日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
翌日―――
佐世保鎮守府からは、アルタラス王国へ向けて今出撃しようとしていた。パーパルディア皇国による統治から王国を救い、パーパルディア本土攻撃の鍵となる空港を確保するためだ。
船体からはもうもうと黒煙が上がり、いつでも出港できる状態であることが見て取れる。
今回の指揮は森高であり、前回の出撃よりは劣るが、それでもかなりの迫力がある。ムー国の二人には説明したが、情報流出に配慮し、グラ・バルカス帝国との混同を避けるため、今回は日本所属の艦娘は選ばれていない。
今回出撃する艦船は以下の通りである。
戦艦
アルザス級(アルザス、ノルマンディー、フランドル、ブルゴーニュ)
リヴェンジ級(レゾリューション)
オーディン級(オーディン、マルクグラーフ)
フリードリヒ・デア・グローセ級
(フリードリヒ・デア・グローセ)
計8隻
航空母艦
エセックス級(エセックス、イントレピッド)
計2隻
巡洋艦
アトランタ級(アトランタ、サンディエゴ、サンフアン)
クリーブランド級(クリーブランド、デンバー、バーミンガム)
計6隻
駆逐艦
フレッチャー級10隻
合計25隻
今回の編成は見て分かる通り戦艦を中心としている。人工衛星からの写真により敵戦力及び統治機構は海岸沿いにあるため、それだけでも十分だからだ。そして今回は制圧のための人員を乗せたおおすみ型輸送艦とも合流する予定になっている。
まずは港にある敵海軍戦力を叩き、無力化した統治機構を抑える作戦だ。
「......全艦抜錨!!」
森高の合図で一斉に錨があげられ、艦の後部に白波が立つ。今回残る仲間達に見送られ、25隻の艦隊は無事に出港した。
同日、グラ・バルカス帝国 某所 情報局―――
その部屋には機械が大量に並び、モールス信号に似た電子音が鳴っていた。まるで特撮に出てくる、特殊部隊の基地のようだ。そこではこのような会話がなされていた。
「どうだ、日本について何か情報が入ったか?」
「確たる証拠はありませんが、日本が我々と同程度の戦艦を持っている可能性は高いです。今まで入った情報によると、日本の軍船は山のように大きく、鉄で出来ており、巨大な魔導砲を持っていたとあります。これはグレートアトラスターがレイフォルを滅ぼしたときの各国の報道と酷似しています。」
「なるほど...写真は無いのか?伝聞だけでは何とも言えまい。」
「残念ですが、今のところはこれ位ですね。」
部下はそう言って新聞を取り出す。ムーで発行された、フェン王国での皇国の惨敗についての記事だった。上司はそれを手に取り、じっくりと目を通す。見開きには艦攻の水平爆撃によって破壊された基地と、それについての説明があった。
「これは...爆撃の跡か?」
「そうだと思われます。更に、ムーと日本が最近国交を結びましたが、その際に日本の特使が乗っていた船は巨大な空母であり、どうやら250m程あったと諜報部より情報がありました。」
「もしそれが本当ならばペガスス級空母と大差ないな。警戒すべきではあるが、やはり上層部に報告するには写真が欲しいところだ。」
「それについては、近々手に入る可能性が高いです。日本は現在パーパルディア皇国に宣戦布告されておりますが、恐らく日本が勝つでしょう。我々の見立てではそのうち皇国本土にもやってくるでしょう。既にスパイを忍ばせているため、その時に写真を撮れるかと。」
「そうか、分かった。ご苦労。」
「はい、ありがとうございます。私は用があるのでこれで失礼します。」
部下は退室した。
―――出港より数時間後、旗艦「アルザス」の艦内で、マイラス達が話していた。
「森高さん、今更なのですが、なぜ今回日本の軍艦を出撃させなかったのですか?私達はもう疑ってなどいませんよ。」
「はい、ムー国のお二人には説明をしましたのでもう大丈夫だと思っています。ですが、この戦争に興味を持ち始めている国が多くなってきており、我々の戦艦が目撃される事もあるでしょう。あらぬ疑いを国交もない国に持たれると、こちらとしても都合が悪いので...。」
「なるほど、失礼しました。」
「いえいえ、何でも聞いてくださって大丈夫ですよ。」
艦隊はアルタラス王国へと進む。
同じ頃 アルタラス王国 某所―――
「本当に今夜、日本軍がやってくるのだろうか。」
アルタラス王国元軍団長、ライアルは不安そうに呟いた。
一週間前、ルミエス王女から魔信が各国に発されており、彼らもそれを傍受していた。一見意味の分からない文章のようであるが、彼らは理解していた。
一週間後に備え準備をしておけ、と。
それが今日なのだ。
若い部下が声をかける。
「私たちの王女様と、王女様が見込まれた日本を信じましょう。」
同日、午後八時頃 アルタラス王国沖―――
パーパルディア皇国軍、アルタラス王国派遣部隊所属の竜騎士アビスは、北東方面の哨戒任務にあたっていた。
「....はあ、今夜は少し寒いなあ。」
島国だったアルタラスはすでに皇国の支配下となり、目立った反乱も無い。
北に500kmほどで祖国があり、南は海を挟んで文明レベルの低い蛮地、東南東にはロデニウス大陸となっており、旧ロウリア王国のように、覇権主義の国は付近に無い。
そして、アルタラス王国の北東には海上に30門及び50門級戦列艦隊に約5隻の艦がいる。
パーパルディア皇国は、他国との戦闘状態である事が多く、基本的には平常時も有事も、軍の動きに大差は無い。
現在はフェン王国、そして日本国と戦争を行っているようだが、遠くでの出来事であり、いつものように今日の任務も終わる。
アビスはそう思っていた。
だが―――
「ん?」
雲の切れ目から何かが見えた気がした。彼は目を凝らす。すると、やはり白い波が立っているように見える。
彼は魔信具を取り、司令部に報告する。
「司令部、哨戒任務中艦隊と思しき影見ゆ。我接近し確認す。」
魔信を切り、高度を落とす。夜なので見えづらいが、段々とその姿が分かってきた。皇国の戦列艦より遙かに大きい鉄の船。噂に聞いていた日本軍に間違いない。
「司令部!こちらアビス!にほ―――」
報告しようとしたアビスの言葉はそこで途切れた。一斉に対空放火が彼とその相棒を襲い、一瞬で物言わぬ肉片にされてしまったからである。
彼はこの戦いの、最初の戦死者となったのだった。
パーパルディア皇国アルタラス王国派遣部隊の戦列艦5隻は付近近海を哨戒活動中だった。
「何か見つけたか?」
艦長ダーズは通信員に尋ねる。
先ほど哨戒中の竜騎士が、何かを言いかけ、通信が途切れている。魔力探知レーダーからも反応が消えた。
竜騎士が消息を絶った場所は現在の艦の位置から近く、緊張が走る。
「前方に艦影確認!こちらに向かってくるぞ!」
間もなく、水平線に城塞のような船が見え始める。
国籍不明船は、艦長ダーズの常識からかけ離れた船速でこちらに向かってくる。
彼は双眼鏡をのぞき込み、思わず息をのむ。
「まずい!!急いで退却!!」
この指示に不満そうな部下がいる。
「艦長、何故逃げるのですか!パーパルディア皇国軍の一員として恥ずかしくないのですか!」
これにダーズは烈火の如く怒った。
「この大馬鹿者が!!フェン王国で友軍の艦隊は300隻以上を日本軍に沈められているのだぞ!それも、敵に一切被害を与えられずにだ!!もはやこれは精神論でどうにかなることではない!!さっさと舵をきれっ!!」
部下達も彼の迫力に気圧されて指示に従う。
ところが、艦隊が動き出すより早く敵は動いた。
「.....っ!!敵艦発砲っ!!」
敵艦前方から煙が上がる。
「そんな、遠すぎるぞ!!」
慌てているその間にも、敵艦から煙が上がる。
その数8発。
艦長ダーズは、乗船する艦が僅かに揺れ動いたように感じた。次の瞬間、ダーズの乗艦する50門級戦列艦は大きな火柱と共に、海上から消えた。
アルザスの放った8発の砲弾は、パーパルディア皇国戦列艦の対魔弾鉄鋼式装甲をあっさりと貫き弾薬室で爆発、海上の5隻は木っ端微塵に粉砕され、その姿を海に消した。
少し後 パーパルディア皇国 アルタラス王国派遣部隊―――
アルタラス王国を攻めていた皇軍は、王国を占領後、東を攻めるために転進した。現在は武装解除され、時々起こる小規模な反乱を鎮圧、統治するためだけの小規模の軍が残されている。
ル・ブリアスの軍港には戦列艦40隻、そして少し離れた所に陸軍の基地、人員およそ2千名とワイバーンロード20騎、そして首都から北へ約40kmの位置に人員2千名の陸軍基地がある。
陸軍大将であるリージャックは首都ル・ブリアスを基地から眺めていた。
傍らに立つ幹部と話をする。
「フェン王国に派遣していた我が軍は、全滅に近い被害を出したらしいな。いったい何があったのだろうか?」
「解りませぬ。皇軍が敗れたなど、今でも信じられません。敵は何千隻もの『数』で圧して攻撃してきたのではないのでしょうか?」
「いや、たとえ文明圏の国が何千、いや何万隻で、今回全滅した派遣軍にかかって行ったとしても、多少の被害と作戦の遅延は予想されるが、全滅はしない。今回の戦い、何かがおかしい。そんな気がするのだ。」
2人は基地に設置された建物の上から港を眺める。
見る者に威圧感を与える皇国の100門級戦列艦が誇らしげに停泊している。実に40隻、通常国と比べ、比類なき強さを誇る艦。
「美しいな。」
陸軍大将リージャックは、艦に対し、素直な感想を述べる。
ところが―――
「ん!?」
何か物が落ちてくるような音がする。
美しく、穏やかな風景、それは突如一変する。
眼前の100門級戦列艦スパールの艦底が少し動いたように見えた。
次の瞬間、戦列艦スパールは大きな火柱を上げ、艦を構成する部材と船員を巻き込みながら轟音と共に真っ二つに折れてその姿を消した。その隣に停泊していた戦列艦ベルズも巻き込まれ沈んでゆく。
「.......て、敵襲!!敵襲!!!!」
港に停泊中の戦列艦は1隻、また1隻と失われていく。
首都近郊の陸軍に敵襲の情報がいきわたり、戦いの準備を始めた頃にはすでに、港の船は全滅していた。
「なっ!!なんという事だ!!」
陸軍は末端まで含め、全員が唖然とする。何が起こっているのかが誰にも解らない。
しかし、悲劇は彼らだけを見逃してはくれなかった。
基地の中心部が猛烈な火炎に包まれ、少し遅れて強烈な衝撃波がリージャックを襲う。
彼は無様に転げまわる。
空を見上げると、爆音と共に、考えられないくらいの速度で彼の上空を飛行機械が飛び去っていく。
その機体に描かれた日本の国旗を彼は見た。
「通信兵!!日本の飛行機械に襲撃を受けていると本国に伝えろぉっ!!」
必死に指示を出す。
「はっ!!」
通信兵は魔信器に向かい、走る。
彼がパーパルディア本国に魔信を送信した次の瞬間、基地にいた者たちは、日本の攻撃によって全員がこの世を去ることとなった。
アルタラス王国首都ル・ブリアスの港に停泊していたパーパルディア皇国の戦列艦隊は、佐世保鎮守府所属艦隊の砲撃により、全て撃沈された。
更に、エセックス級航空母艦2隻より飛び立ったドーントレス爆撃機の空爆により、首都ル・ブリアスの近郊の基地及び、首都から北に約40km地点にあったパーパルディア皇国の基地はほぼ無力化された。
攻撃の開始から20分以内に、アルタラス王国内のパーパルディア皇国軍は、その機能のほぼ全てを失った。
作戦を終えた航空機は1機の損失も出す事無く、母艦へ戻った。
アルタラス王国沖―――
「よし、俺たちの任務は完了だ。よくやってくれた。フレッチャーとキッドはおおすみを護衛してくれ。」
『了解しました。』
通信を切り、森高は一息つく。
「ふう、こんなにもすんなり終わってしまうとは、戦艦はいなくても良かったかもな。」
これに艦娘「アルザス」が返す。
「いや、楽な任務とは言え初めての実戦を経験出来ただけでも嬉しいことだ。きっと仲間達もそう思っているぞ。」
「そうだな、そう考えるとするか。まあ、皆お疲れさまだったな。」
その隣でマイラスもコメントする。
「いやあまさか、ここまであっさり終わるとは思っていませんでしたよ。日本の強さは身にしみてよく分かりましたが、これでは報告書の中身がスカスカになってしまいそうです。」
「ははは、それは申し訳ない。まあ、こちらからも報告書を出しますのでそれで勘弁してください。」
そして、軍事力のほとんどを失っていたパーパルディア皇国アルタラス統治機構は、自衛隊と一斉蜂起したアルタラス王国地下組織を前に降伏。
アルタラス王国は、ついに独立国としての姿を取り戻したのだった。
パーパルディア皇国は史上初めて属領を失うこととなった。
このニュースは世界中を駆けめぐり、またも各国を驚かせることになる。
名前だけとはいえ今回初登場のオーディン級戦艦は、シャルンホルスト級戦艦の計画案の一つです。
次回はコラムとして、登場する計画・架空・未成艦をまとめたページを作ろうかと考えています。
ありがとうございました。
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