いよいよジェネシス大会でタイトル通り、SOS団とスケット団が激突します。
勝負の行方は!?
第10話『激突!Byジェネシス』
その後、SOS団とスケット団は、ジェネシスでの勝負を重ねていった。
「おー……。腰が痛くてのぉ……。お手柔らかに頼みますのぉ……」
相手はモーニングスターを杖がわりに使う老人ホームの老人たちだったり、
「わーわー、あいてはこうこうのひとたちだよー」
自分の身長とほとんど変わらぬ長さのモーニングスターを振り回す、まだ義務教育の年にもならない子供たちだったりしたが。
「……参加者が年寄りに幼稚園児……これ大会とか勝負以前の問題という気もするんだが……」
ぼやくキョンに対し、隣のスケット団も、相手が幼稚園児たちということで戸惑っているようだったが。
そんなこんなで、SOS団とスケット団はどんどん試合を勝ち抜いていった。
かくして、北高SOS団と開盟スケット団が生き残り、この2チームでの決勝という形になってしまった。
最終決戦ということで、いつの間にやら観客席にいる人たちは増えていた。ぱっと見70人ほど。
「ねえ……」観客席からコートに入るとき、キャプテンがボッスンに話しかけてきた。「今回の決勝戦、棄権しない?」
「は……?」
「見たでしょ、1回戦」キャプテンは不安げな表情で「SOS団がなんか変な力を使っていたの」
「はあ……」
ボッスンもちょっと考えた。
おそらくハルヒの勝ちたいという願いが、あんなおかしな現象を起こしたのだろう。
「これ以上深く関わったら、何をされるか……」
「何を言うんだ」後ろから声をかけたのは山野辺先生。「折角決勝まで進出して、スターライトキャプチャーの候補とぶつかるんだ! 相手が強ければ強いほどいい!! 是非とも戦って勝つんだよ!!」
いや、SOS団が強いんじゃなくて相手が弱すぎたからだとも思うが。妙なところでスポ根漫画の鬼コーチみたいになるなあ。ボッスンは心の内で突っ込む。
「だといっても」キャプテンは首を振って、「私は焼肉目当てなんだし、負けたほうが得なのだしね」
「キャプテン……」
SOS団と戦うのをしり込みするキャプテンに、ボッスンは唖然となる。
「正直、キャプテンの言うとおりかもしれへんなあ。涼宮だって優勝したいと思っとるんやろ?」ヒメコもこの状況を冷静に受け止めている様子である。「私らが棄権すれば、向こうだって得なんやし」
『で、お前はどうしたいんだ? ボッスン』
スイッチが聞いてくる。
「俺は……」
ボッスンはなおも迷っていた。
その時、
「お、いたでござるよ!」
長身で長い髪はポニーテールのように後ろで止め、くすんだ紺の着物と袴を着た、一見すると侍を思わせる男が、おさげ髪でぽっちゃり、というより恰幅のいい眼鏡女子と多くのチアガールを引き連れてやってきた。
「へ、振蔵!? それに矢場沢さんまで!?」
武光振蔵という侍風の男と矢場沢さんは、ボッスンから見て左手に座ると、
「スケット団がジェネシス大会に参加すると聞いたんで、矢場沢殿と一緒に応援することにしたんでござるよ!!」
「チアリーディング部の人をみな集めたからね。ヤバス」
答える振蔵と矢場沢さんの周りには、ピンクの服にミニスカートをはいたチアリーディング部の人全員が、ざっと見30人ばかりやってきている。
「スケット団、ガンバレー!!」
チアリーディング部の皆が騒ぎ立てる中で、椿が気難しそうにその中に入っている。
「あ、あっちゃー……この期待、どう答えよう」
ボッスンはテンパってしまった。
おちょぼ口で鼻息が荒くなっている。
「あちゃー……ボッスンどんな結論を出すんやろうなあ。豆腐メンタルやしなあ」
ヒメコはそれを横目で見ながら、呆れ気味に言った。
「決勝の相手、やっぱりスケット団ね!」ハルヒはワクワクしながら言った。「優勝候補を打ち負かして優勝したとなれば、私達SOS団の名はさらに広まるわよ!!」
「あーはいはい……」
キョンはやれやれと往なした。
「涼宮はこの大会で優勝することを望んでいる。場合によっては1回戦で使ったホーミングビーコンも使用がやむなしかもしれない」
長門がボソリという。
「よせよせ、あまり使うと俺たちが変に思われるぞ」
たしなめるキョンに、長門はちらりと鋭い目を向ける。
古泉はニコニコした表情で、
「ま、勝っても負けても、涼宮さんが満足すればそれでいいんですけどね。閉鎖空間も今は起きていませんし」
コートの中に入っていくSOS団。
スケット団はボッスンを先頭に、SOS団はハルヒを先頭に、チームメイトがそれぞれ相対した。
「あんたたち、どういう卑怯な手を使っていくかわからへんけど、うちらは決して負けへんで!」
早速ヒメコが喧嘩を売ってくると、ボッスンがたしなめてくる。
「よせよせヒメコ、というか、前々から思ってたけど、お前涼宮のこと嫌いなのか?」
「好きなわけないやろ! わがままなくせに!!」
『よせ』今度はスイッチがヒメコをたしなめてきた。『そもそもスポーツは相手との親交を深めるもの。腐れ縁とはいえ相手に喧嘩を売っているようでは、親交は深まらんぞ』
「その通り!」オールバックでグラサンの山野辺先生が強調した。「君達SOS団がどんなジェネシスの特訓をしてきたかはわからないが、我々はギャヂョーン、レソポッコウンズランド、ズールズーヌルーズヌー共和国といった強豪を立て続けに下してきたんだ!! そう簡単に負けはしない!!」
いや、そんな国あるんか。どこの国だそこは。
「私は正直、棄権したいんだけど……」キャプテンは相変わらず消極的だ。SOS団とあまり関わりたくないらしい。「私は焼肉目当てで参加したんだし」
「キャプテン……」ボッスンはやがて決意したように口を開いた。「俺たちは世界大会で優勝したんだ。今回もここまで来て、それはないだろ」
「ボッスン?」
ハルヒが唖然とボッスンに問いかけると、ボッスンはハルヒに向き直り、
「おめえらだって、決勝が不戦勝と言う形じゃかっこつかねえだろ」
「ボッスン……!!」
「勝負ってのは、勝ち負けじゃねえよ。勝ちっぷりと負けっぷりだ。それがお互い悪いなら、勝負には何の値打ちもありはしない。俺達に勝ち目がないとしても、立派な負けっぷりを見せなきゃならねえよ」
「……」
ハルヒはしばらく黙っていたが、やがて長門のところに近づき、
「有希、1回戦でやったあの手は使わなくていいからね」
と、小声で囁いた。
キョンは正直ほっとした。あの力を乱用したら、自分達はどんな目で見られるか分からない。まあ何をいまさらという気もするが。
やがてコイントスを終え、
「先攻! 開盟スケット団!!」
審判の声が上がる。
客席では、矢場沢さんのチアリーディング部が、熱心に手を動かし脚を動かして応援をしている。
ボッスンはそれをちらりと見ると、冷や汗を垂らしながら小刻みに震えてバレーボールを構えた。
「ひょっとしたら、この応援で逃げるに逃げられなくなったのかもな……」
キョンがぼそりと呟く。
「あんたの言うとおりかもなあ、キョン君」
ヒメコがちらりと返す。
スイッチもキャプテンも、ボッスンの決断に文句ひとつ言わず、それぞれモーニングスターを構えている。剣道の八相の構え。
「それにしても、あんたの言葉に、文句ひとつ言わないのね、ボッスン……」
ハルヒは不思議そうにボッスンに語る。
「それはお互い様じゃねえか。お前んとこだって、不満ひとつ出てねえぞ」
「そう?」
「ボッスンは少々頼りないけど、ちゃんと周りを見てるからなんやで」ヒメコが口を出してきた。「あんたは自分勝手な困りもんのくせになぜなんや?」
「自分勝手って何よ!!」
「ま、やはり世界を栄えさせたり滅ぼしたりする力があるからかえ? 私もその力が欲しいもんや」
キーっとなるハルヒをキョンは抑え、
「下手にこいつの神経を逆なでさせないほうがいいです。さっさと始めましょう、試合」
試合を開始するよう促した。
ついに試合が始まった。
「装着!」
先攻側のボッスンは、いきなりゴーグルをかける。
思わず開盟のチアリーディング部に歓声が上がった。「これでSOS団は終わりだ!」という声も。
「!? 何をする気!?」
ハルヒは思わず動じてしまう。
「なるほど。集中力を増して、SOS団の体にボールを当てやすくするというわけね」
キャプテンは感心するようにうなずいた。
「な、何ですってえ!? ちょ、ちょっとみくるちゃん! 応援してよ!!」
「え!? ええ!?」
ハルヒに促され、戸惑うばかりのみくる。やがてポンポンを振って片足を上げながら、
「『走れ~♪ 走れ~♪ こ~ぉたろぉ~♪ ほんめ~あなうまかきわけてぇ~♪』」
応援歌を歌い始めた。
おいおい、それは競馬じゃねえか。あとマキバオーじゃないのか……?
キョンは戸惑いつつも、バレーボールを持ったボッスンがどう出るかよく観察した。
半時ばかりほどの沈黙の後、
ビュン!
思いっきりボールを投げてきた。
が、ハルヒに投げたのではない。キョンに投げたのだ。
やべえ!
キョンは思わず手に力を入れる。
と、その時、持っていたモーニングスターが勝手に弧を描き、鮮やかな形でボールをキャッチした。
「ネッティン! 北高SOS団1ポイント!」
審判の声とともに、開盟応援団の、ああ、としおたれる声が上がった。
なぜだろう。
キョンは独りごちた。
原因は定かでないが、彼らの動きが、分かる。
長門はそれを見つめ、
「ホーミングビーコン、使わなくていいかもしれない」
ぼそりと呟いた。
攻撃側は、SOS団側へ。
ハルヒがバレーボールを肩に構える。
キャプテンの顔に冷や汗が流れた。どんな手を使うのかわからないからだろう。
ボッスンはゴーグルをしたまま、剣道の脇構えのようにモーニングスターを構える。
ヒュンッ!!
ついにハルヒは、ボールを投げた。
が、
タッタッタッ!!
ボッスンが素早くボールに反応し、
スバッ!!
正確にバレーボールをキャッチした。
「ネッティン!! 開盟スケット団1ポイント!!」
審判の声が上がる。
ハルヒは例によって歯ぎしりをしつつも、引き続き試合を続行した。
熱心に応援をする開盟学園のチアリーディング部の群れから椿は抜け出し、そこから少し離れた観客席から、いつもの気難しい顔で眺めていた。
するとその背後から、セミロングヘアーに1本アホ毛を垂らした黒髪の女の子が、椿と同じく眉をひそめながらやってきた。
青と白の運動着から椿は、彼女が先ほどの榊野学園主将であることをすぐに察知する。
「……もしかして、君も北高SOS団のことを調べに来たのか?」
椿は榊野主将に声をかけた。
「ええ。私達のチームと対戦して、何やら超能力じみたものを使って勝ったみたいなんだけど、本当に何者なのかと思いまして。宇宙人か超能力者の集まりなんじゃないかと思うのですが」
榊野主将が冗談で口にしたことを、椿は強く否定した。
「愚か者、宇宙人の未来人の超能力者の、そんな奴がいるわけがない。ネット上でそういう噂が広まっているようだがな」
「……でも、先ほど私達が見た超常現象は起きていませんね。私達の時は頻繁に起きていたのに……」
確かに、バレーボールが空中で止まったり、大きくカーブを描いている様子は全く起きていない。
小柄で紫色のショートヘアーの少女が、ぼそぼそと呟く様子もない。
にもかかわらず、一進一退の攻防が続いていた。
「ネッティン!! 北高SOS団1ポイント!!」
「ネッティン!! 開盟スケット団1ポイント!!」
交互に響く、審判の声。
最初は明るく歓声をあげていた開盟のチアリーディング部も、やがて茫然の気に包まれていく。
「「……!!」」
椿と榊野主将は、やがて気づく。
にわか仕込みでジェネシスを覚えたSOS団が、試合を経験していくうちに世界大会で優勝したスケット団の実力に伍したということを。
「同点……」
ハルヒはモーニングスターを、剣道の脇構えのように構えて、生つばを飲み込みつつ、スコアボードを見た。
42対42。
両者チェックメイト。
「フレー! フレー! スケット団!! フレー! フレー! スケット団!!」
観客席からは、武光振蔵と矢場沢、チアリーディング部が茫然の気を振り払うように、力強く、少し姦しく応援を続けている。
北高SOS団応援団員はというと、みくるただ1人。しかも、
「エリマキトカゲ、シャー! 私はこれで会社を辞めました!! まずーいもう1杯!!! うーん、マァンダム!!!!」
最早応援コールとは似ても似つかぬワメキ声をあげていた。スケット団の応援団にすっかり圧倒されてテンパってしまっているらしい。
昔のCMじゃないんだから、とキョンは思いつつも、スケット団の陣地に向き直り、相手が攻撃するのを待った。
ヒメコが不良のような目でバレーボールを構え、相手がどう出るのかを待った。
ボッスンは集中力が切れたのか、ゴーグルを外し、激しく咳き込んでいる。
キョンも思わず生つばを飲み込み、自分の好きなヒメコがどう出るのか、待機した。
しばらく、時が流れる。
観客席の中では、開盟チアリーディング部が必死に応援し、みくるがわけのわからない戯言をワメイテいる。
やがてヒメコは、片手でバレーボールを思いっきり投げた。
が、
「あっ……!」
手元が狂ったらしい。
ヒメコの手を離れ、バレーボールは大きく弧を描いて宙に舞い、SOS団の陣地に突入する。
「しめた!」
すかさず、ハルヒがバレーボールに向かって突撃し、空中に飛び上がってキャッチした。
「ネッティン! 北高SOS団2ポイント!! ゲームセット!! 北高SOS団優勝!!」
審判の掛け声とともに、
「ヤッタヤッタヤッター!!」
ハルヒの興奮した声が上がった。
「……これで俺たちの変態性がさらに高まるな……」
キョンは複雑な思いでつぶやく。
「やったあ! ジェネシス大会、私たちが優勝よ!!」
ハルヒは大喜びである。キョンはやれやれという感じで肩をなでおろした。
古泉は相変わらずのニコニコした表情で、
「とりあえず、涼宮さんはこれで満足しましたよね」
「もっちろん!! これで私たちの知名度がさらに上がるわ!!」
一方の開盟スケット団は、ボッスンとヒメコががっくりと肩を落としていた。
「……敵わないとはわかっていても、やっぱり負けるのはつれえなあ」
「ま、ここは相手に花を持たせるのがいいのかも知れへんな」
スイッチは飄々としており、キャプテンはどこかほっとしている。
『世界大会で優勝した俺達だ、これぐらいでいいだろう』
「そうね、準優勝になれば、副賞の焼肉食べ放題が取れるし」
がっくりと肩を落とす山野辺先生を尻目に、皆ゆっくりとドッジボールコートを去っていった。
コートの入り口近くで、スケット団は振蔵と矢場沢さんに出迎えられる。
「残念な結果でござったなあ」
「やばやばな実力かもしれないわね、あの北高SOS団って集団。ヤバス」
一応激励のつもりである。ボッスンは肩をなでおろす。
「まあ」キャプテンは笑顔で、「くどいようだけど、私は焼肉が食べられればそれでいいから」
一方、SOS団の皆は、
「おめでとうございますぅー!!」
応援団員のみくるが、SOS団の皆に駆け寄ってきた。
するとハルヒから、どす黒いオーラが漂ってきて、
「み、く、る、ちゅわ~ん。最後のあのグダグダな応援は何だったのぉ~?」
みくるはひっとなって後ずさる。
「ご、ごめんなさい……緊張で我を失ってしまって……」
「応援団員として何やってるのよ!! こうしてやるんだから!!」
ハルヒはみくるの両頬をまたひっぱたきはじめた。
それをたしなめつつも、キョンは今頃になって気づいた。
決勝戦で長門は、1回も超常的な力を使っていない。
それでも世界大会で優勝したスケット団に勝ってしまった。
となると俺たちは、試合を通していくうちに世界大会で優勝したスケット団以上の強さになったのか。それとも、スケット団が今の試合で手加減していたのか。はたまた、1回戦で戦った榊野代表が自分達やスケット団より強かったのか。
考えれば考えるほど混乱していくため、考えるのをやめにした。
景品であるプロテイン缶1年分は、古泉とキョンが台車で運ぶと言う形になった。
スケット団とキャプテン・山野辺先生は副賞の『焼肉店で焼肉食べ放題』となったのだが、どっこいSOS団も、キョンのおごりという形でその焼肉店に行くことになった。
「ハルヒ、俺は今金ないんだぞ……」
「わかったわよ。万が一足りなかったら私が出すから」ハルヒは妙にきっぱりと言った。「私達は悪い奴らではないことを、キャプテンや山野辺先生に分かってもらわないと」
まあキャプテンはともかく、山野辺先生は自分達が悪い奴らではないと言う事も分かっているだろう。
お古なテナントビルの1Fに、件の焼き肉店は開かれている。
プロテインを運んでいる銀の台車は、入り口近くに置くことになった。
席を隣同士にして、SOS団とスケット団は焼肉を食べることになった。
骨付きカルビの切り身が8切れほど置かれ、じゅうじゅうという音とおいしそうなにおいを引き立てる。
キャプテンが焼肉を取ってタレにつけ、口に近づけると、突然焼肉が消えた。
「!?」
ハルヒもキョンも唖然となる。
「何なに、今の力!?」
詰め寄ってきたハルヒ。戸惑うキャプテンに対し、ボッスンが解説する。
「これがキャプテンの『キャプ食い』だよ。この能力を利用してキャプテンは大食い勝負で優勝したんだ」
「まーた、すごいわねえ……」
感心するハルヒ。
「ボッスン、やめてよ……」
キャプテンは頬を染めて縮こまる。
「ソフトボールのキャプテンをしながら、大食い大会でも優勝する。まさしく高橋さんはマルチタイプですね」
古泉がにっこりしながらうなずく。
結構開盟学園にも、超人というか変人が多いのかもな。
キョンはちらりとこう思った。
「あ、あのお……」みくるがもじもじしながら、急に口を開いてきた。「実は私、会っちゃったんですよ。桜ヶ丘高校の平沢さんと榊野学園の伊藤君に」
「え!?」
「本当か!?」
ハルヒとボッスンが、まっさきに首を突っ込んでくる。
「ちょうど1回戦の時ですねえ、平沢さんと伊藤君、榊野の桂さんや他の桜ヶ丘生徒と仲良くジェネシス観戦してましたぁ。山中先生と澤永さんも一緒でしたぁ」
おお、と2人は顔を見合わせた。ちょうど好きな芸能人の噂を聞いたような感じである。
「で、平沢と伊藤はどんな感じだったの!?」
ドキドキするハルヒに対し、みくるはぽわぽわした感じでこう答えた。
「伊藤君は桂さんの恋人ですけど、平沢さんにも気があるみたいですぅ。まだちょっと伊藤君は平沢さんを振り切れていないみたいで」
ハルヒとボッスンは顔を見合わせ、
「ひょっとしたら私達、恋のキューピットになれるかも……」
「は?」
「ボッスンだってスケット団として、恋の相談に色々乗ってきたんでしょ?」
「そうだけど」
「私とボッスンで、平沢と伊藤を結ばせるのよ。面白そうじゃない。お見合いの保護者みたいな感じで」
ハルヒはにやりと笑ったが、ボッスンは戸惑いながら、
「おいおい、すでに彼女のいる奴に浮気をさせちゃっていいんかぁ?」
「何言ってんのよ、自分の気持ちに正直になったほうがいいでしょう? 伊藤も自分の本当の気持ちに正直になってない気がするから、私達で何とかするのよ」
やがてボッスンもにやりと笑い、
「それがいいのかもな。この小説の筆者もそれを望んでいるみたいだし。平沢と伊藤が無事結ばれたら俺達2人で泣こうな」
やり取りをキョンは横で聞きながら、『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて何とやら』という言葉を思い出した。
まあ、この2人が計画を実行に移さねばいいのだが。
続く
あとがき
大変長らくあけちゃってすみません。
てなわけで、ようやくタイトル通りになりましたね。SOS団VSスケット団。
どんな描写にしようか迷いましたけど、結局2作品の雰囲気が一番出そうなこういう描き方にしました。
SKET DANCEの目玉の一つのジェネシスで、ハルヒたちが様々な超常現象を起こしていくと。
もっとも、最終決戦では長門は力を発揮しなかったのですがね。
朝比奈みくるが未来人のくせに古い歌や動作が好きというのは一種のギャグです。おまけにハルヒたちより一つ上なのですし。
ボッスンとハルヒは少しずつ距離を縮めている感じですね。
同じ趣味で意気投合していくと。
やっぱり主人公同士の共演は描いていて楽しい。
次回以降、ハルヒとボッスンは初めてお互いを『異性』として意識し始めます。
さて、どんな話になるかな。
SOS団VSスケット団 キャラクター紹介(涼宮ハルヒの憂鬱編)
今作は片一方しか知らない人のために、作品によってキャラを分けて紹介することにいたしました。
今回は『涼宮ハルヒの憂鬱』のキャラから。
(最初はハルヒサイドはハルヒだけが主人公と決めていたのですが、キョンが書いてみて異様に目立っていたので、キョンも主人公に昇格させることにしました。)
涼宮 ハルヒ(すずみや はるひ)
『涼宮ハルヒの憂鬱』のヒロインにして、本作の主人公の1人。本作では北高2年5組。SOS団団長。
美人で文武両道だが、その性格は唯我独尊・傍若無人・猪突猛進・負けず嫌いを絵にかいたようで、その性格ゆえに人々が遠ざかっており『校内一の変人』と呼ばれる。彼女自身も異性の告白を「普通の人だから」という理由で拒否し続けている。
(ためか、あべこべ茶で性格が普通人になったときは、真っ先に谷口などの異性が沢山寄り付いた)
退屈を嫌っており、いつも何か楽しいことを探している。己の目的のためには手段を択ばず、時には恐喝や強奪まがいの行動に出ることもある。
実は世界を大きく動かす力を持っており、『どんな非常識なことでも思ったことを実現させる』神にも等しい力を持っている。強い不満やストレスのために精神状態が不安定になると「閉鎖空間」を発生させることがある。
本作では退屈を嫌う性格から、北高に近い開盟学園のスケット団に真っ先に興味を持つが、やがて想像と現実のギャップに幻滅するも、スケット団との腐れ縁ともいうべき付き合いは継続されていく。
そのなかで同じ『桜ケ丘と榊野のヘテロカップル第0号である平沢と伊藤がなぜ破局したか』異常な関心を持っているボッスンと意気投合し、やがて異性として少しずつ意識し始める。
通称:キョン 本名:不明
『涼宮ハルヒの憂鬱』の主人公にして、本作の主人公の1人。本作では北高2年5組。SOS団部員その1。
『キョン』という渾名は、彼の叔母が彼の本名をもじって呼び、それを彼の妹が広めたもの。実際の本名は作中で一度も呼ばれたことがないため不明(ちなみに本名は『どことなく高貴で壮大なイメージを思わせる』とのこと)。
性格は事なかれ主義で、「やれやれ」が口癖。しかし人付き合いはよく、つつましく生きようとする常識人。ハルヒに選ばれた人間として、またハルヒを動かす切り札として、SOS団の他のメンバーからは「鍵」として重要視されている。実際、クラスでもハルヒと普通に会話できるクラスメートはキョンぐらいであり、SOS団内でもハルヒの行動に対して面と向かって本気で叱ったり諌めることができる人間はキョンだけで、他のメンバーはそのような行動を取らない。
客観的な評価では『普通の人間』であるが、本名で通らず通称だけで世間を通ってしまっているあたり、SOS団5人組の中でも彼が一番の変人なのではないか、とも考えられる。
本作品では、原作と同じくハルヒに振り回され、スケット団の追っかけにも消極的だったが、スケット団のヒメコには一目ぼれしており(話すときも敬語)、彼女達にSOS団の秘密を打ち明けるなど、少しずつ距離を縮めていく。
余談だが、アニメ版の声優である杉田智和は、スケット団のスイッチの声も当てている。
長門 有希(ながと ゆき)
本作では北高2年。SOS団部員その2でハルヒ曰く、『SOS団に不可欠な無口キャラ』。
ハルヒが文芸部室を乗っ取った際、SOS団団員その2として組み入れられた。
極めて口数が少なく、表情もいかなる状況においてもほとんど変化が見られないなど、極端に感情表現に乏しい。口を開いても淡々と短い言葉でしか話さない。しかし知識欲・食欲は旺盛。
その正体は、情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースで、簡単に言えば宇宙人。情報の操作を得意とし、環境を改変したり再構成したりすることができる(その際に超高速のコマンドのようなものを唱えることがある)。通常の人間なら即死してもおかしくない程に肉体が損傷しても、情報操作能力により自力で再生させることができる。また、平時の動作は基本的にゆっくりだが、レーザー光線の発射に瞬時に反応してキョンを守ったりなど、いざというときには常識の範疇を越える運動能力を発揮する。SOS団の中では飛び抜けて万能であり、メンバーからの信頼も厚く、キョンは彼女を「SOS団の影の実力者」と呼んでいる。
本作では飄々とした物腰で(割とよくしゃべってる気もするけど)、ハルヒの『スケット団追っかけ』にも黙々と従っている。同じ無口で無表情で万能なスケット団のスイッチとはセンスや息が合うらしく、スイッチの作品である『マンドセル』は彼にもらってから登下校にいつも使っている。
やがてお互いを異性として意識し始めるか。
朝比奈 みくる(あさひな みくる)
本作では北高3年。SOS団部員その3でハルヒ曰く、『ロリで巨乳な萌えマスコット的キャラ』。
外見は童顔で小柄且つグラマーであり、舌っ足らずで幼い感じの喋り方をする。元々は書道部に在籍していたがハルヒによって退部させられ、SOS団専属のメイド兼マスコットとなる。運動神経や腕力は優れているとは言いがたく、野球のバットすらまともに振ることができない。
性格は真面目で優しく、素直。またシャイで気が小さいところがあり、特に名目上一学年下の長門に対しては恐縮し、遠慮がちな態度を取る。ハルヒにオモチャ扱いされ、毎回様々なコスプレ(バニーガールやメイドなど)をさせられている。
その正体は、遥か未来から来た未来人でハルヒの監視係だが、まだ研修生以下の見習いレベルでほとんど権限がなく、能力も普通人とほぼ同じ。未来の情報についても話せないことが多くその場合は『禁則事項です』ということが多い。
本作では相変わらずハルヒに振り回されており、開盟学園に行くことにも消極的。特に自分達に威圧的な態度をとってくる椿が大の苦手。一方で世間の噂話に明るく、北高に近い桜ケ丘高校と榊野学園の噂を熱心に調べている。中でも桜ケ丘と榊野のヘテロカップル第1号である山中先生と澤永に憧れており、同じような恋愛をしたいと思っている。
ちなみに現代から見たらレトロな歌や動作が好きで、彼女がしばしば口ずさむ中島孝の『若者よ! 恋をしろ』は、本作のテーマでありキャッチコピー。
古泉 一樹(こいずみ いつき)
本作では北高2年9組。SOS団副団長。
高校1年の5月という半端な時期に転入してきたことから、ハルヒに「謎の転校生」としてSOS団に勧誘された。
いつも微笑を浮かべ穏和で爽やかな、しかしどこか胡散臭い物腰をしており、同級生に対しても常に敬語を使う。文武両道で美形でもあり、女子生徒からの人気は高い様子。
その正体は3年前にハルヒの能力によって突如覚醒した超能力者で、その集団である組織・「機関」に所属している。ハルヒの精神状態の不安定が原因で発生する「閉鎖空間」への侵入と、その中で破壊活動を行なう「神人」を倒す能力をもつ。ただし超能力者と言っても上記以外の特殊能力はないため、通常時は普通の人間と変わりない。
職務に関連してハルヒの精神面に気を配っており、彼女の内心をそれとなくキョンに伝えることもある。ハルヒを刺激することを避けるため基本的にイエスマンで、ハルヒには自分の意見をあまり言わずに曖昧な態度を取ることが多い。ただし本人曰く、現在の性格や表情などは「ハルヒの願望」に沿った演技であるらしく、そうした演技を強いられる不満をキョンに漏らしたこともある
本作は原作に比べ、ハルヒの裸を皆に見られて世界が滅ぶのではないかと恐怖する等、どちらかというと感情豊かになっている。SOS団のスケット団追っかけには、例によってイエスマンの態度をとっている。
さて、誰と結ばれるかな?