日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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更新少し遅くなりました。14話です。


第14話 ムーとの接触

10月6日  第二文明圏 ムー国―――

 

 

技術士官のマイラスは、外務省からの突然の呼び出しに困惑していた。しかも指定された場所は、空軍のアイナンク空港だった。この情報は彼を大いに困らせた。空港や航空会社を持つのは、ムー国と神聖ミリシアル帝国だけで、二国を上位列強たらしめる証の一つだ。

 

これまたムーの誇る最新の自動車に乗り込み、30分ほどかけて彼は空港に到着した。受付に話しかけ、案内された部屋で5分ほど待つ。カチャリ、とドアが開かれ、軍人らしき男一人と、外交用礼服をきた男が二人入ってくる。

 

「彼が技術士官のマイラス君です。この若さで第一種総合技将の資格を持っている優秀な士官です。」

 

「マイラスと申します。」

 

外交官に挨拶する。

 

「まあ、ひとまず座ってくれたまえ。」

一同が着席し、話が始まる。

 

「さて、何から話したものか。マイラス君、今日君を呼びだしたのは、正体不明国家の正体を探ってほしいからなんだ。」

 

外交官の言葉に、マイラスはぴくりと反応する。彼には心当たりがあった。

 

「グラ・バルカス帝国の事でしょうか?」

 

ところが外交官の返答は違ったものだった。

 

「いや、違う。どうやら第三文明圏外の新興国のようなんだ。今日未明、大陸の東の海の方から港の海軍基地に謎の通信が入った。『ムー国と国交を結びたい。沖合で待っている。』と。大慌てで出港したんだ。すると、沖合にはとてつもない大きさの空母が一隻と、これまた巨大な戦艦が4隻。我らの戦艦の倍以上あったかもしれない。」

 

(...!もしや..!!)

 

「すいません、もしかするとその国は『日本』ではありませんか?」

 

外交官は驚いた顔をする。

「知っていたのか?」マイラスは答える。

 

「はい、以前ロウリア王国とクワ・トイネ公国との戦争について調べていたときに知った国名です。戦艦を持っていることも写真で把握しています。もしかすると、目撃された戦艦というのはこれですか?」

 

鞄からマイハークで撮影された「リシュリュー」の写真を取り出して外交官に見せる。だが彼は写真をのぞき込むと首を横に振った。

 

「いや。その船は三連装砲を三基装備していた。これとは違う。」

 

「何と...すごい国だ。」

 

「話を戻そう。向こうは空母を持っていたので会談場所をここアイナンク空港にした。当然のように彼らは承諾し、着陸許可を出した。そして空港で彼らの飛行機械を迎えたんだが、どうも不可思議な構造をしているんだ。しかも速度が160km/h程度で、先導した戦闘機が失速しそうだったんだが、その飛行機械は垂直に離着陸できるようだ。我が国の飛行機とは設計思想がまるで違うらしい。これらのことから、日本の技術は我が国以上である可能性が高い。一週間後に会談が行われるから、それまでに日本の大使を観光案内しつつ、探りを入れてくれ。」

 

「了解しました。」

 

「よし、よろしく頼むぞ。ああ、言い忘れていたが、日本の飛行機械は空港の東側に駐機されているから見ておいてくれ。」

そう言うと外交官は立ち去り、マイラスも日本の飛行機械を見るべく部屋を出た。

 

 

そして数分後―――

 

 

「むむむむ...まるで分からない。そもそもこれを飛ばすにはかなり強力なエンジンが必要だ。プロペラと翼が一つにまとめられている...。何という技術だ。」

 

彼は冷や汗をかきながらヘリコプターの前に立ち尽くしていた。

 

 

しばらく間をおいて彼は応接室へと向かうが、その足取りは重い。日本のヘリコプターとかいう飛行機械は我が国の技術では作れないだろう。しかも彼らは巨大な空母と戦艦を運用できる富もあるに違いないのだ。

 

「どうなることやら...」

 

彼はドアをノックし、部屋に入る。

 

 

「失礼します。今回日本の皆様を会談までの一週間ご案内させていただきます。技術士官のマイラスと申します。よろしくお願いします。」

 

マイラスが挨拶を終えると、日本の使者4人も立ち上がり、代表して一人が話し始める。

 

「日本国外務省の御園と申します。今回列強であるムー国を案内していただけるとのこと、誠にありがとうございます。よろしくお願いします。そしてこちらは手前から順に私の補佐の佐伯、派遣艦隊提督の吉川、その補佐のイントレピッドです。」

 

それに合わせ、全員が一礼する。とても丁寧な受け答えと、乱れのない服装から、彼らの規律の良さが見て取れた。彼らはすぐに出発出来るよう準備していたようだ。

 

「では、皆さん長旅でお疲れでしょうから、本格的な案内は明日からにしましょう。今日はこのアイナンク空港を案内してからホテルへご案内します。」

 

 

一同は部屋を出て、空港の格納庫に向かう。道中マイラスは質問を入れる。

 

「今回の艦隊に空母が含まれていると聞きましたが、日本も艦上で運用できる航空機を持っているのですか?」と。

 

これにはイントレピッドが答えた。

 

「はい、私たちは艦上戦闘機、爆撃機、攻撃機を運用しています。」

 

これを聞いたマイラスの頭には疑問符が浮かぶ。

 

(攻撃機とは何だ?爆撃機とは違うのか?)

それを聞こうとしたが、ちょうど倉庫に付くところだったのでやめた。時間はたっぷりあるのだ、慌てなくていい。

 

「なるほど、ありがとうございます。これが我が国の最新鋭戦闘機、マリンです。最高速度は時速380km、旋回性能はパーパルディア皇国のワイバーンロードを上回ります。」と説明する。マイラスは振り返り、日本の反応を伺う。

 

「複葉機ですか...白地に青いストライプ、とても美しい機体です。」

 

「ありがとうございます。ところで今、複葉機と仰られましたが、日本ではもしや単葉機を実用化しているのですか?」ムーでは単葉機の研究が進んでいるが、発動機の出力不足など課題が多く、実用化はまだ先になりそうだった。

 

 

「ええ、日本では殆どの飛行機が単葉です。」

 

「それは凄い。我が国では単葉機はまだ研究段階なのです。単葉機は複葉機よりも速度が向上していると考えられていますが、日本の戦闘機はどれくらいの速さで飛べるのですか?」

 

マイラスの質問に、日本の使者達はひそひそと小声で話している。なにか機密事項でもあるのだろうか。少しして、吉川が答える。

 

「日本の戦闘機は、レシプロエンジンであれば時速約800km、ジェットエンジンであればマッハ2.5、つまり音の速さの2.5倍の速度で飛行できます。」

 

 

 

「お、音速の2.5倍っ!!!!???」

 

マイラスは思わず一歩後ずさる。だが自分は列強たるムー国を代表してここにいる、恥を曝すわけにはいかない、そう自分を奮い立たせ質問する。

 

「すいません。ジェットエンジンとは何ですか?」

 

すると、やはり吉川が答える。軍事に関しては彼のフィールドだ。

 

「ジェットエンジンとは、レシプロエンジンに代わる航空機に適した小型の高出力エンジンです。機密もあるので、今ここでは詳しくお話しできませんが、国交を結べば、書店などで簡単な情報が手に入りますよ。」

 

 

「それは面白い。私個人としては是非貴国と国交を結びたいところです。そろそろホテルへ向かいましょう。皆さんこちらへ。」

 

倉庫から出て駐車場へ向かうが、ムーが誇る自動車を見た日本の使者達が何も言わなかったことから、マイラスはそれについて聞くのをやめた。どうせ彼らは車を持っているのだろう、聞いたところで虚しくなるだけだ。

 

2台に分かれ、マイラスは吉川とイントレピッドと同じ車に乗っていた。マイラスが話しかける。

 

「明日は我が国の歴史資料館を見学した後、軍港へ向かい、ムー海軍の軍艦を見ていただきたいと思います。」

 

「ほう、軍艦ですか。それは楽しみです。」と吉川が笑顔を見せる。

 

マイラスは吉川に聞きたいことがあった。懐から一枚の写真を取り出して見せる。

 

「この写真に写っている戦艦は、日本の物ですか?」と。

 

吉川は写真をのぞき込み、

 

「ああ、これはうちの戦艦です。名前はリシュリューといい、同型艦は合計3隻います。今は本国で待機しています。」

と返す。

 

「おお、貴重な情報ありがとうございます。それとお願いなのですが、今ムーに来ている貴国の艦隊を見学することは出来ますか?私個人としてあなたの国の戦艦と空母にとても興味を引かれているのです。」とマイラスが聞く。

 

 

吉川とイントレピッドは顔を見合わせ、少し間をおいて頷いた。

 

 

「はい、大丈夫ですよ。ムー国を案内してくれるお礼に、私の艦隊をご案内しましょう。」

 

「本当ですか!ありがとうございます。では、明日の軍港見学後によろしくお願いします。」

 

「分かりました。こちらこそよろしくお願いします。」

 

数分後、一行を乗せた車はホテルに到着した。翌日、ムー歴史資料館にて、「ムー国も転移国家であり、転移前、日本は友好国の一つだった」という突拍子もない事実が判明する。その後、日本の使者一行は軍港に立ち寄り、戦艦ラ・カサミ等を視察する。

 

そして、マイラスの待ちかねた日本の艦隊見学となり、空母イントレピッド、そしてソヴィエツキー・ソユーズ級戦艦四隻を大はしゃぎで見物した。マイラスには、自衛隊と彼ら独立軍の存在、そして日本の法律について教えた。艦娘の情報については、あまりにも非科学的であり不必要な混乱をもたらすとして、一旦見送られた。

 

結果として、転移前の友好国であったことなどが好意的に捉えられ、日本とムーは無事国交を締結する。後にこの2国はかなりの密接な関係を築くことになる。だが、戦争の暗雲は確実に日本に近づきつつあった。

 

 

 

 

 

時は進み11月18日  アルタラス王国 王都ル・ブリアス 王城―――

 

「ルミエス、今手配をしてきた。今夜中に王都から去れ」

 

国王ターラ14世の言葉に、娘のルミエスは混乱を隠せない。

 

「何故ですか?」

 

「パーパルディア皇国が我が国に宣戦布告してきた。この意味が分かるだろう?攻めてくるのは皇国の主力軍だ」

 

「そんな!民を捨てて王族が逃げるなどあってはいけません!」

 

「馬鹿者!敗れれば、我ら王族は全員処刑されるんだ。若いおまえは更に酷い目にあわされるかもしれないのだ!死んでしまっては何もかも終わりだ!生きていれば必ずチャンスが巡ってくる!」

 

「そんな...」

 

「すまん、これは王族としてではなく、父としての願いでもあるのだ。こんな私を許してくれ...」

 

「分かりました、お父様。指示に従います。」

涙を流しながら、ルミエスは父の最後の願いを聞き入れる。

 

 

「すまない...こんな事になるのが分かっていたら、日本とすぐに国交を結んでいたというのに...船に乗ったら、南海海流に沿って進むんだ。今のロデニウス大陸は平和な大陸であるし、運が良ければ日本にたどり着くかも知れん」

 

アルタラス王国は今年の大東洋諸国会議に参加できず、それによって日本と国交を結べずにいた。

 

 

そしてこの日の夜、ルミエスを乗せた船は王都を去った。そして11月末、海賊に襲われていたところに駆けつけた巡視船しきしまに救助され、どうにか亡命に成功する。その一週間ほど前にアルタラス王国は皇国の攻撃を受け王は戦死。国土は皇国に占領された。ルミエスは王国の復活のため日本に援助を求めるのだった。

 




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