日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
今回ムーの二人の案内係となった高雄と妙高は、前々話でフェン王国への艦隊に入っていたため修正しています。紛らわしいかもしれませんがよろしくお願いします。
また、原作よりもアルタラス王国での戦いが3ヶ月ほど早くなっています。
2月11日 翌朝 佐世保鎮守府――
「うーん...良い朝だ。」
そう言って、布団から男が身を起こす。現在佐世保鎮守府に滞在しているマイラスだった。彼は今鎮守府の客人用の部屋に泊まっている。あくびをしながら立ち上がると、部屋の扉をノックする音がした。
「マイラスさん、もう起きておられますか?朝ご飯の時間ですので呼びに参りました。」と誰かの声がする。
「はい、さきほど起きました。少し待って下さい。」
そう言ってマイラスが扉を開けると、そこには一人の女性が立っていた。比較的背が高く、ボブヘアーの真面目そうな印象を受ける女性が立っていた。何故かマイラスは少し背筋を伸ばしてしまう。
「おはようございます、マイラスさん。私は『高雄』と申します。今回あなたの案内係を担当させて頂きます。よろしくお願いします。」
彼女はそう言って軽く頭を下げる。マイラスもはっとして挨拶を返した。
「おはようございます、こちらこそよろしくお願いします。ええと、あなたは...?」
「私は重巡洋艦の艦娘です。準備が出来ましたら食堂に参りましょう。」
数分後、着替えと洗顔をすませたマイラスは食堂へ向かっていた。
道中マイラスは考えていた。
(重巡洋艦...?我が国にも巡洋艦はあるが、区分が異なるのか?後で聞いてみよう。)
少し歩いて、食堂へと到着した。もう既にかなりの数の艦娘達でごった返している。ラッサンも既にいた。
鎮守府での食堂は基本的にセルフサービス式だ。数が多いため、こうした方が効率がよいのだ。
マイラスとラッサンも列に並び、食材を受け取っていく。
少し進むと厨房から二人に声をかける男がいる。今日の料理当番は森高のようだ。一つ一つ注文を受けてオムレツを作っている。
「おはようございます、マイラスさん、ラッサンさん。オムレツにチーズは入れますか?」とエプロン姿で聞いてくる。
「お願いします。」「私はそのままで。」とそれぞれが答えると、慣れた手つきで作ってくれた。思わず二人は感心しながらそれを受け取る。
今日は洋食の日で、各々のお盆にはパン、ベーコン、オムレツ、サラダ、スープといった定番の品が揃う。全員が揃ったので「いただきます」を言って食べ始める。
マイラスの隣には高雄が、その向かい側のラッサンの隣には彼の案内係の「妙高」が座っている。
食べながらマイラスは隣の高雄に尋ねる。
「高雄さん、我々はいつ戦いを見れるのですか?こんなことを聞くのは少し申し訳ないのですが、一応我らは観戦武官として今回派遣されているので、ずっとのんびりしているわけにもいかないのです。」
彼女は丁寧に教えてくれる。
「現在、日本は皇国に宣戦布告を受けています。なので、政府はまずアルタラス王国を奪還する事を考えています。ルミエス王女の要請もあり、またムー国の所有する空港を拠点として借りるためでもあります。」
先日、日本はムー大使館から空港租借の許可を得ていた。
高雄は続ける。
「明日、私たちはアルタラス王国へ出撃します。ですのでマイラスさんとラッサンさんはそれに同行していただく形になりますね。今日は昼過ぎ頃にフェン王国から派遣艦隊が帰ってくるので、それまでは自由に過ごしていてください。私たちに言ってくれれば、施設やこの町を案内しますよ。」
これにマイラスとラッサンは顔を見合わせる。
「では、施設の案内をお願いしても?」
「かしこまりました。朝食後準備が出来たらお呼びしますので部屋でお待ちください。」
そして朝食後、マイラスとラッサンはそれぞれ分かれて鎮守府内を歩いていた。
今は二人とも別々のドックを見学している。
マイラスは戦艦のドックにいた。
「大きい...外に停泊している戦艦も凄いが、これはそれより一回りも大きいぞ」
彼がため息をついていると、高雄が解説を入れてくれた。
「これは、この鎮守府の中で最大の戦艦、
『グローサー・クルフュルスト級』の2番艦である、
『プリンツ・アイテル・フリードリヒ』です。全長313m、排水量85000tの船体を持ちます。」
「凄い...ラ・カサミと並んだらまるで小舟に見えるだろうな。」
「確かラ・カサミとは、ムー国の最新戦艦でしたよね?」
「ええ、そうです。ですが...日本を見ていると自信を無くしてしまいそうです。」
「いえ、マイラスさん。ムーは凄い国です。魔法が主流の世界で、一国だけでここまで発展できていることが私達には驚きなのです。私達は世界中で競争するように技術を発展させてきましたから...」
「そう言ってもらえると嬉しいです。しかし、我々はより強力な戦艦を建造しなければなりません。グラ・バルカス帝国はそれほどの脅威なのです。」
「....グラ・バルカス帝国は、私たち日本も脅威と見なしています。少なくとも我らと同レベルの戦艦を持っていることを確認しています。確かに新戦力の開発は必須でしょう。
......そろそろ昼食の時間ですね。食後に見せたい物があるので、あとでもう一度ここに戻ってきてもよろしいですか?」
「....?はい、大丈夫です。」
―――そして昼食後、再びドックに戻ってくると、そこには吉川が待っていた。
「マイラスさん、ラッサンさん、待っていました。」
「いったい何でしょうか、吉川さん?」
ラッサンが尋ねると吉川はドックの鍵を開けながら説明する。
「グラ・バルカス帝国の脅威に備え、日本からムーへいくつかの技術提供が最近決まりました。これはその内の一つです。」
中に入り、部屋の電気をつける。そこに、一隻の戦艦が浮かび上がった。この鎮守府内では小さいかもしれないが、それでもラ・カサミより一回りは大きい。
「こっ、この戦艦は!?」
マイラスが驚いた様子で尋ねる。
「この船の名前は『ドレッドノート』。私たちの世界で、戦艦の常識を変えた非常に画期的な艦船です。我々は、技術提供の一環としてこの戦艦を提供します。もちろん、タダではありませんが。」
この言葉にマイラスとラッサンは思わず仰け反るような姿勢になる。
「おお..!これは凄いです!なんと頼もしい!」
「後日、我々がムー国まで送り届けるのでそれまでは気長に待っていてください。」
「中を見てもよろしいですか?」
「ええ、もちろんです。ご自由にどうぞ。妙高、高雄、俺は別の仕事があるからお二人を頼む。」
「「了解しました。」」
ムー国への技術提供の内、戦艦ドレッドノートの寄贈は比較的早期に決められていた。ムー国のラ・カサミ級戦艦は前弩級戦艦レベル、対してグラ・バルカス帝国は超弩級戦艦レベルの艦船を保有している事が分かった。そのため、まずは弩級戦艦を知ってもらうべく、ドレッドノートと「サウスカロライナ」級戦艦を一隻ずつ提供することになった。この二隻は、鎮守府特有の所謂「建造」とは違い、一から妖精達の手によって作られた。なので、この二つの船に艦娘はいない。その方がムーにとっても都合がよいためだ。
はしゃぐ二人の声を背に、吉川はドックを後にした。
そして執務室―――
彼が部屋に戻ると、そこにいた面々は、写真を机に広げてうなっていた。それは政府から提供されたグラ・バルカス帝国の写真だった。
「やっぱりこれ、どうみても大和だよなぁ」
「こっちは長門にしか見えない。いったいどうなっているんだ。何故似ているのかも謎だが、これじゃあムー国にいらん誤解をされてしまうかもしれない。」
「グラ・バルカス帝国とは、いずれぶつかる可能性がある...そうしたら正直、楽勝とはいかないだろうな。」
「ああ。戦列艦とは大違いだ。」
その時、執務室のドアが開き、艦娘「大淀」が入ってきた。
「みなさん、そろそろ高橋提督の艦隊が戻ってきますよ。迎えの準備をしましょう。」
「おお、そうだった。夜は宴会かな?大勝利だったらしいし」
「まあ、それは京介次第だな。」
口々に呟きながら、提督と艦娘達は部屋を出ていく。水平線の向こうには既に艦隊の黒煙が見えていた。
そして、フェン王国派遣艦隊は全艦無事に帰港した。
霧島から降りてきた高橋は疲れていた様子だったが、その顔色が出港前より良くなっていたことに提督達は安心した。以前のようにはいかないまでも、ゆっくりと立ち直ることができるだろう。
夜には宴会が開かれ、ムーの二人も巻き込んで勝利を祝った。主役の高橋が湿っぽい空気を好まないこともあり、賑やかな催しとなった。
翌日には森高率いる艦隊がアルタラス王国へ出撃するため、日付が変わる前にお開きとなった。
―――そしてしばらく後、フェン王国に日本国艦隊保留地がようやく完成した。そこには虐殺の犠牲者の慰霊碑も建立され、そこに訪れた艦娘達はまずそこに一礼するのが慣習となったという。二度と悲劇を繰り返さないように。
次回、アルタラス王国へ出発します。よろしくお願いします。
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