日本国召喚 独立艦隊の奮闘   作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy

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やっと終わりましたね。

バーが赤色になりました。

評価してくれた方々、ありがとうございます。


第30話 降伏の日

皇国の生産拠点であるデュロも陥落し、陸軍基地が全滅したとの情報が入った。これにより、軍への不信感が募る。さらに属領・属国が一斉に反乱を起こし、中からも外からもじわじわと崩れていく皇国は、もはや虫の息であった。

 

 

パーパルディア皇国 皇都エストシラント カイオス邸―――

 

 

「――準備は整った。」

 

 

朝日が照り込むカイオスの自宅、カーテンは風にゆられ、カイオスは美しい皇都を望む。

 

いつも通りの、よく晴れた日だ。しかしパーパルディア皇国の国の幹部や国民にとっては歴史的な日となるだろう。

 

 

成功すれば国の幹部として皇国に残り、失敗すれば一族すべてが殺されるだろう。

いや、失敗すればどのみちパーパルディア皇国は亡国となる運命だ。

 

既に手配は出来ている。

 

覚悟を決め、彼は部屋を出た。

 

 

 

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 行政大会議場

 

 

「いったい軍は何をやっている!!?属領から復活した国72ヵ国の反乱を許すどころか、まさか北方都市アルーニまで落ちるとは!!!」

 

各幹部が集まり、国の運営に対する実質的な対策が会議される行政大会議は、皇国始まって以来の未曾有の危機を前に紛糾していた。

 

皇国主力海軍はすでに無く、残るのは日本に対するにはあまりにも貧弱な艦隊が残るのみであり、大陸軍基地もすでに1つしか残っていない有り様だ。

 

加えて属国・属領の大反乱、これによりパーパルディア皇国の国土は大幅な縮小を余儀なくされ、属領の穀倉地帯までも皇国の支配権から離れてしまった。

 

これによって食糧の補給が実質絶たれ、このままでは飢餓すら発生しうる、危機的状況にある。

 

 

アルデは相次ぐ罵倒を受け止め、頭を痛めながらも説明する。

 

「現在軍は再建中であり、それが進み次第――」

 

「いつだ!!それはいつになる!!!」

 

 

彼の発言を遮り、農務局局長が発言する。

 

「すぐにでも穀倉地帯だけでも取り戻していただきたい!!このままではもって半年、つまりたったの6カ月でおそらく食料の底がつく。

統制すればもう少しもつが、いずれにせよ8カ月程度しかない!!

一時的に日本国と休戦し、穀倉地帯の反乱を押さえるような手続きは出来ないのか?」

 

アルデのイライラは限界だ。そんなこと出来る訳がないに決まっている。

日本はそもそも、国内問題だとは見てくれないだろう。

敵国が弱っている時に手を抜くバカがあるか。

 

彼は農務局長の無知に怒りを覚えながら返答する。

 

「第一外務局長とも話し合いましたが、無理です。」

 

「では、穀倉地帯を取り戻せるのか!!蛮族の戦力など、たかが知れているだろう!!何故さっさとやらないんだ!!」

 

ヤジが飛び交う。

 

 

「穀倉地帯は取り戻せるよう全力を尽くします。

しかし、北方都市アルーニが落ちた際、73ヵ国連合のみではなく、リーム王国の軍も混じっておりました。

文明国と戦うとなると、やはりある程度の戦力を整える必要があります。」

 

「確かに、この資料にあったな。リーム参戦と....あの小国が!!すぐに寝返りよって!!!」

 

 

会議は熱を帯び、終わる気配はない。

 

その時、不意に大会議室のドアが強く開かれ、武装した軍人70名がなだれ込んでくる。

彼らはパーパルディア皇国歩兵に正式配備されているマスケット銃を構えながら、会議室に押し入る。

 

 

「各人動かないでいただきたい!!この行政大会議場は、たった今掌握した!!勝手な行動をされると命の保証はない!!!」

 

 

リーダー格の軍人が声をあげる。

 

 

「この国家の未曾有の危機を前に革命ごっこのつもりか!!!指導者のいない国は全く動かんぞ!!!お前たちは、パーパルディア皇国を滅ぼしたいのか!?」

 

アルデの言葉に場が静まりかえった。

 

「この危機的状況を作り出したのは、他でもないあなたたちだ。

我々は愛するパーパルディア皇国を滅亡から救うためにここに来たのだ!!」

 

 

「ただ行政機構を押さえただけでは何の解決にもならん!!!相手がいるんだぞ!相手が!!!具体案か、代替案を示してみろ!!!

それが出来なければお前たちは本当の大バカ者だ!!!」

 

「具体案ならある!!既にカイオス様が日本国と話をつけておられる。

我々が皇国内の膿を大掃除すれば、皇国は救われる。」

 

 

場がざわつく。

 

 

「戯けが!!日本を押さえただけではどうにもならんわ!!!

反乱軍を、いや73ヵ国連合軍と、文明国を押さえない事には我々の未来はない。

仮にそれがうまくいったとしても、我が国は日本国に対し、殲滅戦を宣言している。

彼らが皇国を守るとは到底思えぬわ!!」

 

 

リーダーの軍人はため息をついた。

 

「あなた方は、私よりも日本の事を知らないと見える。

情報は上に行くほど簡素化され、都合の良いように捻じ曲げられるのだな。

まあ良い、もうこれ以上問答する気はない。

大人しくしていただこう。」

 

こうして、行政大会議場は無事無血制圧された。

 

 

一方、エストシラント 皇宮―――

 

 

「.....カイオスよ、これはいったいどういうつもりだ。」

 

皇帝ルディアスはカイオスを睨みつける。

 

彼の横には、屈強な軍人が5名、囲むように立っていた。

 

 

「陛下....皇国のために、しばし動かないでいただきたい。」

 

「フン、革命か.....小癪な事を。

こんな事をしても、国民はついて来ないぞ?すぐに軍により、おまえたちの首は刎ねられるだろう。」

 

あくまで威厳を保ちながら、皇帝ルディアスはカイオスに話す。

 

 

「私が......日本との戦争を止めます。そして、反乱軍からも皇国を救います。もうあなたには任せておけない。」

 

 

「我を、どうするつもりだ?」

 

 

「皇帝陛下は、今後政治に口を出す事は許されません。

国の皇族として、儀礼的行事には参加していただき、政治に関しては永遠に口を出さない。いや、出せないように致します。」

 

一時の沈黙の後、ルディアスは呟いた。

 

「――そうか。」

 

 

彼とカイオスが話をしている最中、息を切らし、武装した軍人が部屋に飛び込んでくる。

 

その男は、息を整えながら第3外務局長カイオスに敬礼する。

 

「申し訳ありません、レミール様を取り逃がしました!!レミール様の邸宅に到着したところ、すでに立ち去った後だったとの事です。」

 

 

カイオスの血の気が引き、全身の力が抜けるかのような感覚に襲われる。

 

 

「なっ!!なんだと!!絶対に見つけ出し、必ず捕らえろ!!!」

 

 

日本国との講和の可能性が遠のく現実を前に、カイオスの頭はフル回転する。

 

 

(まずは、日本に降伏を....日本の提示した条件はすべて達成可能と報告し、反乱軍を押さえてる間にレミールを探すしかない。くそっ!あの女め!!

いつまでも手間をかけさせやがって!!!)

 

 

「はっはっは.....カイオスよ、現実というものは、計算通りにはいかないものだな。貴様がどう皇国を運用するのかが見ものだ。」

 

こうして、パーパルディア皇国運営の実権は皇帝ルディアスの手から離れる事となった。

 

 

カイオスは日本に対し、革命はすべて順調に成功した旨報告を行い、国の実権を握ることになった。

 

 

数時間後、逃走を図っていたレミールは、偶然にも通りかかったシルガイアによって捕らえられた。

 

 

これによって条件はどうにか揃い、日本に降伏する準備は整った。

 

カイオスの要請により日本が反乱軍に停戦を呼びかけたため、どうにか反乱は収束した。

 

 

一週間後―――

 

外交官の朝田らを乗せた艦隊はエストシラントの港に停泊していた。今日、ここで降伏文章調印式が行われる。

 

朝田らは、レミールの身柄を引き取るために船を下りていった。

 

その様子を高橋は甲板より見送る。

 

二時間後に調印式が始められることになっており、皇国民や戻ってきた各国大使の姿も多く見られる。

 

高橋の後ろから一人の艦娘が声をかける。

 

「なあキョースケ、そういや何で私なんだ?」

 

「んなもん決まってるだろ?調印式を行うのならお前しかいないさ。」

 

高橋はニヤリと笑ってその青髪の艦娘「ミズーリ」に振り返る。

 

そう、降伏文書調印式はこの「ミズーリ」の甲板上で行われる。それも、昔日本が調印式を行ったときと同じ場所でだ。

 

「それでいいのか?あん時は日本が負けたんだぞ。それを思い出させやしないか?」

 

「今回は勝ったからいいんだ。それに今更、誰も気にしないさ。」

 

そう言って彼は頭の後ろで腕を組んでいる。

 

「ふーん...そんなもんか。」

 

ミズーリもこれ以上聞かないことにした。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

一方、戦艦「アルミランテ・ラトーレ」艦内―――

 

「ヒュー、見ろよあの姉ちゃん。良いケツしてやがるぜ。」

 

「あんたは相変わらずだな、もう.....」

 

テレビの中継で調印式を見ていた吉川は、画面に写ったエルトの姿を見るとなんとも下品な感想を述べた。隣りにいる、褐色の肌をした艦娘「アルミランテ・ラトーレ」は呆れ顔だ。

 

 

今回の降伏調印式にあたって、佐世保から10隻の戦艦が派遣されていた。

 

ミズーリの他にも、「扶桑」「山城」「コロラド」「サウスダコタ」「プリンス・オブ・ウェールズ」「ウォースパイト」「ダンケルク」「ストラスブール」「アルミランテ・ラトーレ」が軒を連ねる。

 

そして、その全ての主砲がご丁寧にエストシラントを向いていた。これは皇国に不穏な動きがあれば即座に攻撃を始めることを示していた。

 

もちろん、本当に攻撃する気は当然ないが、プレッシャーを与えるためにこうしていたのだ。

 

それを港から見ていた人々は驚愕と畏怖の目で見つめる。

 

「何と大きい船、それに魔導砲だ。皇国の戦列艦がこれに敵うはずもなかったのか......」

 

「もし、まだ日本と戦闘を続けていたら、これ以上の戦力が襲ってきていたのか....恐ろしいことだ。皇国の危機を見抜き、反乱を起こしたカイオス様に感謝しないとな。」

 

そう、これは結果的に皇国を救ったカイオスを持ち上げるための行動でもある。国民からの人気が高い方が、カイオスを日本の実質的な"操り人形"として動かしやすいからだ。

 

パラディス城を破壊した事も、皇都の防衛体制に疑問を持たせる為である。尤も、皇国の技術ではどうあがこうと防ぐことは不可能だが。

 

プライドの高い皇国民の心を動かすには力を示すのが一番だったのだ。

 

 

そして2時間後、ついに調印式が始められた。

 

皇国を代表して、カイオスとエルトがミズーリの甲板に上がり、文書が置かれた机に向かう。

 

どちらも緊張した面持ちだ。事前にある程度知っていたカイオスと違い、エルトはすっかり縮こまってしまっている。

 

日本からは朝田と高橋が出席し、二人を向かい合って机に座らせる。

 

「では、始めます。この文書にお二人の署名をお願いします。」

 

朝田が文書を二人に渡す。

 

そこには、こう書かれていた。

 

・その所在地に関わらず皇国軍全軍へ無条件降伏布告。全指揮官はこの布告に従う。

 

 

・皇国軍と国民へ敵対行為中止を命じ、船舶・飛竜、軍用非軍用を問わず財産の毀損を防ぎ日本国最高責任者及びその指示に基づき日本政府が下す要求・命令に従わせる。

 

・その所在地に関わらず、皇国の支配下にある全ての国における統治施設を撤廃する。

 

・公務員と陸海軍の職員は、皇国の降伏のために日本国最高責任者が実施・発する命令・布告・その他指示に従う。 

 

・非戦闘任務には引き続き服する。

 

・降伏文書の履行及びそのために必要な命令を発しまた措置を取る。

 

・旧属領及び属国の独立を認める。

 

・皇国領内の地下採掘権等は全て日本に無償譲渡する。

 

・皇帝及び皇国政府の国家統治の権限は本降伏条項を実施する為適当と認める処置を執る日本国政府の制限の下に置かれる。

 

・皇国はニシノミヤコで日本人に対して行った虐殺に対し正式に謝罪する。また、本件に関わった疑いのある皇国人は、その身分や立場に関わらず聴取等に応じること。被疑者の裁判は日本で行う。

 

・皇国が日本に払う賠償は、この戦いで日本が支出した金額の倍額とする。また、ニシノミヤコでの虐殺の被害者遺族にも別で賠償金を払うこと。その金額は遺族一人当たり日本円で五千万円とする。

 

・皇国は今後の、日本との交易においての関税自主権を認められない。

 

 

・今後旧パーパルディア皇国はその国名に「皇国」を入れてはならない。

 

・本降伏文書の内容は、後から日本が自由に改訂・変更を行える権利を有する。

 

 

といったものだった。

 

これを読んだカイオスとエルトの顔が歪む。思った以上に厳しい内容だ、だがこれを呑めば間違いなく国の経営は苦しくなる。特に、関税自主権等こちらに不利な条件でしかない。しかし呑まねば本当に滅ぼされてしまう。

 

結局、背に腹は代えられないのだ。

 

カイオスとアルデは文書に署名し、それを確認した朝田と高橋も同じく署名した。

 

調印式が終わると、高橋は何か合図を入れた。

 

すると数分後、海から何かが飛んできた。それは、アルタラス基地より飛び立った航空自衛隊の"ブルーインパルス"だった。

 

この降伏調印式に際し、川島防衛大臣の計らいで特別に派遣されていたのだ。

 

「何だあれは!!」

 

港にいた見物人は驚いた顔で空を見つめる。カイオスやエルトもこれは聞かされていなかった為、もしや攻撃ではと勘違いして高橋に詰め寄った。

 

彼は笑って答えた。

 

「なあに、ほんの余興ですよ。」と。

 

そしてF-2の編隊は空に見事な日の丸を描いた。

 

この日の出来事は世界各国の新聞で報道されることとなり、日本は更に注目を集めることとなったのだった。

 

 

そしてこの光景を見て、更に驚いている国の人間が二人いた。

 

一方は神聖ミリシアル帝国の新聞記者だ。

 

「あれは.....我が国の天の浮舟!?なぜこんなところに!」

 

彼は特段軍事に詳しいわけでは無かったが、ミリシアルの誇る天の浮舟の姿くらいは知っていた。この時彼によって撮影されたF-2の写真は、帝国軍部をひどく驚かせることになる。

 

もう一方はグラ・バルカス帝国のスパイだった。

 

「何だあの飛行機は!?プロペラがついていない!?それに、何という速さだ!!」

 

帝国では、ジェットエンジンは構想だけの存在であり、スパイの彼は当然知らないことだ。

 

彼も隠れて写真を撮った。だが、ピントがぼけていたこともあり、日本についてのこの情報はあまり正確なものとはならなかったのだった。

 

 

こうして、日本国とパーパルディア皇国の戦争は終結したのだった。




一段落ですね。

次回からちょくちょく番外編を挟むかもしれません。

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