日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
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第三外務局長カイオス宅の隠し部屋で、彼は日本と密かに通信を行っていた。
「―――なるほど、夜は皇帝は皇宮で休んでいるのですね?」
『その通りです。夜間は皇帝ルディアスは皇城から少し離れたところにある皇宮で休みます。』
「それは良いことを聞きました。民衆に被害を出さずに心を折ることが出来そうです。」
『いったい何をするつもりですか…恐ろしい予感がします。』
「お気になさらず。そしてカイオスさん、あなたがクーデターを起こすタイミングですが、我々が皇国の戦力を完全無力化し、民衆の不信感が募った頃合いを計って動いてください。こちらからも指示を出します。」
『分かりました。そして、講和についてですが...』
「.....講和?何を言っているのですか?無条件降伏以外は認めません。」
『そ、そんな!列強たる皇国が無条件降伏など、認められる物ではありません!』
「.....まだそのような戯言を言える事には驚きました。我が国の国民を惨殺したあなた方をそもそも現時点で我々は国家とは認めていません。あなた達が降伏して初めて、日本はパーパルディア皇国を国として認めましょう。」
『わっ、分かりました。クーデターに成功したら、間違いなく降伏します。』
「賢明な判断です。もっともあなたが失敗すれば、今度こそ皇国は滅びます。頑張ってください。」
『はい...わかりました。失礼します。』
ブツッ、という無機質な音がして通信が切られる。
静かになった部屋で、カイオスは一人ため息をついた。
(日本の怒りがここまでだとは…だが、私が動かなければ皇国は滅ぼされる!もはや後戻りは出来ないのだ。)
翌日昼頃、エストシラント 第一外務局―――
皇族レミールは、第1外務局の小会議室で、第2文明圏列強ムーの大使を待っていた。
すでに事前情報として、ムー国政府が日本国とパーパルディア皇国が戦争状態に突入した事を理由として、パーパルディア皇国内のムー国民に対し、避難指示を出しており、国外へ退去するムーの民が港に長蛇の列を作っている。
ムー国大使のムーゲは予定が詰まっており、会談の開催は遅くなっていた。
ムーは日本に自国の兵器を輸出しているからこその避難指示と思われる。でなければ、列強と蛮国の戦争で列強側の国に対して避難指示が出る事は考えられない。
会議室には皇族レミールの他に、第1外務局長を筆頭とした幹部の面々が顔をそろえる。
そろそろ到着時間だ。
数分後、小会議室のドアがノックされる。
「ムー国大使の方が来られました。」
「どうぞ。」
重厚な扉を開け、ムー国大使ムーゲと職員3名の計4名が入室する。
「どうぞお座り下さい。」
案内に促され、ムー国大使一行は席につく。
ムーゲは思う。
おそらく今日自分たちがパーパルディア皇国に召喚された理由、日本と皇国の戦争により、本国から避難指示が出た件で、何故そんな事をするのか問われるのだろう。
ムーは皇国と敵対している訳でも無く、特に仲が良い訳でも無いが、大切な国交を有する国だ。
皇国も、さすがに日本の技術については気付いているだろうから、説明すれば解ってもらえるはず。いかに皇国のプライドを傷つける事無く、一時的とはいえ、ムー大使までもが本国に引き上げる事実を説明しなくてはならない。
だが、僅かに心に引っかかる事がある。皇国は日本に対し、殲滅戦を宣言してしまっている。日本の強さ、技術力の高さを上が認識していたら、こんな事を宣言するとは思えない。
考えたくも無いが、まさか皇国は日本の強さを認識していない可能性すらある。いや、それは流石に無いだろう。認識が無いならば、皇国が日本に連敗した説明がつくまい。
彼は皇国との会談を前に気を引き締める。
「それでは、会談を始めます。」
そして、進行係の言葉により、会議は開始された。
レミールが発言する。
「我が国が日本国と戦争状態に突入している事は、知ってのとおりだと思う。今回のムー国の一連の対応について説明を願いたい。」
彼女の問いに、ムーゲが対応する。
「はい、このたびパーパルディア皇国と、日本国が戦争状態に突入いたしました。今戦争は、激戦となる可能性があります。ムー国政府は、ムーの民の安全を確保するため、貴国からの避難指示を発令するに至りました。
今回の指示には、大使館の一時引き上げをも含みます。
この措置は、皇都にも被害が及ぶとの判断からなされています。」
この発言を受け、レミールの表情が曇る。
「いや、そんなことは聞いていません。調べはついています。本当の事を話してはもらえませぬか?」
「?」
レミールの発言の真意が理解出来ず、ムーゲは戸惑う。
「我々が日本国との戦闘の際、飛行機械を目撃しているのです。本当の事を話してください。」
「....いったい何をおっしゃっているのか、理解出来ないのですが。」
「解らぬのか?これは、ムーもとんだ狸を送り込んで来たものだ。私は今、飛行機械を日本が使用しているのを目撃したと言ったんだ。
飛行機械が作れるのは、あなた方ムーくらいのものだ。
あなた方ムーは、今まで決して輸出して来なかった武器を日本に輸出した。そして、今回の皇都からの自国民の引き上げ、これが何を意味しているのかは馬鹿でも解るだろう。
何故日本に兵器を輸出した!!そして何故我々の邪魔をするのだ!!!」
ムーゲは今にも襲い掛かってきそうなレミールの表情に萎縮すると同時に、パーパルディア皇国のあまりにも斜め上の推論に戸惑う。
「あなた方は、何か重大な勘違いをしている。我々ムーは、日本に兵器を輸出などしていない。彼らは我々よりも機械文明が進んでいるのです。」
「文明圏外の蛮国が、第2文明圏の列強よりも、機械文明が進んでいる?そんな話が信じられるか!!」
「日本が転移国家という情報は、掴んでおられないのですか?」
レミールは過去に読んだ報告書の片隅に記載されていた文を思い出す。
しかし、彼女は現実主義者であり、そんな与太話を信じることなど出来なかった。
「転移国家だと?まさか貴国はそれを信じているのか?」
「信じています。我らと日本は元々同じ世界にあった国であることも確認しています。1万2千年前、当時王政でしたが、歴史書にはっきりと記録されています。
さらに、日本について調査した結果、我が国の元いた世界から転移した国家であり、1万2千年前の異世界での友好国です。」
ムーゲは鞄の中から写真を4枚取り出す。
「これを見てください。ムーと日本の戦艦と戦闘機の比較写真です。日本の戦艦は我らの2倍以上の全長を持つものが多数存在します。戦闘機ですが、ムーのマリンが翼を2枚というのに対し、日本の戦闘機は1枚です。これは我々は開発できていません。戦艦も同じく、ムーにこのような兵器は開発できません。」
「.................!!?」
次に、超高層建築物が立ち並ぶ、見た事が無いほど栄えた街の写真を取り出す。
「これは、日本の首都、東京の写真です。日本は転移前、地震の多い国だった。これほどの高層建築物の全てが、強い地震が来てもビクともしません。」
パーパルディア皇国側の面々の顔色が一気に悪くなっていくのが解るが、構わずムーゲはさらに話を続ける。
「さらに、今回あなた方皇国軍が惨敗を重ねている日本の軍は、彼らにとって旧式な装備を使っている特殊な部隊なのです。日本本土には、彼らが自身を守るための別の軍がおり、その技術は最早我々も理解できません。その軍の持つ戦闘機は、音の速さの倍以上で飛ぶことが出来るそうです。
このように軍にしても、技術にしても、日本国は我々よりも遥かに強いし、先を進んでいるのです。
神聖ミリシアル帝国よりも上と言っても過言ではありません。
そんな国にあなた方は宣戦を布告し、かつ殲滅戦を宣言してしまいました。
殲滅戦を宣言しているということは、相手から殲滅される可能性も当然あります。
ムー政府は国民を守る義務があり、このままでは皇都エストシラントが灰燼に帰する可能性もあると判断し、ムー国政府はムーの民に、パーパルディア皇国からの国外退去命令を出したのです。
我々も間もなく引き上げます。
戦いの後、皇国がまだ残っていたら私はまた帰ってくるでしょう。
―――あなた方とまた会える事をお祈りいたします。」
あまりにも衝撃的な事実に、部屋は静まりかえる。そこにいた皇国の人間は誰もが俯いており、血の気が引いていた。
最悪の結果を残し、会議は終了した。
思い返せば、何度も何度も日本の国力に気付く機会はあった。しかし、その全てを無駄にしてしまった。
日本が自ら力を示さなかった事がもどかしい。
行った行為は消せず、失った時間はもう戻らない。
ムー国大使の言が正しかったとすれば、自分たちは超列強国相手に侮り、挑発し、そしてその国の民を殺してしまった。さらに、最悪な事に国の意思として殲滅戦を宣言してしまっている。
この日の会議は深夜にまで及んだ。
その夜に事件は起きた。
皇国の美しい都市、エストシラントに死神が近づいていたのだ。
「あと30分ほどでエストシラント上空に到達します。」
「よし、始めるぞ。指示通り爆撃隊は分散しろ。それぞれの持ち場に着け。」
赤松が無線を入れる。
『第一爆撃隊了解。』
『第二爆撃隊、了解。』
それぞれ25機のB-29と連山爆撃機で構成されている。攻撃目標はエストシラントの陸軍基地、それを時間差で攻撃する事になっている。
そして赤松の乗る唯一のアブロ・ランカスター爆撃機は、それとは別のある目標を目指していた。B-29と連山はその姿を見せつけ、低空爆撃を行うために、高度を落としていったが、ランカスターだけは高度12,000mを保ったままだ。
飛行服を着た赤松は機内の乗組員達を激励する。
「よーしみんな、気合いを入れろ。これに成功すれば一気に皇国の気力を削げる。絶対に当てるぞ。
―――目標、パラディス城!!!」
「はい!!!」
そして、ついに爆撃隊はエストシラント上空に到達した。今夜は快晴、空には雲一つない。
先に突入したB-29と連山は低空を飛び、まるで悪魔のようなエンジン音を響かせ悠々と皇都を見下ろす。
これを聞いた皇都の一般市民や、第一外務局で会議をしていた面々、皇帝ルディアス、そして事前にこれを知らされていたカイオスと各国大使は外に出る。
「何だ!!何の音だ!!」
レミールは叫ぶ。
エルトが空を指さす。
「あっ!!!あれを!!!」
少しして第一外務局の上を航空機が通過する。その姿を彼らは目に焼き付けた。
月明かりに照らされ、その輪郭が浮かび上がる。
「まさか…日本の飛行機械!?いかん、あの方向には陸軍基地が!!」
彼らには何も出来ず、茫然と爆撃機隊を見送った。
そして爆撃機隊は陸軍基地に到達、一気に爆弾が落とされる。
いきなりの攻撃にワイバーンを上げる事も出来ず、為すすべもなく基地は火の海に包まれ、その戦力を失った。
―――「赤松提督、通信が入りました。成功です。」
「よし、後は俺たちの仕事だ。投下準備!」
「了解!!」
そう、赤松の乗るアブロ・ランカスターにはあの爆弾が載せられていた。世界最大級の通常爆弾である、
―――グランドスラムだ。
それも、戦後レベルの技術によって命中率が大幅に上がった改良型だ。
「間もなく投下地点!!」
「よし!!必ず当てろ!!」
「到達しました!!投下っ!!!」
その瞬間、ガクンと機体が揺れ、一気に身が軽くなる。10tを超える爆弾の負荷はかなりの物だ。
投下された爆弾は一直線にパラディス城を目指す。
「当たってくれよ……!!」
赤松は一人祈った。
―――「き…基地が燃えている!!!そんな!!!」
アルデが悲鳴を上げる。最早陸軍基地は機能しないだろう。
誰もが泣きそうな顔をしている。
だが、満身創痍の彼らに次の悲劇が襲いかかった。そう、先ほど投下された「あれ」だ。
グランドスラムは最終的に音速を超え、皇城前の庭に深々と突き刺さる。
近くにいた兵士達は、数秒後地面が突然噴火のように盛り上がるのを見た。それが最後に見た景色だった。
ドッ―――
雷など比較にならない程の閃光と、少し遅れて大音声が鳴り響く。
その瞬間、辺りは昼間のように明るくなった。
皇都にいた誰もが目と耳を塞ぎ、その場にうずくまる。
数十秒後、恐る恐る目を開けると、そこにはパラディス城の姿は既に無く、地獄のような業火と立ち上る煙だけがあった。
「パラディス城が!!!」
「何があった!!陛下は!?」
もう皇国民の心はボロボロだ。一瞬にして国の栄華の象徴を失ったのだから無理もない。
それは第一外務局にいた要人達も同じだった。
燃え盛る城を茫然と見つめる。
「城が...パラディス城が燃えている...。」
レミールが動転したように走り出す。
「レミール様!?どちらへ!?」
「陛下の無事を確認に行く!!」
そう言うと彼女は去っていった。
残された面々は誰も、何も言わない。
エルトはがっくりとひざをついた。
「こんな…こんな相手にどうやって勝てばいい?いや、そもそも我々は何と戦っているんだ?
―――一体なんなんだぁーーーーーっ!!!??」
彼女の悲痛な叫びは虚しく外務局に響き渡った。
一方、レミールは皇宮へと到着した。建物は無傷のようだ。彼女は皇帝のもとへと走る。
「陛下っ!!ご無事でしたか!!」
ルディアスを抱きしめる。無事で良かった。だが彼の目は虚ろで、まるで生気を感じない。
「…陛下?どうしました?」
レミールの背に汗が流れる。
「―――すまない..レミール。今は一人にしてくれ....。」
「!すみません....失礼します。」
一人になった所で、ルディアスは頭を抱えた
「我々は何と戦っているのだ...??パーパルディア皇国は神の怒りに触れたのか??」
答える者はいない。
退出したレミールの足取りは重い。
(何故こんなことに……)
―――おまえのせいだ。
突然、そんな声が聞こえた気がした。はっとして周囲を見回す。
「誰だ!!無礼者め!!!」
だが、人の気配はない。
「気のせいか…?」
―――おまえのせいだ。
また、そう聞こえた。さっきよりもはっきりと。
「誰だ!!姿を見せろ!!」
やはり誰もいない。しかし声は聞こえる。よりはっきりと。
―――おまえのせいだ。おまえのせいだ。おまえのせいだ。
「ひいっ!!!わああーーーーっ!!?」
彼女は耳をふさぐと、一目散に自宅へ走っていった。
カイオスも、自宅の庭から燃える城を見ていた。
「なんと、ここまでするとは!!間違いない、日本は本気だ!!!」
恐怖に震える足を必死に動かし、部屋に戻っていった。
ムーゲも、大使館から見つめていた。
「これが、日本の怒りか…なんと恐ろしい。」
カメラを取り出し、燃えるエストシラントを写真に収めた。後にこの時撮影された写真は歴史の一面を飾る事になる。
エモール王国の使節団も、茫然と炎を眺めていた。
誰かが呟く。
「これを…本当に人間が?まるで神の雷だ。日本国.....もしかすると魔帝に対抗する鍵となるやもしれぬ。」
その時、何かが空から降ってきた。紙切れのようだ。
そこには世界共通語でこう書かれていた。
『我々は次に、デュロを攻撃する。それでも皇国が降伏しないというのなら、今度こそ我々は皇国を全力を以て滅ぼすだろう。
皇国民の皆様には賢明な判断が求められている。
日本国政府』
「よしみんな、帰投するぞ。作戦完了だ。」
赤松が通信を入れ、ビラを配り終えた爆撃機隊は日本へと戻っていった。
一晩かかっても火は消えず、煌々と夜を照らし続けた。
翌日、世界中でこのことが報道され、誰もがかつてない衝撃を受けた。列強国の首都が攻撃されたので、無理のない事ではあった。
とある国の新聞の見出しには、こう書かれていた。
『パーパルディア皇国は神の怒りに触れた』
連山とグランドスラムはぶっちゃけロマン兵器ですね。
威力は過剰かもしれませんが出したかったので使いました。
ありがとうございました。
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