日本国召喚 独立艦隊の奮闘 作:yyyyyyyyyyyyyyyyyyy
フェン王国 近海―――
巡洋艦「アンリ4世」と駆逐艦「雷」「電」は依頼のあったその島に向かっていた。
錨をおろし、内火艇に乗り換えて島に上陸した。
「ふーん。どうってことない、ただの島だな...」
辺りをキョロキョロと見回し、「アンリ4世」はこう呟いた。
ひとまず島の砂浜に3人で降り立った。妖精は船で留守番だ。
歩き出して島の裏手の崖に回る。険しく切り立っているが、どうにか件の蔦が集まった場所までは行けそうだ。
おそらく道のようになっていたのだろうが、手前の方が崩れてしまっている。
少し危なそうだ。足をかけるとパラパラと小さく崩れる音がする。
「おっと、気を付けないとな。」
「はわわ、危ないのです!」
慎重に足を運び、ようやく蔦の前に辿り着いた。
「なるほど、確かにこれは怪しいな」
そう言うと蔦に手をかけ、力一杯剥がした。
「よし、入ろう」
人が通れる位の隙間を作り、一人ずつ中に入った。
「暗いわ....」
雷がそう呟いた。
視界が悪いため、全員が懐中電灯をつけた。
見渡すと、奥まで50mほどあり、そこに報告にあった扉らしき物がぼんやりと見える。思ったより遠い上にやけに寒い。
「なんだか、お化けでも出そうだな...。」
「そ、そんなこと言わないでほしいのです!」
アンリ4世の言葉に電が少し怯える。
「でも、この島はフェン王国の民は近づかないらしいぞ。どうやらこの島の近くで"空飛ぶ鍔"が出るという伝承があるらしいんだ。ここを見つけた漁師は知らなかったらしいが。」
「"ツバ"?何それ?」
雷が尋ねると、アンリ4世は身振り手振りを交えて説明する。
「ほら、あれだよあれ。日本刀の形、わかるだろう?あれの持ち手の近くにある、手を守る部分の事さ。」
詳しく知っている訳ではないが、雷と電の頭には日本刀の形が浮かんだ。
「えっ、それって....」
雷の言葉を電が拾う。
「UFOなのです!?」
「そうかもな。まあいつ生まれた伝承かもわからないし、タダのヨタ話かもしれん。どこの世界にも似たような伝説があるんだな。....着いたぞ。」
三人は扉の前に立っていた。
「んん.....?何の文字だこれは?」
アンリ4世はスマートフォンを取り出し、共通語と見比べる。やはり見たこともない文字だ。続いて取っ手に手をかける。
「よっ.....うーん...むむむ....駄目だ。雷、電、手伝ってくれ。」
一人では歯が立たず、三人がかりで取っ手を引っ張る。
「むむむむ.....」
まるで童話の『大きなかぶ』を思い出させる光景だ。顔を真っ赤に染め、うんうん唸りながら頑張ったが、ぴくりとも動かないので、一度諦めた。
「これは...鍵がかかっているな。しかしこれはいつ作られたんだ?土埃は被っているが錆びていないし...うーん、困った。どうやって開ければいいんだ?そもそもこいつは何で出来ているんだ?」
ひとまず写真を撮って、この日は引き上げた。その写真は日本に送られ、解析に回された。これを外務省が各国大使館に見せたところ、ロウリア王国と最近国交を結んだばかりのパンドーラ大魔法公国が反応した。
彼らによると写真にある文字は、古代文字の可能性が高いとの事だ。
そしておよそ二週間後、高橋と戦艦「ビスマルク」はフェン王国の駐留艦隊居留地に来ていた。
タラップから降りてきたのは四人だ。高橋と艦娘「ビスマルク」、それと二人の熟年男性の姿があった。
建物から一人の女性が手を振って走ってくるのが見える。
「キョースケさん!ビスマルク姉様!お久しぶりです!」
艦娘「プリンツ・オイゲン」だ。屈託のないまぶしい笑顔でこちらに向かってきている。その様子に高橋は安堵した。
「ようオイゲン、久しぶりだな。元気にしてたか?」
「はい!みんな元気です!」
「そりゃ良かった。ビスマルクも心配してたぞ。」
高橋がそう言うとビスマルクは少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「嬉しいです!...ええと、そちらのお二人は?」
彼女の問いにビスマルクが答える。
「この二人は、今回調査に協力してくれる事になった魔導師さ。ロウリア王国のヤミレイ氏と、パンドーラ大魔法公国のザネル氏だ。」
ロウリア王国と言うと、転移後最初の敵国だ。とは言っても、パーパルディア皇国のように日本の怒りを買うような事をしたわけでもなく、あまりにあっさりと終戦に至ったせいか両国にそこまで気まずい空気は無かった。
それに、ロウリア王国が掲げていた「亜人の排斥」を本気で目標としていたのは一部の王族くらいで、むしろ戦後に日本による文化の発達を王国民は喜んでいた。結局平和な暮らしができればそれが一番なのだ。
そして、派遣されてきた魔導師ヤミレイは文明圏外国家どころか文明圏でも名を知られた優秀な男だった。彼自身亜人差別などといった文化に興味はなく、戦後、より研究しやすくなった環境に喜んでいた。昔から古の魔法帝国について研究しており、誰も使わない古代の言語を解読するなど、実績は十分だった。
そしてもう一方は、国交を結んだばかりのパンドーラ大魔法公国より派遣されたザネルという魔導師だ。新しくなったパンドーラの副学連長で、ヤミレイよりも若いが優秀な男だ。
今回の派遣には日本に恩を売っておこうという思惑が見え隠れしていたが、こちらにしても別に悪い話ではなく協力者は有り難かった。なぜなら日本は魔法については初心者、素人同然なのだから。
休憩をはさみ、居留地の隅にある慰霊碑に立ち寄ってから、およそ二時間後出港した。
ビスマルクと、旗艦のアンリ4世はその島へと向かった。
「ほっほっほっ、まさか日本の軍船に乗れるとは...こんなにも大きいというのに、乗り心地がいい。長生きはしてみるもんじゃな....。」
「ビスマルク」艦内でヤミレイはそう呟いた。
そして数十分後、島の近くに着いた。
内火艇に乗り換えてそのまま例の洞窟の近くに向かう。この2週間の間にそこには簡易だが階段が設置されており、前回よりも行きやすくなっていた。
アンリ4世を先頭に、暗い洞窟へ入っていく。
扉の前に辿り着くと、二人の魔導師は調査を始めた。背負っていた鞄から書物を取り出し、扉の横に書かれた擦れた文字を指でなぞる。
数分後、何か難しい事を話していた二人はこちらを同時に振り向くとにっこりと頷いた。
ザネルが告げる。
「どうやらこの扉を開ける事が出来そうです。」
「本当ですか!」
高橋とアンリ4世が喜びの声を上げる。
ヤミレイが壁を指さしながら続ける。
「これは、間違いなく古の魔法帝国が使用していた古代文字です。開け方が記されています。」
この言葉に「アンリ4世」が疑問の表情を浮かべた。
「そんな所にわざわざ開け方を記しておくなんておかしくないか?それじゃあ誰にでも開けられるじゃないか」
ヤミレイはそれに答える。
「当時、それはさしたる問題では無かったのです。この文字は古の魔法帝国だけの物であり、そもそもその時代は文字自体が普及していませんでした。ですから、書いたところで誰も読めなかったのですよ。それに、この扉を開けるには高位の詠唱が必要ですが、それができるのも光翼人だけだったのです。」
「成る程...説明を止めてしまい失礼しました。」
「いえいえ、お気になさらず。ところで、扉は今開けてみますか?私たちの見立てによると、ここは魔帝の小規模な基地だったと思われます。もしかするとその兵器などが残っているかもしれません。」
高橋の表情が変わった。
「出来るものなら是非お願いします。」
古の魔法帝国についての伝承は日本も把握していた。ジェット機や核爆弾のような物を持つ、地球での1960~70年代相当の技術があり、傲慢で暴力的、もし復活すれば最大の脅威となるだろうと予測されている。その情報が手に入るなら願ってもないことだ。
「分かりました。やってみましょう。」
そう言うとヤミレイはなにやら準備を始めたようだ。
祈祷のように手を組み、目を閉じる。そして何か聞いたことのない言葉を話し始めた。おそらくこれが古代言語の詠唱なのだろう。
数分間に及ぶ詠唱の後、突如カッと目を見開くと右手を捻るように動かした。すると、それに合わせてカチリ、と音が鳴った。
「おお....!!」
「.....ふう。どうやら開いたようです。」
ヤミレイは少し息があがっており、額には汗も浮かんでいた。
「大丈夫ですか?」とザネルが声をかけると、ヤミレイはにやりと笑って返す。
「ほっほっほっ、久しぶりに力を出したので少し疲れましたな。爺には少し無理があったやもしれませぬ。ささ、開けてみましょう。」
「ええ、では...」
高橋が取っ手に手をかける。軽く力を入れると扉はすんなりと開いた。一人ずつ中へと入る。
「暗いな....」
ビスマルクが呟いた。窓がないので当然光は入ってこない。各々が懐中電灯や魔石を使ったランプで灯りを手に入れる。
「足下気を付けて」と誰かが注意する。
下を見ながら一歩ずつ足を進めてゆく。
「ん...?」
アンリ4世が何かを見つけたようだ。全員でその方向を照らす。
「こっ、これは!?」
ザネルが叫んだ。全員が驚いた顔をしていた。
―――そこには、巨大な円盤の様な物体のシルエットが浮かび上がっていた。
見たい組み合わせは?
-
大和型vsGA級
-
紀伊vsGA級
-
長門型vsヘルクレス級
-
金剛型vsオリオン級