Muv-Luv-Dragonewt   作:へらこじか

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武ちゃん無双、始まるよッ!!!
俺は待てない…!!!

何やかんやあって第30話、どうぞ。


#30 敵味方を越えて――

「…フォース・レイダー……大隊……!」

 

目の前の機体、ラプターBからの無線から聞こえたその声は、かつて戦った事のある者だった。

 

『――…相変わらずその得体の知れない機体に乗ってんのか…』

 

アンバス少佐が感情を押し殺すような声色で話す。

 

「これが俺の愛機なんでそうそう乗り換えませんよ……ッ!!」

 

応答している間に、要塞級が尾からなる鞭を発射する。しかし2機の歩行兵器はそれを難無く躱し、ドラゴニュートは頭部の辺りまで上昇。それに気を取られた要塞級が標的を彼に変え、その時を待っていたかのようにラプターBは短刀を尾に突き立てる。

その痛みに悶えるかのように怯んだ瞬間、ドラゴニュートがビームトンファーでその頭部を一刀両断する。

 

『――なんて息の合ったコンビネーションなんだ…!?』

『―――嘘でしょ…互いに合図もしていないのに…』

『―さすが…』

 

ふたりは互いに殺し合いをして1週間しか経っていなかった。それなのに、まるで長年共にいた戦友のごとく戦っている。

その事実に武、茜、彩峰の3人は驚愕し声をあげる。

 

『――なかなかやるな…坊主!』

「…少佐も…やっぱりその階級は伊達ではありませんね…!!」

 

互いに褒め合うふたり。その後ろでは彼の部隊が小型種を相手に奮戦していた。

 

『――ヴァルキリーズ、新任少尉に負けず我々も行くぞッ!正面の小型種17体はA小隊が頂く!!』

『―では支援を我々C小隊が』

『――なるほどね…よし、側面の要塞級はB小隊が相手をするッ!突撃前衛(ストームバンガード)の証を見せつけてやれッ!!』

 

”了解”の応答が鳴ると同時に、推進し始めるヴァルキリーズ。

C小隊長 宗像美冴の指揮の元、A、B小隊の支援を行う彼女の小隊。

突撃砲からの36mm弾が雨のように、BETAの肉体を吹き飛ばす。体液が飛び散り大地の土が赤黒く染まっていく。

戦車級の血肉が硫黄のような匂いを放ち、機体の換気システムを通してその匂いが多少入ってくる。

 

『龍臥どいて!…喰らいなさいッ!』

「――水月中尉!!その位置でリボルビングランチャーは…!?」

 

バンシィの武装から発射された徹甲弾がドラゴニュートをギリギリ掠めて要塞級の多脚に着弾、炸裂し右脚を粉砕。

要塞級の体が倒れ、そこを武のexゼロが長刀で頭部を切り落とす。

 

「――あぶねぇ!!……ちょっと水月さん!危ないじゃないっすか!」

『どいてって言ったでしょ!?それに、陣形を崩さないで!』

「……なんかすみません…」

(…何故俺が謝ってんだよ……いや、まあしょうがねぇな…)

 

正直不満ではあるが、指示通り元の陣形に戻り戦闘を再開する。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「…こんなもんかな……。ふぅ……疲れる…」

『――しかし、速瀬の小隊には度肝を抜かれたな。4体も持っていかれた。』

『――いや〜かわいい部下達がやってくれましたから〜。ね、龍臥?』

「…え?ああ、そう…なんですね…」

『――だそうだ、刻永少尉、白銀少尉。速瀬のお墨付きだな』

『――あ、ありがとうございます』

 

そんなふたりの軽口を聞き流し、龍臥は次の行動を考えていた。

さっきまで小型種だったモノの残骸が周りに広がる。

ふと空を見ると、面制圧第2波の誘導弾が飛んで行くのが見えた。

 

(…高いなぁ…花火見てぇだ……。…そういえば……香織と花火見たの…最後、いつだったっけ?)

 

今は戦場の事で頭がいっぱいになっているせいで、思い出せない。次の瞬間、そんな呑気な考えも吹き飛んでしまった。

―――誘導弾が次々に下からの攻撃で空中で爆発してしまう。その攻撃は光線、間違いない。()()だ。

――とその時、フォース・レイダー大隊のイーグルが爆発し炎上する。

1機、また1機と、計3機が戦闘不能にされ――撃破されてしまった。

 

『――ヴァルキリーズ全機、安全圏まで後退!光線級だッ!!』

『――フォース・レイダー、自動回避(オート)をそのままにして退避、岩盤を探し盾にしろッ!!』

 

ふたりの隊長がそれぞれ指揮を執る。

2つの隊が安全圏にある巨大な岩盤を盾に、待機を行っている。今にも崩れそうな横浜市のビル街とは違い、自然なものなだけあって頑丈そうな岩盤であった。

 

「畜生どうすれば……」

『このままじゃA-02の進行ルートにBETAが…』

『――今出たら光線級の標的になる!』

 

榊の作戦行動への心配に、武が当然の反応をする。

 

「――だからってこのままじゃどうしようも…」

『あぁっ!!もうっ!』

『「!?」』

 

水月の大声で皆が沈黙する。

 

『――認めてやったらピーチクパーチクうるさいことだわ!!

「…み…水月さん……な……なんかごめんなさい…」

『――なんで謝んの!?』

『「えぇ……(困惑)」』

 

思わず龍臥と武は困惑してしまった。

 

『――フフ…坊主の部隊は賑やかだな……』

『―― と、ところでアンバス少佐、そちらはどのようにこの場を切り抜けるおつもりで…?』

 

気を取り直そうと、伊隅が現状を打破するために、少佐へ質問を投げかける。

するとアンバスは鼻で笑い始めてしまったと思えば、口を開け大笑いしてしまった。その状況に中隊の皆が困惑してしまう。

 

(…このオッサン…頭でもおかしくなったのか!?)

 

武はそう思うしか無かった。さすがにこの状態では半ば諦めてしまう兵士がいてもおかしくなかった。

しかし、少佐はすぐに表情を戻しウィンドウに映る龍臥を見つめる。

 

『――時に坊主、貴様らはこのラプターを初めて見るだろう?こいつは坊主との戦闘データを基盤に開発された機体でな…』

「ッ!?やはりデータは撮られていたのか……」

『そりゃそうだ、あんな珍しいモノは他にない。……こいつは正式名称”F-22A-Break”ラプターB型といってな、機体速度を坊主の戦術機に極限まで近付けたモノだ』

「…そんな事もできるのか……」

 

アンバスは淡々と説明していく。

 

『――だからこの機体はその速度で光線級のレーザーを躱すことが可能だ。…俺が囮になって光線級を引きつける。その間に奴らを狩れ!』

「アンバス少佐…!?」

『『『『『『『『『『『『!?』』』』』』』』』』』』

 

中隊全員が唾を呑む。

まさか自ら囮を買ってでるとは思わなかったためである。

 

『――…了解した。…聞いたな!?各機、武装の準備が完了次第、行動に移る!』

 

やるしかない、と思いながら操縦桿を力強く握る。

 

『――フォース・レイダー大隊!!俺一人で光線級の囮になる!支援射撃を頼む!!』

『『『『『『『『『『『『『『『『『『『

了解(ラジャー)ッ!!!

』』』』』』』』』』』』』』』』』』』

 

米兵らしい力強い応答が耳を刺激し、雰囲気も相まって俄然やる気が出てくる。

 

『行くぞッ!!ヴァルキリーズ!!』

『『『『『『『『『『『『「

了解ッ!!!

」』』』』』』』』』』』』

 

推進(ジャンプ)ユニットを吹かし、不知火 数機とバンシィ、ドラゴニュートとexゼロのモビルスーツが光線級目掛けて突っ込んでいく。

龍臥はラプターBを心配ながらに一瞥すると、光線級の位置を割出そうとモニターを操作する。

 

『――来たッ!!』

 

水月の一声に、モニターを操作する指がより一層素早くなる。

正面遠くから何本ものレーザーがラプター目掛けて発射される。それを難無く回避、異常なまでのGがかかりそうな程、無茶な機動を行っている。

 

(あんな…ジェガンよりも速い…米国……なんて技術力だ…)

 

そう思いながら、位置を割出す。

正確な位置が判明し、データリンクを通して全機へ送信。

 

『――よくやった刻永少尉!このまま行くぞ!』

『――ッ大尉!!要塞級が……!』

 

光線級周辺には、要塞級だけではなく要撃級、突撃級、戦車級が群れをなしている。

光線級を叩くにはこの大群に突っ込むしか他ないだろう。

 

『――どうする……このままじゃ……!光線級に辿り着く前に……』

『――龍臥ッ!そのミサイルポッドは!?』

「駄目ですっ!数に合わない……」

 

焦り始める中隊メンバー達。ウィンドウに映る顔には、汗を浮かべる表情ばかりだった。

―――そんな中、1人だけ決意された瞳をしている者がいた。天才衛士と呼ばれた少年――白銀 武

 

『――大尉!!……俺が陽動を行いますッ!!』

『――!?ばっ―――そんな!?白銀!やめなさい!』

 

武の一言に思わず焦る水月。龍臥も心配ではあったが、武ならやれる、と信じる事にした。

 

「――大尉、俺からもお願いします!水月さん、武を信じてやって下さい!!」

『――でも龍臥……』

『――わかった――。』

 

伊隅が半ば諦め的にため息を漏らす。

 

『白銀!撃墜されるなよ!!…残りヴァルキリーズ、続けぇッ!!』

 

武を残してヴァルキリーズは光線級へ向かう。

まずは周りの要撃級から片付けなければ、近付くことすらできない。

後ろではexゼロが要塞級や小型種に囲まれていた。

 

『――大尉、白銀の支援を……!』

『駄目だ!それでは陽動の意味が無くなる!!』

「茜さん、武を信じろ!あいつは強い…そうだろう!?御剣さん!」

『――……あぁ…確かにな…タケルは強い…だが……』

『――ッ!!大尉!――敵の消耗率が急激に……!!』

 

風間少尉の戦況ウィンドウを見る瞳が、まるで絶望から希望へ変わるように、輝いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――うおぉぉぉぉぉぉぉッ!!!』

 

長刀で次々に襲いかかる要撃級を斬り捨てていく。

要撃級が腕を振りかざし、exゼロへ叩きつける。しかし余裕のある回避を行い、同時に要撃級の巨腕が切断される。

武は回避する瞬間、既に腕を斬り落としていたのだ。

武の操縦によりexゼロは性能以上の力を出せている。

要塞級が脚を持ち上げるが、exゼロがビームサーベルを抜刀、要塞級目掛け投げつける。当然ながら切断され、体勢を崩された要塞級は倒れ込む。

武は機体を上昇させ、投げたビームサーベルを回収、更に急降下しもう一体の要塞級を一刀両断。

 

『――俺を殺しに来てみろ!!やってみろ!』

 

鞭の攻撃を行おうと、体勢を整えた要塞級が3体向かってくる。

その3体が重なった瞬間を逃さず、ビームライフルを発射する武。見事3枚抜きに成功する。

 

『……誰も…』

 

背後から突撃級が突進。

振り向いたexゼロは静かに構え、敵を待つ。

スラスターによって機体が数m上昇、ビームアックスを展開し向かってくる突撃級を縦に切り裂く。その硬質な鎧も、ビーム兵器の前では意味を持たない。

突撃級の体液を浴びながら、exゼロのモノアイが(あか)く煌めく。

 

これ以上誰も!!失うわけにはいかないんだアアアアアァァァーーーーーッ!!!

 

 

 

 

 

 




ついに書けるぞ……無双が!!
主人公より主人公やっちゃう武ちゃん、マジですか…

次回もお楽しみに……!!(…する人おるんか?)
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