メイドインアビス〜マイクラ探検隊〜   作:食卓の英雄

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洞窟アップデートが来ると聞いたので初投稿です。


深層二層の久遠語り

“アビス"

 

それは約1900年前にオルスカの孤島で発見された直径約1000メートルの人類最後の秘境と呼ばれる、未だ底知れぬ巨大な縦穴。

アビスは特異な生態系を持ち、また現世人類のそれを遙かに超える技術で造られた人工物である『遺物』を数多く眠らせている。

 

それ故に数多の探窟家達が命がけの危険と引き換えに、日々の糧や超常の「遺物」、そして未知へのロマンを求め、今日も奈落に挑み続けているのであった。

 

 

“深界二層 : 誘いの森”

 

深度1350mから2600mの空間であり、一人前と呼ばれる蒼笛の探窟家から降りることの出来る階層。上昇負荷は重い吐き気と頭痛、末端の痺れなどである。

特徴としては鬱蒼と繁る森林が、ある場所からネズミ返しのように逆さまから生えるようになり、その形状から『逆さ森』と呼ばれている。二層の終わりには『監視基地(シーカーキャンプ)』が設置されている。

 

その中に一人、まだ幼く可愛らしい容姿のメイド服の人物(女とは言ってない)が居た。彼の名を『マルルク』。ここ監視基地に師であり、恩人でもある人物と共に暮らしている探窟家である。

 

 

「――ふう。こんな感じですかね?」

 

マルルクは今、この監視基地の備品整理をしていた。というのも他のみんながロクに地上に上がらずに色々と溜め込んでいるため、スペースの確保のために仕分けをしているのである。

そして今しがた終わったようで、その場に座り込み額に流れる汗を拭う。一息ついたその時、手を付けていない場所(というよりはつけなくてもいい場所)で何かがキラリと光った。

 

「あれは?」

 

マルルクとて蒼笛の探窟家。それがただの光でないことには気がついた。まさか原生生物では無いだろう。ではこの光は何か?

確かめたいが、それにより、自分に対処できないことだったらどうしよう、と知的好奇心と理性の狭間でマルルクの心は揺れ動いていた。そして幾ばくか考え込んだあと、

 

(これは『お師さま』に報告しよう。)

 

そう判断し、踵を返そうとして…背後から声が聞こえた

 

「おや、何をしているかと思えばサボリかい?マルルク」

 

声をかけたのは一人の女性だった。しかしその身長は2メートルを超え、黒い服装も相まってさながら巨大な影のようであった。頭髪は黒白で変わった髪型をしていて、とても印象に残る外見であった。彼女こそマルルクの師であり、5名しかいない白笛。つまり最高位の探窟家、奈落の星(ネザースター)が一角。

 

二つ名を『不動卿』『動かざるオーゼン』

 

外見こそ妙齢の美女だが、彼女が『白笛』の称号を得てから50年以上経過している事を考えると、アビスの神秘性の一端を伺えるだろう。

 

「それで?何をしていたんだい?」

 

黙っていたマルルクに顔を寄せるオーゼン。この巨躰には慣れたものだがここまで近づかれると流石のマルルクも圧を感じる。

 

「あの、あそこで何かが不自然に光っていて…。何だか分からないんですけど…お師さまに言おうと思って…」

 

その言葉にオーゼンはマルルクの指差した方向を見つめる。すると警戒心などまるで無いように歩いていくではないか。件の光の場所にたどり着いたお師さまは躊躇なく手を突っ込んだ。

 

「えっ」

 

そう声をあげたのは見守っていたマルルク。まさか正体を確かめもせずに触れようとするとは思いもしていなかったからだ。

実際、このアビスには触れるだけで危険な物がままある。それは原生生物然り遺物然り。訳のわからない、また見てもいない物に触れるのは探窟家として長生きは出来ないであろう。

そんな心配も余所に、オーゼンは手を伸ばして探っていく。そしてようやく見つけたのか、「よっ」という軽い掛け声と共に引っ張り出す。

 

「これは…また懐かしい物が出てきたものだね……」

 

オーゼンはそれを眺めて目を細める。それは手の平ほどの大きさで眩い星の様な、可憐な花の様な形状をしていた。中心から十字に伸びる黄色いライン、そして妖しくも幻想的な光を纏った、正にそれは『奈落の星』と形容するに相応しいだろう。

 

「あの…お師さまはそれを知っているんですか?」

 

師の見知ったもので且つ、その本人が危なげもなく触れていることから警戒を解いたマルルクは、その妖しい星への興味が沸々と湧いてきていた。その疑問に対してオーゼンは

 

「ンン、知りたいかい?」

「は、はい」

 

もったいぶる様に手の中の星を見せびらかし微笑うオーゼン。その笑みに一体なにが含まれているのか。それは当人にしか分からないだろう。

 

「これはネザースターと言ってね。…まあ、遺物みたいな物さ。アビス産じゃあないけどね。…といってもこれがあるからどうしたって訳でも無いんだが…。これ単体じゃあ何の役にも立たないよ。…一応、私がどれだけ殴ってもヒビすら入らない。後はどんな爆弾でも破壊できないって事かな。火で燃えるのに不思議だよねぇ」

「アビス産じゃない…ですか?」

 

基本、常識を超えた物質である遺物は謎の多いアビスでしか発見されないとしている。だからこそ他の国からも絶えず探窟家がやってきているのであり、それが他の場所でも取れるのなら?わざわざ危険を冒してアビスに挑む必要等無いではないか。

 

そう考えたマルルクに否定の言葉が掛けられる。

 

「そう。でも問題にはならないさ。大分前の事だからうろ覚えだだけど、何度行ってもあの場所に行けなかったからねえ。まあ、どのみちアビスに、それも5層は潜らなきゃあいけないから危険度は大して変わらないよ」

「?」

 

疑問符を浮かべるマルルク。アビス産ではないのにアビスに潜らなくてはいけない?行っても行けない…?…それはまるで―――

 

「まるで、他の世界にでも迷い込んだみたいだよねえ」

 

「実際、色々と向こうはおかしかったから、信じられない話では無い。何よりアビスなんて未知の塊があるのさ。なら、何かしらで何処かに繋がったって方が納得がいく」

 

やはり、という少しの納得。そして師の曖昧な言葉には驚いた。子供騙しを嫌う師からそんな夢物語の様な話を聞かされるとは思っていなかった。しかしそれが却って真実味を持たせている。

 

「あのぅ……それってどんなところだったんですか?」

 

遠慮がちに問うと、こちらを一瞥した後ポケットにその星をしまい歩き出す。

 

「あ、あの…」

「ついてきな。紅茶でも飲みながら話をしよう」

「は、はいっ」

 

先程の不安げな様子とは一転、顔を輝かせて師の後へと着いていくマルルクであった。

 

・・・

 

「さて、何処から話そうか…」

 

オーゼンは紅茶を一口含み、自らの記憶を遡りだす。

 

「まあ、最初からでいいか。お前もソッチの方がいいだろう?」

「はい。お師さまのこういった話を聞くのは中々無いので」

 

いかにも期待しています。という様なマルルク。それに対しオーゼンは口角を上げ、僅かに、それこそ本人すら気が付かないのではあろうかという程に僅かに優しい目をした。

 

「あれは…確か四十年程前だったかな。そう、まだお前が生まれてもいない頃さ。確か4層からの帰還中だったんだが――」

 

―――

 

「はあ、何で私が国の後始末なんて面倒くさい事やらなきゃいけないんだ。結局全滅した挙げ句遺物もない。骨折り損じゃないか」

 

当時、オーゼンは国からある依頼を受けていた。それは4層に送り出した国お抱えの探窟隊の救出、或いは遺物を持ち帰る事だった。しかしそれも先程声に出した様に、隊員は全員死亡。遺物も隊員達が使ったのか、原生生物に破壊されたのか、残骸しか見当たらなかった。本当ならバックレたいのだが、一応依頼な為、この結果を報告するつもりだった。

 

3層に上がった直後、ソレは現れた。

 

「グオアアァァァァッ!」

 

大きな口を持つ赤い蛇状の生き物、深層3層に生息する『ベニクチナワ』である。勿論、その程度で動じるオーゼンではない。やりようはどうにでもある。現に今オーゼンがいる横穴にはベニクチナワは入ることが出来ない。

淡々と進もうとするオーゼンだったが、きっと運が悪かったのだろう。

 

「グオォォ!」「グワァッ!」「グアアォォッ!」「グオァァッッ!」

 

「ベニクチナワの群れ…だと?」

 

そこには六匹ものベニクチナワが群れを成すように飛んでいたのだ。

否、奴らは協力しているのではない。争っているのだ。丁度いいエサを取られてたまるかといったように。

 

そしてこれまた運悪く、ベニクチナワ同士の争いにより、オーゼンのいる横穴が崩れてきてしまったのだ。

 

「チッ」

 

直ぐ様横穴を飛び出し、近くの突起に掴まる。他の横穴へと移ろうとするが、それを見逃すベニクチナワではない。突進してきたベニクチナワを避けるため、咄嗟に手を離す。そこからは一方的だった。

 

身動きの出来ない空中、それも何の用意も出来ていないのだ。待つのは死唯一である。オーゼンは抵抗した。それが功を奏し、捕食はされていない。だが跳ねる跳ねる。ベニクチナワに弾き飛ばされ、咥えられ、振り落とされ、さながらピンボールの様に宙を舞う。

 

「…っ笛が!」

 

主人よりも先に、首にかけていた白笛が地に落ちる。そこからはあっという間だった。元より4層近くで争っていた事により、跳ね飛ばされている間に3層と4層の境目に来てしまっていたのだ。

4層の負荷は全身に走る激痛と、穴という穴からの流血。オーゼンは何度もその呪いを受けてしまっていた。

 

「…っ!かっ…ぐぅっ……はっ…!」

 

ベニクチナワは現在、争いに夢中になり、こちらを気にかけてはいなかった。空中で行われていた取り合い。ソレがいなくなれば地に落ちるのは当然の事で――

 

――ドグシャッッ!

 

まるで果実を潰したような音を立てて落下した。

 

コツン

 

(あ…白笛…。ここに落ちていたのか。…もう、何の意味も無いけどね)

 

丁度、オーゼンの落ちた場所には紐が千切れて落ちた白笛が転がっていた。それを何とか手に納め、痛みと出血によって朦朧とした意識で考える。

 

(ここなら…誰かしらが見つけるだろう。私が死んだことは分かるわけだ。……4層で死んだなんて、白笛の癖に、とでも思われるのか…はたまた原因を調査するのか…まさかこんなところで死ぬとはね……)

 

(いや、これも私なら行けるという驕りが招いた事……。まったく…)

 

「度し難いねぇ…」

 

意識を失う直前、オーゼンが聞いたのはパリンッ!という硝子の割れる様な音だった。




はい。
いきなり過去を捏造する作者が通りますよ

オーゼンの口調難しい……難しくない?再現出来てるかな…?不安だ…。

これがボンドルドだったら簡単なのになあ…だってあの人、取り敢えず「おやおや」「○○は可愛いですね」「素晴らしい」を言わせとけばいいんでしょ?違う?そんなー(´・ω・`)

まあいいや。面白いと思ったら高評価とか…頂けちゃいます?(うざい)
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