2099 電子と獣   作:gh0sttimes

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沈黙の文明

2099年1月3日

カラカル視点

 

「うーん。」

私は強い日差しにたたき起こされた。

私は近くにあったアナログ式の時計を見た。

「あっ。やべ! バイト遅れるぅーーー!!」

私はベッドから飛び降り、そのままコンピューターに文句を言った。

「おい! なんで起こしてくれなかったんだ!?」

«ァェぁ具留り録見よほもむ···»

「ちっ。コンピューター! 再起動しろ!」

«お火火滅経模す経経目無知踏6左府···»

全く反応しない。

ウイルスか?

いや、昨日駆除したはずだ。

私はそんなことを考えながら、リビングに降りた。

「テレビは大丈夫だよな・・・」

私はテレビのスイッチを入れた。

«お伝えしています通り、世界中のコンピューターが異常停止を起こしています。···»

私は青ざめた。

現代の社会はコンピューターに頼りきっていて、コンピューターが停止してしまったら、世界も停止してしまうのだ。

このままだと、13年前のイースタシアの芸能人«竹川ちゃんとん»が指摘していた«沈黙の文明»が訪れてしまう。

そう思った私はバイト先に連絡した。

勿論、インターネットは使えないので、黒電話を使う。

「もしもし。」

繋がったようだ。

「店長。今回の仕事はどうするのですか?」

「ああ。悪いが、今日は休みだ。コンピューターが止まっているからな。」

「そうですか・・・」

「そういえば、オールドネットワークを使用して、君宛てにメールが届いているんだが、読むか?」

「あっ。はい。」

「そうか。じゃあ、ファックスでデータを送るよ。」

それと同時に、家に置いてあるFAXが動き出し、メールの内容をプリントアウトした。

「メールはセーバルさんからのものですか?」

「そうだ。」

印刷されたメールには、«ホワイトハッカーに転職しない?»と書かれていた。

セーバルは私の友達で、今はホワイトハッカーの仕事をしている。

どうやら、セーバルが私のことを上司に話したら、«是非とも来てもらいたい。»と言ったらしく、私が就職できるようにセーバルの上司が根回しをしているようだ。

 

AGIBIATSUYU視点

 

「ははっ。ゲームへようこそ。」

僕はそう呟いた。

近くにあった観葉植物の葉が少し揺れた。

コンピューターコントロールの奴らは折角権力を握ってるのに、何も楽しいことをしない。

街をぶっ壊す訳でもなく、ただ話し合っているだけ。

まるで、眠れること請け合いの催眠サイトのようだ。

ゲームをするときは自分がルールになるんだよ。

奴らに本物のゲームを教えてやる。

望むならば、参加させてやろう。

絶対に負けるゲームにな。

僕はそう思いながら、コンピューターに命令した。

「端末。«終末の日»を解放しろ。」

「コマンドを認証しました。」

さあ。地獄を作ろう。

 

サーバル···

お前は何で裏切ったんだ?

フレンズは裏切らないといっていたよな?




沈黙の文明

イースタシアの芸能人«竹川ちゃんとん»が現代社会を風刺して執筆した小説。
内容としては、コンピューターの暴走で滅びた世界を描いたもので、この本は1年間で30億冊ほど売れた。

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