日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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みなさんありがとうございます。


第27話 エストシラント沖大海戦 その1

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 南方海域

 

 

高橋率いる遊撃艦隊は、波を裂きながら北進していた。

 

すでに敵の大船団はレーダー上に捉えられ、おそらくは敵の空母と思われる艦隊の位置も把握し、事前の人工衛星からの偵察により、敵海軍本部の位置もとっくのとうに判明している。

 

 

数時間前に、偵察と思われるワイバーンと数隻の艦隊をあっさりと撃破した。敵も既に気づいているだろう。

 

 

「思った以上の布陣と量だな。これほどの大艦隊を相手にした海戦は、日本の歴史上初めてになるかもしれない。」

 

 

高橋はレーダー画面を見て呟く。

 

 

「どれだけ戦力に差があろうと、手を抜くという選択肢はない。全力で相手をしてやろう。」

 

 

敵竜母艦隊は、こちらの艦隊から北東方向約100kmに展開している。

その艦隊からは、多数の敵航空戦力が飛び立つ様子がレーダー画面上に映し出される。

 

 

恐らく相手は改良種のワイバーンロードもしくはオーバーロード、一時間もせずに接触するだろう。

 

 

 

 

 

一方、皇国竜母艦隊―――

 

 

偵察艦隊が消息を絶った方面に間違いなく日本はいる。

 

 

各竜母からは、皇国の航空戦力、ワイバーンロードが続々と飛び立ち、上空で編隊を組む。

 

竜母20隻からは、各12騎づつ、計240騎がすでに上空に舞い上がり、さらに竜を排出し続ける。

 

 

空に上がった竜騎士は、次々と反応が消失した方向を目指す。

 

 

「これほどの竜が迎撃に上がるのは、歴史上初めてだな。」

 

 

竜母艦隊司令バーンは、飛び立つ竜騎士を見てそう呟いた。

 

 

「そうですね、敵のお手並み拝見といきましょう。」

 

竜母艦隊の軍師アモルは、余裕を感じさせる態度とともに、司令の言葉に応える。

 

 

彼らの自信は揺るぎない。

 

 

 

数十分後―――  

 

 

 

『---対空戦闘用意。』

 

艦隊に通信が入る。

 

既にワイバーンはかなり接近してきており、間もなく視認できるだろう。

 

 

各艦の砲は全てが同じ方向を睨む。

 

 

『敵機確認しました。』

 

通信が入り、高橋もその方向に視線を移す。空に黒い点が見えた。

 

 

「最初の一発は主砲でいくぞ!!用意は良いか!」

 

『大丈夫です!!』

『任せろ!』

『いつでも来い!』

 

頼もしい声が返ってくる。

 

「よし!必ず当てるぞ!!!」

 

警戒のブザーが鳴る。

 

 

 

 「――撃てぇぇっ!!!!」 

 

 

 

 

ドオッ―――

 

 

20隻の戦艦の主砲が咆哮する。

 

凄まじい音と衝撃で、ガラスがビリビリと震え、海面が一瞬鏡のように平らになる。

 

110発の砲弾は飛竜に向かって飛んでいった。

 

 

 

 

一方、ワイバーンロードに騎乗する竜騎士ラカミと彼の所属する飛竜隊は、ついに敵の姿を捉えていた。

 

「敵艦隊発見!」

 

隊長が艦隊へ魔信を入れたその時だった、敵の巨大船がほぼ同時に爆発した様に見えた。

 

 

『なんだ?』

誰かが呟く声が聞こえた。

 

 

瞬間、ラカミは本能的に底知れない恐怖を感じ、咄嗟に相棒を操って右に動く。

 

次の瞬間、少し前まで彼が飛んでいた所に、凄まじい爆発が起きた。

 

空が突然、墨を垂らしたかのように真っ黒く染まる。

 

 

「なっなんだ!!?」

 

 

爆風でぐらぐらと体が揺れ、思わず声をあげる。

 

煙が晴れると、200騎以上いたワイバーンはその数を40程にまで減らしていた。

 

そして彼も、左耳に痛みがあることに気づいた。手をやると、そこには血がべっとりとこびり付いていた。

 

(耳を...やられた!!)

 

痛みに顔を歪めるが、相棒はどうやら無事なようだ。これくらいなら帰ってから魔法で治療できる。

 

ようやく飛竜隊は落ち着きを取り戻した。

 

隊長は無事だったようで、指示を出している。

 

 

『まとまるな!!なるべく距離をとり、バラバラに攻撃を加えたら各自すぐに帰投せよ!!』

 

ラカミも指示に従い、仲間達と離れて敵へと向かう。

 

 

敵艦を改めて見据える。やはりとてつもない大きさだ。

彼は信じられない物を見た。

 

 

(....!??あれは!?レイフォルを滅ぼした軍艦!?何故!?)

 

そこには、少し前に新聞で見た、グレードアトラスターとかいう軍艦の姿があった。

 

(何故こんなところに..?)

 

残念ながら彼の疑問に答える者はいなかった。

 

いや、その答えを知る前に彼は127mm砲弾の直撃を受け、木っ端微塵に吹き飛んでしまったのだ。

 

 

同じように、彼の仲間達も数分以内には姿を留めていなかった。全て撃墜されてしまったのだ。

 

 

「大和」艦橋内―――

 

『目標全機撃墜確認』

 

「よし、ご苦労。しかしやはりというか、相変わらず手応えが無いな。」

 

「油断してはいけませんよ、京介さん。まだまだ戦いはこれからです。」

 

大和が高橋を諫める。

 

「その通りだな。全艦進路そのまま、速度24ノット。榴弾入れとけ。徹甲弾だと過貫通するからな。」

 

『了解』

 

 

艦隊は足を止める事無く進軍する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皇国海軍竜母艦隊―――

 

 

「そろそろ終わった頃か?」

 

バーンはアモルに尋ねた。

 

「間もなく、任務完了の魔信が入る頃でしょう。」

 

 

既に勝ったかのような雰囲気だ。

 

「報告!!!!」

 

突然通信士が絶叫する。

 

竜母に乗艦する幹部の誰もが彼に視線を向ける。

 

 

 

「竜騎士団との通信途絶!!並びに魔力反応消失!!全滅の模様!!」

 

「.....!?なっ!?そんなバカな!!?」

 

「何かの間違いでは!?」

 

彼らは額に冷や汗を浮かべる。

 

船団は驚愕と不安に支配され、一気に雰囲気は暗くなる。

 

 

数十分後―――

 

 

見張りがついに見つけた。彼は大声で叫ぶ。

 

「日本軍だぁーーーーっ!!!!」

 

 

 

 

 

―――「来たかっ!!」

 

バーンは双眼鏡を覗き込む。

 

 

「なんと大きい...!?まさか!!!」

 

「敵艦発砲っ!!!!!」

 

「どうなっているんだっ!!遠すぎるぞ!!」

 

状況を把握する間もなく、艦隊に風を切るような音が近づいてくる。

 

「総員衝撃に備えろおっ!!!!!」

 

この音の正体を彼は知っていた。

 

数秒後、バーンの乗る竜母アリステラより離れた場所に猛烈な水柱が上がった。

 

「ひいいいいっ!!!」

 

アモルが情け無い声をあげうずくまる。

 

 

転覆こそしなかったものの、大きく船は揺れる。

着弾位置の近くにいた艦はすでにその姿を消していた。

 

 

「くそっ、このままではっ!!!通信兵っ!!敵の位置を第3主力艦隊に伝えろ!」

 

「はいっ!!」

 

通信兵が魔信を入れた直後、残っていた全ての竜母も転覆もしくは爆発を起こし、海上からその姿を消した。

 

 

 

司令バーンは戦死した。

 

 

 

 

パーパルディア皇国主力海軍第3艦隊 旗艦ディオス

 

 

ディオスの艦橋で、第3艦隊提督アルカオンは、前方の海を睨んでいた。

間もなく日本海軍と戦う事になるだろう。

 

 

楽に勝てる相手ではない。少なく見積もっても、これは間違いない事実だ。

 

 

「報告します。」

通信士が声をあげる。

 

「何だ?」

 

「我が第3艦隊所属の竜母艦隊が、日本軍の砲撃を受け、全滅しました!!

 

既に上空にあった竜騎士240騎も、南方方向に向かい、同じく全滅した模様です」

 

「なんと!!」

 

 

場がざわつき、艦橋にいた幹部達はそれぞれ驚愕の声をあげる。

 

 

「うろたえるな!!我ら皇国軍を止められる者など存在しない!!落ち着くのだ」

 

アルカオンの鼓舞により彼らは落ち着きを取り戻す。

 

 

「戦列艦アディスから報告!!」

 

 

 

 通信士は続ける。

 

 

 

「アディス前方40km地点に艦影を確認!艦数不明!!」

 

 

 

「ほう、見つけたか!!」

 

 

 アルカオンは手を振りかざし、宣言する。

 

 

 

「全艦隊、第1種戦闘配備!!!!

艦隊の隊列を乱すな。最大船速で敵に向かえ!!全艦から一斉に攻撃をしかけるぞ!!!」

 

 

 

「はっ!!」

 

 

各艦に命令が伝わり、緊張が走る。

 

 

一方、対皇国遊撃艦隊―――

 

「攻撃開始。」

 

高橋は短く告げる。

 

既に敵艦隊は射程距離に入っている。

 

事前に彼は通信でこう命令していた。

 

『射程距離に入り次第砲撃を開始していい。ただし、わざとゆっくり敵を狙え。すぐに全滅されたらつまらないからな。最後に敵の旗艦らしい戦列艦一隻だけ残しとけ。』

 

これだけ聞くと高橋が極悪人のように思われるが、彼にしてみればパーパルディア皇国は"兄の仇"なのだ。その恨みは底知れないものを感じる。

 

そして同様、艦娘達にとっても皇国は憎い相手だ。大切な上官の家族を殺し、その心を傷つけた。その怒りは尋常ではないものだったのだ。

 

まず、先頭を進む「ポルタヴァ」の356mm三連装砲が火を噴いた。それに続き、他の船もゆっくりと攻撃を開始する。

 

―――敵艦隊を嬲り、屠るために。

 

 

 

 

 

戦列艦「アディス」 艦上―――

 

「―――!?敵艦発砲!!」

 

こちらの艦と、敵艦はまだ40km近く離れているにも関わらず、日本の軍艦は発砲した。

艦長は副長に話しかける。

 

「奴らはこれほど距離が離れているのに砲を放ち、いったい何のつもりだ?威嚇か?」

 

「全く理解できませぬ。敵の砲が我が方の射程距離よりも長かったとしても、あまりにも離れすぎています。」

 

微かにいやな予感がする。

今まで戦場で感じる事の無かった確かな死の予感。

 

「面舵いっぱいっ!!念のため回避行動をとるぞ!!」

 

艦長の命により、戦列艦アディスはゆっくりと向きをかえる。

 

ところが突然艦が激しく揺れた。

 

艦の横に、とてつもない水柱が立ち上る。

 

「い.....いかん!!」

 

 

アディスは波に煽られ、傾き始める。

 

 

「もう持たない!!総員退―――

 

 

艦長の必死の言葉は猛烈な光と音に遮られる。

 

傾いた船内で、大量の爆発物が転倒、その誘爆により、皇国の戦列艦アディスはこの世から消えた。

 

 

 

皇国第3艦隊 旗艦ディオス

 

 

 

「アディス轟沈!!敵の攻撃は砲撃によるものと判明!!距離は約40km!!

 

たった1発の発砲で沈没させています!!!」

 

 

 

「ななっ.......なんだとおっ!?40km!?砲の射程距離が40kmもあるというのか!!!

 

 我が方の20倍も.....。

 

 しかも、たったの1発で転覆!?

 

 何という威力だっ!!」

 

 

 

「40kmから撃って撃破......。

そんなものを、距離2kmで撃たれでもしたらどうなる?まあ、1発では計れないが。」

 

 

「敵の砲はたった1発で戦列艦を沈めるほどの威力がある!純粋な火力については、想定以上の開きがあるのかもしれない!」

 

 

幹部たちは、敵の強大さに対する驚きと、戦列艦で戦うには難易度があまりにも高すぎる艦の性能差に絶望する。

 

 議論をかわしている間にも、すでに3隻の戦列艦がそれぞれたったの1発で轟沈している。

 

 

「......まずい。」

 

アルカオンは初めて焦りの表情を見せた。

 

 

数分後―――

 

「マルタス、レジール、カミオ轟沈、ターラスに敵砲着弾!!」

 

 

絶望的な通信士の声だけが、艦橋に響き続ける。

あの歴戦の獅子、第3艦隊提督アルカオンでさえ、額に汗を浮かべ、沈黙している。

 

皇国の頭脳マータルの考えた作戦も、列強ムー相手ならば効果があっただろう。

 

しかし、こちらの20倍の長射程砲と、1発で沈むほどの威力のある砲弾なんて、いくらなんでも反則だろう。

 

これでは作戦は全くの無意味となり、絶え間ない味方艦の沈没の報告が続く。

 

皇国の魔導砲の射程距離まで近づこうと思ったら、最大船速で40分以上かかってしまう。

 

敵との相対速度を利用すれば、もっと早く到達できるだろうが、戦場で甘い期待をするべきではないだろう。

 

あのような正確な砲撃をこれ以上受け続けるのは不可能だ。

 

 

「くっ!!」

 

 

アルカオンは覚悟を決める。

 

そもそも、皇国主力が皇都の目と鼻の先で、戦力を残して降伏や撤退が許されるはずなどない。

 

選択肢などは、初めから無いのだ。

 

 

「全軍、進攻してきた日本軍に突撃せよ!!!皇国海軍の意地を見せてやれ!!!」

 

 

 

各船の魔石が輝く。

 

風神の涙と呼ばれる風を起こす魔石により起こされた風を帆いっぱいに受け、最大船速で敵の巨大船に向かい、加速を行う。

 

虚しくも味方艦はなおも轟沈し続ける。

 

 

 

面のように薄く展開した皇国艦隊、その面に棒が突き刺さるかのように日本の艦隊が進攻する。

 

日本の遊撃艦隊が通過した線の半径10km圏内のパーパルディア皇国艦船は次々と粉砕、轟沈し、日本軍の通った後の海上には戦列艦の残骸のみが残る。

 

絶望に包まれる第3艦隊。

 

 

「日本艦隊、我が艦の正面に来ます!!」

 

パーパルディア皇国主力第3艦隊 旗艦 超フィシャヌス級150門級戦列艦ディオスに、日本の艦隊が正対する。

 

その距離は間もなく20kmに達するだろう。

 

 

 

「左に進路を変え、日本艦隊との距離をとる事を申言します!!!旗艦が指揮能力を失う訳にはいきません!!!」

 

 

幹部の1人が提督アルカオンに上申する。

 

 

「ならん!進路そのまま維持、皇国主力の旗艦が引いてはならん!!!」

 

 

「し、しかし!!!」

 

「提督!速く進路を変えてください!!!」

 

 

「ならん!!!」

アルカオンは吼える。

 

 

次々と残りの戦列艦も轟沈し、気づけばディオス一隻のみになっていた。

 

だが、ここで何故か敵の砲撃が止んだ。弾薬切れだろうか。

 

ぐんぐんと距離が狭まっていく。間もなく2kmを切るだろう。

 

「これはチャンスだ!!砲撃準備!!」

 

ディオスはゆっくりと横を向き、片舷75門の砲を指向する。

 

「射程に入りましたっ!!」

 

報告が入る。

 

アルカオンは叫ぶ。

 

「全砲門、一番近いあの敵船を狙え!!

 

―――撃てぇっ!!!」

 

 

凄まじい煙幕がディオスを覆い、敵巨大船に着弾した。

 

 

「やったぞおっ!!!」

 

兵士が飛び上がる。

 

アルカオンは前を睨む。その時だった。

「どうだ......なにいっ!?」

 

信じられない物を見た。煙を引き裂いて、攻撃したはずの敵艦が姿を変えずに表れたのだ。

 

そしてそれは、こちらにまっすぐ突っ込んでくる。

 

アルカオンは何かを察した。そして、彼の顔に恐怖の表情が浮かぶ。

 

「まさかっ...まさかまさかっ!?」

 

旗艦「大和」から高橋は命じた。

 

 「―――ぶつけろ。武蔵」

 

 

「飛び降りろぉーーーっ!!!」

「うわあああっ!!!」

 

数秒後、「武蔵」はディオスに体当たりした。結果は呆気ないものだ。

 

 

27ktでぶつかられたディオスはあっさりと船体をへし折られ、バキバキという音を立て崩れ落ちた。反対に武蔵には損傷は一切無い。いや、少し塗装が剥がれた程度だろう。

 

 

 

アルカオンはぶつかる直前に海に飛び込み、「武蔵」の立てた波に呑み込まれながらもどうにか海面に顔を出した。

 

「ディオスが...。砲撃する必要もない、ということか.....」

 

彼らの近くには救命用のゴムボートが投げ込まれた。一応何日分かの水と食料も入っている。

 

ここから生き延びれるかは彼ら次第だ。

 

 

 

「―――次に行くぞ。」

 

高橋は短く告げる。

 

 

戦闘を終えた遊撃艦隊は、次の目標であるエストシラント海軍本部に向かって舵を切った。

 

 

 

そして、森高率いるデュロ攻撃艦隊も、間もなく戦闘を始めようとしていた。

 

 




体当たりはちょっと無茶苦茶でしたね。

引き続き評価・感想お待ちしています。

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