日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
3話です。
翌朝 早朝5時――― 横須賀鎮守府
「ううっ....寒。」
なんとも締まりのない、寝ぼけた声をあげ、一人の男がのっそりと布団から起きあがる。
この男が横須賀鎮守府提督、赤松一誠である。歳は32、身長179cmの健康な肉体を持ち、提督となってからも筋トレは欠かさない。本来ならこれから日課のランニングといったところだが、今日は違うらしい。制服に着替え顔を洗い、私室を出る。
向かった先は食堂だった。既に灯りがあり、先客がいるようだ。赤松がドアを開けると、そこには一人の女性がいた。軽空母「鳳翔」だ。彼女はこの横須賀鎮守府の最古参で、赤松とは長い付き合いだ。旧式空母なので艦娘の数がそろってからは戦場に立つこともあまりなく、他の艦娘達の世話係のようになっていた。横須賀の艦娘達にとって、彼女は母親のような存在だった。今日も早起きして朝食の準備をしている。
「おはよう鳳翔さん。何か手伝おうか?」と赤松が声をかける。
鳳翔も「おはようございます、大丈夫ですよ提督さん。お茶でもいかがですか?」と返す。
「ああ、いただくよ。」と、熱いお茶を受け取り、食堂のテレビをつける。ニュースは今日も取り留めのない報道をしている……はずだった。
画面には「緊急速報」のテロップが大きく上がり、いつもは笑顔のアナウンサーも緊張した面持ちでいる。「政府より重大な発表があるとのことです。官邸から中継します。」と告げられ、画面が変わった。少しすると、こころなしか強ばった顔の総理が登壇した。赤松は鳳翔に話しかける。
「鳳翔さん、何か起きたらしいぜ。総理が会見するとさ。」
「あら、一体何事でしょう。」
二人はテレビを見つめる。
「おはようございます。今集まられている報道の皆さん、そして中継でこの会見をご覧になられている国民の皆さん。どうか心してお聞きになるよう申し上げます。本日深夜0時頃、突然として周辺国との通信が途絶えました。同じく、インターネット上での海外にサーバーを持つサイトの閲覧なども不可能となっています。そして現在日本全土を囲むように巨大なもやがかかっていることも報告されております。これは通信途絶に関係しているかはまだ不明であり目下調査中です。政府はこの大規模通信障害を、サイバー攻撃の可能性があると見ています。さらに、日本に向かっていたタンカー等の船舶との連絡も途絶え、沖合に出ていた船も行方不明となっています。国民の皆様には本日はなるべく外出を控えるようお願いします。現在判明しているものはこれで全てです。情報が入り次第、迅速に通達します。以上です。」
画面は再びスタジオを映し、アナウンサーが話し始める。
「……聞いたかい鳳翔さん、なんだかすごいことになってるようだね。」
「そうですね……。少し不安です。」
食堂の窓を開け海をみると、本当に大きなもやが海にかかっている。水平線も見えない。
「こんなんじゃ海外艦を無事に返せなくなるぞ、それよりもしかすると行方不明船の捜索依頼がくるかもしれない……。いずれにせよ前向きに考えよう。最後にまた一働きできるかもしれない、とかね。」
その時、食堂の電話が鳴り出した。ここの電話は提督の執務室と繋がっている。重要な案件かもしれない。
「はい、こちらは横須賀鎮守府提督、赤松一誠であります。はい……。はい……。えっ!? …………。本当ですか!? …………。はい。了解しました。通達を出しておきます。はい、ありがとうございます、失礼します。」
そう答えるとガチャリ、と受話器を置いた。
「提督さん、どうされました?なにやら重大なご様子でしたが。」
「ああ、確かに重大な案件をお偉いさんから伝えられちゃったよ。詳しいことはファックスで送られてくるらしいから、ひとまず朝食にしてそれからみんなに話をするよ」
「ええ、そうですね……。ひとまず朝食にしましょう。みなさんもそろそろ起きてきますよ。」
時計はいつの間にか6時半をさしていた。横須賀鎮守府の起床時間だ。数分後、次々と艦娘達がやってきた。
「おはようございます、提督さん!」「司令官、おはよう」「おはよーていとくー」と様々なあいさつが飛び交う。
「よし、みんなおはよう。今日は本当なら昼前に解散のはずだったが、ちょいとばかり予定が変わりそうだ。朝食後に話があるから終わっても部屋に戻らないで食堂に残ってくれ。ひとまず食べよう。もしかしたらここで食事ができるのがこれで最後じゃあ無くなるかも知れないぞ」そう言って、ニヤリと笑った。
全員が席に座ったら、揃って食べ始める。基本的に食事は全員そろって食べるのがここ横須賀の唯一のルールだった。朝食をとっている間に流れていたニュースから、
艦娘たちも何か大変な事になっているのは察したようだ。
全員が食べ終わり、皿を下げ終えまた席に座る。赤松が前に立ち、話し始める。
「いいかみんな、よく聞いてくれ。ニュースで見た通り、日本は未曾有の事態にいまある。そして先程、また突拍子のない話を聞かされたよ。いいか?どうやら今、俺たちと日本は地球にいないらしい。」
「........!?」
ざわめきが起こり、艦娘達の表情が驚愕に包まれるのが見えたが、赤松は続ける。
「気持ちはわかるが、そんな顔をするなよ。これは冗談でも何でもないんだ。そりゃまあ俺だって信じがたいがね。もう少し詳しく話そう。地球にいないってのは、つまり日本がどこか別の世界にいるってことだ。で、政府からのファックスによると、本日早朝にいくつか哨戒機を飛ばしたらしい。それによると、朝鮮半島はもちろんユーラシア大陸も確認できなかったらしい。おまけに沖縄の下の方には見たことがない大陸を見つけたんだとさ。どうやら国らしきものがあるらしく、人もたくさんいたらしい。」やはり信じがたいようだ。
「そうそう、こんな物も送られてきたぞ。哨戒機の記録映像だ。」赤松はスマートフォンを取り出し、テレビと繋げる。画面にはどことなく中世の町並みを思わせる風景が広がる。そして―――
「あれはっ!?」誰かが叫んだ。
そこには竜らしき生き物が映っていた。しかも人を乗せているようだ。ドラゴンなどファンタジーの世界にしか存在しないはず、これはいったい―――
「驚いただろう?もちろん俺もさ。こんな映像を大真面目に渡してくるんだからなあ。だが、これは正式な映像記録だ。無碍にするわけにもいかん。そしてこの事態に対し、俺たちにもその内依頼が来るようだ。まあ調査とかの類だろうけどな。というわけで、鎮守府の解散は現時点で一旦取りやめだ。俺たちは指示があるまで待機する。それまでは自由行動とする。他の鎮守府にも通知してある、以上だ。何かあれば連絡するから、各自好きにしていてくれ。ただし何かあったときに迅速に行動できるようにしておくこと、では解散。」
赤松がパンと手を鳴らすと、艦娘達がぞろぞろと部屋を出ていく。彼女たちの表情は当然ながら明るいとは言えなかった。どこか不安そうな顔だった。また働いて貰うことになるかもしれないので少し申し訳ない気持ちだったが、心のどこかで少年時代のような高揚感を赤松は感じていた。
一息つくと、のそのそと彼は執務室に戻っていった。
ありがとうございました。
次回は他の鎮守府について触れます。
お気に入り登録してくれた方々、誠にありがとうございます。これからも努力するつもりですので、どうかよろしくお願いします。
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