自分は去るなんて以ての外だった。
『――龍臥、次の補給あんたの番よ』
物事を深く考えすぎだったと、はっと我に返る。
「……了解です。」
『――元気ないわね。久しぶりの戦場で疲れたの?』
「……ええ、まぁ…そんな感じです……」
(やっぱり…戦場は怖い。でも、皆同じなんだ。水月さんだって…軽口を言っているが本当は怖いんだ…)
深呼吸し心を落ち着かせる。目を閉じ、香織との約束を思い出しながら考える。守りたいものを全て守る、それが自分の望みなのだ。
通信に多少のノイズがかかる。おそらく、これから全部隊への無線の前触れだろう。
補給―といっても、武装がそもそも違うので機体のエネルギーチェックなどしかできない。モニターに指を伸ばした瞬間、突如通信が入る。
『――作戦執行中の全部隊へ告ぐ!これより甲21号目標への上空からの侵入を行う!繰り返す、上空からの攻撃を開始する!』
と、司令部からの通信が終わると同時、何の音だか…空から何かが落ちてくる感覚。
(来た―――!!)
――そう思う間もなく、強烈な耳鳴り。爆音によってそうなったのは確実である。今までにない経験で、心の底からドキドキしてしまう。
(――これがっ…本物の戦場…!!)
舞い散る土埃に紛れ、BETAの体液や肉塊が飛び散っていく。
上を見ると、戦術機が何機も降下していく。
「…アメリカの……戦術機……!!」
空から落下してきたその機体は、F-15 ストライク・イーグル。
第6降下部隊の攻撃により、ハイヴに侵入したのち占領を行う手筈だ。
(ただ…確かこの後…失敗してプランBにいくんだっけか?)
多少所ではなく、物凄く心配だ。もしヴァルキリーズに入っていなければ、このままハイヴへ行きビームマグナムをぶちかましていた頃だった。
が、今は自分の役割を果たす事が使命なのだ。
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『――ヴァルキリーマムより各機、ハイヴ坑内へ進入した部隊との交信途絶――プランBに移行し、A02での攻撃によってハイヴの無力化を行う。』
(……なッ…やっぱり歴史は……!!)
予想よりも早い展開に驚愕する。より一層、心臓がバクバクと動き始めた。
『――ヴァルキリー11、12!周囲の小型種に攻撃を続けろ!!』
『『了解!』』
『――ヴァルキリー10、13!付近の大型種に警戒!!』
「大型種…!!?」
周りの様子をレーダーを使って確認する――そこには、巨大な影がいくつも並んでいた。その数およそ72――。
白っぽい肉体に、昆虫のような胴体を持ち巨大な柱のような10本の脚でその巨体を支えている――
(き…気持ち悪ィ……!!)
率直な感想であった。おそらく、誰であろうとそう思うであろう。
(しかもデカすぎだよ…こんなんが72体って……)
次々とこちらへ向かってその脚で歩んで来ている。
奴らは高度なコンピュータを優先的に攻撃を仕掛ける習性がある。そのためか、モビルスーツを狙うのは想定済みだったが、いざこの場に立つとその自信も崩れそうになる。
「…!!来るかッ!!?」
ミサイルポッドの状態を発射可能にし、武装をハイパーバズーカへ持ち替える。
ミサイルを右側のストック分撃ち尽くし、要塞級へバズーカを撃ち込む。
爆発したミサイルは一体の要塞級の脚を吹き飛ばし、バズーカで頭部を破壊する。
これだけの実弾兵器を使用しても一体しか撃破出来ないことへの不満を思う。要塞級は異常に硬い外皮を持ち、手練た長刀使いでも通りが悪ければ、一刀両断も難しい。
『――龍臥、無駄弾は極力避けろ!可能であれば近接武器を使え!』
「…ああ、わかった武!……」
(ビームマグナムの予備弾―Eパックは残り11。ビームガトリングを使わなければ…)
そう考えていると、要塞級の尾がブルブルと動き始めていることに気が付く。
突然、尾から鞭のようなものが発射され、地面に突き刺さったかと思えば、周りが溶けてしまっている。
龍臥は驚愕した。その攻撃にだけではなく、強酸性溶解液というものに対しても。
あれを喰らえば、モビルスーツであっても無傷では済まない。
「……数が多すぎる!!デストロイモードを……」
要塞級の猛攻をギリギリで避けながら、NT-Dを発動させようか迷っていると、ひとつの黒い機体が高速で接近してくるのをモニターが発見。その背後からは何機もストライク・イーグルがついて飛行している。
(レーダーにも反応がない…!?――まさか、ラプターかッ!!?)
モニターの映像をアップしていくと、従来のラプターよりも刺々しい見た目の機体がそこに居た。
要塞級はそのラプターらしき機体に気付くと、脚を振り上げて突き刺すような動作に入る――しかし、一瞬でその脚が切断される。
目にも止まらぬ速さで機動し、大型種でさえも容易く撃破してしまう機体――。
”神速”、そう形容してしまう程の速度。その速度はドラゴニュートに近いと言ってもよかった。
『――久しぶりだな…”
「ぁあっ!!?」
機体の複眼を赤く光らせ、ダガーナイフと突撃砲を構えた機体がこちらを一瞥する。
見たことも、記憶にもないラプターから聞こえたその声は、龍臥の記憶にも新しかったものであった―――。
次回が武ちゃん無双です。テスト期間なので更新が遅くなりました。これからそうなるかもしれません…ですが、更新はしていくのでよろしくお願いします!